船
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
船(ふね)とは水上(海、湖沼、河川など)において、おもに人や物を運般する目的でデザイン、製造された乗物、筐体の総称である。船舶(せんぱく)とも表記される。人力・帆走・原動機により主に水上を移動する交通手段であるが、特殊な用途として水中を移動する潜水艦や潜水艇も含まれる。
「船」と呼ぶためには、推進力を得るための「動力源」と、その方向を定める「舵」の機能が備わっている必要がある。オール(櫓)や、帆を使う場合は、その両者の機能を兼ねることもある。動力源として蒸気機関、蒸気タービン、ディーゼル(ガソリン)エンジン、原子力などを使用する場合は、他に操舵装置としての舵(かじ)が必要となる。規模や用途の違いから「船・舟・槽・艦」を使い分ける。
用字としては、民生用のフネは「船」、軍事用のフネは「艦」、小型のフネは「艇」または「舟」の字があてられ、それらの総称として「艦船」(かんせん)あるいは「船艇」(せんてい)などの言い方をする場合もある。
船の種類(構造)や大きさにもよるが、自動車や航空機に比べ、とくに波による縦揺れも激しいため、酷い乗り物酔いに悩まされることが多い。
別に、中身(主に液体や粉粒体)を入れる目的に特化したものを槽(ふね)という。(例:湯ぶね、酒槽など)
また、サイドカーのカー(側車)を「フネ」と表現する。
目次 |
[編集] 歴史
文明以前の段階より、川などを渡る際や釣りなどを行うための原始的な丸木舟などは存在したと考えられている。日本でも縄文時代のものと推定される遺跡から丸木舟のものと思われる遺物が発掘される事がある。
古代エジプト時代のつぼに船の絵が描かれており、ナイル川では使われていたことがわかっている。ギリシャ時代には、帆走船やガレー船が使われ、帆船は今日でも練習船やヨットなどとして用いられている。16世紀にはガレオン船が登場し、大航海時代をになった。ガレー船は18世紀末まで地中海で、北欧のバルト海では19世紀初頭まで使用された。19世紀に蒸汽船が現れると海運の主役となった。
[編集] 日本船の歴史
飛鳥時代には平底のジャンク船のような箱型構造の船が遣隋使船として用いられた。室町時代の後期から江戸時代初期にかけて安宅船などが、軍船として用いられた。江戸時代の中期には軍船は無用のものとなり、民間商船である菱垣廻船や樽廻船、北前船が用いられた。
[編集] 呼称
[編集] 舟・船・船舶・艦・ship・boat
英語では boat, ship を指す。日本語の舟は boat に相当し、水上を移動する手漕ぎの乗り物を指し、ship は舟よりも大きな船を指す。船舶は舶の字義が大船を指すことから船よりもさらに大型の船を言う。水上に浮かぶもののうちで戦争時に水上で用いる船では艦を用い(艦の字義は装甲船の意)、具体的には軍艦を指す。英語に於ける潜水艦は通常 boat を用いる。
なお、英語では民間船・軍艦共に代名詞はshe(女性扱い)である。(これに対し飛行機では民間機がshe、軍用機がhe(男性扱い)である)
[編集] 槽(ふね)
一般的にふねの構造は、水上に浮かぶための浮力を得るために、内部は空洞になる。転じて、ある物体の中が空ろな容器全般をふねと呼び、特に木製で中身を入れる目的に特化した場合には槽(そう)の文字を当てる。日常的に、これら器を指してふねと呼ぶ場合は使用時に蓋をしない、または蓋の付いていない状態のものを言う。
[編集] 広義の船、比喩的なふね
船の呼称は一般的に「何々号」・「何々丸」などとして命名されるが、海上のふねが大海原に比して狭小であることから、特定の事象に於ける物体中または空間中における狭小な乗り物をふねと呼ぶ。加えて、設備が軽微なふねでは「板子一枚下は地獄」の喩えで用いられるように、周辺に比してふねの外殻の脆さから運命共同体や生活としての意味を含み、これが転じて宇宙的な規模で地球を表現する際は「地球号」のようにふねを用いた表現をする。
宇宙空間を移動する乗り物である宇宙船は、界を限定する飛行を用いない。
[編集] 数詞
- 海上運搬物の船は比較的大きな船の場合「1隻(せき)、2隻、、、」と数え、小型の船の場合は「1艘(そう(槽とも綴る))、2艘、、、」と数える。だが、最近は大きさに関わらず「1隻、2隻、、、」と数えることもある。
- 器の意味を込めて数える場合は杯または盃の文字を当て、「1ぱい、2はい、、、」と数える。
- 器としての槽では「1ふね、2ふね、、、」のような使い方をする。
[編集] 法令による定義
- 商法:第六百八十四条では「本法ニ於テ船舶トハ商行為ヲ為ス目的ヲ以テ航海ノ用ニ供スルモノヲ謂フ」同条2では「本編ノ規定ハ端舟其他櫓櫂ノミヲ以テ運転シ又ハ主トシテ櫓櫂ヲ以テ運転スル舟ニハ之ヲ適用セス」と定義されている。具体的には商行為を目的とする海商で航海の用に供される櫓櫂船以外の船を指す。
[編集] 船の長所と短所
[編集] 長所
- 大量輸送が可能
- 巨大な重量物も容易に運搬することができる
- 長距離での輸送コストが低い
[編集] 短所
[編集] 分類
[編集] 用途・機能による別
- 商船
商法684条より、商行為をなす目的のため、航海の用に供せられるものとされている。
- 旅客船(客船) : 旅客輸送に使用されるもの。
- オーシャン・ライナー : 遠洋定期船、外国航路船、大洋航路船。太洋上の航路と呼ばれる仮想の進路に沿って海浜に接した都市間を航行する船。
- クルーザー : 観光船、巡航船、遊覧大型客船。観光を目的に周遊する船。フェリー
- フェリー(自動車渡船) : 自動車とその運転士を同時に輸送するもの。
- 鉄道車両渡船 : 鉄道車両航送が可能なもの。鉄道航路を参照のこと。
- 貨客船(カーゴシップ) : 貨物輸送と旅客輸送とを同時に行うことが出来るもの。貨客混載船。
- 貨物船 : 貨物輸送に使用されるもの。荷物船。
- コンテナ船 : 貨物輸送の際に、ISO規格で定められた大きさのコンテナ(通称「海コン」)を運ぶ船。コンテナ用の専用揚重機を備える。
- RO-RO船(ローローせん、Roll on roll off ship ) : フェリーのようにランプを備え、トレーラーなどの車両を収納する車両甲板を持ち、自走で搭載/揚陸できる構造の貨物船。
- タンカー : 油送船、油槽船、水槽船、その他化学薬品などの液体を運ぶ船。
- リーファー(米語) : 冷凍船。海洋船団において漁獲したものを急速冷凍し保存する設備を持ち、加工設備も併せ持つ。
- バルクキャリア(バラ積船) : 石炭、鉱石、木材、セメント、穀物など大量の特定貨物を運ぶ船。
- 艀(はしけ、バージ) : 河川交通や港湾運送のための平底の貨物船。動力を持たない場合が多いため、タグボートに曳かれたり押されたりして航行する。
- 漁船 : 漁業に用いる船舶であり、漁船法により規定される。近海用と遠洋用、また漁獲する水産物の大きさや量によって、船の大きさはさまざまである。
- 快遊船(プレジャーボート) : 趣味のために使用されるもの。商行為に使用されないものであるが、商法海商編35条よりその準用を受ける。
- 商船以外の船
- 軍艦 : 軍事用の攻撃・防御等の装備を備えた船。
- 砕氷船(アイスブレイカー) : 極地など氷海における自力航行ないし航路啓開を目的とする船。船内に設えた装備で船首または船尾を上げ下げすることで、船の自重を以て海上の氷を折る(砕く)機能を持つ。
- タグボート : 曳き船。狭隘海域・狭小水路・港湾内において大型船舶が航行または離着岸する際の座礁や衝突を回避するために曳航または押航する船。前述のはしけを引くためにも使う。
- 水先案内船
- 練習船 : 船員になろうとする者が、航海の実習訓練をするための船。船員養成機関が運用する。帆船と汽船(動力船)がある。
- 病院船(ホスピタルシップ) : 傷病者の治療と移送を目的とする船。医療設備と多くの病床を備える。
- テンダー : 連絡船・補給船・通信連絡船・補給艦。戦時に船団間の通信業務の目的で往復した軽微な船。作業船 (坂越浦にて)
- 作業船 : ある特定の作業に特化した船の総称。主に海洋土木専用船。港湾整備等に使用される構造物築造船・浚渫船・揚土船、環境改善を目的とした清掃船や油回収船、通信用の海底ケーブル敷設船など。
- 救助作業船
- 工作船
[編集] 所有者・運用者による別
[編集] 船体の素材による別
- 鋼鉄船
- 木造船
- FRP船
- 軽合金船(アルミニウム)
[編集] 動力による別
- 帆掛け舟 : 前進するためだけの帆のみを持ち、進行方向を変更する機能を持たない舟をいう。和船が相当する。
- 帆船 : 風の力を帆に受けて動力とするもの。1本または複数本のマスト(mast: オランダ語、英語)と呼ばれる帆柱を備え、前進するための帆と進行方向を変更する三角帆を備える。
- 手漕ぎ舟 : 人間の腕力を以って、櫓を用いてこぐもの。ろかい船
- 汽帆船 : 風の力と原動機の動力を組み合わせて利用するもの。
- 汽船 : 原動機の動力のみのもの。
- 原子力船 : 原子炉を設置した船舶(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律)。
- ディーゼル船 : ディーゼル機関によって、プロペラを回す動力を得ている船舶。
- タービン船 : 蒸気タービンによって、プロペラを回す動力を得ている船舶。主にLNG・LPG船に使用されている。
- モーターボート
- ハイブリッド船 : ディーゼルエンジンと電気モーターを両方搭載した船舶。
[編集] 歴史的な分類名称
- ビランダー : 2本マスト小型商船
- キャラベル船 : 小型帆船
- キャラック船 : 大型武装商船
- クリッパー : 高速帆船、快速帆船、スキッパー級帆船(後に、高速ヨットを指す)
- フリゲート : 帆走快速軍艦
- ガレオン船(ガリオン船) : 軍用・貿易用大型帆船
- ガレー船 : 主な推力に人力によるオール(櫓)を用いた大型船
- トライリーム : 三橈漕船(さんどうそうせん)、両舷に三段のオールの漕ぎ口があるガレー船
- クナール : バイキングの用いた船
- ロングシップ : バイキングの用いた大型船
- リバティシップ : 第二次大戦中に大量建造された貨物船。仕様を標準化し、建造期間が短かかった。
- ビクトリーシップ : 第二次世界大戦中のリバティシップを改良して建造された高速性の優れたビクトリーの名を付けた貨物船の種類。
- マンオブウォー : 軍艦
- Qシップ(Qボート) : 第一次大戦中に英国が建造したドイツ軍Uボート対策の艦
- 汽船・蒸気船 : 推力の動力として蒸気機関を用いた船を指すが、具体的には外輪船等の旧式なものを指すことが多い。
- 戦列艦 : 多数の砲門を備え一定以上の速力・旋回力・耐久力を持つ大型軍用帆船
[編集] 構造
[編集] 船体
船体は木、竹、ヨシ等の植物材料や、鉄、鋼等の金属材料、ゴム、繊維強化プラスチック等の複合材料で造られる。詳しくは別項船体を参照。
[編集] 動力
船の動力には、風力や、ディーゼルエンジンやガスタービンエンジン等の内燃機関、蒸気機関、原子力がある。 又、風に向かって進む船や、波を動力とする船の研究・開発がされている。
[編集] 推進方式
[編集] 帆
風から力を受ける帆によって推進する。
[編集] プロペラ推進
プロペラに吸い込まれた水が船の後部に勢いよく排出されることで、船の推力となる。また、プロペラの向きを変えることによって、船の進む方向を変えることができる。
[編集] ウォータージェット推進
高圧ポンプにより船底から水を汲み上げ、吐出ノズルから後方に放出する事で推進力を得る。プロペラ推進では効率が悪くなる40~50ノットでの高速航行に適した推進方式である。ジェットフォイルが有名。
[編集] 電磁推進
海水を電場と磁場の作用で移動させ、その反作用で推進する方式である。フレミング左手の法則を利用したもの。まだ実用化はされていない。
[編集] 艤装
艤装(ぎそう)とは、航海に必要な装備全般を指す。海上を進む際には波浪によりふねは上下左右に揺れ、航海上に必要な装備や船内の各種什器は固定された状態でないと乗船している人間・貨物等に損傷を与え、安全な航海を維持できない。このことから、各種乗り物に於ける固定された装備全般を艤装と呼ぶ習慣がある。
[編集] 測定法
[編集] 船体構造
- 構造による分類
- 機関の搭載方法による分類
- 船外機船 : 船尾板(トランサムボード)に船外機を装着したもの。
- 船内外機船 : 機関を船内船尾に備え付けドライブユニットを船外に出すことによるプロペラを回転させる。
- 船内機船 : 機関を船内中央付近に備え付けプロペラシャフトによりプロペラを回転させる。
[編集] 操舵装置
別項舵を参照。
[編集] 無資格での操船について
- 船舶を操縦するためには、船舶の種類等に応じてライセンスが必要である。但し、小型船舶の場合は有資格者が同伴していれば、無資格者であっても操船してよいことになっている。また、次の要件を全て満たしていれば免許不要で船舶検査を受けなくても操船できる。
- 登録長が3m未満であること。
- 推進機関が1.5kw未満であること。
- 直ちにプロペラの回転を停止することができる機構を有する船舶でまたは、その他のプロペラによる人の身体の傷害を防止する機構を有する船舶。
[編集] 船にまつわることわざ
- 乗りかかった船
[編集] 関連項目
</div>- 種類
- 航行
- 港
- 海景図
- 海図
- 航路標識
- Global Maritime Distress and Safety System(GMDSS)
- 資格
- 建造
- 水運事業
- その他
[編集] 外部リンク
<span class="FA" id="fr" style="display:none;" />

