文化の型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
文化の型(ぶんかのかた)とは、ルース・ベネディクト著『文化の型』(1934年)においてはじめて明らかにされた文化人類学上の概念。
「文化の型」は非常にしばしば「文化の類型」と混同されるが、それらはまったく別個の概念である。文化の類型は、複数の文化を比較してその中での文化的事象が外見的に類似した特徴を持っているかどうかという点で見分けられるものであるが、文化の型は文化的事象が形成される過程を分析することによってはじめて知られるものである。すなわち「類型」(type)には動的な意味は無いが、「型」(pattern)には静的な意味と動的な意味が共に備わっており、「型にはめる」という概念も含んでいる。文化にはその言葉で言い表わされるような動的な機能もあるということがベネディクトの発見の一つの重要なポイントである。
人間集団は、無秩序と混乱を避ける必要があるので、決してあらゆる経験をそのまま受け入れることはしない。集合的無意識が一定の目標を定めてそれに沿うものはそのまま受け入れ、沿わないものは排除するか、あるいは目標に沿うように変更した上で受け入れる。その目標が文化の型である。
ベネディクトは『文化の型』の中でズニ族、クワキウトゥル族およびドブ島民について詳細な分析をし、「アポロ型」と「ディオニソス型」があることを明らかにした。また彼女は『菊と刀』(1946 年)で日本の文化の型を論じ、それが「恥の文化」として一応括られるが、さらに深く追究すれば「菊」によって象徴されるところの「擬装された意思の自由」と「刀」によって象徴されるところの「自己責任の態度」という二つの型が見出されることを示した。
[編集] 参考文献
- 森 貞彦『「菊と刀」再発見』(東京図書出版会、2002年)

