精神外科
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精神外科はかつて散発的に流行した、脳に外科的手術を行うことにより精神疾患の治療が行えるとした医療分野。代表的なものにロボトミーがある。後に脳神経外科学。
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[編集] 歴史
[編集] ロボトミー
1935年、ジョン・フルトンとカーライル・ヤコブセンがチンパンジーにおいて前頭葉切断を行ったところ性格が穏やかになったと報告したのを受け、同年ポルトガルの神経科医エガス・モニス(1874年 - 1955年)が、リスボン大学で外科医のアルメイダ・リマと組んで、初めてヒトにおいて前頭葉切裁術(前頭葉を脳のその他の部分から切り離す手術)を行った。その後、1936年9月14日ワシントンDCのジェームズ・ワシントン大学でもウォルター・フリーマン博士の手によって米国ではじめてロボトミー手術が激越性うつ病にかかっていた63歳の婦人におこなわれた。 世界各地で追試された。そのうちには成功例も含まれたが、特にうつ病の患者の6%は手術から生還することはなく、生還したとしても、しばしばてんかん発作、人格変化、無気力、抑制の欠如、衝動性などの重大かつ不可逆的な副作用が起こった。しかし、アメリカのW.フリーマンとJ.W.ワッツにより術式が“発展”されたこともあり、難治性の精神疾患患者に対して熱心に施術された。1949年にはモニスにノーベル生理学・医学賞が与えられ、1952年には教皇ピオ12世も容認発言をしたほどであった。しかしその後抗精神病薬が発明されたことと、ロボトミーの副作用の大きさとあいまって行われなくなった。また、エガス・モニスもロボトミー手術を行った患者に銃撃され重傷を負った。現在は精神疾患に対してロボトミーを行うことは禁止されている。
前頭葉切截術は、術式が異なるものも含め一般にロボトミーと呼ばれる。この言葉は、ギリシア語の「λοβός lobos=葉、この場合は前頭葉、τέμνω temno→tomy=切断」から作られた造語である。発音が似ている「ロボット」は、チェコ語のrobota(労働)という言葉から作られたとされ、語源が全く異なり関連性はない。
しかしロボトミーを含め現在では精神外科という治療法は否定されている(用語としては「美容外科は精神外科だ」などと比喩的に用いられることはある)。 現在、BMIやBCIといった脳にチップを埋め込む研究が米国で主流になってきているが、見方によればこれもロボトミーと同様の問題が内在する可能性がある。
[編集] 日本
日本では1942年、新潟医科大学(後の新潟大学医学部)の中田瑞穂によって初めて行われ、戦時中および戦後しばらく、主に統合失調症患者を対象として各地で施行された。施行された患者数は、一説によると3万から12万という。作家中村真一郎もロボトミーを受けた一人である。日本では1975年に「精神外科を否定する決議」が日本精神神経学会で可決され、それ以降は行われていない。日本ではこのロボトミー手術を受けた患者が、同意のないまま手術を行なった医師に対し復讐を行った事件がある(ロボトミー殺人事件)。
[編集] 死者
死者が多数でたが、正式な死者数や、死因が手術による者が何割かなどは不明である。切除により反応が低下するのは当然であるが、治療効果があったかどうかは疑問である。
[編集] 生理学的観点から
当時の標準的なロボトミーの術式は、前側頭部の頭蓋骨に小さい孔を開け、ロイコトームと呼ばれたメスを脳に差し込み、円を描くように動かして切開するというものであった。前頭前野と他の部位(辺縁系や前頭前野以外の皮質)との連絡線維を切断していたと考えられる。前頭前野は、意志、学習、言語、類推、計画性、衝動の抑制、社会性など、ヒトをヒトたらしめている高次機能の主座である。ロボトミーは前頭前野の機能を奪う、極論すれば「人間性を奪う」手術であったとも言える。
[編集] 術式
- モニス術式
- 両側頭部に穴をあけ、ロボトームという長いメスで前頭葉を切る
- 経眼窩術式
- 眼窩の骨の間から切断すべき脳の部分に到達する。
- 外側から見える傷跡が無いというメリットがある。
- 眼窩脳内側領域切除術
- 広瀬貞雄日大医学部名誉教授が開発した術式
[編集] その他
- 手塚治虫の漫画ブラック・ジャックでは、精神外科の描写がある第58話「快楽の座」が単行本未収録となっている。他にも未収録の作品はあるが文庫版や他の書籍での収録や改作などが行われていないのはこの作品のみである。(少年チャンピオンに掲載後、表現などの問題で抗議が来たためと思われるが精神外科に否定的な描写がされており肯定はしていない)また、描写が認められる(単に言葉が使われているだけ、しかも誤用されている)のは、第41話「植物人間」があるが、単行本(旧版少年チャンピオン第4巻)に収録されていたが、後に「からだが石に…」に差し替えられた。
[編集] 関連

