社会民主主義
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社会民主主義(しゃかいみんしゅしゅぎ Social Democracy)は、自由主義社会における中道左派の社会主義思想の一つで、議会制をとおしての変革を目指し、自由や人権の尊守、連帯、政治・経済・社会的公正や平等の追求をともに希求する思想とされる。社会的連帯の尊重、市場経済と政府の介入による経済政策(混合経済)を重視する点に特徴がある。1990年代以降、市場原理をより尊重する「第三の道」の台頭によって、社会民主主義は分裂することとなった。
目次 |
[編集] 歴史
政治思想の分野ではドイツ社会民主党と第二インターナショナルの指導者にしてマルクス主義者でもあるカウツキーが、経済思想の分野ではマルクス経済学者であるヒルファーディング蔵相らが社会民主主義を本格的に体系化した。後に同党右派エドゥアルト・ベルンシュタインが『社会主義の諸前提と社会民主主義の諸課題』(1899年)によって資本主義の崩壊と暴力革命というマルクスの理論を修正して修正主義を唱えるが、1903年のドレスデン大会で当時党内の過半数を占めたマルクス主義者に敗北した。しかしその後、激しい論争を経て1959年のバート・ゴーデスベルク綱領によって右派が勝利し、社会民主主義は同党の公的方針となった。
社会主義インターナショナルによる1951年のフランクフルト宣言では、『民主的社会主義の目的と任務』が採択され、議会制民主主義に立脚した修正主義的、非ソ連型の民主社会主義の路線を採ることを明確にした。[1](民主的な社会主義、民主的社会主義も参照)
[編集] 社会民主主義の特徴
社会民主主義は、複数政党制、議会制民主主義を前提として、社会的公正を目指し、資本主義経済を漸進的に改良することを目的とする。それに対して「共産主義諸国」で実施されたソ連型社会主義(マルクス・レーニン主義)は、一党独裁と急進的な暴力革命を目指し、社会民主主義とは明確に区別される。
政治の場における利益や配分の追求においては、広範な市民運動とともに、普通選挙とそれにもとづく議会での多数派の獲得を方法とするのが、社会民主主義の運動に広範にみられる特徴である。
西ヨーロッパおよび北ヨーロッパでは、社会民主主義政党が長期に渡り政権を担当することが多く<ref>厳密に言うと、西欧では中道右派の保守主義政党、キリスト教民主主義政党と並ぶ二大勢力として政権交代を繰り返し、北欧では社会民主主義政党が長期政権を担当することが多い。</ref>市場社会主義・議会制民主主義の中で福祉・環境・医療などを重視した政策を実施しているところは少なくない。その最も顕著な例がスウェーデンの社会民主労働党政権である。
欧米の社会民主主義政党の多くは、安全保障の面で、軍隊や軍事同盟、集団安全保障などを容認しており、この点で、日本社会党及びその流れをくむ社会民主党は独特といえる。また、欧米の社会民主主義政党は、1962年のオスロ宣言で共産主義と完全に決別したが、日本社会党はその採択に参加しなかった。[2][3]
なお、冷戦時代に西ヨーロッパの社会民主主義政党が政権を取った場合、西ドイツのヴィリー・ブラント首相の東方政策のように東側との関係改善を進めるなど、非同盟主義の中立陣営に属していた(しかし、NATOや欧州共同体への加盟は継続している)。特に北欧諸国はいわゆるノルディックバランスを構築し、東西両陣営の狭間で巧妙な外交・防衛政策を展開した。
いわゆる旧ソ連や中国のような社会主義国と違って多党制民主主義を全面的に肯定しており、レーニンのような暴力革命は完全に否定している(イギリスやスウェーデンなどを見れば分かるように、立憲君主制の政体もそのまま残されている)。こういった社会民主主義の考え方は、西欧ではドイツ社会民主党の「バート・ゴーデスベルク綱領」以降定着したといえる。
東欧革命に前後して、イタリア共産党が衣替えした左翼民主党や旧東欧諸国の社会民主主義政党のように、かつての共産党が社会民主主義政党へと転換している例もある。
1980年代以降の新自由主義の台頭を受け、20世紀末の西ヨーロッパでは、「新しい社会民主主義」と呼ばれる、市場経済よりにリニューアルされた中道左派政党を含む政権が台頭した。イギリス労働党のトニー・ブレアの唱える「第三の道」路線は、他の西ヨーロッパの社会民主主義政党にも少なからず影響を与えている。また、ドイツ社会民主党でも、ゲアハルト・シュレーダーの推し進めた新中道左派路線により、最左派の支持者が離党して新党(左翼党)を結成した。日本でも、社会党が1990年代に選挙で壊滅的な打撃を受け、「第三の道」を党是とする民主党に最大野党の座を譲った。
各国の社会民主主義政党の多くは社会主義インターナショナルという国際組織に加盟している。
<references/>
[編集] 各国の社会民主主義政党
より詳細な世界の社会民主主義政党の一覧は社会主義インターナショナルの「加盟政党」「諮問加盟政党」「オブザーバー加盟政党」の項目も参照のこと。
[編集] ヨーロッパの主な社会民主主義政党
これらは欧州議会において統一会派 (PES) を結成している(欧州連合非加盟国を除く)。
- 労働党(イギリス)
- ドイツ社会民主党 (SPD)
- 社会党 (PS)(フランス)
- スウェーデン社会民主労働党
- ノルウェー労働党
- フィンランド社会民主党
- デンマーク社会民主党
- 同盟 (アイスランド)
- フラマン社会党・ワロン社会党(ベルギー)
- オランダ労働党
- 左翼民主党(イタリア)
- オーストリア社会民主党
- スペイン社会労働党
- 社会党(ポルトガル)
- 全ギリシャ社会主義運動 (PASOK)
- チェコ社会民主党
- ハンガリー社会党
[編集] その他の地域の社会民主主義政党
- イスラエル労働党
- オーストラリア労働党
- ニュージーランド労働党
[編集] 戦後日本の主な社会民主主義政党
- 英語名では"The Social Democratic Party of Japan"であり、社会主義インターナショナル加盟政党だった。しかし、社会主義協会などのマルクス・レーニン主義を掲げ、社会民主主義に否定的な最左派の勢力が存在し、修正マルクス主義的な左派社会民主主義を掲げる左派、民主社会主義的な右派社会民主主義を掲げる中間派、右派と深刻な路線対立が続いた。1966年から1986年までは綱領的文書「日本における社会主義への道」(通称「道」)にてプロレタリア独裁を肯定して、共産主義政党と類似した綱領をもつ政党となり、事実上、社会民主主義を放棄している。
このため、反発した右派や構造改革派の一部が離党し、下記の民社党・社会民主連合の2政党が結成された。
- 社会民主連合(社民連1977-1994、旧議員は現在主として民主党に所属しているほか、一部は下記の社会民主党に所属)
- 社会民主党(社民党1996-)
- 日本社会党の後継政党で、現在、日本の政党としては唯一の社会主義インターナショナル加盟政党。多数の議員が民主党に移籍したため、国会では小勢力として推移している。
[編集] 関連項目
- 民主社会主義
- バーナード・ショウ
- フェビアン協会
- 社会民主党 (日本)
- 社会主義
- 修正主義
- 中道左派
- リベラリズム
- 混合経済
- 福祉国家
- 第三の道
- 社会民主党
- 社会党
- 社会主義インターナショナル
- 北欧の政治
- ユーロコミュニズム
[編集] 外部リンク
- 社会民主党(日本) (SDP)
- 社会主義青年フォーラム

