電子

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核外電子の軌道の例 1sは最もエネルギー準位が低くすべての中性原子が備える。右下のπと書かれた軌道はベンゼンなどの分子に見られる。

電子(でんし、英electron)は宇宙を構成する素粒子のうちのレプトンの1つ。素粒子の標準模型では、第1世代の荷電レプトンとして位置づけられる。

電子の電荷の大きさは電気素量に等しく符号はマイナス(−1.60217653×10−19クーロン)、スピンは±1/2、バリオン数は0で、質量は陽子の1/1840の9.1093826×10−28グラムである。他に弱アイソスピン、弱超電荷という性質を持つ。

原子は、原子核と電子(核外電子)によって構成される。古典論的には電子は原子核の周りを惑星のように回っていると考えられていた。量子力学的には、電子はとびとびのエネルギー状態を取りながら通常、最もエネルギー準位の低いところから順に原子軌道を占有していく。核外電子のエネルギー準位と化学的な意味については記事 電子配置に詳しい。

ベータ崩壊の際に原子核から出てくる粒子線に含まれる粒子のうちの1つが電子である。中性子が発見される以前は原子核中に電子が存在するという「核内電子説」が存在したが、ベータ崩壊で原子核から飛び出してくる電子は原子核中に存在していたわけではなく、弱い相互作用の結果発生したものが放出される。

電気伝導体内を流れる電流の担い手は、特定の原子の原子核にとらえられていない自由電子伝導電子)である(電荷を運ぶという意味では、ホールイオンも該当する)。特に半導体においては、伝導電子だけに注目して単に「電子」と表現することが多い(半導体素子において「電子が欠乏」と言っても、原子核だけになっている訳ではない)。

ただし、自由電子の移動する方向と電流の流れる方向は逆である。これは電気発見当時の科学者たちが電気(電流という意味としての)は+極から−極に流れると定義したことによる。結局陰極線の発見で自由電子の移動する方向は−極から+極であることが確かめられたのだが、電流は+極から−極に流れるということはすでに慣例となってしまっていたため、電流と自由電子の流れは逆と定義したわけである。

[編集] 発見

電子の発見は陰極線の発見に端を発する。当時の科学者たちは、電気を通す導体と、電気を通さない絶縁体があり、どんな物体の中でも電圧を上げれば電流を流すことができることを知っていた。そこでほぼ真空に近い陰極線管クルックス管)に電圧をかけてみると直線状の影が現れた。ドイツの物理学者オイゲン・ゴルトシュタインはこの直線が陰極から発せられていたことから「陰極線」と名付けた。この陰極線の正体について学者らの意見は分かれた。欧州大陸の学者は陰極線の正体は海の波のように直線的に動いているので波動であるとし、イギリスの学者は重力の影響を受けないほど高速で移動している粒子であるとした。この大陸側とイギリス側の論争に決着をつけたのはイギリスの物理学者ウィリアム・クルックスであった。クルックスは、今日、自身の名前がつけられている陰極線管、いわゆるクルックス管を用いて、以下のような実験を提案した。

陰極線管に磁石を近づけた際に、

  • 負に荷電した粒子であれば磁界によって偏向するだろう
  • 波動であれば磁界によって偏向することはない

また、もし陰極線の正体が荷電した粒子であれば、電界によってより容易に偏向するだろうことが予測される。1897年に、イギリスの物理学者ジョセフ・ジョン・トムソンは磁気と電気をもちいて陰極線の正体が負に荷電した粒子、すなわち電子であるということをしめした。この電子の発見は原子モデルに大きな変化をもたらした。

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