競争的資金
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競争的資金(きょうそうてきしきん)とは、研究者の提案に基づいて実施される研究開発に対して政府より提供される資金。
目次 |
[編集] 概要
研究者が研究開発を進める際の研究費は、さまざまな形態が存在するが、代表的な資金の形態としては、所属機関等により提供される基盤的経費としての資金と、外部資金として獲得する競争的資金の2つに分けられる。中でも、競争的資金は提案公募等の形式により研究課題が決定されるため、競争的資金制度に採択されるかどうかが研究開発の進め方を大きく左右する。
総合科学技術会議の競争的研究資金制度改革について(意見)(平成15年4月21日)(以下、CSTPの意見具申)においては、「競争的資金とは、資金配分主体が、広く研究開発課題等を募り、提案された課題の中から、専門家を含む複数の者による、科学的・技術的な観点を中心とした評価に基づいて実施すべき課題を採択し、研究者等に配分する研究開発資金をいう。」と記載されている。
なお、第3期科学技術基本計画などにおいては、「競争的資金」という文言が使われているが、内閣府等の科学技術関係施策の議論の場においては、「競争的研究資金」の用語が使用されることもある。
[編集] 競争的資金制度とプロジェクト研究
プロジェクト研究とは、国が定めた明確な目的や目標に沿って重点的に推進されるものや各研究開発機関などにおいて独自に運用されている研究開発制度のこと。プロジェクト研究の採択については、提案公募型のものもあれば、研究者を指定して推進するものなどさまざまである。 一方、競争的資金制度は、いくつかの候補の中から優れたものを 競争的に選択し、実施されるものであることから、提案公募型のものが大多数を占めている。このため、提案公募型の研究開発制度と言ったときには、「プロジェクト研究」と「競争的資金制度」の両者の形態が考えられる。両者の違いについては、研究費の獲得という観点からは同じようにも思われるが、科学技術政策としての視点からは区別した議論が行われることが多い。
広い意味では、プロジェクト研究についても提案公募型の制度であれば競争的資金として捉えることも言葉上は可能であるが、総合科学技術会議等における日本の科学技術政策の場においては、研究開発制度の分類上、競争的資金制度とプロジェクト研究は区別されており、競争的資金制度については、総合科学技術会議の指導の下、各制度における個別の制度改革のみならず、府省横断的な制度改革などが求められることもある。
[編集] 競争的資金に関する政府の方針
競争的資金は、科学技術システムにおいて、きわめて重要な役割を担っていることから、政府の予算編成等において科学技術に関する各方面からさまざまな政策が打ち出され、制度改革方針や予算規模等に反映される。
[編集] 科学技術基本計画
科学技術基本計画とは、今後10年間程度を見通した5年間の科学技術政策を具体化するものとして閣議決定されるもので、現在の第3期科学技術基本計画については、平成18年度から平成22年度までの5年間が対象とされている。
[編集] 骨太の方針
骨太の方針とは、経済財政諮問会議において答申され、閣議で決定されるものであり、現在は、経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006のもと、予算編成等が行われており、科学技術関係予算については、第3期科学技術基本計画に基づいた方針などについて述べられている。
[編集] 経済成長戦略大綱
経済成長戦略大綱とは、財政・経済一体改革会議において、2015年度までの10年間に取り組むべき施策について、経済産業省を中心としてとりまとめられるもの。経済と財政の一体的な改革を進めるに当たっての方針として、科学技術政策の観点の一つから競争的資金による対応方針などが記述されている。
[編集] 科学技術に関する資源配分方針
科学技術に関する資源配分方針とは、総合科学技術会議が、次年度の重要な施策、資源の配分に関する考え方を明らかにし、内閣総理大臣に意見を述べ、関係大臣に示すもの。第3期科学技術基本計画の第3章「科学技術基本計画を実行するに当たっての総合科学技術会議の使命」において、総合科学技術会議(CSTP)が資源配分方針を示すよう記載されている。現在は、総合科学技術会議(第56回)にて決定された平成19年度の科学技術に関する予算等の資源配分の方針についてに従って、予算編成等が行われている。
[編集] イノベーション創出総合戦略
イノベーション創出総合戦略 とは、第3期科学技術基本計画に掲げられている「科学の発展と絶えざるイノベーションの創出」をどのように政策として進めるかという戦略について総合科学技術会議がとりまとめたもの。
[編集] 競争的資金制度
[編集] 各府省の競争的資金制度
[編集] 内閣府の制度
[編集] 食品健康影響評価技術研究
- 配分機関は、本府。
- 科学を基本とする食品健康影響評価(リスク評価)の推進のため、研究領域を設定し公募を行う「研究領域設定型」の競争的研究資金制度により、リスク評価に関するガイドライン・評価基準の策定等に資する研究として実施する。
[編集] 沖縄産学官共同研究の推進
- 配分機関は、(財)沖縄県産業振興公社
- IT、農業、環境、健康食品等の分野において、沖縄が有する資源や特性等を活用した産学官連携による、新事業創出及び地場産業振興等に資する共同研究開発の支援(提案公募方式)に取組む。
[編集] 総務省の制度
[編集] 戦略的情報通信研究開発推進制度
- 配分機関は、本省。
- 情報通信分野における競争的な研究開発環境の形成により、情報通信技術のシーズの創出と研究開発力の向上、研究者のレベルアップ及び世界をリードする知的財産の創出を図るため、戦略的な重点目標に沿った独創性・新規性に富む研究開発を推進する制度。
[編集] 先進技術型研究開発助成金制度
- 配分機関は、(独)情報通信研究機構。
- 通信・放送分野の新規事業のシーズを生み出す先進的な技術の研究開発、海外の先進的技術の動向を踏まえた新規性・独創性に富む技術の国際共同研究による研究開発及び高齢化社会に対応した高齢者・障害者に有益な技術の研究開発に対する政策的支援を行うことで、新たな通信・放送事業分野の開拓を図る。
[編集] 民間基盤技術研究促進制度
- 配分機関は、(独)情報通信研究機構。
- 民間において行われる通信・放送基盤技術に関する試験研究を促進するため、民間から幅広く試験研究課題を公募し、優れた課題について、試験研究を民間企業等に委託する。
[編集] 消防防災科学技術研究推進制度
- 配分機関は、消防庁。
- 消防防災科学技術の振興を図るため、消防防災技術研究開発制度における研究費等を配分することにより、総合的に科学技術に係る研究を促進する。
[編集] 文部科学省の制度
[編集] 科学研究費補助金
- 配分機関は、本省及び(独)日本学術振興会。
- 人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とするものであり、ピア・レビューによる審査を経て、研究者が自発的に計画する独創的・先駆的な研究に対する助成を行う。
[編集] 戦略的創造研究推進事業
- 配分機関は、(独)科学技術振興機構。
- 今後の科学技術の発展や新産業の創出につながる新技術を産み出すことを目的とし、社会・経済ニーズを踏まえ国が設定した戦略目標の下、重点推進4分野を中心とした基礎研究を戦略的に推進する。
[編集] 科学技術振興調整費
- 配分機関は、本省。一部の業務については(独)科学技術振興機構。
- 総合科学技術会議の方針に沿って、人材の創造力発揮とイノベーション創出のための科学技術システム改革や国民のニーズ等に対応した戦略的研究開発の推進等を図る。
[編集] 21世紀COEプログラム
- 配分機関は、本省。
- 第三者評価に基づく競争原理により、国公私立大学を通じて、世界的な研究教育拠点の形成を重点的に支援し、もって国際競争力のある世界最高水準の大学づくりを推進する。
[編集] キーテクノロジー研究開発の推進
- 配分機関は、本省。一部の業務については(独)科学技術振興機構。
- 経済社会の発展や安全・安心の確保など我が国の維持・発展の基盤となるキーテクノロジー研究開発の更なる進展を図るため、(1)社会のニーズを踏まえたライフサイエンス分野の研究開発、(2)次世代IT基盤構築のための研究開発、(3)ナノテクノロジー・材料を中心とした融合新興分野研究開発を競争的環境において推進する。
[編集] 地球観測システム構築推進プラン
- 配分機関は、本省。
- 地球観測サミットで謳われた地球観測システムの構築に向けて、我が国が先導的に取り組むべき研究領域について公募により技術開発・観測研究等を行う。
[編集] 原子力システム研究開発事業
- 配分機関は、本省。一部の業務については(独)科学技術振興機構。
- 革新的原子力システム研究開発について、国が推進すべきと評価した特別推進分野、および、その候補となる基盤研究開発分野を競争的環境の下で実施する。また、基盤研究開発分野において若手研究者を対象した募集枠を設置する。
[編集] 先端計測分析技術・機器開発事業
- 配分機関は、(独)科学技術振興機構。
- 独創的な研究活動を支える世界初・世界最高水準の計測分析技術・機器の開発を推進する。
[編集] 革新技術開発研究事業
- 配分機関は、(独)科学技術振興機構。
- 次代の産業の未来を切り拓くとともに、21世紀の新たな発展基盤を築く革新性の高い独創的な技術開発に関する研究を、民間等において研究活動に携わる者等から提案公募の形式により幅広く募り、優秀な課題を選定し、より革新的かつ、実用的な技術への育成を図る。(なお、平成16年度新規採択分から独立行政法人科学技術振興機構で実施している。)
[編集] 独創的シーズ展開事業
- 配分機関は、(独)科学技術振興機構。
- 大学・公的研究機関等の独創的な研究成果(シーズ)について、研究成果の実用化に向けて展開(大学発ベンチャーの創出や技術移転の促進)を図るため、課題の技術フェーズに応じた研究開発を競争的環境下で実施し、研究成果の社会還元を促進することにより、社会経済や科学技術の発展、国民生活の向上に寄与する。
[編集] 産学共同シーズイノベーション化事業
- 配分機関は、(独)科学技術振興機構。
- 大学・公的研究機関等の基礎研究に着目し、産業界の視点からシーズ候補を顕在化させ、大学等と産業界との共同研究によってイノベーションの創出に繋げることを目的とする事業。
[編集] 重点地域研究開発推進プログラム
- 配分機関は、(独)科学技術振興機構。
- 研究成果活用プラザ、JSTサテライトを拠点として、大学等の研究成果活用のため、地域における新産業の創出に資するコーディネート活動、事業化に向けた共同研究、ベンチャー創出支援活動等を展開する。
[編集] 地域結集型研究開発プログラム等
- 配分機関は、(独)科学技術振興機構。
- 地域として企業化の必要性の高い分野の個別的研究開発課題を集中的に取扱う産学官の共同研究事業。大学等の基礎的研究により創出された技術シーズを基 にした試作品の開発等、新技術・新産業の創出に資する企業化に向けた研究開発を実施する。
[編集] 厚生労働省の制度
[編集] 厚生労働科学研究費補助金
- 配分機関は、本省。
- 独創的又は先駆的な研究や社会的要請の強い諸問題について、競争的な研究環境の形成を行いつつ、厚生労働科学研究の振興を促し、もって国民の保健医療、福祉、生活衛生、労働安全衛生等に関し、行政施策の科学的な推進を確保し、技術水準の向上を図る。
[編集] 保健医療分野における基礎研究推進事業
- 配分機関は、(独)医薬基盤研究所。
- 国民の健康の保持増進に役立つ画期的な医薬品・医療機器の開発につながる可能性の高い基礎的な研究を実施し、その成果を広く普及する。
[編集] 農林水産省の制度
[編集] 新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業
- 配分機関は、(独)農業・生物系特定産業技術研究機構。
- 新しい発想に立って生物機能を高度に活用した新技術・新分野創出のための基礎研究を推進する。
[編集] 生物系産業創出のための異分野融合研究支援事業
- 配分機関は、(独)農業・食品産業技術総合研究機構。
- 産学官における異分野研究者が共同して行う研究開発や起業化促進のための支援活動等を実施する。
[編集] 先端技術を活用した農林水産研究高度化事業
- 配分機関は、本省。
- 農林水産施策への対応や科学技術を通じた地域経済発展等を図るため、現場に密着した試験研究課題を産学官の共同研究グループから公募する。
[編集] 産学官連携による食料産業等活性化のための新技術開発事業
- 配分機関は、本省。
- 農林水産・食品産業分野における新産業・新事業の創出や、食料産業等が直面する政策課題の解決に資するため、民間企業等が大学・独立行政法人等の公的研究機関と連携して行う研究開発を推進する。
[編集] 経済産業省の制度
[編集] 産業技術研究助成事業
- 配分機関は、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構。
- 産業技術力強化の観点から、産業界のニーズや社会のニーズに応える産業技術シーズの発掘・育成や産業技術人材の育成を図るため、技術領域・課題を提示した上で、大学、独立行政法人等の若手研究者から研究開発テーマを募集し、厳正な外部評価により独創的かつ革新的な研究テーマを選定し、研究者個人に助成金を交付する。
[編集] 大学発事業創出実用化研究開発事業
- 配分機関は、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構。
- 大学の研究成果を活用して産学が連携して実施する実用化を目指した研究開発に対し、企業側が研究資金を拠出すること、事業計画が明確であること等を要件として、研究開発の管理を行う技術移転機関(TLO)等を通じ必要な資金の一部を補助する。
[編集] 石油・天然ガス開発・利用促進型事業
- 配分機関は、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構。
- 天然ガス供給チェーン全体からみた技術課題または石油・天然ガスの探鉱開発等に関する技術課題のうち、基礎~応用段階における独創的・革新的な技術課題について研究開発を公募により実施する。
[編集] 地域新生コンソーシアム研究開発事業
- 配分機関は、本省。
- 地域において新産業・新事業を創出し、地域経済の活性化を図るため、大学等の技術シーズや知見を活用した産学官の強固な共同研究体制(地域新生コンソーシアム)の下で、実用化に向けた高度な研究開発を実施する。
[編集] 革新的実用原子力技術開発事業
- 配分機関は、本省。
- 安全性・経済性を向上させる独創的・革新的な実用技術開発課題を発掘し、原子力発電及び核燃料サイクルの安全性・経済性を向上させるための技術開発を実施する。
[編集] 国土交通省の制度
[編集] 運輸分野における基礎的研究推進制度
- 配分機関は、(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構。
- 運輸分野において、研究者の自由な発想に基づく独創的で革新的な研究プロジェクトを公募することにより、交通機関の安全・環境保全性や交通サービスの高度化などに寄与する全く新しい技術の確立を目指す。
[編集] 建設技術研究開発助成制度
- 配分機関は、本省。
- 建設以外の他分野を含めた連携を進め、広範な領域における建設技術革新を促進するため、大学等の研究者等から課題を公募し、外部の専門家による適正な評価を踏まえて、技術研究開発費の助成を行う。
[編集] 環境省の制度
[編集] 環境技術開発等推進費
- 配分機関は、本省。
- 未解明の環境問題についての基礎的段階からの徹底的な研究、比較的短期間に実用化が見込まれる技術開発等を実施する。
[編集] 廃棄物処理等科学研究費補助金
- 配分機関は、本省。
- 廃棄物処理に係る諸問題の解決及び循環型社会構築の推進に資する研究・技術開発を支援し、ゴミゼロ型資源循環型技術研究を推進する。
[編集] 地球環境研究総合推進費
- 配分機関は、本省。
- 地球温暖化等の地球環境問題の解決を科学的知見の集積を通じ支援するため、公募と評価による競争的な課題選定により、効率的かつ効果的に地球環境研究を推進する。
[編集] 地球温暖化対策技術開発事業
- 配分機関は、本省。
- 技術開発を実施する能力と体制を備えた主体から幅広く提案を募り、CO2排出削減を図るための基盤的な技術の実用化のための開発を行う。
[編集] 配分機関(Funding Agency)
配分機関とは、競争的資金の配分事務などを行う機関のこと。競争的資金に関する関係府省として、内閣府、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省の8府省が制度を所管しており、本省にて配分事務を行っている制度や各府省の所管の独立行政法人等が事務を行う制度があり、制度の趣旨や配分機関の執行形態に応じて運用が行われている。
CSTPの意見具申において、配分機関について「配分機関は、(1)人事・予算執行面で行政から一定の独立性・自立性を確保し、(2)多人数の専任の研究マネージャー(プログラムオフィサー)を擁し、科学技術の側面から一貫したマネジメント体制を構築、(3)研究者が責任者としてマネジメントの統括責任を負う。」ものと記載されている。
配分事務を本省で実施している制度については、「細かい国の会計基準に沿って執行を行わなければならない」、「事務担当者の数が十分に配置されていない」などの制度的な隘路が指摘されることもあり、弾力的な運用体制の構築が求められている。このため、CSTPの意見具申にあるように、「独立した配分機関の構築」の方針により、本省のみならず、各府省所管の独立行政法人において配分業務が実施されている。
[編集] 内閣府制度の配分機関
本府、(財)沖縄県産業振興公社
[編集] 総務省制度の配分機関
[編集] 文部科学省制度の配分機関
[編集] 厚生労働省制度の配分機関
本省、(独)医薬基盤研究所
[編集] 農林水産省制度の配分機関
本省、(独)農業・食品産業技術総合研究機構
[編集] 経済産業省制度の配分機関
本省、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構
[編集] 国土交通省制度の配分機関
本省、(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構
[編集] 環境省制度の配分機関
本省

