芳香族化合物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

芳香族化合物(ほうこうぞくかごうぶつ、aromatic compound)は、ベンゼンを代表とする環状不飽和有機化合物の一群。炭化水素のみで構成されたものを芳香族炭化水素 (aromatic hydrocarbones)、環構造に炭素以外の元素を含むものを複素芳香族化合物 (hetero aromatic compounds) と呼ぶ。狭義には芳香族化合物は芳香族炭化水素と同義である。

19世紀ごろ知られていた芳香をもつ化合物の共通構造であったことから「芳香族」とよばれるようになった。したがって匂い(芳香)は芳香族の特性ではない。

目次

[編集] 分類

ベンゼン核を有する化合物は芳香族化合物の代表であるが、ベンゼン核を有することが芳香族である条件ではない。環の大きさ、縮合状態、複素元素や電荷の存在などベンゼンとは異なる構造を有する芳香族化合物が多数存在する。以下に芳香族化合物の分類を示す。

  • ベンゼン系芳香族化合物 (benzenoid aromatic compound)
    • 縮合環芳香族化合物 (condensed ring aromatic compound)
      • ベンゾ縮合環化合物
    • 複素芳香族化合物 (hetero aromatic compound)
  • 非ベンゼン系芳香族化合物 (non-benzenoid aromatic compound)

[編集] 芳香族性

芳香族性を示す化合物は環上のπ電子系に含まれる電子の数が 4n + 2 (n = 0, 1, 2, 3, ...) 個である不飽和環状化合物のみである。このような共役不飽和環構造を芳香環と呼び、またこの法則をヒュッケル則という。芳香環上のπ電子は非局在化し、環上にわたって分布している。この際、π電子系とは二重結合由来のπ電子だけに限定されない。また6員環である必要もなく、5員環の芳香族化合物も数多く知られている。例えばシクロペンタジエニルアニオンはアニオンの電子がπ電子系に関与し、あるいはチオフェンでは硫黄の孤立電子対がπ電子系に関与して芳香族性を現わすと考えられている。このためチオフェンは硫黄原子を酸化し SO とすると芳香族性を失い、ジエンとしての反応性を示すようになる。

非局在電子に由来する遮蔽効果はあたかも環状の電流が存在するように作用するため環電流と呼ぶことがあるが、実際に電子が周回しているわけではない。前述の非局在化という言葉の示す通り、π電子は特定の場所にすら存在しておらず、全体として雲のように拡がっている(量子力学を参照)。

ただ、実際に有機化学反応を考える場合、複数の共鳴寄与構造の間でπ電子が往来している、と考えた方が理解が容易になり、また、それで十分な場合も少なくない(しかしながら、量子力学的に厳密に、非経験的に計算することが現在の計算機の能力でも困難になる場合がある)。

芳香族化合物ではπ電子系の共役が重要なので環は平面構造を取り、他の不飽和環構造に比べ安定であると同時に反応性も異なる。

[編集] 芳香族固有の反応

たとえば、ベンゼンに対して臭素 (Br2) は置換反応し、非芳香族不飽和化合物のように付加反応は生じない。詳しくは親電子置換反応を参照。

[編集] 代表的な芳香族化合物

[編集] 関連項目

ことばこって?

「ことばこ」は、歴史の人物から最先端テクノロジーまで、なんでも調べられるオンライン百科事典です。ウィキペディア財団が運営を行なっているwikipedia.orgから引用をしています。

おススメサイト
トラブログ
アレどう?
アフィリエイトB