冠詞
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冠詞(かんし)とは、主にインド・ヨーロッパ語族やセム語派において、名詞の前または後に置かれ、定不定を示す限定詞である。
他の限定詞と同様、名詞句の中では一番外側にあるのが普通である。数や性、格が表示される言語では、冠詞はそれらに従って変化することが多い。
しばしば接語であり、また直後の語の発音によって変化することがある。たとえば、次の語の語頭が母音であるときに、次が子音であるときに比べ、母音を省略したり子音を補ったりすることがよく行われる。英語の定冠詞は、次が子音であるときに弱形の発音を持つ。
一部の言語では、前置詞と隣接するとき、前置詞と結合して縮約形となることがある。フランス語では縮約形を持つ組み合わせの時には、必ず縮約形を使わなければならないが、ドイツ語ではどちらも取りうるなど、言語によって様々である。
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[編集] 冠詞の種類
冠詞の使い分けは、各言語に共通の傾向はあるが、違いもある。
[編集] 定冠詞
定(文脈上、同定できるもの)を表す名詞の前に置く。
- 既出のもの。それ。
- 一つしかないと一般に認知されているもの。太陽など。
- その名詞が表すもの総体。~というもの。
- 固有名詞の前で使われることがある。英語では複数形の固有名詞の前。フランス語では国や川の名前の前、また特定の人名、都市名。
冠詞は通常単語の前に独立して付くが、名詞の後ろに付いて、活用語尾のように見える定冠詞を後置定冠詞と呼ぶ。北ゲルマン語群の他、バルカン言語連合のルーマニア語、ブルガリア語、マケドニア語、アルバニア語に見られる。
[編集] 不定冠詞
不定(文脈上、導入されたもの)を表す名詞の前に置く。一般に、数の 1 を表す単語が用いられ、単数の可算名詞の前にのみ置かれて、名詞が複数の場合や不可算名詞の場合には、未知のものを表す名詞の前でも置かれない。
ただし、スペイン語・ポルトガル語には、アナロジーにより派生した不定冠詞複数形が存在する。
[編集] 部分冠詞
フランス語、イタリア語などに独特の冠詞で、不可算名詞のための不定冠詞と考えられる。起源的には、部分の属格から発生したもので、そのため属格の前置詞と定冠詞が合わさった形をしている。
[編集] 各言語の冠詞
[編集] 英語
単数の加算名詞には不定冠詞が付く。定冠詞は数とは無関係に付く。
- 定冠詞
- the(子音の前では普通弱形の発音となる)
- 代名詞の it, they に当たる。
- 不定冠詞
- a (子音の前)、an (母音の前)
- 代名詞の one に当たる。
[編集] ドイツ語
ドイツ語の文法#冠詞を参照すること。
[編集] フランス語
フランス語の限定詞#冠詞を参照すること。
[編集] スペイン語
英語と異なり、主語となる名詞には原則的に定冠詞がつく。不定冠詞はその意味を強調するときにのみ使われ、無冠詞は主語では許されない。また、不定冠詞の複数形は「いくつかの」(英語のsome)と同じように使われることが多い。
- 定冠詞
- el(男性単数)
- los(男性複数)
- la(女性単数)
- las(女性複数)
- lo(中性)
- 不定冠詞
- un(男性単数)
- unos(男性複数)
- una(女性単数)
- unas(女性複数)
なお、女性名詞でも、a あるいは ha で始まる単語で、その音節にアクセントが来る場合には、el や un が使われる。
例: el agua(水)、un hada(妖精) cf. La Habana(ハバナ: キューバの首都)、la ansiedad(不安)
また、中性形は形容詞を名詞化する際に使われる。
例: Lo maravilloso de esta ciudad es la gastronomía.(この街のすばらしい点は美食です)
[編集] ポルトガル語
- 定冠詞
- o(男性単数)
- os(男性複数)
- a(女性単数)
- as(女性複数)
- 不定冠詞
- um(男性単数)
- uns(男性複数、綴り注意)
- uma(女性単数)
- umas(女性複数)
[編集] イタリア語
イタリア語は定冠詞を多用する。たとえば my car は il mio automobile (the my car) という。
- 定冠詞
- il(男性単数)
- 母音、"s impura" の前では lo ただし母音の前では l'
- i(男性複数)
- 母音、"s impura" の前では gli
- la(女性単数)
- 母音の前では l'
- le(女性複数)
- 不定冠詞
- un(男性単数)
- "s impura" の前では uno unoも母音の前ではunとなる
- una(女性単数)
- 母音の前では un'
[編集] エスペラント
エスペラントでは置くかどうか迷ったときは置かなくてもよい。数、性、格による変化はない。
- 定冠詞
- la
- 母音を省略し l' とできる。詳しくはアポストロフィー#音と文字の省略を表すアポストロフィーを参照。
[編集] アラビア語
数、性、格による変化はない。名詞に定冠詞がつくと形容詞にも定冠詞をつける。イダーファ構文の場合では最後の単語にのみ定冠詞をつける。
- 定冠詞
- ال (al-)
- 定冠詞の後に太陽文字がくると太陽文字を促音で発音する。その際に前に名詞がある場合は定冠詞が発音されない場合もある。

