労働者派遣事業
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労働者派遣(ろうどうしゃはけん)とは雇用形態の一つで、事業主(派遣元という)が自分が雇用する労働者を自分のために労働させるのではなく、他の事業主(派遣先という)に派遣して派遣先の指揮命令を受けて派遣先のために労働させる事をいう。この雇用形態の労働者のことを一般に派遣社員といい、雇用関係は派遣元と派遣社員の間に存在するが、指揮命令関係は派遣先と派遣社員の間に存在するのが特徴である。労働者保護の観点から派遣できる業種、派遣期間の上限、派遣を業として行うための許認可制度など様々な規定が労働者派遣法により定められている。俗に人材派遣と呼ばれることがある。派遣労働者は俗に言う「正社員」とは立場が全く異なるため、格差社会の象徴といわれる。
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[編集] 定義
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(労働者派遣法)2条の定義によると、
1.労働者派遣
- 自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。
2.派遣労働者
- 事業主が雇用する労働者であつて、労働者派遣の対象となるものをいう。
[編集] 解説
雇用形態について、通常は雇用するために契約を結ぶ場合、雇用者と労働者の二面的契約関係となるが、労働者派遣法によって認められた形態では「派遣元(派遣会社=実際の雇用者)と労働者(派遣労働者)」、「派遣先と労働者」、「派遣元と派遣先」という三面的契約関係となる。
また、賃金の流れは、派遣元は労働者を雇用し賃金を支払い、労働者は派遣先の指揮監督を受け労務を提供し、派遣先は派遣元に派遣費用を支払う仕組みとなっている。
※労働者派遣法が出来る以前は、このような雇用形態を「間接雇用」として職業安定法により禁止していた。(労働者の労働契約に関して業として仲介をして利益を得る事の禁止。)
業種や職種としては、当初はコンピュータ(IT=情報技術)関係職種のように、専門性が強く、かつ一時的に人材が必要となる13の業種に限られていたが、次第に対象範囲が拡大し、1999年の改正により禁止業種以外は派遣が可能になる。
販売関係や一般業務の分野では、大手銀行や製造業、電気通信事業者などの主要企業が人材派遣会社を設立し、親会社へ人材派遣を行い業務をこなすケースがみられるようになった。製造業などでは業務請負として、一定の業務ごと派遣会社から人材を派遣してもらう場合も多い。
[編集] 種別
- 特定労働者派遣
- 常時雇用される労働者(自社の社員)を派遣する形態。届出制。
- 一般労働者派遣の業者に比べると、派遣先として対応する企業・職種の幅は狭いが、特定の事業所に対し技術者などを派遣するような業者が多い。
- スキルアップのための講習会を用意していないところもある。
- 一般労働者派遣
- 臨時・日雇いの労働者を含み、特定労働者派遣以外の派遣。許可制。
- 一般的に「派遣会社」といえば、この形態の業者が広く知られている。
- スキルアップのための講習会が充実しているところが多い。
- 紹介予定派遣
- 派遣先企業への雇用(就職)を前提に、派遣形態で一定期間勤務し、期間内に派遣先企業と派遣労働者が合意すれば、派遣先企業で雇用される形態。派遣事業者は労働者派遣事業と職業紹介事業の双方の許可(届出)が必要。派遣期間は6ヶ月以内。
[編集] 法的制限
- 業種:建設業務、警備業務、港湾業務、および医療業務(2006年3月1日より、社会福祉施設関係の紹介予定派遣のみ可能になる)に人材を派遣することはできない。
- 再派遣の禁止:派遣社員を派遣先からさらに派遣させることはできない。
- 事前面接の禁止:派遣を受けようとする会社は事前面接や履歴書の提出など派遣社員を「特定することを目的とする行為」をしてはならない。ただし、前述の紹介予定派遣を除く。
[編集] 歴史
江戸時代に「口入屋」なる名称で実質的に現在の労働者派遣業者が存在していた。俗に「人夫貸し」ともいう。ただし待遇は劣悪で派遣者を騙すことも多く、世間からは「ヤクザ稼業」と見られていた。
- 1986年7月1日:労働者派遣法施行
- 1999年12月1日:労働者派遣法改正(派遣業種の拡大)
- 2004年3月1日:労働者派遣法改正(物の製造業務の派遣解禁、紹介予定派遣の法制化など)
- 2006年3月1日:労働者派遣法改正(派遣受入期間の延長、派遣労働者の衛生や労働保険等への配慮)
[編集] 労働者派遣法制定に至るまで
労働者派遣法施行以前は、上記のように、江戸時代以降に行われていた労働者派遣の劣悪な労働環境が深刻な問題となっていたため、職安法により間接雇用が禁止されていた。それにも関わらず「業務処理請負業」として、人材派遣会社が違法と知りながら労働者の派遣を行っていた。なぜなら企業はこのようなやり方の方がコストを低減できるからである。経済界からの執拗な認可要求および政治献金の圧力により、当時の政権政党であった自民党は、このようなヤミ労働業(「口入屋」)を「労働者派遣」と名称を変え再度認め法制化した。その際には労働大臣(現:厚生労働大臣)の許可と届け出を義務づけることとしたが、以後予想通り問題が頻発する。
法案制定時、労働組合は「使用者責任を免罪化する」「派遣法の規制規定が不十分」だとして反対した。労働者の希望によって制定されたというよりも、経済界側の希望である、人材の適時確保(必要な人数を、必要な時に、必要な期間だけ)を反映するかたちで制定された側面が強い。
モデルとしたドイツやフランスの関連法に比べて、派遣先・派遣元企業に対する規制が杜撰だったため、後々派遣労働者と派遣先・派遣元企業との間に問題を引き起こすこととなった。
仏では正非雇用間において、同額の時間給を支払わなければならないというルールがあり、非正規社員は雇用が不安定であることに対する保障として、さらに10%上乗せした給与を支払わうことが義務化されている。
[編集] 派遣制度の利点と問題点
[編集] 利点
- 派遣先企業側に立った場合
- 自社では雇用が難しい特殊な人材の利用が可能
- 経営的側面からは、人件費を固定費としてではなく変動費(費用)として計上することが可能。(人件費の抑制)
- 労働力を必要な時(業務繁忙期、年末調整など)にのみ、必要な分だけ、確保する事が容易。
- 通常の給与とは異なり企業が派遣元へ支払う金銭は消費税法上「課税仕入れ」となる。その結果国などに納める消費税等を安く済ませることができる。
- 派遣労働者側に立った場合
- 勤務先(業種、職種、勤務地、禁煙環境、残業時間長短など)選定の自由度が大きい。
- ある期間に限った労働が可能なため、短期のスケジュールを立てやすい。例えば、長期旅行をするための資金を稼ぐために派遣労働者として一定期間勤務し、期間終了後に長期旅行を楽しむなど。
また、紹介予定派遣制度を利用すれば
- 派遣先企業としては、自社(派遣先)正社員採用リスクが減らせる。(採用できるかどうかがつかみやすくなる。)
- 派遣労働者としては、転職(転籍)する前に勤務先の内部状況が分かるので、入社前と入社後の企業イメージの乖離が生じにくい。
[編集] 問題点
- 法的不備の問題
- 派遣元責任者は講習を受けさせなければならないが、派遣先責任者は講習を受けなくてもなれる為、派遣先の法的理解が乏しい場合がある。
- 派遣先責任者も講習を受けさせるなど、利用側に対する対応が求められている[要出典]。
- 労働内容に正社員との差が全くない場合も多く、社員と非正社員の区別なく、同一職種賃金制度を導入すべきとの意見もある。[要出典]
- 受入れ先の企業に連れて行かれて面接を受けさせられる「事前面接」、複数の派遣会社から来る候補者と競争させられる「他社競合」など、労働者派遣法で禁じられている行為が、派遣労働の現場では当然のようになっている[要出典]。
- 派遣先企業の都合で配属先や勤務時間等が頻繁に変えられる例や、急に解雇される例などのトラブルも多発している[要出典]。
- 年次有給休暇を始めとする労働者としての権利は正社員同様に行使できるが、ほとんど守られていないのが現状であるとの意見もある。[要出典]
- 派遣先企業側に立った場合
- 派遣業務がコア業務に及んでいる場合、コスト削減の見返りに業務継承の問題が発生する。
- 派遣先正社員との業務的な一体化を取るのが難しい。
- 派遣先正社員との待遇差があり、管理者の立場から見るとモチベーションを高めるのが難しい。
- 正社員による、パワーハラスメントの横行。
- 正社員でないため、業務に対する責任感・向上心が薄い場合がある。
- 労働力の調達が容易な反面、派遣元企業のマージンが大きい場合には、派遣労働契約が長期化すると長い目で見て高コストになる。
- など。
- 派遣労働の現実
- 派遣先企業が支払う派遣費用に対して、派遣労働者に直接渡る賃金は少ないため、派遣先企業と派遣労働者との間で、提供する労働とその対価について、両者で認識のギャップが生じる。[要出典]
- 就職活動の際派遣労働の経験がキャリアと認められないことが多い。
- 1人の求人を複数の派遣業者を使って行うことが多いため、有効求人倍率が実態以上に高くなる。
- 派遣会社によっては、派遣社員のスキルアップを目的とした講習会が設定されているところだけではなく、派遣社員のスキルを十分把握できていないことがあり、スキルのミスマッチが潜在している状態で最初から現場に投入されるケースがある。[要出典]
- 大学新規卒業者が、派遣社員としての道を歩む事例も増えてきている。[要出典]
[編集] 問題例
問題例は数多く発生しており、以下は氷山の一角で実際には広範に行われているが、有名なものだけを紹介する。問題が発生しても、被派遣者側が泣き寝入りしてしまうことが多いためなかなか表面化しない。
- 「フルキャスト」は法律で禁止されている警備業務の派遣を行っていたとして2007年1月~3月にかけて家宅捜索と行政処分を受けている。
- 「ヨドバシカメラ上野店」での派遣社員に対する暴行事件で、ヨドバシと派遣会社が提訴された事から発覚したケースがある。
- パソコンメーカーの「デル」が、法律で禁止されている事前面接を行い、罰金刑を受けたケースがある。これは氷山の一角で実際には広く行われている。
[編集] 労働者派遣事業者
- 2004年度部門売上高
- スタッフサービス
- テンプスタッフ
- パソナ
- アデコ
- リクルートスタッフィング
- マンパワー・ジャパン
- フジスタッフ
- ヒューマンリソシア
- ピープルスタッフ
- アヴァンティスタッフ
- メイツ
- インテリジェンス
- キャプラン
- アシスト
- ダイヤモンド・スタッフサービス
- アソウ・ヒューマニーセンター
- 番外:クリスタルグループ(現・グッドウィル・プレミア)(日本人材派遣協会非加盟)
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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