第三者無線
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第三者無線(だいさんしゃむせん、Third party radio system) は、日本国内におけるマルチチャネルアクセス無線(Multi-Chanenel Access radio system)技術を用いた業務無線である。「MCA(エムシーエー)(移動無線センター)」「エムシーアクセス(移動無線センター)」「アイデン(日本移動無線システム)」「ネクスネット(日本移動無線システム)」「NEXTEL(米国での携帯電話事業者)」と呼ばれる場合もある。
基本的な仕組みは複数の利用者が複数の無線チャネルを制御局の指令により共同使用することで、電波帯域を有効利用している。なお、指令局・移動局間の直接通信は行われず、全ての通信が制御局で中継されている。
利用者である企業・団体・自治体などが指令局・移動局の免許人となり電波利用料を納付する。そして、異なる第三者である事業者が制御局の免許人となる。また、第3級陸上特殊無線技士以上の無線従事者たる主任無線従事者の監督が制御局の取り扱いには必要であるが、ユーザーが利用する指令局・移動局の取り扱いには無線従事者免許は不要である。
指令局・移動局の無線局免許状は、局数に関係ない包括免許であり、書類申請だけで平常時には最短1週間程度で開局することが可能である。また、約5年ごとの再免許の際の、利用者端末の無線設備の定期検査は不要である。事業者や代理店が手続きの代行を行うことも多い。しかし、サービス解約時に無線局の廃止の届出を忘れると電波利用料の納付義務が発生するので注意が必要である。
1997年より一般的な業務に広く利用できるようになっており、個人事業者も利用可能で最小単位は2局から開局可能である。
災害時などの貸出支援も行っている。阪神・淡路大震災・新潟県中越地震でも、一部のアンテナ用鉄塔に傾きが生じた程度で制御局・システムが正常に利用できた実績があり、緊急通信用のシステムとして企業・地方公共団体・公共機関でも採用されている。
携帯電話、PHSと比較して少数の無線局で電波帯域を占有している、関連団体が役人の天下り先(電波利権)となっていると言う批判もある。
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[編集] 運転中の通話
なお日本では、1999年11月から自動車およびオートバイを運転しながらの無線通話が法律で禁止(2004年11月から無条件、罰則対象)されたため、運転者は停車中だけしか使ってはならない(ハンズフリー使用等は対象外)。
しかし、無線通話装置のうち、「その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないもの」に該当しない場合(例えばハンドマイクおよび固定型スピーカーによるものは、手持ちしなくとも受話はできるので該当しない事となる。タクシー無線等の車載タイプの物等。)は、適用が除外されているため、上記の禁止の対象には当たらない。警察庁ホームページ上の見解 (財)近畿移動無線センター
もっとも、運転中に禁止対象外の無線通話装置を手持ちで通話に使用した結果、ハンドル等の操作を誤ったり、または他人に危害を及ぼすような運転をした場合には、依然「安全運転義務違反」として処罰される可能性もあるため、注意が必要である。
[編集] 主な特徴
- 公衆通信網を利用していないので、災害時なども公衆網の輻輳・障害に影響されない。
- ほとんどの中継局(制御局)が耐震性があり(阪神・淡路大震災で実証)、非常用発電装置もあり災害時に有効に使用可能。
- ロケーションが良い山頂や高層ビル上に中継局(制御局)があり、大ゾーン方式であるため、海上のサービスエリアも広い。
- 料金が定額制(1局2300円(アナログ)~3000円(デジタル))。ただし、移動局1局あたりの延通話時間が一定限度を超えると割増料金が発生する場合がある。
- 携帯電話・PHSに比べて移動端末が堅牢・高出力・大型で車載が中心である。
- 1回の通話時間が制限されている。(アナログ1分~3分、デジタル2分~5分)
- プレストーク、プッシュ・ツー・トークと呼ばれるトランシーバー方式での片通話繰り返し
- 一斉同報通信が可能。
- アクセス回線として公衆交換電話網の利用も可能でビジネスホン等に接続して通話可能。
[編集] 主な用途
- バス・タクシー・貨物自動車など、一斉同報通信や位置通報機能の必要な事業者。
- 地方公共団体、水道・電力・ガス・通信事業者などの、災害時の通信の確保。
- 海運など、海上のサービスエリアが広い事を生かした利用。
- 企業や団体での拠点間の災害通信用
- メンテナンスや営業活動、食品・LPガスなどの配送に利用。
- 生協(生活協同組合)での配送連絡や災害連絡
- 長距離通信が可能なため、移動局1局・オフィス用の指令局が1局でも全国エリアで利用可能。
- 防災無線の補完としての地方公共団体での活用も、1995年4月より可能となった。電波利用料の減免の対象となっている。
[編集] デジタルシステム
デジタルシステムは、端末コストも比較的安価となり第三者無線の主流になりつつある。制御局間をインターネット技術を利用したIP-VPNで結び、全国通信が可能となっている。また、複数の無線スロットを使用したより高速なデータ通信や利用者設置のIP網への接続も技術的には可能である。
| 周波数帯(GHz) | 商標 | 通信方式 | 通信可能エリア | GPS連動 | 複数企業間通話 | 制御局間ハンドオーバー | ID管理 | 搬送波 | チャネル当たり速度(kbps) | 変調方式 | 空中線電力(W) | 事業者 | サービスの概要のサイト | サービス開始 | 備考 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 間隔 (インタリーブ) (KHz) | チャネル多重数 | 制御局 | 指令局 移動局 | ||||||||||||||
| 0.8 | mcAccess e | 2周波数 復信 半複信 | 日本全国の主要都市 | ○ | ○ | 自動 | 無線 | 25 (12.5) | 4 | 8 | π/4 DQPSK | ~40 | ~2 | 全国移動無線センター | [1] | 2003年10月 | |
| 1.5 | mcAccess | 東名阪の一部 | 手動 | ROM | 6 | 8 | M16QAM | 1994年 | サービス停止予定 | ||||||||
| NEXNET | 東名阪 | ○ | ○ | 自動 | 無線 | 6 | 12 | M64QAM | 日本移動通信システム協会 | [2] | 1998年7月 | モトローラのiDEN規格 | |||||
| 8 | M16QAM | ||||||||||||||||
| 4 | MQPSK | ||||||||||||||||
- 災害優先接続 : 公的に指定されている、政府機関・地方公共団体・公共機関に優先的に回線を確保する。
- 緊急モニタ機能 : バス事業者やタクシー事業者用に車内で緊急事態が発生した場合に車内音声を聞く。
- GPS連動 : 位置通報や車両動態管理システムなどの機能が比較的安価に構築可能。携帯電話のパケット網を利用するような「度数課金」がないため、トータルコストで逆転可能である。
- 制御局間ハンドオーバー
- 自動 : 端末が自動的に位置登録を行う。
- 手動 : 利用者が手動で位置登録を行う。
- ID管理 : 指令局・移動局の管理方法
- 無線 : 運営団体が管理する制御局が無線で管理。災害時などの緊急時に迅速な提供が可能。
- ROM : 情報を書き込んだROMの差し替えで管理する。
[編集] アナログシステム
アナログシステムは、その電波帯域をデジタル式携帯電話に転用予定であり、現在移行中である。利用者は他のシステムへ移行しなければならない。
ハンドオーバー機能は無い。
| 周波数帯(GHz) | 通信方式 | 搬送波間隔 (インタリーブ) (KHz) | 変調方式 | 空中線電力(W) | サービス開始 | 再編方針 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 制御局 | 指令局 移動局 | ||||||
| 1.5 | 二周波数 半復信 | 12.5 (6.25) | 周波数変調 | ~80 | ~5 | 1990年11月 | 2007年9月30日サービス停止 |
| 0.8 | ~40 | ~10 | 1982年10月 | 2007年5月31日までに帯域を大幅に削減 | |||
[編集] 地域振興用陸上移動通信システム
地域振興用陸上移動通信システムは、1993年に制度が開始された、他の無線通信の手段の少ない地域において、地域振興を目的とする団体が基地局・陸上移動局とも無線局の免許人となり、団体の会員となることで使用できるマルチチャネルアクセス無線である。地域振興MCAとも呼ばれる。免許人となれるのは、第三セクター・地域団体(農業協同組合・森林組合・商工会議所・医師会・福祉協議会・観光協会などが単独または共同で設立するもの)であり、営利企業1社のみが会員のものは認められない。
基地局の設置は地域団体の負担で、基地局の維持・管理費は加入者からの会費で、移動局は加入者負担で購入することとなっている。第3級陸上特殊無線技士以上の無線従事者たる主任無線従事者の監督が基地局の運用に必要であるが、移動局の使用には資格は不要である。
地域で一番高い山などに基地局が設置されているため、安定した通信が可能である。また、地域振興が目的であるため、同一組織内だけでなく組合員相互の通信も認められている。
[編集] 規格
- 通信方式 : 2周波数半複信(プッシュ・ツー・トーク)基地局が全ての通信を中継する。
- 選択呼出 : 個別選択・グループ選択(移動局に個別識別装置の設置が義務付けられている)
- 機能 : 音声通信・同報通信・ショートメッセージ・ページング
- 特定の制御チャンネルを保たないMCA方式。チャネル数 4(免許人の事務所に基地局の正常な動作を確認する装置の設置が義務付けられている)
- 周波数 400MHz帯。搬送波間隔 12.5kHz(6.25kHzインタリーブ)
- 空中線電力 : 基地局・陸上移動局とも10W以下
- 電波形式 F3E, F2D
[編集] 外部リンク
- 全国移動無線センター協議会 :全国の各財団法人移動無線センター相互間の緊密な連携と協調により、センターの事業の円滑な運営と拡大発展並びに移動無線の健全な発展と普及の促進を図ることを目的として、1985年7月24日に設立された総務省(旧郵政省)所管の任意団体。
- エムシーアクセスサポート社 : mcAccess e(800MHzデジタル)を中心とした機器を販売する松下電器産業・NEC・三菱電機などが合弁で設立した販売会社。全国9ヵ所に支店を持ち直販の他、販売代理店もある。
- 日本移動通信システム協会 : モトローラ製の通信機器を使用したサービスを提供している。
- ネクスネット : モトローラ製の通信機器を販売する販売会社。直販の他、販売代理店もある。
- ふくおかコミュニティ無線 : 第三者無線を活用した市町村向けの防災無線システム。福岡県で開発され、同県内市町村で導入が始められている。

