芥川龍之介賞

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芥川龍之介賞あくたがわりゅうのすけしょう)は、純文学の新人に与えられる文学賞。通称は芥川賞日本文学振興会によって選考、授賞される。

大正時代を代表する小説家の一人芥川龍之介の業績を記念して、友人であった菊池寛1935年直木賞とともに創設し、以降年2回発表される。第二次世界大戦中の1945年から一時中断したが1949年に復活した。受賞は選考委員の合議によって決定される。受賞者には正賞として懐中時計、副賞として100万円(2006年現在)が授与され、受賞作は『文藝春秋』に掲載される。

2007年現在の選考委員は池澤夏樹石原慎太郎小川洋子川上弘美黒井千次高樹のぶ子宮本輝村上龍山田詠美の9名。選考会は、料亭・新喜楽の1階で行われる(直木賞選考会は2階)。

目次

[編集] 評価

ここ最近は、受賞作品について、直木賞などと比べて、過去の作品と比較してもやや毀誉褒貶が多いものが続き、賞そのものも出版界の話題造りの為の賞に成り下がっているなどと批判され、権威低下がマスコミなどでは言われ、商業主義の噂も囁かれている。しかし、それでも出版界・文芸界にとってなくてはならない重要な賞の一つであり、受賞した作家がこれからの文芸界を支える存在として大きく期待されている事になんら変わりはない。

[編集] 芥川賞にまつわる出来事

[編集] 太宰治騒動

太宰治は第1回のときに候補となり、本人も受賞を熱望し、当時の選考委員川端康成佐藤春夫に書面を送った。しかしながら受賞に至らず、選考委員を公で非難し、選考委員との論争になった。その後も、太宰が芥川賞を受賞することはなかった(第3回までは一度候補に挙がった作家は二度と候補に挙げないという決まりがあった)。

[編集] 高木卓による受賞辞退

第11回に高木卓の「歌と門の盾」が受賞したが、高木は受賞辞退した。なお、現在では候補の時点で作者に了解をとるので、受賞辞退ということは発生しない。

[編集] 著名作家の受賞漏れ

現在では評価されている、著名な作家が受賞していないことは、芥川賞の罪として指摘される。先述した太宰治のほか、三島由紀夫も受賞を逃している。ただし、三島の場合は戦後の中断期間に世に出たこと、また長編を評価されたことから芥川賞の問題ではないという意見も強い。高見順も受賞を逸したがのちに選考委員を務めている。井上光晴の『地の群れ』が、長編であること、既に新人ではないことを理由に落選した際、選考委員の石川淳は、選評で、いずれの理由も納得できないと怒りを表明した。有吉佐和子曽野綾子の女性作家たち、あるいは深沢七郎阿部昭黒井千次後藤明生津島佑子も受賞しておらず、黒井は現在選考委員である。深沢の「楢山節考」は、発表当時絶賛されたにもかかわらず、候補にさえならなかった。吉村昭は受賞したと勘違いし会場まで行ったというエピソードがある。また海外の有名な文学賞を受賞するなど、国内外で評価が高い村上春樹も受賞していない。

一方で受賞した作家であっても、現在は名前を残していないものは多数いる。また宇能鴻一郎らのように、活躍するジャンルを変えてしまったものもいる。このことから必ずしも芥川賞がその後の作家生活を保障するものではなく、その後の本人の努力が問われるものだと言える。

[編集] 受賞作一覧

[編集] 第1回から第10回

[編集] 第11回から第20回

  • 第11回(1940年上半期) - 高木卓 「歌と門の盾」(受賞辞退)
  • 第12回(1940年下半期) - 櫻田常久 「平賀源内」
  • 第13回(1941年上半期) - 多田裕計 「長江デルタ」
  • 第14回(1941年下半期) - 芝木好子 「青果の市」
  • 第15回(1942年上半期) - 該当作品なし
  • 第16回(1942年下半期) - 倉光俊夫 「連絡員」
  • 第17回(1943年上半期) - 石塚喜久三 「纏足の頃」
  • 第18回(1943年下半期) - 東野邊薫 「和紙」
  • 第19回(1944年上半期) - 八木義徳 「劉廣福」、小尾十三 「登攀」
  • 第20回(1944年下半期) - 清水基吉 「雁立」

[編集] 第21回から第30回

  • 第21回(1949年上半期) - 小谷剛 「確証」、由起しげ子 「本の話」
  • 第22回(1949年下半期) - 井上靖 「闘牛」
  • 第23回(1950年上半期) - 辻亮一 「異邦人」
  • 第24回(1950年下半期) - 該当作品なし
  • 第25回(1951年上半期) - 安部公房壁 S・カルマ氏の犯罪」、石川利光 「春の草」他
  • 第26回(1951年下半期) - 堀田善衛 「広場の孤独」「漢奸」その他
  • 第27回(1952年上半期) - 該当作品なし
  • 第28回(1952年下半期) - 五味康祐 「喪神」、松本清張 「或る『小倉日記』伝」
  • 第29回(1953年上半期) - 安岡章太郎 「悪い仲間・陰気な愉しみ」
  • 第30回(1953年下半期) - 該当作品なし

[編集] 第31回から第40回

[編集] 第41回から第50回

  • 第41回(1959年上半期) - 斯波四郎 「山塔」
  • 第42回(1959年下半期) - 該当作品なし
  • 第43回(1960年上半期) - 北杜夫 「夜と霧の隅で」
  • 第44回(1960年下半期) - 三浦哲郎 「忍ぶ川」
  • 第45回(1961年上半期) - 該当作品なし
  • 第46回(1961年下半期) - 宇能鴻一郎 「鯨神」
  • 第47回(1962年上半期) - 川村晃 「美談の出発」
  • 第48回(1962年下半期) - 該当作品なし
  • 第49回(1963年上半期) - 後藤紀一 「少年の橋」、河野多惠子 「蟹」
  • 第50回(1963年下半期) - 田辺聖子 「感傷旅行 センチメンタル・ジャーニィ」

[編集] 第51回から第60回

  • 第51回(1964年上半期) - 柴田翔 「されどわれらが日々──」
  • 第52回(1964年下半期) - 該当作品なし
  • 第53回(1965年上半期) - 津村節子 「玩具」
  • 第54回(1965年下半期) - 高井有一 「北の河」
  • 第55回(1966年上半期) - 該当作品なし
  • 第56回(1966年下半期) - 丸山健二 「夏の流れ」
  • 第57回(1967年上半期) - 大城立裕 「カクテル・パーティー」
  • 第58回(1967年下半期) - 柏原兵三 「徳山道助の帰郷」
  • 第59回(1968年上半期) - 丸谷才一 「年の残り」
  • 第59回(1968年上半期) - 大庭みな子 「三匹の蟹」
  • 第60回(1968年下半期) - 該当作品なし

[編集] 第61回から第70回

  • 第61回(1969年上半期) - 庄司薫 「赤頭巾ちゃん気をつけて」、田久保英夫 「深い河」
  • 第62回(1969年下半期) - 清岡卓行 「アカシヤの大連」
  • 第63回(1970年上半期) - 吉田知子 「無明長夜」、古山高麗雄 「プレオー8の夜明け」
  • 第64回(1970年下半期) - 古井由吉 「杳子」
  • 第65回(1971年上半期) - 該当作品なし
  • 第66回(1971年下半期) - 李恢成 「砧をうつ女」、東峰夫 「オキナワの少年」
  • 第67回(1972年上半期) - 畑山博 「いつか汽笛を鳴らして」、宮原昭夫 「誰かが触った」
  • 第68回(1972年下半期) - 山本道子 「ベティさんの庭」、郷静子 「れくいえむ」
  • 第69回(1973年上半期) - 三木卓 「鶸」
  • 第70回(1973年下半期) - 野呂邦暢 「草のつるぎ」、森敦 「月山」

[編集] 第71回から第80回

[編集] 第81回から第90回

  • 第81回(1979年上半期) - 重兼芳子 「やまあいの煙」、青野聰 「愚者の夜」
  • 第82回(1979年下半期) - 森禮子 「モッキングバードのいる町」
  • 第83回(1980年上半期) - 該当作品なし
  • 第84回(1980年下半期) - 尾辻克彦 「父が消えた」
  • 第85回(1981年上半期) - 吉行理恵 「小さな貴婦人」
  • 第86回(1981年下半期) - 該当作品なし
  • 第87回(1982年上半期) - 該当作品なし
  • 第88回(1982年下半期) - 加藤幸子 「夢の壁」、唐十郎 「佐川君からの手紙」
  • 第89回(1983年上半期) - 該当作品なし
  • 第90回(1983年下半期) - 笠原淳 「杢二の世界」、高樹のぶ子 「光抱く友よ」

[編集] 第91回から第100回

  • 第91回(1984年上半期) - 該当作品なし
  • 第92回(1984年下半期) - 木崎さと子 「青桐」
  • 第93回(1985年上半期) - 該当作品なし
  • 第94回(1985年下半期) - 米谷ふみ子 「過越しの祭」
  • 第95回(1986年上半期) - 該当作品なし
  • 第96回(1986年下半期) - 該当作品なし
  • 第97回(1987年上半期) - 村田喜代子 「鍋の中」
  • 第98回(1987年下半期) - 池澤夏樹 「スティル・ライフ」、三浦清宏 「長男の出家」
  • 第99回(1988年上半期) - 新井満 「尋ね人の時間」
  • 第100回(1988年下半期) - 南木佳士 「ダイヤモンドダスト」、李良枝 「由煕」

[編集] 第101回から第110回

[編集] 第111回から第120回

[編集] 第121回から第130回

[編集] 第131回から

[編集] 詮衡(選考)委員摘要

  • 第1回(1935)川端康成(36)、久米正雄(44、直木賞兼)、佐佐木茂索(直木賞兼)、佐藤春夫滝井孝作(41)、山本有三
  • 第2回 山本辞任、小島政二郎(41、直木賞兼)、室生犀星加わる
  • 第3回(1936)菊池寛(直木賞兼)、この回のみ
  • 第4回 横光利一加わる(38)
  • 第5回(1937)川端、久米、佐佐木、佐藤、滝井、小島、横光
  • 第6回 宇野浩二加わる
  • 第13回(1941)片岡鉄兵加わる。白井喬二(直木賞詮衡委員)この回のみ
  • 第16回(1942)久米、直木賞に専念。
  • 第17回(1943)佐佐木、小島、直木賞に専念。河上徹太郎加わる
  • 第18回 犀星辞任、岸田国士、火野葦平(受賞者)加わる。川端、佐藤、滝井、横光、宇野、片岡、河上
  • 第20回(1944)片岡辞任

(戦後)

  • 第21回(1949)川端、佐藤、滝井、宇野、石川達三(44、受賞者)、坂口安吾舟橋聖一丹羽文雄
  • 第31回(1954)岸田死去、安吾辞任
  • 第32回 井上靖(受賞者)加わる
  • 第34回(1955)中村光夫加わる。川端、佐藤、滝井、宇野、石川、舟橋、丹羽、井上
  • 第39回(1958)井伏鱒二(直木賞受賞者)、永井龍男加わる(直木賞から)
  • 第46回(1961)宇野死去
  • 第47回(1962)佐藤辞任、高見順、石川淳(受賞者)加わる
  • 第48回 井伏辞任、川端、滝井、両石川、舟橋、丹羽、井上、中村、永井、高見
  • 第54回(1965)高見死去
  • 第55回(1966)大岡昇平三島由紀夫(41)加わる(いずれも非受賞者)、川端、滝井、両石川、舟橋、丹羽、井上、中村、永井
  • 第64回(1970)三島割腹
  • 第65回(1971)川端辞任
  • 第66回 両石川辞任、安岡章太郎、吉行淳之介加わる(以後は主として受賞者が選考委員となる)。滝井、舟橋、丹羽、井上、中村、永井
  • 第74回(1975)舟橋、大岡辞任
  • 第76回(1976)遠藤周作、大江健三郎加わる、滝井、丹羽、井上、中村、永井、安岡、吉行
  • 第77回(1977)永井、「エーゲ海に捧ぐ」の受賞に抗議して辞任
  • 第79回(1978)開高健、丸谷才一加わる、滝井、丹羽、井上、中村、安岡、吉行、遠藤、大江
  • 第87回(1982)滝井辞任
  • 第90回(1983)井上辞任
  • 第91回(1984)三浦哲郎加わる、丹羽、中村、安岡、吉行、遠藤、大江、開高、丸谷
  • 第92回 大江辞任
  • 第93回(1985)丹羽辞任
  • 第94回 丸谷辞任、田久保英夫、水上勉(直木賞受賞者、直木賞選考委員から)、古井由吉加わる、中村、安岡、吉行、遠藤、開高、三浦
  • 第95回(1986)中村辞任(以後評論家の選考委員いなくなる)、安岡、吉行、遠藤、開高、三浦、田久保、水上、古井
  • 第96回 安岡、遠藤辞任
  • 第97回(1987)大庭みな子、河野多恵子、黒井千次(非受賞者)、日野啓三加わる、吉行、開高、三浦、田久保、水上、古井
  • 第101回(1989)水上辞任
  • 第102回 開高死去
  • 第103回(1990)丸谷、大江復帰、吉行、三浦、田久保、古井、大庭、河野、黒井、日野
  • 第111回(1994)吉行死去
  • 第114回(1995)石原慎太郎、池澤夏樹、宮本輝加わる、丸谷、大江、三浦、田久保、古井、大庭、河野、黒井、日野
  • 第115回(1996)大江辞任
  • 第116回 大庭辞任、丸谷、三浦、田久保、古井、河野、黒井、日野、石原、池澤、宮本
  • 第119回(1998)丸谷辞任
  • 第123回(2000)村上龍(48)加わる、三浦、田久保、古井、河野、黒井、日野、石原、池澤、宮本
  • 第125回(2001)田久保死去
  • 第126回 高樹のぶ子加わる、三浦、古井、河野、黒井、日野、石原、池澤、宮本、村上
  • 第127回(2002)日野死去
  • 第129回(2004)山田詠美(45)加わる、三浦、古井、河野、黒井、石原、池澤、宮本、村上、高樹
  • 第131回(2005)三浦辞任
  • 第133回(2006)古井辞任
  • 第137回(2007)河野辞任、川上弘美(49)、小川洋子(45)加わる、黒井、石原、池澤、宮本、村上、高樹、山田

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

ことばこって?

「ことばこ」は、歴史の人物から最先端テクノロジーまで、なんでも調べられるオンライン百科事典です。ウィキペディア財団が運営を行なっているwikipedia.orgから引用をしています。

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