日記

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日記にっき)とは、日々の出来事を記した記録で、今日では文学の一ジャンルに数えられており、文学の最も初期のかたちのひとつとも見られている。あるいは、初期のかたちという以上に、人がものを書くという行為の原初的なもので、文学という概念以前のものといってよいかもしれない。英語では、Diaryという表現の他にPersonal journalという表現もなされる。

[編集] 日記文学

日記が書かれる主な契機の一つとしてがある。仕事であれ、私的な所用であれ、戦争への従軍であれ、特別な出来事の内容、見聞、心覚えを記したものとして日記は書かれた。古代ローマのカエサルがガリア征服の経過を記した『ガリア戦記』がその代表である。

また社会に安定した世相、治安がある程度維持されてくると、エッセイ風の体裁を整えた日記も現れてきた。例えば、日本で有名なものでは『土佐日記』『紫式部日記』『和泉式部日記』などが挙げられる。平安時代の日記の定義では、時間の経過に沿って実話を描いたものはすべて日記と呼ばれ得た。そのため現在の私小説紀行に近いものもある一方で、宮中での儀礼などに関して詳細に日記に記す場合もあり、「先例」を極めて重視する貴族社会では日記の詳細さや正確さが一家そのものの興亡にさえ通じるケースがあったのである。貴族の日記は多く漢文で書かれており、歴史学の用語として、漢文日記とも呼ばれる。

出来事を記した日記は歴史史料にもなり、同時代の史書との比較により歴史研究の材料となっている。現代でも政治家などの日記が史料的価値を持つ。

またプライベートの個人的秘密を吐露するために書かれたものもある。石川啄木の『ローマ字日記』などである。近代以降は私小説、またはフィクションであっても、表現手段として日記の形式を借りることもある。

なお、筆者の現実の日記ではなく、虚構の日記のかたちを採った文学作品もある。

今日では、Weblogインターネット上のレンタル日記サイトにおいて、多くの日記が書かれている。これらについては、情報倫理の観点からも議論がある。

日本の主な日記には次のようなものがある。

日本の近現代のものとしては、次のようなものがある。

西洋の主なものでは次のようなものがある。

[編集] 参考文献

日本・漢文日記関連
  1. 総説
    1. 萩野由之『記録異同考』(九州大学萩野文庫所蔵、1882)
    2. 星野恒「歴世記録考」(『史学雑誌』1-6編、1909、後『史学叢説』第一再録)
    3. 和田英松『皇室御撰之研究』(明治書院、1933)
    4. 和田英松『本朝書籍目録考証』(明治書院、1936)
    5. 高橋隆三『史籍解題』(雄山閣、1938、『大日本史講座』再録)
    6. 宮内庁書陵部編『図書寮典籍解題 歴史編』(養徳社、1950)
    7. 宮内庁書陵部編『図書寮典籍解題 続歴史編』(養徳社、1951)
    8. 花田雄吉「陽明文庫所蔵の古日記」(『日本歴史』105、1957)
    9. 橋本義彦ほか編『日本歴史「古記録」総覧』上・下(新人物往来社、1989・1990、ISBN 440401788XISBN 4404017898
    10. 『日本「日記」総覧』(新人物往来社、1994)
    11. 飯倉晴武『日本史小百科 古記録』(東京堂出版、1998、ISBN 4490203624
  2. 叢書解題
    1. 『史料大観』解題(哲学書院、1898-1900)
    2. 『史料大成』解題(内外書籍・日本電気通信出版部、1934-1944、後、臨川書店より再刊)
    3. 東京大学史料編纂所編『大日本古記録』解題(岩波書店、1952-)
    4. 続群書類従完成会編『群書解題』(続群書類従完成会、1960-1967)
    5. 続群書類従完成会編『史料纂集』解題(続群書類従完成会、1968-)
    6. 宮内庁書陵部編『図書寮叢刊』解題(養徳社・明治書院、1962-)
    7. 陽明叢書』解題(思文閣出版、1989)
  3. 逸文
    1. 和田英松『国書逸文』(森克己、非売品、1940、後『新訂増補 国書逸文』国書逸文研究会編、国書刊行会より再刊、1995、ISBN 4336036950
    2. 国書逸文研究会『国書逸文研究』1-30(1978-1997、ISSN 03870669)
    3. 木本好信『平安朝日記と記録の研究: その逸文史料』(株式会社みつわ、1980)
    4. 所功『三代御記逸文集成』(国書刊行会、1982)
    5. 木本好信『江記逸文集成』(国書刊行会、1985)
    6. 木本好信『平安朝官人と逸文の研究』(桜楓社、1987、ISBN 427302148X
    7. 所功先生還暦記念会編『国書・逸文の研究』(臨川書店、2001、ISBN 4653037566
  4. 年表
    1. 小泉安次郎『日本史籍年表』(弘文館、1903-04)
    2. 「古代から近世までの主要日記表」(坂本太郎監修『日本史小辞典』、山川出版社、1957)
    3. 「日記表」(高柳光寿・竹内理三編『角川日本史辞典』、角川書店、1966)
    4. 新田英治「史籍年表」(中世のみ、『中世史ハンドブック』、近藤出版社、1973)
    5. 飯倉晴武「史籍年表」(『日本史総覧』第一巻、新人物往来社、1983)
    6. 斎木一馬「歴代主要日記一覧」(『日本史総覧』第一巻、新人物往来社、1983)
    7. 皆川完一「記録年表」(『国史大辞典』第四巻、吉川弘文館、1984、ISBN 4642005048
    8. 皆川完一「記録目録」(『国史大辞典』第四巻、吉川弘文館、1984、ISBN 4642005048
  5. 辞典項目
    1. 山本信哉「記録」(『日本文学大辞典』、新潮社、1932-35)
    2. 玉井幸助「記録」(『増補改訂 日本文学大辞典』、新潮社、1950-52)
    3. 桃裕行「記録」(『世界歴史事典』、平凡社、1951-55)
    4. 橋本義彦「記録」(『国史大辞典』第四巻、吉川弘文館、1984、ISBN 4642005048
    5. 土田直鎮「日記」(『日本古典文学大辞典』第四巻、岩波書店、1983-85、ISBN 4000800647
  6. 研究書(単行本)
    1. 玉井幸助 『日記文学概説』(目黒書店、1945、後、国書刊行会より再刊、1983)
    2. 山中裕『平安時代の古記録と貴族文化』(思文閣出版、1988、ISBN 4784208577
    3. 桃裕行『古記録の研究』上・下(『桃裕行著作集』4・5、思文閣出版、1988-89、ISBN 4784205209ISBN 4784205489
    4. 斎木一馬『古記録の研究』上・下(『斎木一馬著作集』1・ 2、吉川弘文館、1989、ISBN 4642012915ISBN 4642012923
    5. 斎木一馬『古記録学概論』(吉川弘文館、1990、ISBN 4642072861
    6. 松薗斉『日記の家: 中世国家の記録組織』(吉川弘文館 、1997、ISBN 4642027572
    7. 木本好信『平安朝官人と記録の研究』(おうふう、2000、ISBN 4273031566
    8. 加納重文『明月片雲無し: 公家日記の世界』(風間書房、2002、ISBN 4759913327
    9. 高橋秀樹『古記録入門』(東京堂出版、2005、ISBN 4490205678
    10. 松薗斉 『王朝日記論』(叢書・歴史学研究、法政大学出版局、2006、ISBN 4588250523
  7. 論文集
    1. 史学会編『本邦史学史論叢』上・下(冨山房、1939)
    2. 岩橋小弥太博士頌寿記念会編『日本史籍論集』上・下(吉川弘文館、1969)
    3. 高橋隆三先生喜寿記念会編 『古記録の研究』(続群書類従完成会、1970)
    4. 山中裕編『古記録と日記』上・下(思文閣出版、1993、ISBN 478420752XISBN 4784207538
    5. 五味文彦編『日記に中世を読む』(吉川弘文館、1998、ISBN 464202767X
  8. 概説的研究(論文)
    1. 星野恒「歴世記録考」(『史学雑誌』一~六編、1871)
    2. 黒板勝美「我が国日記の沿革を述べて馬琴翁の日記鈔に及ぶ」(饗庭篁村編『馬琴日記鈔』文會堂書店、1911、後に『虚心文集』第六巻、吉川弘文館、1941所収)
    3. 黒板勝美「記録の研究」(『国史の研究』総説編、文會堂書店、1913)
    4. 和田英松「日記に就いて」(『史学雑誌』24-10 、1913)
    5. 和田英松「平安朝に於ける日記の研究」(『日本文学講座』10、新潮社、1927)
    6. 三浦周行「日本史学史概説」(『日本史の研究』第二巻、岩波書店、1928)
    7. 田山信郎「記録—特に平安朝の日記に就いて—」(『岩波講座日本歴史』、1934。後に史学会編『本邦史学史論叢』上に増補再録、1939)
    8. 岩橋小弥太「公家の日記」(『日本文学講座』5、改造社、1934)
    9. 山本信哉「記録の研究」(『史苑』11-34 、1937)
    10. 馬杉太郎「史料としての日記—特に公家の日記について—」(『歴史公論』7-11、1938)
    11. 斎木一馬「日本古記録学の提唱」(『日本歴史』 9、1947、後に『古記録の研究』上(『斎木一馬著作集』1) 吉川弘文館、1989)
    12. 山中裕「漢文記録としての日記」(『国文学解釈と鑑賞』19-1、1954)
    13. 小島小五郎「儀式と公家日記との関係—平安朝日記流行に関する一考察—」(『史学研究』55、1954)
    14. 石田吉貞「漢文日記について」(『国語と国文学』402 、1957)
    15. 岩橋小弥太「記録概説」(『上代史籍の研究』第二集、吉川弘文館、1958)
    16. 林屋辰三郎「日記の伝統」(『思想の科学』47、1966)
    17. 桃裕行「古記録零拾」(高橋隆三先生喜寿記念会編『古記録の研究』、1970)
    18. 位藤邦生「漢文日記研究序説」(『中世文芸』50、1972)
    19. 山中裕「公事と生活の記録」 『国文学解釈と鑑賞』37-4、1972、後に「日記の本質」として『平安人物志』東京大学出版会、1974に補訂再録)
    20. 山中裕「日記と記録」(『鑑賞日本古典文学』第10巻『王朝日記』、角川書店、1975)
    21. 土田直鎮「古代史料論 二、記録」(『岩波講座日本歴史』別巻二、岩波書店、1976)
    22. 斎木一馬「古文書と古記録」(『日本古文書学講座』1、雄山閣、1978)
    23. 橋本義彦「古代の記録」(『日本古文書学講座』2、雄山閣、1978)
    24. 斎木一馬「日記とその遺品」(『文化財講座日本の美術 16 古文書』、第一法規、1979)
    25. 村井康彦「私日記の登場」(『国語と国文学』64-11 、1987)
    26. 吉岡真之「平安貴族はなぜ日記をつけたか。」(『争点日本の歴史』三、新人物往来社、1991)
    27. 松薗斉「日記論」(『歴史評論』525、1994)

;西洋史関係

    1.  ベアトリス・デュディエ『日記論』(松らい社)

[編集] 関連項目

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