深夜の告白

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深夜の告白
Double Indemnity

<tr><th>監督</th> <td>ビリー・ワイルダー</td></tr><tr><th>脚本</th> <td>レイモンド・チャンドラー
ビリー・ワイルダー</td></tr><tr><th>出演者</th> <td>バーバラ・スタンウィック
フレッド・マクマレイ
エドワード・G・ロビンソン</td></tr><tr><th>音楽</th> <td>ミクロス・ローザ</td></tr><tr><th>撮影</th> <td>ジョン・サイツ</td></tr><tr><th>配給</th> <td>パラマウント映画</td></tr><tr><th>公開</th> <td>1944年9月6日</td></tr><tr><th>上映時間</th> <td>107分</td></tr><tr><th>製作国</th> <td>アメリカ合衆国</td></tr><tr><th>言語</th> <td>英語</td></tr>

 

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深夜の告白(原題 Double Indemnity )は、ビリー・ワイルダー監督のアメリカ映画(1944年パラマウント社作品。モノクロ)。日本では1953年に公開された。

フィルム・ノワールの古典として現在でも高く評価される。不倫による保険金殺人を取り上げた倒叙型サスペンスの先駆であり、その後の多くの映画・テレビドラマに影響を与えた。

原作であるジェームズ・M・ケインの小説『倍額保険』(1936)は、1928年に実際に起きた保険金殺人事件「ルース・スナイダー事件」に触発されたものといわれる。

目次

[編集] あらすじ


注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。


深夜、車を蛇行させつつ保険会社のビルに乗り付けた男。彼はよろめきながら無人のオフィスにたどり着き、ディクタフォン(事務用録音機)をセットして、自らの罪の告白を始めた……

ロサンジェルスの保険会社の敏腕外交員であるウォルター・ネフフレッド・マクマレイ)は、顧客の実業家ディートリクスンの自宅で、美貌の後妻フィリスバーバラ・スタンウィック)に出逢った。フィリスに誘惑されたネフは彼女と不倫の関係に陥り、結果、倍額保険金目的のディートリクスン殺しに荷担してしまう。

周到に仕組まれた殺人は単なる鉄道事故と見られ、完全に成功したと思われた。が、ネフの同僚である保険調査員バートン・キーズエドワード・G・ロビンソン)はこれに疑問を抱き、フィリスの身辺調査に乗り出した。

保険金も得られないままに追い詰められたネフとフィリスは、相互不信に陥った。そしてフィリスの恐るべき正体が、徐々に明らかとなって行く…。

[編集] 作品の成立事情

脚本家出身のビリー・ワイルダーによる監督第3作で、彼と作家レイモンド・チャンドラーとの共同脚本である。

ワイルダーは、1943年に北アフリカでの戦車戦を題材にしたサスペンス映画『熱砂の秘密』(フランチョット・トーンアン・バクスターエリッヒ・フォン・シュトロハイムらが出演)を製作してヒットさせ、次の作品の想を練っていた。

ジェームズ・ケインの小説『倍額保険』を読んで気に入ったワイルダーは、長くコンビを組んできた脚本家チャールズ・ブラケットに「これを映画化したい」と差し出した。が、「こんな糞な話など、扱えるものか!」と、スクリューボール・コメディの優れた書き手だが根は旧式なモラリストのブラケットは、この当時としては極めてインモラルな小説の脚本化をにべもなく拒否した。

そこで映画会社と契約を結んだばかりのチャンドラーがワイルダーと組むことになった。しかし初老で気難しく、映画脚本は初挑戦のチャンドラーと、まだ30代で洒脱な性格、脚本家としては既に一流だったワイルダーは、およそ正反対のタイプで非常に折り合いが悪く、執筆は難航したという。ちなみにチャンドラーは、ジェームズ・ケインが大嫌いだった。

ともあれ、この映画にはチャンドラー得意の鮮やかな修辞と、ワイルダー流の辛辣な人物造形(および、隠し味のユーモア)が随所に見られる。 そのストーリーは、フィルム・ノワールの体現と言っても良く、破滅に直面する主人公の回想によって物語を描く、というスタイルは、フィルム・ノワールの基本手法の一つとさえなった。

ワイルダー演出、ジョン・サイツ撮影による、重苦しく不安を誘う映像には、フィルム・ノワールの典型として、ドイツ表現主義の影響が如実に見られる。夜間撮影のシーンは本作の白眉である。

抑制されながらも不安に満ちた伴奏音楽は、ミクロス・ローザによるもので、後のサスペンス映画音楽の範となった。

[編集] 出演俳優たち

フィリスというキャラクターは、それまでのハリウッド映画では倫理的に許されないほどの異常な悪女であった。従来、明るい美人の役柄を得意としてきたバーバラ・スタンウィックは、自ら選んだ金髪のかつらを被り、フィリス役に挑んだ。その「冷酷な熱演」への評価は高く、アカデミー主演女優賞にもノミネートされたが、受賞は逸した。 夫の殺害に際しても何ら動じず、むしろ笑みさえ浮かべるフィリスの非情さは、観客に強烈な印象を与え、ファム・ファタール(運命の女)と言われる危険な女性像のクラシックになっている。

原作では「ウォルター・ネス」だった主人公は、ロサンジェルスに当時、偶然にも同姓同名の保険外交員が実在したことからトラブルを慮って「ネフ」に改名された。

この、悪女の誘惑に屈し、破滅する役柄のオファーに、応じる俳優はいなかった。スターとしてのイメージダウンを怖れたのである。

ワイルダーは、もっぱら凡庸なコメディ映画の主役専門だった二枚目フレッド・マクマレイを強引に口説き落とし、ネフ役に据えた。マクマレイにとっては初のシリアスな主演映画となり、彼の新境地を開くことになった。

行動的な調査員・キーズを演じたエドワード・G・ロビンソンは、ギャング役で鳴らした大スターとして知られるが、知識人・労働者、善人・悪人の何れもこなせる万能型の性格俳優であった。短躯でダミ声の強面である彼は、本作では葉巻片手に圧倒的な早口で喋りまくり、ユーモアをも交えた演技で、この重苦しい作品の息抜き役ともなっている。

[編集] 評価

公開時は「倫理的に許し難い映画」という保守派の批判もあったが、戦時中の不安な世相の中で、観客の嗜好に合致したこともあり、大好評を博した。 ある種の「掟破り」ともいえ、以後『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(監督テイ・ガーネット。1945)など、当時としてはインモラルなテーマの映画をハリウッドに輩出するきっかけともなった。

1946年にはフランスで公開され、早くから「フィルム・ノワール」の代表例として認識されることになった。 戦後、洋の東西を問わず、「不倫が動機の保険金殺人」という題材は、多くのミステリー・映画・テレビドラマに用いられたが、その源流は『深夜の告白』にある、と言っても過言ではない。

ウディ・アレンは、この作品を「史上最高の映画」と評し、賞賛している。

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