規制緩和

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規制緩和きせいかんわ、英 deregulation)とは、経済学公共政策などの文脈で、ある産業や事業に対する政府の規制を縮小することを指す。市場主導型の産業のあり方が望ましいと考えられる際にとられる基本的な政策手段のひとつ。同様の目的を達成するための政策に、公営の事業を私企業による事業に転換する民営化、貿易や市場参入にまつわる規制の緩和である自由化などがある(規制緩和と自由化は重複部分の多い概念である)。

目次

[編集] 概要

もともとの英語 deregulation は本来、規制「緩和」ではなく規制撤廃の意味が強い言葉であるが、法律規制の完全撤廃は絶対に反対する官僚が意図的に意味をずらして翻訳したため、そのまま日本国内に広まったという。

規制は安全基準・技術規格・所有・事業範囲など企業活動の様々な側面を扱うものであるため、規制緩和の形も様々である。一般に、どのような場面でどのように規制緩和が行われるべきであるかについての実践的な指針は、体系的な形では存在せず、政策は過去の事例研究を通して形成されるのが普通である。政府と私企業の共同事業である第三セクター方式は、民間活力の導入のための政策手段である点では共通しており、全国レベルの産業政策としてはあまり用いられないが、地方自治体では地元の特定産業を政府が独占せずに市場を確保したり民間企業を育成したりするための手段としてとられることがある。

[編集] 議論

世界的には、金融・航空・電話・電力・ガスなどのいわゆるネットワーク産業の自由化を促し、自由主義経済を広げる物として規制緩和は先進国でも途上国でも重要な検討課題になっている。世界貿易機関(WTO)や国際通貨基金(IMF)などの国際機関もそうした動きを積極的に支持している。

しかし国民生活に直結する分野に関して市場原理主義を導入する点に関してはカリフォルニア電力危機アジア通貨危機に見られるように、規制緩和や自由市場が経済に大きな損害を与えることもある。一般に、消費者や生産性の低い産業部門、労働者などはこうした政策の結果様々な保護を失うことになる場合が多い。グローバリゼーションへの反対運動をはじめ、規制緩和政策や市場主導の経済政策に批判的な勢力のいる所以である。

更に困難な点は、政府が介入をしなくなることが必ずしも市場競争を強化することにつながらないことである。規制緩和の結果、市場が一部企業による独占寡占などの状態に陥り、それが不当に高い価格や低い生産性、あるいは技術革新の停滞などを招くと考える専門家もいる。その一方で、ある種の産業については、国内に競争力のある企業を育てることが国益にかなうと考えられる場合もあるため、そのような寡占化を放置するのが望ましいとする論もある。

[編集] 各国の現状

[編集] 日本

日本では所謂「親方日の丸」の官僚主義の非効率性が経済成長を阻害しているという議論がここ30年ほど盛んに行われており、グローバリズムの進展と合わせて規制緩和や自由化を唱える声は根強い。しかし、近年、規制緩和の行き過ぎにより多方面から問題が発生。規制緩和の見直し声があがっている。

1980年代以降の規制緩和の例と問題点を以下に挙げる。

  • NTTJRなど国営分野の民営化
    • (JRに関して)当初は国鉄の莫大な赤字を解消するための民営化だったが、現在でもほどんど解消されていない。また、私鉄との過度な競争による安全コストの削減がJR福知山線脱線事故などの大規模事故を招いたとされている。
  • タクシー台数の制限撤廃
    • タクシー会社同士の競争が激化し、業界内では死活問題になっている
  • 電力自由化
  • 酒類販売業免許の付与基準の緩和
    • 業界内では死活問題になっている
  • 港湾運送事業への新規参入
  • 電気通信事業の開放
  • 農業への株式会社参入
  • 郵便事業の民間開放
  • ビールなどの最低醸造量の緩和
  • 労働者派遣事業
    • それまで派遣が禁止されている分野(製造業や医療など)にも派遣社員の採用が認められるようになり、以後日本の企業では非正規雇用が急増。偽装請負など非正規雇用労働者の労働環境悪化が懸念されている。
  • 医薬品の部外品化によるの緩和
    • 業界内では死活問題になっている
  • バス運送事業への新規参入の緩和
    • 事故の多発により、問題視されている
  • 建築建築基準検査機関の民間開放

[編集] その他の国

アメリカでは1970年代以降、ハイエクフリードマンらの理論に基づき規制緩和が進められたが、数多くの失敗を生み出した。1990年代以降は単なる規制撤廃ではなく、慎重な規制改革が、経済の回復に貢献したとされる。しかしながらその慎重な態度でさえ、大失敗して修正を余儀なくされたものもある。代表的な例としては電力自由化によって起きた各地の電力危機(カリフォルニア電力危機など)、金融自由化によって起きた貯蓄貸付組合(S&L)の大量破綻、などがある。

[編集] 関連項目

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