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この項目では穀物としての米について記述しています。植物としての米についてはイネを、炊いた米についてはを、その他の米の用法については米 (曖昧さ回避)をご覧ください。
米(玄米)

(こめ)は種子から外皮を取り去った穀物。粘り気が少ないものを粳米(うるちまい)、多いものを糯米(もちごめ)という。

目次

[編集] 概要

この項目では穀物としての米、特に粳米について扱う。植物としての米については、イネの項目を参照。糯米については、もち米の項目を参照。 <ref>古くはイネ科の植物の穀物について広く「米」という単語が用いられていた。古来、稲が生産されていなかった華北漢字発祥の地)では、長くアワ(粟)に対して用いられていた。中国後漢許慎が著した漢字の解説書『説文解字』において、「米…粟實也。象禾實之形」(禾=粟)と書かれ、米即ちアワの実であると解説されている。</ref><ref>現在の中国語では、イネ科の植物にとどまらず、米粒のような形状をしたものも米と呼ぶ例が多い。例えば、「海米、蝦米」は干した剥きエビ、「茶米」は烏龍茶などの粒状の茶葉などを指す。</ref> <ref>欧米においては一般的に主食という概念が希薄であり、日本における「米」と「イネ(稲)」という区別が無い。そのため、例えば英語圏ではriceという同一の単語で扱われることに注意が要る。</ref>

収穫したままの稲穂から、種子(穎果)を取り離すことを脱穀(だっこく)という。脱穀によって取り離した種子を(もみ。籾米)といい、籾の外皮を籾殻(もみがら)という。籾から籾殻を取り去ることを籾摺り(もみすり)といい、この籾摺り過程を経たものを米という。

籾から籾殻を取り離した状態の米を玄米(げんまい)という。玄米は、一般的にはイネの種子と理解されているが、生物学上は果実であり、胚芽・胚乳果皮から成っている。玄米の表面を覆う糠層(ぬかそう。主として果皮と糊粉層。)を取り去ることを精白(搗精)という。糠層のみを取り去って胚芽が残るように精白した米を胚芽米(胚芽精米)といい、糠層も胚芽も取り去った米を白米(精米、精白米)という。

玄米、胚芽米または白米に水分を加えて加熱調理することを「米を炊く」「炊飯(すいはん)」といい、米を炊いたものをという。飯の状態にした米の粒を「お米」と呼ぶこともある。広く主食用とされ飯にされるのは、粳米の白米であり、玄米や胚芽米の飯を主食とすることは、あまり多くない。糯米は、蒸して強飯(こわいい)としたり、蒸した後に搗いてとして供される。

籾殻を取る前に、水に長くつけ、蒸しあげてから籾摺りをしたものを用いる地域もある。タイマレーシアシンガポールなどの国のほか、日本では和歌山県などでこの習慣があった。のように、熱い湯や茶をかけてやわらかくすることができるほか、炒って食べる場合もある。

[編集] 利用

米は、世界中で食用とされ、年間生産量は6億1000万トンを超える(籾。以下いずれも農林水産省「海外統計情報」より、「FAOSTAT」の2005年統計<ref>農林水産省「海外統計情報」</ref>。)。米は小麦(年間生産量約6億3000万トン)、トウモロコシ(年間生産量約6億9000万トン)とともに世界の三大穀物といわれる。

米の9割近くはアジア圏で生産され、消費される。米は、世界人口の半分以上にとって主食となる重要な食品である。一方、欧米圏では、米は付け合わせの野菜の一種として利用される。また、欧米や東南アジアでは、デザート(下記)に用いられる。日本ではとして食べるほかに、菓子味噌醤油などの原料としても用いられる。中国ベトナム、タイなどではライスヌードルビーフンライスペーパーなどの加工原料にもされる。

また、米は生薬としても用いられ、生薬名では「粳米」と書いて「こうべい」と読む。健胃、滋養強壮などの作用があるとされる。米を蒸して酵母で発酵させたものを「神麹」(しんきく)という(ただし、米ではなく、小麦粉、ふすまなどとする説もある)。これには滋養、消化作用などがあるとされ、加味平胃散などの漢方方剤に配合される。

[編集] 米の歴史

地球上での米作(稲作)は、原産地の中国インドミャンマーが接している山岳地帯の周辺での陸稲栽培から始まり、まず中国南部、東南アジアへと広まったとされている。その後中国中・北部、南アジアに、そして日本へと伝わった。

稲作は日本においては、縄文時代中期から行われ始めた。これはプラント・オパールや、炭化したや米、土器に残る痕跡などからわかる。 縄文時代中期に、中国から台湾琉球を経て九州南部に伝わり、その後九州北部、中国・四国へと伝わったという説がある。 大々的に水稲栽培が行われ始めたのは、縄文時代晩期から弥生時代早期にかけてで、各地に水田の遺構が存在する。

米は、日本においては非常に特殊な意味を持ち、長らく・あるいは年貢)として、またある地域の領主や、あるいは単に家の勢力を示す指標としても使われた。これは同じ米を主食とする国でも、日本以外ではほとんど例がない。

第二次世界大戦の物資不足の時代には、政府より白米禁止令がだされ、玄米(胚芽米)を食べることが義務付けられた。ビタミンB1などの栄養価はあがるが、食味が劣るとして、家庭内で、一升瓶に玄米を入れて、棒で搗き、精白することも行われた。 1940年には、中国や東南アジアからの輸入米(いわゆる外米)を国産米に混ぜて販売することが義務付けられたが、このときの輸入米は精白米であった。

1970年代には、日本で米余り現象がおき、政府備蓄米などに古米、古古米が多く発生し、減反政策が取られた。また、米の消費拡大のために、それまで主食はパンだけであった学校給食に米飯や米の加工品がとりいれられるようになった。古米は、アフリカなどの政府援助にも使われた。

1993年は全国的な米の不作となり、翌年にかけて平成の米騒動が起こったため、タイなどから米の緊急輸入が行われた。インディカ種を食べなれていない人には不評であったが、この時以来煎餅などの加工用の米の輸入が一般化した。

[編集] 種類

イネ科植物にはイネのほかにも、コムギ、オオムギ、トウモロコシなど、人間にとって重要な食用作物が含まれる。イネ科イネ属の植物は、熱帯に二十数種が知られているが、このうち栽培種は2種のみである。一つはアジアイネとも呼ばれるサティバ種(Oryza sativa L.)で、アジアに起源を持ち、現在、世界の稲作地帯のほぼ全域で栽培されている。もう一つはアフリカイネとも呼ばれるグラベリマ種(Oryza glaberrima Steud.)で、アフリカに起源を持ち、西アフリカのごく一部で栽培されている。

[編集] 亜種

サティバ種は、3つの亜種に分かれ、それぞれの米は次のような特徴がある。

  1. ジャポニカ種(日本型、短粒種)
    形が丸みを帯び、炊飯米は粘りがある。日本での生産は、ほぼ全量がジャポニカ種である。主な調理法は、炊くか蒸す。
  2. インディカ種(インド型、長粒種)
    形が縦長で、粘りが少ない。世界的にはジャポニカ種よりもインディカ種の生産量が多い。主な調理法は煮る。
  3. ジャバニカ種(ジャワ型、大粒種)
    長さと幅ともに大きい大粒であり、粘りはインディカ種に近い。東南アジア島嶼部で主に生産されるほか、イタリア・ブラジルなどでも生産される。

[編集] 水稲と陸稲

水田で栽培するイネを水稲(すいとう)、畑で栽培するイネを陸稲(りくとう、おかぼ)という。水稲と陸稲は性質に違いがあるが、同じ種の連続的な変異と考えられている。一定面積当たりの収量は水稲の方が多い。日本の稲作では、ほとんどが水稲。

[編集] 粳米と糯米

普通の米飯に用いられる米を粳米(うるちまい)といい、餅や強飯に用いられる米を糯米(もちごめ)という。粳米は粘り気が少なく、糯米は粘り気が多い。これは、主成分のデンプンの違いによる。粳米のデンプンは直鎖成分のアミロース約20%と分枝鎖成分のアミロペクチン約80%から成るのに対し、糯米のデンプンはアミロースをほとんど含まずアミロペクチンが大部分である。

[編集] 米の調製・調理・加工

[編集] 調製

左から、白米、胚芽米、玄米

米は稲穂の状態をそのまま食用とはせずに、精製を行って食用とするのが基本である。精製のプロセス(一般にこの作業を調製という)は以下のようになっている。

  1. 脱穀(だっこく)- 稲穂から(もみ)をはずす。
  2. ふるい - 脱穀した籾、籾殻、稲藁などから籾を選別するために篩(ふるい)にかける。
  3. 籾摺(もみすり)- 籾殻をむいて玄米とする。
  4. 風選(ふうせん)- 籾から籾殻やしいなを取り除く。
  5. 選別(せんべつ)- 玄米をふるいにかけ、標準以下の大きさの玄米(くず米)を除く。
  6. 精白(せいはく)- 玄米の胚芽と糠層を削り取り、白米(精白米)とする。この作業をすることを「精米」(せいまい)あるいは「搗精」(とうせい、「米を搗(つ)く」)ともいう。
  7. 精選(せいせん)- 精白後の米からさらに選別を行う。

[編集] 調理

白米は、ぬかを洗い流した(「米を研ぐ」とか「洗う」という)のち、調理する。

日本では、粳米は炊いてとし、糯米は蒸して強飯もしくはとして食べることが多い。中国などでは、粳米を蒸す場合もある。米を炊くことを「炊飯」(すいはん)、あるいは「炊爨」(すいさん)という。米を蒸したもの(蒸し飯)を、「お強」(おこわ)、あるいは「強飯」(こわいい)とも呼ぶ。これは、蒸した飯が炊いた飯よりも「こわい」(「硬い」の古い言い方)ことに由来する。

古くから、飯を乾燥させたものを「干し飯」(ほしいい)、あるいは「糒」(ほしい)といい、携帯保存食として用いた。現在では、この干し飯と同じ物を「アルファ化米」(加水加熱して糊化(アルファ化)させた米)といい、同じく携帯保存食や非常食などとして用いる。

飯として炊くときよりも多目の水を加えて、米を煮た料理を「」という。このとき加える水の量により、全粥(米1に対して水5~6)、七分粥、五分粥、三分粥(米1に対して水15~20)などと呼ばれる。また、粥から固形の米粒を除いた糊状の水を「重湯」(おもゆ)といい、病人食や乳児の離乳食に用いられる。

栄養分をそぎ落とさないように、胚芽部分を残した胚芽精米や七分づき、玄米をそのまま炊いて食べる場合もある。最近では玄米を若干発芽させた発芽玄米も食べられている。胚芽部分には脚気を予防するビタミンB1が豊富に含まれる。

[編集] 調理用具

米の調理には次のようなものが利用される。(汎用加熱器具を除く)

[編集] 加工

うるちの精白米を粉末にしたものは上新粉とよばれ、料理や団子せんべいなどの和菓子や中華菓子などの原料となる。上新粉は粒子が粗いため洋菓子には適さなかったが、最近ではリ・ファリーヌと呼ばれる、小麦粉並の細かさのものが製粉会社各社で開発されており、それらは洋菓子やパンなどの材料に使用が可能である。 もち米を粉末にしたものには白玉粉がある。水挽き粉砕をしているため、粒子が細かくなめらかな食感が特徴である。

[編集] 一般的な品種

[編集] 代表的な品種

代表的な品種は以下の通り(順不同)。

[編集] 外国種

インド
タイ
  • カオ・ホーム・マリ
イタリア
  • アルボリオ arborio
  • カルナローリ carnaroli
  • ヴィアローネ・ナノ vialone nano

[編集] 特殊な米

  • 陸稲(りくとう、おかぼ)
黒米の稲穂
  • 黒米(くろまい、くろごめ): 黒米は種皮の色が黒い米。胚乳部分はもち米と同様に白い。
    中国東南アジアでは、一般の食品や酒造原料としても利用されているが、日本では希少なため、赤米と共に神事の際に神饌として用いる機会が多い米である。黒く見える色素はポリフェノールの一種であるアントシアニンに起因しており、非常に濃い紫色である。炊飯した時、お米が紫っぽくなるため、紫黒米とも呼ぶ。代表的な品種はおくのむらさき、朝紫、むらさきの舞、紫黒苑。近年古代米と称し栽培が復活しつつある。
  • 赤米(あかまい):赤米は種皮の色が赤い米。胚乳部分はもち米と同様に白い。
    玄米の表面の層が赤いのはタンニン系の色素を含有しているため。日本では8世紀の頃平城京木簡から全国的に栽培されていたと推測される。また14世紀ころに「大唐米」という長粒種が渡来した。代表的品種は国司、神丹穂、ベニロマン、紅衣など。江戸時代に関東から西特に薩摩など南九州で多く栽培されていたが、明治以降品種改良米の普及活動により昭和中期には神事用以外は駆逐された。近年古代米と称し栽培が復活しつつある。また、日本には粳米しかなかったが品種改良により糯米ができた。
  • 緑米(みどりまい):緑米は種皮の色が緑色をしたもち米。
  • 香り米
  • 低アミロース米
  • 低グルテリン米
  • α化米(加工米の一種。糒など)
  • 着香米 - 竹のエキスなど、他の成分で人為的に香りをつけたもの

以上のような特殊な米は栽培にあたって留意が必要である。一般的な品種を栽培している田に隣接する場所で栽培すると他品種同士で自然交雑し、収穫された米の品質が低下する可能性があるためである。

[編集] その他の米

  • アフリカイネ(グラベリマイネ Oryza glaberrima): アフリカ西部中央部、主にニジェール川流域で僅かに栽培される。アジア原産のイネとは同属別種で、Oryza barthiiもしくはその近縁種から栽培化された。
  • ワイルドライス(北米大陸のマコモの果実で、正しくは米ではない)

[編集] 性状や用途による区分

  • (もち、もちごめ、糯米、餅米)
  • 粳(うるち、うるち米)
  • 酒米(さかまい、さかごめ)

[編集] 米料理

[編集] 料理

[編集] 日本料理

[編集] 洋食

[編集] 中国

[編集] 朝鮮半島

[編集] トルコ

[編集] イタリア

[編集] スペイン

[編集] インドネシア

[編集] マレーシア

[編集] ベトナム

[編集] タイ

[編集] アメリカ合衆国

[編集] デザート

米を牛乳で煮込んだプディングは、東は南アジアから西は西ヨーロッパまで広く見られるデザートである。例えばドイツではミルヒライス () といい、スペイン語圏ではアロス・コン・レチェ (またはアロス・デ・クレマ()」)と呼ばれる。

東南アジアでは、マンゴーささげ緑豆里芋スイートコーンなどと煮込んだ米のデザートがあり、ココナッツミルクをかけて食べる。

日本には、餅米を蒸して搗いた菓子、白玉団子、ぼたもちなどがある。

[編集] 米に関わる語彙

  • しいな
  • 早稲(わせ) 中稲(なかて) 晩稲(おくて)
  • 糴(テキ かいよね)
  • 糶(チョウ うりよね)
  • おかぼ(陸稲)
  • 舎利(しゃり) 米は細かい骨に似ている事から舎利とも呼ばれる。現在では主に酢飯の事を指す。
  • コメツキバッタ 米を搗く様な動作をする事が語源となった。


[編集] 米に関する言葉

  • 米俵一俵には6人の神様が乗っている。
  • 米を一粒無駄にすると目が一つ潰れる。
  • 『米』という字は八十八という字に分解出来るが、これは米を育てて食べられる様にするまでに八十八の手間がかかるからである。

[編集] 派生した俗語

[編集] 関連項目

[編集] 関連書

  • 原田信男 『コメを選んだ日本の歴史 』(文春新書 文藝春秋 外国の米作りISBN 4166605054

  • 注釈

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