稲作

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稲作
田植え後の水田(初夏)
稲穂(秋)
刈田と稲の天日干し(秋)

稲作(いなさく)は、イネ(稲)を栽培することである。主に主食のコメを得るため、北緯50°~南緯35°の範囲にある世界各地域で稲作は行われている。現在では、米生産の約90%をアジアが占める。の栽培には水田が利用され、それぞれの環境や需要にあった稲品種を用いる。水田では水稲(すいとう)、畑地では陸稲(りくとう)・(おかぼ)とよばれる稲を使用されるが、生物学的な区別は特にない。また、初めに田畑にじかに種もみを蒔く直播(じかまき)栽培と、仕立てた苗を水田に植え替える苗代(なわしろ/なえしろ)栽培がある。

収穫後のイネからは、もち米(ぬか)、籾殻(もみがら)、(わら)がとれる。

目次

[編集] 起源

従来、稲作の起源は植物相の豊富な中国雲南省ではないかといわれてきたが、最近の考古学的調査により雲南省の稲作遺跡は4,400年前以上に遡れないことが明らかになった。さらに長江中流域にある江西省湖南省で1万年以上前に遡る稲籾が続々と発見されており、古いものは1万2000年前に遡る。これらは焼畑による陸稲栽培と考えられている。また長江下流の浙江省寧波の河姆渡(かぼと)村から約7000年前の水田耕作遺物が発見されており、稲の水田耕作は長江下流に起源するとする説が有力である。

[編集] 日本における歴史

日本における稲作の歴史は永きに渡って弥生時代に始まるとされてきた。しかし、近年になって縄文末期に属する南溝手遺跡の土器片中からプラント・オパールが発見されたことにより、約3500年前から陸稲(熱帯ジャポニカ)による稲作が行われていることが判明している。また朝寝鼻貝塚の6000年前の地層からイネプラントオパールが発見されたことによって、縄文時代前期にまで遡れるとする説もある。

また、水稲である温帯ジャポニカについても縄文晩期には導入されていたことも判明しつつある。さらに近年の炭素14年代測定法により弥生時代の始まりが少なくとも紀元前9世紀まで遡る可能性が出てきた。朝鮮半島よりも早く稲作が行われていた可能性もある。

[編集] 日本への伝来

稲の伝来に関して、以下の説が主なものとして存在する。

  1. 遼東半島から朝鮮半島南部を経て北九州に伝来(朝鮮ルート)。
  2. 長江下流域から直接北九州に伝来(対馬暖流ルート)。
  3. 江南から西南諸島を経て南九州へ(黒潮ルート)。

かつては1.の朝鮮ルートが有力視されていたが、近年の遺伝子考古学によって大陸からの直接伝来ルートが時間的には早かったことが有力視されつつある。日本、朝鮮、中国に現存する稲の遺伝子を調べたところ、日本に存在する稲は大きく2種類にわけられ、そのうちのひとつが朝鮮半島には存在しないものであったためである(静岡大学農学部の佐藤洋一郎助教授の研究による)。これらの説により、現在もっとも有力な伝来ルートとして中国、山東省付近が挙げられている。

また、3.の江南からの黒潮ルートは縄文時代の熱帯ジャポニカの伝来ルートとして有力視されている。

[編集] 方式

二期作と二毛作
  • 二期作 - 1年の間に2回稲作を行うこと。減反政策などで行われなくなったが、2004年頃から、四国地方で復活している。詳しくは二期作参照。
  • 二毛作 - 稲作の終了後、小麦など、他の食料を生産すること。詳しくは二毛作参照。
水田稲作と陸稲
タイの田植え。東南アジアの稲作では1ヘクタールに満たない水田でも、田植え、除草、収穫に農業労働者が雇用されることが多い
に水を張り(水田)、その水の中に苗を植えて育てる。日本では、種(種籾)から苗までは土で育てる方が一般的であるが、東南アジアなどでは、水田の中に種籾をばら撒く地域もある。種から収穫まで、陸ですべて終えるよりも、水耕の方が品質が高く収穫量が多いため、定期的な雨量のある日本では、ほとんどの場合、水田を使っている。
  • 水田を使わない稲作を特に陸稲(おかぼ)と呼び、区別する。

[編集] 手順

[編集] 古来からの伝統的な方法

  1. の土を砕いて緑肥などを鋤き込む(田起こし)。
  2. 圃場を整え田植えに備える(代掻き)。
  3. 苗代(なわしろ/なえしろ)に稲の種・種籾(たねもみ)をまき、発芽させる(籾撒き)。
  4. 苗代にてある程度育った稲を本田(圃場)に移植する(田植え)。
  5. 定期的な雑草取り、肥料散布等を行う。
  6. 稲が実ったら刈り取る(稲刈り)。
  7. 天日干しで乾燥させる。
  8. 脱穀を行う(=もみにする)。
  9. 籾摺り(もみすり)を行う(玄米にする)。
  10. 精米を行う(白米にする)。

[編集] 最近の一般的な方法

乗用田植機による田植え
  1. まず、育苗箱に稲の種・種籾(たねもみ)まき、育苗器で発芽させる。
  2. 次に、ビニールハウスに移して、ある程度まで大きく育てる。
  3. 育った幼苗を、田植え機(手押し又は乗用)で、本田に移植する(田植え)。
  4. 定期的な雑草取り、農薬散布、肥料散布等を行う(専用の農業機械を使う)。
  5. 稲が実ったら稲刈りと脱穀を同時に行うコンバインで刈り取る。
  6. 通風型の乾燥機で乾燥する(水分量15%前後に仕上げるのが普通)。
  7. 籾すり機で籾すりを行う(玄米)。
  8. 精米機にかける(白米)。
  • 上記方法が標準方法というわけではない。その中でも栽培に関しては、さまざまな方法がみられる。特に、1,2で述べられている育苗の方法は、地域や播種時期、品種、農家の育苗思想・主義などからきわめて多様である。
  • 稲作には従来より除草剤を使用してきた。近年の無農薬栽培法では除草剤を使用しないことがあるので、ノビエなどイネ科の雑草を手作業で除草しなくてはならなくなることがある。
日程の例(鳥取県地方の早期栽培
4/2~5 育苗機で苗を育成(育成に3日間必要)
育てた苗は畑の小さいハウスに移動し、田植えまでそのまま育てる。
4/16 耕起(田起こし)。土を耕運機で耕すこと。田には水は入れない。
4/17~29 荒かき。田に水を入れて土を耕運機で耕す。
4/30 代掻き。土をさらに細かくする。田植えの3~4日前に実施。
5/3,4,5 田植え。田植え機使用による機械移植。
5/7 除草剤振り1回目。田植え後1週間以内に実施。
5/13 追肥。田植え後10日以内に実施。稲の元気が出るため。
5/28 除草剤振り2回目。田植え後25日以内に実施。
草刈。
6月 防除(=カメムシ、イモチなど病害虫の駆除)1回目。出穂前に実施。
防除2回目。出穂後の穂ぞろい期に実施。
7/23~8/6 穂肥(ほごえ)のための肥料まき1回目。
8/13 ↑ 2回目
9/2,3 稲刈り。

[編集] 関連項目

ことばこって?

「ことばこ」は、歴史の人物から最先端テクノロジーまで、なんでも調べられるオンライン百科事典です。ウィキペディア財団が運営を行なっているwikipedia.orgから引用をしています。

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