津波

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津波の異なる用法についてツナミに情報があります。
津波のダイヤグラム

津波つなみ、[各国の言語]:tsunami/tunami、中国語:海嘯)は、海域での地震プレートによる)や海岸地域で起こる地滑り海底火山の活動、海底の地滑り、海洋への隕石の落下など気象以外の要因によって引き起こされ、海岸線に到達して被害を及ぼす可能性のある高波である。

目次

[編集] 語源

「津波」の語は、通常の波とは異なり、沖合を航行する船舶の被害は少ないにもかかわらず、港(津)では大きな被害をもたらすことに由来する。日本は、近海の地震の他、遠隔地の地震からも被害を受ける場合がある。

英語では"tidal wave"という語が使われて来たが、現在は潮(tidal)とは関係ないことからTsunamiが用いられている。1946年、アリューシャン地震ハワイに津波の大被害があった際、日系移民がTsunamiという語を用いたことから、ハワイでこの語が使われるようになり、被害を受けて設置された太平洋津波警報センターの名称も1949年にはとされたことから、アメリカ合衆国ではこの語が広く用いられるようになり、その後、国際語化した。

「ツナミ」は学術用語として広く国際語になっていたが、スマトラ沖地震による津波が激甚な被害もたらしたことが世界中に報道されたことを契機に各国の言語で、一般語になった。

NHKテレビ・ラジオの非常放送(英語)では始めに「tsunami, tidal wave」と呼称される。

[編集] 特性

2004年12月、プーケット島を襲った津波。波頭が押し寄せた後も海水が流れ込み続け、海面が高まったままの状態が続いている

津波の物理的性質は風浪や、天文潮すなわち干潮・満潮等の規則的な潮汐とは異なっている。以下に、津波の諸特性について言及する。

[編集] 原因

津波の発生原因として最も一般的なものは海底で起こる地震で、記録に残る津波の大部分はこれによるものである。地震によって海底に断層が生じて海底の地表面が上下に変化すると、その地形変化がそのまま海面に現われ、水位の変動がうねりとなって周囲に拡大して行き、津波となる。正断層による海底の沈降によっても、逆断層による隆起によっても津波は起こる。マグニチュード8級の地震では断層の長さが100km以上になる事もあり、それに伴う地形変化も広い面積になるので、広範囲の海水が動いて大規模な津波を起こす。もともと津波の発生には海底の地形が大きく変わる事が重要で、大地震による海底の断層とそれによる隆起や沈降は最も津波を起こしやすい現象といえる。

地震津波は大規模で、遠方まで伝わるため、地震を感じなかった地域でも津波に襲われる場合がある。これを遠隔地津波と言う。津波の到達まで時間があるので避難しやすく、人的被害防止は容易であるが、情報の伝達体制が整っていないと不意討ちを受ける形になり、被害が大きくなる。1960年のチリ地震津波の際のハワイや日本、2004年のスマトラ沖地震の時のインド洋沿岸諸国などの例がある。また、「ゆっくり地震」或いは「津波地震」と呼ばれる、海底の変動の速さが遅い地震がある。小規模な地震しか起こらないため一見マグニチュードは小さいが、総エネルギーは大きく地表面の変動も大規模で範囲が広いので、予期せぬ大津波が発生し、大きな被害をもたらす事がある。1896年の明治三陸沖地震津波がその例で、原因となった地震については長らくマグニチュード7.6とされて来たが、その後津波の大きさを考慮してマグニチュード8.25に改められた(2006年版理科年表)。

海岸線に近い場所で起きた山体崩壊などで、大量の土砂や岩石が海になだれ込んだ際にも津波が発生する。大部分は地震津波に比べてはるかに規模は小さいが、状況によっては地震が原因の津波と遜色がないほどの大津波が発生することもあると言われ[1]、また発生地点に接して人口密集地帯があると大被害を引き起こす。「島原大変肥後迷惑」と呼ばれる、1万5000人が犠牲になった1792年の有明海の津波や、1979年にインドネシアで700~1000人の犠牲者を出した津波などがその例である。1883年のインドネシアのクラカタウ火山の爆発では、大量の火砕流が海に流れ込んで津波が起こり、3万6000人が死亡したとされる。

海底火山に起因する津波もあるが、海底の地形に大きな変動が無い場合、爆発活動だけでは大きな津波にはならない。1952年の明神礁の活動に際しても、八丈島で小規模な津波が観測された程度である。海底に生じた地滑りが津波を起こすかどうかについては、専門家の中に否定する意見もあり、また実際に海底地すべりで起こったことが確実視される津波の例も殆ど無い。巨大隕石が海に落下すれば大津波が起こると考えられるが、地質時代・歴史時代を通じて隕石によると明確に証明された津波は無い。

[編集] 伝播

アラスカにある津波警戒標識。4度目の波が一番高く描かれている

津波は、水深の変化の無い大洋で発生した場合には発生源を中心に同心円状に広がって行くはずであるが、地震津波の場合、地震は多くが陸地近くの海域で起こり、その場合は波のおよそ4分の3は海岸に向かい4分の1が外洋に向かう。すなわち、1960年のチリ地震津波においては、チリ沖で生じた津波は最初は同心円を描いて広がったが、大陸棚斜面を進む波は水深の大きい沖合いで速度が速く、沿岸寄りでは遅くなるため、チリの海岸線に対し垂直方向に進む波以外は次第に進路がチリの海岸向きに屈折し、結局4分の3がチリ海岸に戻り、4分の1は太平洋を直進してハワイや日本に達したと考えられる。そのため、同じ環太平洋地域でありながら北アメリカ西岸やオセアニアなどでは目立った津波被害は起こっていない。

一般に水面に見られる波は、風によりできた風浪で、大きなものでも周期は10秒程度、波長は150mくらいである。これに対し津波の間隔は、短いもので2分程度、長いものでは1時間以上にもなり、100kmを越す長波長の例もある。津波の波源域は広く、それによって波長が決まるためである。このため、津波が内陸に押し寄せる際には、その水位の高まりはあたかも海面自体が上昇するような状態になって、大きな水圧による破壊力が加わる。また津波が引く際にも、高くなった海面がそのまま引いていく形になり、やはり大きな破壊力を発揮する。チリ津波では、函館の例では押し波の水位差が2m、引き波が3mで、引きが強く、このような場合は押し波で破壊された物やもともと陸にあった物などが海に持ち去られる被害が大きくなる。

通常、津波は複数回押し寄せる。10回以上に及ぶ事もある。2番目又は3番目の波が最も大きくなる傾向があり、その後次第に小さくなってゆく。また、過去の津波における体験者の証言や昔話等の伝承に、津波の来襲前にまず引き潮が起こった、というものがあり、津波の前にはまず海水が引いていくと一般にも広く信じられている可能性がある。スマトラ沖地震では津波前に引き潮があり、魚を取りに行った人々が犠牲になった事実があるが、日本海中部地震では引き潮が無く最初から津波が押し寄せた。津波が引き波から始まるか押し波からかは、諸条件によって決まり、予測は難しい。地震により海底の沈降が起これば引き波が先に来て、隆起があれば初めから押し波が来るが、震央をはさんで沈降と隆起が同時に発生する事も考えられる。

[編集] 速さ

津波の伝播する速度は水深と波高により決まる。大陸棚斜面から外洋に出ると水深は4000m前後でほとんど一定になり、また水深に比べて波高は問題にならないくらい小さいので、外洋での津波の速度は、重力加速度(9.8m/sec。便宜的に10m/secとして差し支えない)に水深を乗じた値の平方根にほぼ等しい。式で表わすと次のようになる。dは水深(単位はm)、速度は秒速(m)で示される。

<math>\sqrt{gd}</math>

時速に直すには3.6倍すればよい。これにより、水深1000mで時速360km、水深4000mで時速720kmとなる。沿岸では水深が浅くなり、そのため津波の波高が増すので、上の式をそのまま適用すると不正確な値となるため、次の式を用いるのがよい。Hは水面上の波高である(単位はm)。

<math>\sqrt{g(d+H)}</math>

ここから、水深10m、波高6mの場合の津波の時速はおよそ46kmとなる。

[編集] 高さ

外洋では津波の波高は数十cmから2・3m程度であり、波長は100kmを越えるので、海面の変化はきわめて小さく、沖合いにいる船などは津波に気付かず、沿岸や港に来て初めて被害の大きいのを知る場合が昔はよくあった。「津波」の名もここに由来するものである。津波が陸地に接近して水深が浅くなると速度が落ちて波長が短くなるため、波高は大きくなるが、通常は、単に水深が小さくなっただけでは極端に大きな波にはならない。リアス式海岸のような複雑に入り組んだ地形の所では、局地的に非常に高い波が起きる事がある。津波の波高は水深の4乗根と水路幅の2乗根に反比例するので、仮に水深160m、幅900mの湾口に高さ1mの津波が押し寄せ、湾内の水深10m、幅100mの所に達した場合、波高は水深の減少で2倍、水路幅の減少で3倍になるため、総合すると波高は6mになる。それで、V字型に開いた湾の奥では大きな波高になりやすい。

しかし、一般には検潮儀で津波を記録するようになっているものの、巨大津波そのものの波高を正確に測定する事は困難であり、これまでの大津波の波高とされる記録は、実際には波の到達高度で示されている。これは、陸に押し寄せた津波が海抜高度何メートルの高さまで達したかという数字で、現場の調査によって正確に決定できる利点がある。V字型の湾など、地形によっては波自体が高くなると共に非常に高い所に駆け上がる事がしばしばあり、到達高度は波の実高度より高くなる場合が多い。日本において確実とされる津波の最大波高は1896年の明治三陸沖地震津波の際の38.2mであるが、これはV字型の湾の奥にあった海抜38.2mの峠を津波が乗り越えたという事実に基づく到達高度の値である。

1958年7月9日(現地時間)、アラスカの南端の太平洋岸にあるリツヤ湾(Lituya bay)で岩石の崩落による津波が起き、最大到達高度は海抜520mに達し、津波の波高の世界記録とされている。リツヤ湾は氷河の侵食によるフィヨルドで、幅3km、奥行き11km程の長方形に近い形で内陸に入り込んでいる。湾奥に左右に分かれた小さな入江があり、問題の津波はそのうちの北側の入江に発生したものである。波の発生を直接目撃した者はいないが、後の現地調査と模型実験により詳細が明らかにされている。地震により入江の片側のおよそ40度の傾斜の斜面が崩壊、9000万tと推定される岩石が一塊になって海面に落ちたため、実高度150m以上の水しぶきが上がり、対岸の斜面を水膜状になって駆け上がって520mの高度に達したものである。その後、波は高さ15~30mで湾奥から湾口に進み、太平洋に出ると共に急速に消滅した。以上のように、この波は津波と言うより水跳ねに近いもので、英文の報告書でも Giant Wave 又は Biggest splash と表現されている。なお、リツヤ湾では1853年か54年に120m、1936年に147mの大波(いずれも到達高度)が起こったことも明らかになっている。

[編集] 警報・注意報(日本)

気象庁は、震度3以上の地震が発生すると、約3分のうちに津波に関する情報(予報の有無)を発表する。震度2以下でも津波予報が発表される場合がある。発表までの時間を30秒に短縮するために、地震計をより高性能のものに置き換える作業を現在行っている。 なお、津波警報が発表された場合、放送局より緊急警報放送が送出される。ただし、東北放送ワンセグでは、発生地域の対象(宮城県)であっても非表示になっている。

津波を防ぐための水門(静岡県・沼津港

震源の位置・マグニチュード・断層パラメータ等から、津波の発生の有無・規模は計算可能である。地震が起きてから計算していたのでは間に合わないため、あらかじめ、様々な地震のケースを想定した計算を行ってある。

NHKにおいては、津波予報は以下の2区分3種類が聞かれる。

警報 大津波警報 高いところで3m以上の津波
津波警報 高いところで2m程度の津波 

高いところで1m程度の津波

注意報 津波注意報 高いところで0.5m程度の津波

津波は最初の1波が最大とは限らず、数時間の間隔をおいて2波、3波とやってくることがあり、12時間は注意が必要である。

また、津波警報・注意報は、日本の沿岸を細かく区切った津波予報区分にしたがって、地域を指定して出される。

津波予報(津波警報や津波注意報)が発令された場合は、到達時刻や予想される津波の高さ、各地の満潮時刻、津波が到達した場合の観測波高などの「津波情報」が発表される。

なお、日本を含む太平洋地域では、1960年チリ地震による津波で、日本を含む各国に被害が出たことをきっかけに、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が中心となって、太平洋津波警報組織国際調整グループが設立された。現在、日本やアメリカ、中国、オーストラリア、チリ、ロシア、韓国など26の国と地域が加盟しており、沿岸各国で地震や津波が発生した場合、データがハワイにあるアメリカ国立海洋大気局の太平洋津波警報センター()に集められ、各国に津波の規模、到達推定時刻などの警報を発する仕組みがある。

[編集] 伝承

「晴れた日には、よだ(津波)はこない」と伝えられていたが、昭和三陸地震の際にはこの伝承によって却って大勢の犠牲者を出したと言われている。天気の晴雨によらず津波は襲来するものである。

[編集] 津波による被害を起こした地震(18世紀以降)

スマトラ沖地震での津波(タイ)
スマトラ沖地震での津波(モルディブ)

[編集] その他

  • 津波は水深が深いほど波高が小さいため、沖合を航行する船舶の被害は少ない。
  • 津波が河川を遡上し、浸水被害を起こす場合もあり、防潮水門などが設けられる。(上写真)
  • 島原大変肥後迷惑山体崩壊による津波(高さ9m)

[編集] 参考文献

吉村昭著『三陸海岸大津波』2004年 文春文庫 ISBN 4167169401(『海の壁 三陸沿岸大津波』1970年 中公新書 ISBN 4121002245、『三陸海岸大津波』1984年 中公文庫 ISBN 4122011493

[編集] 関連項目

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