超高層ビル

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超高層ビル(ちょうこうそうビル)とは、著しく高いビル、あるいは建築様式のことである。正式には「超高層建築物」と呼ぶ。

世界一高い超高層ビルの台北国際金融大楼(台北101
世界第2位の高さで、世界一高いツインビルでもあるペトロナスツインタワー


目次

[編集] 概要

現在の超高層ビルの高さ順位(含アンテナ高)左からシアーズタワー台北101ペトロナスツインタワーエンパイアステートビルディング

英語ではSkyscraper(スカイスクレイパー、「空 (sky) を削る (scrape) もの」の意)、またはSpire(スパイア)などと表され、建物に命名する場合は『』を意味するTower(タワー)を用いる事もある。日本語ではSkyscraperの訳語で摩天楼という呼び名もある。また、建物の縦横比において、縦の数値が大きければ大きい程美しいと言われる[要出典]。日本の超高層ビルは、縦横比が1:3前後の建物が多い[要出典]。なお、シカゴ大学をはじめ1990年代から具体的に現在研究が進められている高さが1000mを超えるビルは、超々高層ビルもしくはハイパービルディングという。世界で最も高い超高層ビルの推移は、50年以上の長きにわたりアメリカが世界一を占めていたが、近年の東南アジア東アジアの経済力の発展に伴ってその座を譲り渡している。

[編集] 耐震構造

地震や風圧対策(耐震構造)は、従来の建築物では『剛構造』という地震や風圧に耐える構造(ヒトが走行中の列車内で脚を踏ん張って揺れに耐える原理を応用した)が求められてきたが、超高層ビルでは地震の揺れや風圧にある程度建物を任せる『柔構造』の建築がほとんどである。さらに、昨今建設される超高層ビルでは、基礎部分に油圧装置(油圧ダンパー)を取り付ける、柱の中に低降伏点鋼を挟む(制震柱)、建物の上部にダンパーと呼ばれる錘(おもり)を取りつけたりして揺れを軽減する、等の方法(いずれも制震構造)を採用している。

また、基礎と上部建築物を切り離し、構造物の間に積層ゴムやベアリングを媒介して、横揺れそのものを逃す方法(免震構造)も開発されている。

免震構造については古い構造基準で建設された老朽化しているビルにも有効であり、免震レトロフィット(改良、後付)工法もあるほどである。ただし、この工法は基本的に柱を切断しジャッキアップしたうえで積層ゴムやベアリングを取り付けるものなので、1階部分が空洞(駐車場や駐輪場など)であり、かつ十分な敷地が確保できる場所で重量の負担が一定のレベルを超えないことが条件とされている。

[編集] 長周期地震動との共振の可能性

超高層ビルの固有振動周期は低層の建物に比べ長いので、地震動の周期の長い海溝型巨大地震の地震動との共振の可能性が最近は指摘されるようになった。日本で超高層ビルが建築されるようになってからの歴史が浅いので、実際の海溝型巨大地震を経験した超高層ビルはないので経験的予測はできず、シミュレーションに頼るしか予測はできない。

[編集] 超高層ビルの意味

超高層ビルは規模にもよるが、多くの場合巨大な需要能力を有するので、再開発事業などを起案する際などに区画整理後の敷地へ建設される建物にこの建築様式が採用される事が多い。

超高層ビルの建てられる条件としては、不動産価格が高い土地に事業者が投資しようとする場合、その回収方法として多層の建築を設けて収益を得ようとする事から結果的に超高層ビルになる場合や、限られた土地に許容を超えた収容を想定する場合、土地や都市、国などのランドマークシンボル)として建設する場合などが挙げられる。また超高層ビルは周囲からも抜き出た高さとなる事も多く、社会的に影響も大きい事から高い意匠性を求められると同時に、ビル建築主やビルを使用するテナントブランドイメージをも決定する場合もある。更にその意匠が周辺地域から認められない時には、多くは計画段階時に是正を求められるか、最終的には訴訟にまで発展する場合もある。

超高層ビルは結果的に、現在ではその国や都市、企業の経済力や技術力を示す指標ともなっているが、昨今の特に先進国では消費社会から環境社会への転換が図られようとしており、その中で莫大なエネルギーを消費する超高層ビルは効率性が疑問視されている面もある。また居住者への精神的或いは肉体的な影響なども懸念されており、特に高層住宅の場合、居住者の立場によっては周囲や地区の住環境も悪化すると言った研究報告もあるなど、課題も抱えている。

[編集] 世界の超高層ビル

現在、世界で最も高いビルは、2004年竣工で台湾台北市信義区にある、地上101階建て、高さ508m台北101(TAIPEI 101)である。

諸外国においての超高層ビルは、建物が建設される土地の広さに対しての建築物の増床方法などと言った、必要性に基づいた機能面のみならず、海外に対して国力や企業力の誇示、一都市の成熟度を示すランドマークとしての機能と言った様な政治的に利用される事も多々ある。

[編集] 北アメリカの超高層ビル

[編集] シカゴ

シカゴの超高層ビル群 左側の最も高いビルがシアーズタワー

世界で超高層ビルが最も早期に建設され始めたのはアメリカ合衆国シカゴである。1885年にウィリアム・ル・バロン・ジェニー(William Le Baron Jenney)が設計したホーム・インシュランス・ビル(Home Insurance Building:54.9m)が建てられ、これは世界の超高層ビルの最も先駆けとなるものであった。1871年、木造建築が殆どであったシカゴに火災が起き、更にミシガン湖からの強風で大火災になったのをきっかけに、シカゴ市が建築時に使用されるものとして耐火性の高い石や鋼鉄の素材を奨励した。

シカゴのビル建設はここに始まった。

[編集] ニューヨーク

ロウワーマンハッタンの超高層ビル群 画面中央手前の細い三角形のビルがフラットアイアンビル
マンハッタン42丁目通り

その後アメリカ、ニューヨークマンハッタン地区でも超高層ビルが相次いで建設され始め、遂には超高層ビル群を形成する様になり、これらは『摩天楼』と呼ばれ同国を象徴する景観のひとつとなる。マンハッタンの超高層ビル群は主に二箇所に分かれて形成されており、一つ目はマンハッタン島南部のウォール街などを抱えるロウワーマンハッタン地区、二つ目はマンハッタン島中央部のミッドタウン地区である。

ニューヨークで最初に作られた超高層ビルは、1902年のダニエル・バーナム(Daniel Burnham)設計であるフラットアイアンビルディング(Flatiron Building:90m)だと言われている。

ニューヨークに建設された超高層ビルの種類は年代により異なり、1900年代から1920年代に掛けて作られたものは主にウールワースビル(Woolworth Building:241.4m)やメトロポリタン・ライフ・タワー(Metropolitan Life Tower:213.4m)等に見られるネオ・バロック様式、1920年代から1940年代にかけて作られたものはクライスラービル(Chrysler Building:318.9m)やエンパイアーステートビル(Empire State Building:381m)に代表されるアール・デコ様式、その後1950年代から1970年代までにものは国際連合本部ビル(United Nations Secretariat Building:153.9m)やシーグラムビル(Seagram Building:156.9m)、レバーハウス(Lever House:92m)、世界貿易センタービル(One & Two World Trade Center:411m)などの箱型で『インターナショナル・スタイル』とも呼ばれるモダニズム様式、1970年代後半から1990年代にかけてはAT&Tビル(現:ソニープラザ、Sony Plaza:197.5m)やシティグループセンター(Citigroup Center:278.9m)、ワールド・フィナンシャル・センター(World Financial Center)に見られるモダニズム様式に装飾性を帯びた、ポスト・モダン様式と言ったものに分かれる。しかし、ニューヨークで作られる現在の超高層ビルは多様になっており、近年建設されている建築がどの様式に属するかは現時点では判断し難いが、主にガラスを多く使用した建築が作られる場合が多い。また、ここで作られた超高層ビルの建築様式は、同時に世界的な潮流となる場合も多い。

[編集] シカゴとニューヨーク

また、超高層ビル発祥のシカゴでは1910年代以降、ニューヨークにビルの高さ争いでは世界一の座を奪われ続けていたが、アメリカの大手百貨店チェーン、シアーズの本部でSOM設計のモダニズム建築であるシアーズ・タワー(Sears Tower:442.3m)が完成すると、世界一の座をニューヨークから奪還した。シアーズは、1990年代に業績の悪化からこの建物の所有権を売却している。

また、現在ではアメリカ合衆国第二の都市であるロサンゼルスや、サンフランシスコボストンセントルイスシアトルフィラデルフィアヒューストンアトランタマイアミなどアメリカ合衆国の主要な各都市で超高層ビルを見る事が出来る。


[編集] ロサンゼルス

ロサンゼルスの中心部 中央左寄りがライブラリータワー
ロサンゼルスの街の超高層ビルは街の中心部に集中している。またシカゴやニューヨークには及ばないが、ビルの高さではかなりの高さはある。ただしダウンタウンから少し離れると超高層ビルと呼べる建物は皆無となる。ダウンタウンの高層ビルはこの1970年代以降に建てられたものがほとんどで、それ以前は今のような超高層ビル群はなかった。

ロサンゼルスで最も高いビルは「ライブラリータワー」で、高さは310m。これは北米大陸西部では最も高いビルとなっており、アメリカ国内でも9番目、世界では21番目の高さを誇っている。

[編集] 旧ソビエト連邦の超高層ビル

[編集] モスクワ

ソビエト連邦の首都モスクワでもスターリン様式の超高層ビルが建設され、これら多くは社会主義体制下における国民の発揚効果を狙ったものであった。1930年代から1940年代にかけて「ソビエト宮殿」をはじめ多くの巨大建築が計画されたが、モスクワ大学(Moscow State University:182m)など実現したものは計画数からすると多いとは言えず、計画されたものの殆どは起草されただけに終わり、スターリンの死後に中止されている。しかしソビエト連邦の衛星国、主に東ヨーロッパ諸国での建築様式にも多大な影響を与えた。

また、1920年代から1930年代初頭、スターリン様式の確立以前に計画されたもの(ウラジーミル・タトリンの第三インターナショナル記念塔、高さ400mなど)は当時斬新なデザインでもあったため、社会情勢ともあいまって世界の多くの建築家に影響を与えた。また、当時はソビエト建築界自身もル・コルビュジエなど当時先端を歩む建築家の思想に大きく傾倒していた。

2000年代ではロシアの経済発展(特に石油など天然資源輸出を中心とした発展)に伴い、モスクワでは超高層ビルの建設・計画が進んでいる。特に2003年に完成したスターリン様式を模した超高層マンション、トライアンフ・パレス(264.1m)はフランクフルトコメルツ銀行ビル(259m)を抜きヨーロッパ一の高さとなった。

さらに巨大な超高層ビル街をモスクワ川沿いに建設する「モスクワ国際ビジネスセンター計画」(MIBC、モスクワ・シティ)が1990年代前半から進められており、93階建て、高さ 354m の東棟と、62階建て、高さ 242m の西棟からなる「フェデレーション・タワー」が2003年に着工し、2008年に完成する予定である。また70階建て、高さ 380m の「マーキュリー・シティ・タワー」が2005年末に着工し2008年末に完成予定である。一番高い「ロシア・タワー」はこれまで125階建てなど複数の設計案があったが、2006年ノーマン・フォスター設計による118階建て、高さ 600m の設計案が明らかにされた。

[編集] アジアの超高層ビル

1960年代まで主にアメリカの独壇場であった超高層ビル建設は、次第にアジア地域の経済的な発展と共に移ってゆく。日本では、東京霞が関ビルディング世界貿易センタービル(162.6m)、京王プラザホテル(170m)をはじめ、香港ジャーディーン・ハウス(Jerdine House:怡和大廈、178.5m)、シンガポール華僑銀行センター(Overseas Chinese Banking Corp Center:201m)などがその最初である。1970年代から1980年代にかけては東京での超高層ビル建設が著しく、その筆頭となるのは新宿区角筈地区(現:西新宿)にあった淀橋浄水場跡地の再開発により建設された新宿副都心(東京都庁舎移転後は新宿新都心)の超高層ビル群や、池袋サンシャイン60(240m)であった。

[編集] 日本

夜の西新宿 赤い航空障害灯が点滅している
[編集] 超高層ビルに関する規定

日本においては、法律上高さ60m以上の高さのビルが該当する。一般的には100m以上の高さのビルの事を指す場合が多い。摩天楼まてんろう)という別称がある。

また航空法によって地上、あるいは水面から高さ60m以上の建築物には航空障害灯の設置が義務付けられ、大抵の超高層ビルにはこの装置が設置されている(但し、ビル群の中にある建物の場合は60m以上のものでも設置されない場合もある)。空港から最大24km以内の地域では建物の高さに規制がかかっている。また地方自治体によっては、一定の高さ又は延床面積を超える大規模建築物に対して、その存在や共用による周辺への景観変化、日照阻害電波障害風害、交通問題等や工事中の騒音振動、地盤変位影響の低減を図るため、環境影響評価を義務づけている。

[編集] 高さ日本一の変遷
竣工 名称 所在 高さ 階数 設計
1936年 国会議事堂中央塔 東京都千代田区 65m 9階 大蔵省臨時議院建築局
1964年 ホテルニューオータニ本館 東京都千代田区 73m 17階 大成建設
1968年 霞が関ビルディング 東京都港区 156m 36階 三井不動産、山下寿郎
1970年 世界貿易センタービル 東京都港区 163m 40階 日建設計、武藤構造力学研究所
1971年 京王プラザホテル 東京都新宿区 179m 47階 日本設計
1974年 新宿住友ビル 東京都新宿区 210m 52階 日建設計
1974年 新宿三井ビル 東京都新宿区 225m 55階 三井不動産、日本設計
1978年 サンシャイン60 東京都豊島区 240m 60階 三菱地所設計、武藤構造力学研究所
1991年 東京都庁第一本庁舎 東京都新宿区 243m 48階 丹下健三都市建築設計研究所
1993年 横浜ランドマークタワー 神奈川県横浜市 296m 70階 ヒュー・スタビンス、三菱地所設計


霞が関ビル

日本における最初の高層ビルは、1968年竣工の東京都港区霞が関三丁目にある霞が関ビルディングであるとされる。

日本に措ける高さ100m以上の超高層ビル数は、1960年代は前述の1968年に竣工した高さ147mの霞が関ビルディング(設計:三井不動産及び山下寿郎)と、1969年に竣工した高さ109mの神戸商工貿易センタービル(設計:日建設計)の2棟のみであったが、1970年代末には30棟を超えており、この頃に日本の都市部は超高層化時代に突入したといえる。

現在日本で最も高い超高層ビルは、神奈川県横浜市西区にある三菱重工横浜造船所再開発埋立地のみなとみらい21地区に、三菱地所により計画され1993年竣工した横浜ランドマークタワーで、設計は三菱地所設計とヒュー・スタビンス(Hugh Stubbins)、高さ296m、地上70階建てである。用途は主にオフィスホテル(横浜ロイヤルパークホテル)であり、下層部にはショッピングモールを有する。69階にはスカイガーデンと言う展望施設が設置されている。

日本では関東大震災を教訓として建物の高さは百(約31m)に制限されたため、これが撤廃される1962年まではおよそ9階建て程度の建物しか建てられなかった。この当時、日本で最も高い建物は国会議事堂の中央塔(65m)であった。また、1960年代に隆盛していたメタボリズム派の建築家から、超高層ビル建築を伴った丹下健三築地再開発計画や磯崎新新宿計画などの様々なプランが挙がっていたが、いずれも実現には至らなかった。

日本の超高層建築の推移は、実際には1970年代に入ってから新宿副都心などの開発計画が本格化してからである。

日本では未だに300mを超えるビルは建設されていない。理由としては、大都市の近くにある空港のため、航空法により建物の高さが規制されていることなどが挙げられる。航空法による高さ規制は概ね空港からの距離で定まるが、例えば羽田空港や伊丹空港の場合、空港の中心にある標点を基準に、4kmまでは高さ45m、そこからすり鉢状に高くなり、空港から16.5kmから24kmの範囲内では高さ295mに制限される。滑走路の前後方向にはさらに厳しい規制がかけられる。なお、この高さの基準は空港の標点で、高さ295mというのは空港の標点の高さプラス295mということである。仮設物や避雷設備、その他飛行の安全を害さないものは、所管航空局長の承認を受ければ高さ規制を超えて設置することもできる。

[編集] 現在の日本のビルの高さ順位
順位 名称位置高さ階数設計竣工
1位 横浜ランドマークタワー 神奈川県横浜市 296m 70階 ヒュー・スタビンス、三菱地所設計 1993年
2位 大阪ワールドトレードセンター
ビルディング
大阪府大阪市 256m 55階 日建設計、マンシーニ・ダッフィ・アソシエイツ 1995年
2位 りんくうゲートタワービル 大阪府泉佐野市 256m 56階 日建設計、安井設計 1996年
4位 ミッドタウン・タワー 東京都港区 248m 54階 SOM、日建設計 2007年
5位 ミッドランドスクエア 愛知県名古屋市 247m 47階 日建設計 2006年
6位 JRセントラルタワーズ 愛知県名古屋市 245m 51階 KPF、坂倉建築研究所 2000年
7位 東京都庁第一本庁舎 東京都新宿区 243m 48階 丹下健三都市建築設計研究所 1991年
8位 サンシャイン60 東京都豊島区 240m 60階 三菱地所設計、武藤構造力学研究所 1978年
9位 六本木ヒルズ森タワー 東京都港区 238m 54階 KPF、入江三宅設計事務所 2003年
10位 新宿パークタワー 東京都新宿区 235m 52階 丹下健三 1994年


なお東京都新宿区西新宿の、東を十二社通り、西を山手通り、南を甲州街道、北を水道通りに囲まれた一画で「仮称:西新宿三丁目西地区再開発」が進められており、最も高いオフィス棟の高さは338mとなる予定である(ただし現在のところ地元住民の立ち退きや着工の目処などは一切たっていない)。

[編集] 日本の超高層ビル群

東京の西新宿、丸の内、汐留、品川、横浜のみなとみらい、大阪の西梅田、中之島などが高層ビル群の代表格だが、アメリカや中国などと対比するといずれもビルの集積率は低い。

[編集] 香港

香港島北部と九龍地区
新界・将軍澳の超高層住宅群

香港の特に香港島北部に位置する中心街は、地勢が山がちで平地が少ないこともあり、無数の超高層ビルが短期間の内に建設された。1970年代から1980年代、工業主体から転換し金融及び貿易都市として急激に発展していた香港では、大量のオフィスや住宅需要を賄うため、中心部のみならず九龍(Kowloon)地区や新界(New Terittories)、ランタオ島などの郊外にも大量に超高層のオフィスや住宅が建てられた。香港は結果的にアメリカ合衆国、ニューヨーク市のマンハッタン地区に次ぐ、世界でも二番目に超高層建築の集積率が高い都市へと成長している。

1990年、香港島の金鐘(Admiralty)地区にイオ・ミン・ペイ(I.M.Pei:貝聿銘)設計の中国銀行タワー(Bank of China Tower:367.4m)が完成し、これはアジアで初めて300mを超える超高層ビルとなった。続いて、1992年に灣仔(Wan Chai)地区に中国銀行タワーの高さを超える、デニス・ラウとン・チュンマン(Dennis Lau & Ng Chunman:劉榮廣&伍振民)設計のセントラルプラザ(Central Plaza:中環廣場:374m)が完成する。中国銀行タワーと並び、1985年に完成したノーマン・フォスター(Norman Foster)設計の香港上海銀行・香港本店ビル(HSBC Headqarters:178.8m)や、1988年に完成したポール・ルドルフ(Paul Rudolph)設計のリッポーセンター(Lippo Centre:力寶中心:186m)などの著名な建築も建設されている。

香港は1997年7月にイギリス領『香港』から、中華人民共和国の『香港特別行政区』へと移行した。現在では、イギリスなど旧来の関係諸国と共に中華人民共和国本土とも経済的な繋がりを一層強めている。昨今の近隣アジア諸国や中華人民共和国の活況を受けて、市街ではなおも超高層ビルが建設され続け、再開発事業も活発となっている。

2003年、新たに中環(Central)地区で香港で最も高い、シーザー・ペリ(Seser Pelli)設計の香港国際金融中心・第二期(Two International Finantial Centre:415.8m)が完成した。2010年には、この建物を超える高さでKPF設計の環球貿易廣場(International Commerce Centre:484.0m)が、西九龍(West Kowloon)のユニオンスクエアに完成する予定である。

[編集] シンガポール

シンガポールのラッフルズ・スクエア

シンガポールでは、1965年マレーシア連邦から独立した後、リー・クアンユー首相と人民行動党は権威主義的な独裁体制を敷き、これらは開発独裁と言われた。徹底した管理社会となるが、経済は著しい成長を続ける。その中で、シンガポール南部に位置する中心部のラッフルズ・スクエアには数多くの超高層ビルが建てられる。この中でも、丹下健三設計のOUBセンター(Overseas Union Bank Centre:280.1m)やUOBプラザ(United Overseas Bank Plaza One:280.1m)、また黒川紀章設計のレパブリックプラザ(Republic Plaza:280.1m)などはシンガポールを代表する超高層ビルである。2006年には、KPF設計のワン・ラッフルズ・キー・タワー(One Raffles Quay North Tower:245.1m)が完成している。

[編集] クアラルンプール

隣国のマレーシアでは、マハティール前首相による「ルックイースト政策」などの経済政策により、マレーシア経済は飛躍的に成長した。首都クアラルンプールの再開発地『KLCC』では1998年に、当時世界で最も高い超高層ビルであったシーザー・ペリ設計、日本の大手ゼネコンハザマ施工のペトロナスツインタワー(Petronas Towers:452m)が完成、このビルは国有石油会社のペトロナスが建設したものである。ペトロナスツインタワーは、既に台湾台北にある台北国際金融センターに追い抜かれているが、ツインで建てられた超高層ビルとしては今なお世界で最も高い。

[編集] 中華人民共和国

中華人民共和国では、1978年に始まる中国共産党鄧小平が指揮する経済開放路線により経済特区が設定された。その中でも香港に隣接する広東省は外国資本の導入による投資で、それまで漁村であった地が、わずか十数年の内に摩天楼を携える都市に変貌し、1998年には当時中国国内で最も高い信興広場地王大厦(Shun Hing Square:384m)が建設された。その後1984年経済技術開発区が設定され、この動きに上海広州などの大都市が加わると外国資本の流入から諸都市の著しい発展を見る。

[編集] 上海
上海の浦東新区・陸家嘴

特に上海を二分して流れる黄浦江に突き出る、浦東新区の『陸家嘴』(Lu Jia Zui)地区では、政府直轄による開発で金融中心地の核となる証券取引所や超高層オフィスビルが数多く建設され、同時に諸外国に向けて国力誇示のためのショーウインドーとしての役割も果たした。現在中国で最も高い、1998年竣工でSOM設計の金茂大厦(Jin Mao Tower:420.5m)はその最たるものである。

上海には1910年代から1940年代にかけて、かつて租界であった黄浦江沿いの外灘(The Bund)と呼ばれる地域には1927年竣工の上海海関(Custom House:90m)や1929年竣工の和平飯店(現:Peace Hotel、竣工時はキャセイホテル(Cathay Hotel):77.1m)、1937年竣工の中国銀行大楼(Bank of China:69m)などのネオ・バロック様式や洋中折衷様式の高層建築が建設された。現在でも現存しており、ここからは黄浦江を対比して新旧の高層建築を垣間見る事が出来る。

なお上海では今も多くの超高層ビルが建てられており、建設の促進をしていた政府自体が抑制をかける程である。

[編集] 北京
北京のCBD地区

中国国内では、現在多くの都市で超高層ビルが建設されている。上海や広州の他に、首都の北京では2008年に開催が予定されている北京オリンピックともあいまって、数多くの再開発事業において超高層ビルが建設されている。その中には斬新な意匠を伴うものも多く、現在建設中でOMAのレム・コールハース(Rem Koolhaas)設計の中国中央電視台本社ビル(CCTV Headquarters:234m)などはその代表格である。

しかし歴史的な街でもある北京の再開発においては、超高層ビル建設が朝廷時代の四合院と言う歴史的な宮廷官僚の住居を取り壊して行われている事も多く、これらの遺構(文化的な遺産)を排斥して超高層ビルを乱造する事が後世どの様に影響してくるのかといった、考古学的かつ都市工学的な懸念にも繋がっている。

[編集] 広州

広州は古くからの交易都市であり、第二次世界大戦以前に珠江(Parl Rever)沿いの欧米諸国が敷いた租界跡の地区には古いネオ・バロック式の建築が伺える。この中でも、1937年竣工の愛群大厦(Oi Kwan Hotel:64m)はこの時代に建てられた最も大きく壮麗な建物である。現在広東省省都でもある広州では、市内に多くの超高層ビルが建設されている。特に市街東部の、香港と広州とを往来する九廣鐵路(KCR)が発着している広州東駅前は再開発され、新都心として計画された。また1997年に、ここでは広州で最も高い中信広場(CITIC Plaza:391.1m)がデニス・ラウ&ン・チュン・マン(Dennis Lau & Ng Chun Man:劉榮廣伍振民建築事務所)設計事務所の設計によって建設された。

[編集] その他

この他にも中国では天津長春青島大連成都武漢厦門と言った都市でも多く超高層ビルが建設されている。

[編集] 台湾

現在世界で最も高い超高層ビルは、台湾台北市信義区に2004年に竣工した『台北国際金融センター』(Taipei International Financial Center:台北國際金融大樓、通称:台北101)で、高さ508m、地上101階建てで設計は李祖原建築事務所、施工は熊谷組を中心としたJV(共同企業体)である。下層部に2003年先行開業したショッピングモールを有する。このビルに設置されている東芝製の展望台直通高速エレベーターは、三菱電機製の横浜ランドマークタワーのものを凌ぎ世界で最も早いエレベーターとなった。

なお、台湾第2位のビルは高雄85ビル、世界では12番目。

[編集] ヨーロッパの超高層建築

ヨーロッパでは、近年になって超高層ビルの建設が著しくなっている。特に、イギリスロンドンや、フランスパリなどでその動きが活発になっている。

歴史的な景観を重視するヨーロッパでは、元来超高層ビルの建設は余りされておらず、例外的には第二次世界大戦で壊滅したドイツフランクフルトではドイツ及びヨーロッパの金融中心地として開発される際のオフィス供給の手段として、ドイツ銀行コメルツ銀行などの200m級の超高層ビルが複数建設され、その一角はマイン川にマンハッタンを合わせた造語で「マインハッタン(Mainhattan)」と俗称される。またパリでは市内のオフィス需要を補うために郊外のデファンス(Defence)地区に新都心『ラ・デファンス』(La Defence)が作られ、ロンドンでは、『カナリー・ワーフ』(Canary Wharf)と呼ばれる新都心が作り出された。

現時点では、これらの地に代表される以外にヨーロッパでは超高層ビル群が建設されている例は余り見られない。しかし、ヨーロッパの都市での旧来の建築による不動産供給は限界に来ており、特にロンドンやパリと言った経済的に活動が活発な都市では景観に配慮しながらも、中心部の超高層建築の建設が容認され始めている。

[編集] ロンドン

ロンドンのカナリー・ワーフ
シティの変貌 手前はロイズ保険ビル、奥のガラスの尖塔はスイス・リ本社

ロンドン市街東部のドックランズ(Docklands)地区に『カナリー・ワーフ』(Canary Wharf)と呼ばれる港湾跡が再開発されて新都心となり、竣工当時は英国で最も高かったシーザー・ぺリ設計のワン・カナダ・スクエア(One Canada Square:235.1m)が建設され、またノーマン・フォスター(Sir Norman Foster)卿設計の香港上海銀行(HSBC、社屋の名称は8 Canada Square:199.5m)や、シーザー・ぺリ設計のシティバンク(社屋の名称は25 Canada Square:199.5m)などの金融機関が中心部のシティ・オブ・ロンドンから移転し、超高層オフィスがロンドン・ドックランズ再開発公社(LDDC)によって続々と建設された。

歴史的建造物が並ぶシティ・オブ・ロンドンではセント・ポール大聖堂(111m)を越える高さの建造物は建ててはならないという不文律があったが、1965年に建ったポストオフィスタワー(現:BTタワー、188m)によって破られた。その後、1980年代までのイギリス経済の低迷により超高層ビルを求める声が経済界などから上がり、ナットウェスト・タワー(1993年IRA暫定派により爆破、現在改修され「タワー42」と改称)をはじめとする大聖堂を越える超高層ビルがいくらか建設された。またロイズ保険もハイテク建築の高層ビルに建て替えたが、今日まで多くの超高層ビル計画が景観を理由に中止させられている。この中で例外的に実現したのは、1992年にIRAが爆破した歴史的建築、バルティック・エクスチェンジの跡地に建設されたノーマン・フォスター設計によるスイス・リ本社ビル(別名「ガーキン」)であろう。

今後の計画では、レンゾ・ピアノ設計による三角錐型の超高層ビル、ロンドン・ブリッジ・タワー(シャード・ロンドン・ブリッジ、高さ 310m、72階建て)がテムズ川南側で2010年完成を目指して工事中であるほか、シティ・オブ・ロンドンではKPF設計の螺旋形の超高層ビル、ビショップスゲート・タワー(高さ 288m 、63階建て)が当初の高さ 307m の計画案を変更した上で建設認可が下りている。

[編集] ベルリン

ドイツ連邦共和国の新首都として再興されているベルリンでは高層、または超高層のビルが建設され始めている。『ポツダム広場』(Potsdamer Platz)にあるヘルムート・ヤーン(Helmut Jahn)設計のソニーセンター(Sony Center)や、レンゾ・ピアノ(Renzo Piano)設計のダイムラーシティ(Daimler City)などに代表され、他にミッテ(Mitte)地区やツォー駅(Zoologischer Garten)周辺でも再開発時に高層ビルを用いている。

[編集] フランクフルト

コメルツ銀行ドイツ銀行メッセタワーなど、200mを超える超高層ビルが建設されている。今のところドイツで超高層ビルの林立が見られるのはフランクフルトくらいである。

[編集] パリ

1960年代後半からの再開発で市街地南端のモンパルナス駅が解体され、跡地にモンパルナス・タワー(210m)が完成したのがパリの超高層化の始まりである。以後、都心には超高層ビルは建てられていないが、1980年代フランソワ・ミッテラン大統領によるグラン・プロジェによってポストモダン建築やハイテク建築が相当供給され街の様相を一変させた。同時期、エトワール凱旋門を西に延長した市街地外部のラ・デファンス地区に国際会議場グランダルシュをはじめ、フランスを代表する大企業や外資系企業の超高層ビルが相次いで建っている。

[編集] スウェーデン

サンティアゴ・カラトラヴァがデザインしたターニング・トルソ(190m)が、スカンディナヴィアで一番高い建築物である。

[編集] 世界一高いビルの移り変わり

竣工名称位置高さ階数設計
1930年クライスラービルアメリカニューヨーク319m77階ウイリアム・ヴァン・アレン
1931年エンパイアステートビルアメリカ・ニューヨーク381m102階シュリーブ・ラム&ハーモン
1974年ワールドトレードセンターアメリカ・ニューヨーク417m110階ミノル・ヤマサキ
1974年シアーズ・タワーアメリカ・シカゴ442m108階SOM
1997年ペトロナスツインタワーマレーシアクアラルンプール452m88階シーザー・ペリ
2004年台北国際金融大楼台湾台北市508m101階李祖原建築事務所

[編集] 現在の世界のビルの高さ順位

順位名称位置高さ階数設計竣工
1位台北国際金融大楼台湾台北市508m101階李祖原建築事務所2004年
2位ペトロナスツインタワーマレーシアクアラルンプール452m88階シーザー・ペリ1997年
3位シアーズ・タワーアメリカシカゴ442m108階SOM1974年
4位金茂大厦(Jin Mao Tower)中国上海420.5m88階SOM1998年
5位香港国際金融中心・第二期中国・香港特別行政区415.8m88階シーザー・ぺリ2003年
6位中信広場(CITIC Plaza)中国・広州391.1m80階劉榮廣伍振民建築事務所1997年
7位信興広場(Shun Hing Square)中国・384m69階K.Y.チェン1996年
8位エンパイアステートビルアメリカ・ニューヨーク381m101階シュリーブ・ラム&ハーモン1931年
9位セントラルプラザ(中環廣場)中国・香港特別行政区374m78階劉榮廣伍振民建築事務所1992年
10位中国銀行タワー(中銀大廈)中国・香港特別行政区367m72階イオ・ミン・ペイ1990年

[編集] 超高層ビル画像(高さ順)

[編集] 現在建設中の超高層ビル

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現在世界で建設されている超高層ビルの中で、世界で最も高いビルとなり得るものは幾つかある。

以下の様に、フリーダムタワーは、高さ世界一の座を奪い返すとしても短期間にとどまるか、より悪い場合ではバージュ・ドバイが先に竣工されて、高さ世界一の座に着けない可能性すらある。更にクウェートでは、1km(1000m)の超超高層ビルが建設計画中であり、もし完成すれば一気に記録を塗り替える事になる。

[編集] 上海環球金融中心

中華人民共和国上海市浦東新区の陸家嘴(Lu Jia Zui)地区に、日本の森ビルが主導になって建設が進められている、KPF設計の上海環球金融中心(Shanghai World Financial Center)は高さが496mとなり、世界第二位の高さである。また、構造上の尖塔も含めない高さでは世界で最も高い超高層ビルとなる。世界第二位に躍り出ることで、世界の超高層ビル順位の上位第4位までは全てアジアにある超高層ビルとなる。

上海環球金融中心は、アジア経済危機の折で発生した資金難や、建設現場周辺の地盤沈下のため、竣工が2001年から2007年に変更された。総工費は約1050億円。

また、頂部に風圧対策として中国庭園の洞門をモチーフに円形の穴が設計されていたが、デザインが日章旗の様だと言うクレームが、中国国内の一部嫌日家の抗議として上海市側から森ビル側にもたらされた結果、この穴の設計が四角形に変更されたと言う経緯がある。

[編集] フリーダム・タワー

2001年アメリカ同時多発テロで倒壊したニューヨークマンハッタン世界貿易センタービル(World Trade Center)跡地に建設中で、2009年竣工予定のフリーダム・タワー(Freedom Tower)は、アメリカ合衆国独立宣言の年にちなんだ高さ1776フィート、メートルでは高さ541mの設計になっており、竣工時には再びアメリカ合衆国に世界一高いビルが誕生する事となるが、ブルジュ・ドバイが先に完成した場合世界第2位となる。なお、設計はダニエル・リベスキンド(Daniel Libeskind)の基本設計にSOMのデイヴィッド・チャイルズ(David Childs)が参加している。

しかし、現在設計を巡りダニエル・リベスキンドと、不動産開発業者代表のラリー・シルバースタイン(Larry Silverstein)との間で訴訟問題が起きているため、将来的に設計内容が大きく変わる可能性を残している。

[編集] ブルジュ・ドバイ

また、新たな動きとしてアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに、ブルジュ・ドバイ(Burj Dubai)と呼ばれる超高層ビルがSOMの設計により建設中だとされており、おおよそ2008年、または2009年に竣工の予定で、高さは560mとも700mとも言われている。ブルジュ・ドバイについての確かな情報は公開されておらず、これは建物の情報が公開される事によって、ブルジュ・ドバイが竣工時に他国に建設されている超高層ビルより不利にならないようにするための工作である。

[編集] シカゴ・スパイア

アメリカ合衆国シカゴに建設中の超高層ビルである。

完成すれば、シカゴのシアーズタワーや、現在建設中のニューヨークフリーダムタワーを抜き、北アメリカ一高い超高層ビルとなる。北アメリカ一というのは、ドバイに現在建設中のブルジュ・ドバイが800m以上と当ビルよりも高いためであり、完成しても世界第2位となる予定である。

[編集] 関連項目

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