符号 (数学)

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数学において符号(ふごう、sign)は、ある対象を二分するための符牒として用いる記号の一種である。符号には正符号プラス) "+" と負符号マイナス) "−" がある。形の上では加法演算と減法演算を表す演算子と同じ記号であるが、その意味するところは厳密には異なることに注意すべきである。

目次

[編集] 符号つきの数

a に符号が付されるとき、それは二項演算 0 + a、或いは 0 − a の略記であるとみなされる。実際にはこの場合の符号は関係式

a + (−a) = 0

によって、負符号のみが導入され、+a とは a のことであるとするのが普通である。

[編集] 正符号

正符号あるいは正号(せいごう、plus sign)は数字定数変数の前(左)に付して用いられる十字の記号である。

+

形の上では加法演算子と同一であり、加法演算子の起源はラテン語の et を崩したものであるといわれる。たとえば、+3 のように書く。+3 は、0 よりも 3 大きい数である。しかし単に 3 と書けば、それは多くの場合 +3 を意味するため、特に正の数であることを強調して表す場合の他は、正号を省略して記述することが多い。

[編集] 負符号

負符号あるいは負号(ふごう、minus sign)は数字や定数、変数の左に付して用いられ、負(マイナス)の数を表す短い横棒である。

この記号は減法演算子と同一の形状を持っており、減法演算子の起源は minus の崩したものであるといわれる。たとえば、−3 のように書く。−3 は、0 よりも 3 小さい数である。

[編集] 複号

符号のみが異なる複数の値や式を一つにまとめて表すことがある。 ± や ∓ のように、+ と − をあわせた記号を複号(ふくごう)という。± は「プラスマイナス」 ∓ は「マイナスプラス」と読まれる。±a とは「+a または −a」という意味である。 実験測定などにおいて、正負の値を取るものについて正の側でも負の側でも無い丁度 0 であることを強調するために、 ±0 という表現が用いられることがある。例えば、温度の測定にて丁度 セ氏 0 度であることを表現するために セ氏 ±0 度 のように表記される場合がある。

[編集] 複号による略記法

  • a ± b ± c (複号同順)

と書かれる場合、この末尾の複号同順(ふくごうどうじゅん)とは、二段に並んでいる符号の内「上段だけを読んで得られる式」あるいは「下段だけを読んで得られる式」の 2つを表すという意味であり、この場合であれば

  1. a + b + c
  2. abc

の 2つを表す。また、

  • a ± b ∓ c (複号同順)

であれば、

  1. a + bc
  2. ab + c

の 2つを表す。さらに項の数が多くなっても同様に、上段と下段の2通りしか表さない。

複合記号は不等号記号の ≶ や ≷ と同時に複合同順で用いる場合もある。

  • a ± bc (複号同順)

と書かれる場合

  1. a + b > c
  2. ab < c

の2つを表す。

一方、

  • a ± b ± c (複号任意)

と書かれる場合、この末尾の複号任意(ふくごうにんい)とは、二段に並んでいる符号の内「どの符号も自由に選んで得られる式」の全てという意味になる。この場合であれば、

  1. a + b + c
  2. a + bc
  3. ab + c
  4. abc

の 4通りの式を表すことになる。項の数が多くなっても同様に用いることができるが、非常に多くの式を表すことになる。

[編集] 正負の数

正符号がとくに意味を持って用いられるとき、それは 0 より大きい数であるという特別な意味を持ち、同時に負符号にも 0 より小さい数であるという特別な意味が付される。具体的には自然数に対する整数、とくに負の整数に対して負符号が付され、それと相対するものとして正の整数に正符号が付される。このような特別の意味での正負の符号は、整数から有理数実数への数の拡大において保たれる:

<math> {\rm sign}(x) = \begin{cases}
+ & \mbox{ if }x > 0,\\
- & \mbox{ if }x < 0.

\end{cases}</math> この場合、0 は符号を持たないことに注意されたい。ただし、解析学においては実数の極限として

  • <math> +0 := \lim_{x \to 0,\,x > 0}x,</math>
  • <math> -0 := \lim_{x \to 0,\,x < 0}x</math>

という略記を意味することがある。また、±a が ±1 × a に複号同順で一致することから、乗法の因子として符号を

<math> {\rm sign}(x) = \begin{cases}
 1 & \mbox{ if }x > 0,\\
 0 & \mbox{ if }x = 0,\\
-1 & \mbox{ if }x < 0

\end{cases}</math> という関数によって定式化することもできる。この関数を符号関数と呼ぶことがある。

[編集] 符号の演算

数の乗法において形式的に符号のみを取り出して、次の関係式が成り立っていると考えることがある:

  1. "+" × "+" = "+",
  2. "+" × "−" = "−",
  3. "−" × "+" = "−",
  4. "−" × "−" = "+".

これは、この形式的な乗法に関して符号の集合 {+, −} が加法群としての Z / 2Z = {0, 1} あるいは乗法群としての {±1} と同型であるということを言っている。この性質を特徴付けるものとして符号を流用することがある。これによって、ある種の群 G から符号への準同型写像

<math>G \to \{+,-\}</math>

あるいは

<math>G \to (\{0,1\},+),</math>
<math>G \to (\{\pm 1\},\times)</math>

を考えることがある。たとえば代数学での置換の符号などがそうである。置換の符号に関して詳しくは対称群を参照されたい。

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