確率微分方程式
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確率微分方程式(かくりつびぶんほうていしき、英:stochastic differential equation)とは、一つ以上の項が確率過程である微分方程式であって、その結果、解自身も確率過程となるものである。
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[編集] 定義
典型的には、Bt (t≧0) を、 B0 = 0 を満たす連続時間一次元ブラウン運動(ウィーナー過程)とするとき、積分方程式
- <math> X_{t+s} - X_{t} = \int_t^{t+s} \mu(X_u,u) du + \int_t^{t+s} \sigma(X_u,u)\, dB_u</math>
を
- <math> dX_t = \mu(X_t,t)\, dt + \sigma(X_t,t)\, dB_t</math>
の形に略記したものを、確率微分方程式という。 上記方程式は、連続時間の確率過程 Xt の振る舞いを、一般のルベーグ積分と伊藤積分の和で模している。
確率微分方程式の発見論的だがとても有益な解釈は、 微小時間間隔 δ において、確率過程 Xt の変化が、 期待値 μ(Xt,t)δ、分散 σ2(Xt,t)δ の正規分布に従って変化し、しかも過去の同確率過程の振る舞いと独立である、と見ることである。 ウィーナー過程の変化は互いに独立で正規分布に従うことから、こう考えることができる。
関数 μ(x,t) はドリフト係数(drift coefficient)、関数 σ(x,t) は拡散係数(diffusion coefficient)という。 確率微分方程式の解として得られる確率過程 Xt は拡散過程(diffusion process)と呼び、通常はマルコフ過程である。
[編集] 強解と弱解
確率微分方程式の理論的解釈は、同方程式の解とは何かによって解釈する。 確率微分方程式の解の主要な定義には、強解(strong solution)と弱解(weak solution)の二種類ある。 どちらも、確率微分方程式に対応する積分方程式の解となる確率過程 Xt の存在を要件とする。 両者の違いは、基礎となる確率空間 (Ω, F, P) にある。 弱解とは、確率積分方程式を満たす確率空間と確率過程をいい、 強解は、与えられた確率空間の上で定義され、確率積分方程式を満たす確率過程をいう。
[編集] 幾何ブラウン運動
以下の確率微分方程式、
- <math>dX_t = \mu X_t\, dt + \sigma X_t\, dB_t</math>
は重要な例であり、この解を幾何ブラウン運動(geometric Brownian motion)という。 これは、数理ファイナンスにおいて、ブラック・ショールズ・オプション価格モデルで、株式価格の動きを模す方程式である。
[編集] 伊藤過程
係数関数 μ と σ が、解確率過程 Xt の現在の値のみならず、同過程の過去の値、または他の確率過程の現在と過去の値にも依存する、さらに一般的な確率微分方程式が考えられる。 この場合、解確率過程 Xt はマルコフ過程ではなく、その解は拡散過程ではなく伊藤過程(Itō process)と呼ばれる。 係数関数が現在と過去の Xt の値のみに依存する場合、定義する確率微分方程式は、確率遅延微分方程式(stochastic delay differential equation)という。
[編集] 参考文献
- I.カラザス、S.E.シュレーブ、渡邉壽夫訳(2001)、ブラウン運動と確率積分、シュプリンガー・フェアラーク東京、ISBN 4-431-70852-9
- ベァーント・エクセンダール、谷口説男訳(1999)、確率微分方程式 ─ 入門から応用まで、シュプリンガー・フェアラーク東京、ISBN 4-431-708804-9
[編集] 関連項目
- 確率空間(確率の公理)
- 測度(確率測度)
- 確率変数
- 確率過程
- ウィーナー過程(ブラウン運動)
- 伊藤清、伊藤の公式(伊藤の補題、伊藤のレンマ)
- 数理ファイナンス、金融工学、ブラック-ショールズ方程式、デリバティブ
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