独裁政治
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独裁政治(どくさいせいじ、英:dictatorship、独:Diktatur)とは、一個人または一集団が絶対的な政治権力を独占して握る政治体制を指す。独裁制(どくさいせい、autocracy)。
[編集] 概要
「独裁政治」という言葉は、戦争や内乱などの非常事態において、法的委任の手続きに基づき独裁官に支配権を与える古代ローマの統治方法に由来する。
独裁政治は、一般に、社会の混乱期において発生し易く、政治の混沌期や、経済の長い停滞期に多く出現する。強大な権力を付与された為政者が主導する指導体制によって、それらの国家的危機を克服し、また、結果的に国家を大きく発展させるという歴史的効果もあった。
ここで留意すべき点は、民主主義との違いである。民主主義は「多数による意思をもって物事を決める原則をいう」とされるが、それは少数意見の黙殺を意味する訳ではない。むしろ少数意見をも尊重するのが民主主義であって、逆にそれが足枷となって国家運営・政策決定が遅々として進まない弊害をも併せ持つ。その弊害が無視できない状況になった時、国民・民衆は多数意思を速やかに実行できる為政者を望み、その結果独裁政治が生まれるのである。
即ち、独裁政治は大衆の参加を前提としている。近世の君主制の様に大衆(被治者)不参加による独断の政治と誤解される事が多いが、これらは専制政治と呼び、独裁政治とは別物である。大衆の意見をコントロールし、多数の大衆の支持を背景に全権力(特に、行政権を担う者が、立法権更には司法権まで掌握、または大きな影響力を持つ場合)を掌握し、政治を行う事を特徴とする。それゆえ、観方に因れば民主政治との区別は紙一重であって、多数の大衆に支持された政治家は独裁化し易い性質を持っている。ナチス・ドイツのアドルフ・ヒトラーは、民主憲法(ヴァイマル憲法)のもとで独裁化した例である。権力分立やアメリカ合衆国における大統領多選の禁止(修正22条)等は、政治の独裁化を防ぐ理念に基づくものと考えられている。
独裁的な政治体制の下では、体制批判は許されず、個人の自由は著しく制限される。民衆は抑圧され、反対派は排除される事が多い。また、為政者の権力行使に抑制が効かずに、恣意的な国家運営に堕すこともあり、国家としての方向性を失って行く場合も多い。
[編集] 関連文献
- Schmitt, Carl.,Die Diktatur: von den Anfangen des modernen Souveranitatsgedankens bis zum proletarischen Klassenkampf(München:Duncker und Humblot, 1921).(カール・シュミット著、田中浩・原田武雄訳『独裁――近代主権論の起源からプロレタリア階級闘争まで』未來社、1991年。ただし1964年の原著第三版の邦訳)
- Neumann, Sigmund.,Permanent revolution; the total state in a world at war(New York:Harper and brothers, 1942).(シグマンド・ノイマン著、岩永健吉郎・岡義達・高木誠訳『大衆国家と独裁――恒久の革命』みすず書房, 1960年/新装版, 1998年)
- Moore, Barrington Jr., Social Origins of Dictatorship and Democracy: Lord and Peasant in the Making of the Modern World(Boston:Beacon Press, 1966).(バリントン・ムーア著、宮崎隆次・森山茂徳・高橋直樹訳『独裁と民主政治の社会的起源――近代世界形成過程における領主と農民(1・2)』岩波書店, 1986年)
[編集] 関連項目
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