小惑星
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小惑星(しょうわくせい)は、small solar system bodies(太陽系小天体)のうち、星像に拡散成分がないものの総称(拡散成分があるものは彗星と呼ばれる)。 ウィリアム・ハーシェルによって、(当時の)望遠鏡で見ると恒星のように見えることから、ギリシャ語の αστηρ(aster 恒星)と ειδος(eidos:姿、形)からアステロイド「asteroid":恒星のようなもの」と命名された。太陽系内の惑星より小さな天体であることから「minor planet:小さな惑星」、「planetoid:惑星のようなもの」などとも呼ばれた。現在ではminor planetのうち、岩石を主成分とするものをasteroidと称する。
その多くは火星と木星の間の軌道を公転しているが、地球付近を通過する可能性のあるものも存在する。つい最近まで最大の小惑星であった (1) ケレス(Ceres:数字は軌道が確定した小惑星に付けられる小惑星番号 (minor planet number)。以下同様)でも地球の月よりはるかに小さい。
2006年8月現在、世界で発見され仮符号登録された小惑星は338,097個にのぼる。また、軌道が確定して小惑星番号が付けられている小惑星は134,339個(小惑星の一覧)、命名されたのは約1万3千個である。
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[編集] 位置
ほとんどの小惑星は、木星軌道と火星軌道の間に存在し、太陽からの距離が約2 - 4天文単位の範囲に集まっている。この領域を小惑星帯 (asteroid belt) と呼ぶ。現在では太陽系外縁部のエッジワース・カイパーベルトと区別するためにメインベルト (main belt) とも呼ばれる。小惑星は木星の摂動によって、いくつかの群をなして運動する。各群はその公転周期にしたがって分類される。群のなかでとくに注目されるのがトロヤ群(周期約12年)と呼ばれる小惑星群であり、これは太陽と木星との間を一辺とする正三角形の一頂点、すなわち両天体の系でのラグランジュ点に位置することが知られている。なおトロヤ群の名は、この群で最初に発見された小惑星 (588) アキレス (Achilles) にちなむ。
1990年代以降は (50000) クワオアー (Quaoar) や (90377) セドナ (Sedna) といった、エッジワース・カイパーベルトやさらに外側のtrans-Neptunian objects(太陽系外縁天体、TNO)が続々と発見されるようになった。これらはメインベルトの小惑星 (asteroid) とは起源が異なると考えられているが、同様に小惑星 (Minor planet) として登録されている。
[編集] 歴史
1781年の天王星発見当時、ティティウス・ボーデの法則から、火星と木星の間に未知の惑星を探索する試みが行われた。1801年に (1) ケレスが発見されたが、翌1802年に (2) パラス、1804年に (3) ジュノー、1807年には (4) ベスタと、同じような位置に天体が相次いで発見されたこと、またいずれも惑星と呼ぶにはあまりに小さいことから、やがて惑星とは区別されるようになった。小惑星 (asteroid) という語は、1853年初めに考え出された。
小惑星数の増加については小惑星番号を参照。
2006年8月にプラハで開かれた国際天文学連合 (IAU) 総会で惑星の定義が採択された結果、それまで惑星とされていた冥王星および小惑星とされていたケレスと2003 UB313(エリス)がdwarf planetに変更され、さらに小惑星のうち十数個が将来的にdwarf planetに変更される可能性があると考えられるようになった。また小惑星はTNOや彗星とともにsmall solar system bodies (SSBO) というカテゴリーに包括されることになった。
これを受けて、日本学術会議の小委員会は2007年4月9日の対外報告(第一報告)において、dwarf planet、TNO、small solar system bodiesの訳語としてそれぞれ「準惑星」「太陽系外縁天体」「太陽系小天体」の使用を推奨することを提言した。なお、準惑星については当面の間、教育現場などでは積極的な使用を推奨しない方針(詳細は惑星#日本学術会議の対外報告を参照)。
[編集] 起源
メインベルトの軌道長半径がティティウス・ボーデの法則にほぼ合致するため、昔この位置にあった惑星が何らかの原因で破壊されて小惑星帯が作られたとする惑星破壊説が唱えられたこともあったが、メインベルトの小惑星の質量を合計しても惑星の質量には到底達しないことなどから、現在は支持されていない。またすべての小惑星が同一の起源を持つわけではなく、かつて彗星であったものなども含まれると考えられる。一方で火星の衛星フォボスとダイモスなど、かつては小惑星だったものが他の天体に把捉されてその衛星となったと考えられている天体も存在する。
[編集] 命名規則
小惑星の名前については、現在では天体の中で唯一、発見者に命名提案権が与えられている。
まず、新天体と思われる天体を2夜以上にわたって位置観測し、その観測結果が小惑星センター (Minor Planet Center, MPC) に報告されると、発見順に仮符号が与えられる。 仮符号は以下の書式に従う英数字からなる [1]。
- 4桁の数字:発見年を表す。
- 空白
- アルファベット (A-Y):発見時期(月の前後半)を表す。
- アルファベット (A-Z) + 数字: 発見時期内での発見順を表す。
詳細は仮符号#小惑星を参照。
仮符号を付けられた天体は既知の天体との軌道の同定作業が行なわれる。最終的に軌道が確定して新天体だと確認されると、小惑星番号が与えられた上で命名される。
発見者(既に死去している場合は軌道確定のための計算を行った者)によって提案された新小惑星の名前は IAU の小天体命名委員会によって審査される。名前はラテン語化するのが好ましいというのが世界的な暗黙の了解事項であるが、現在ではそうでないものも多い。その他にも、「発音可能な英文字で16文字(最近は12文字)以内であること」、「公序良俗に反するもの、ペットの名前、既にある小惑星と紛らわしい名前(一部例外あり)は付けられない」、「政治・軍事に関連する事件や人物の名前は没後100年以上経過し評価が定まってからでないとつけられない」、「命名権の売買は禁止」などの基準がある[2]。
なお、トロヤ群はトロイアの戦士の中から、ケンタウルス族(後述)にはケンタウロス族の名前、太陽系外縁天体には各民族の創世神話から命名を行うという規則がある。
また、人名についてはかつては『姓・名』を分けて命名できた((3744) ジャック・ロンドン (Jack London) など)が、最近では姓と名を結合した命名が為されている((79896) ビルヘイリー (Billhaley) など)。また、別々の小惑星に命名提案された人名を結合するケースなども最近見られる(ノート:小惑星参照)。
基本的には、一度命名した小惑星名は変更できないことになっているが、何らかの問題が生じた際には例外的に変更された例がいくつかある(小惑星番号#例外を参照)。
小惑星名を日本語で表記する方法はメディア等によってまちまちである。片仮名もしくはアルファベットで表記する場合もあり、日本や中国など漢字圏に因んで命名された小惑星に関しては漢字表記する場合もある。
[編集] 命名の歴史
当初は他の惑星と同じように、小惑星に対してもローマ神話の神の名が与えられていた。やがて小惑星が多数見つかるようになると他の神話の神や文学作品の登場人物、あるいは実在した人物や地名なども用いられるようになった。なお、初期に見つかった小惑星に女神の名が付けられたことから、男性の名前でも女性化して命名されていた。例としては (511) ダビダ(デイヴィッド・トッド (David Tod) →Davida)などがある。そして、1896年に最初の地球軌道に接近する小惑星、1906年に最初のトロヤ群小惑星が発見されると、それらのように特異な軌道を持つ小惑星には男性名(神または英雄など)が付けられることになった(上記の2個はそれぞれ (433) エロス、(588) アキレスと命名された)。その後、小惑星の数が更に増加するにつれて名前の数が足りなくなる恐れが出てきたため、比較的自由な命名が赦されるようになった。
しかし、すでに発見された小惑星との軌道の同定に手間取ることが多く、加えて20世紀末に小惑星の発見数が急増すると提案された名前を審査するのが追いつかなくなり、固有名を付けるのをやめようという意見まで出るに至った。現在、小惑星センターでは発見者一人当たり一ヶ月に1個以上の命名を控えるよう求めている。その一方、小惑星番号が付いてから10年以内に名前を提案しないと命名権を放棄したと見なされる(10年ルール)。こうしたことから、発見数に比して命名された小惑星の割合はあまり多くない。
[編集] 分類
[編集] 軌道による分類
軌道要素が似通っている小惑星のグループを、英語では代表的な小惑星名などの後に「familly」ないし「asteroids」を付けるか、単語自体に接尾辞を付けた名称で呼ぶ。日本語では、木星より内側を公転するグループについては「~ familly」を「族」、それ以外を「群」と訳し、木星以遠については(海王星のトロヤ群を除き)一括して「族」と訳することが多い。
これらのグループは同一の母天体(原始惑星)が分裂して母天体に近い軌道を回りつづけているものや、木星などの引力の影響で一定範囲の軌道に集まったものと考えられており、基本的には前者を「familly」と呼ぶ。
「familly」を最初に発見したのは日本の平山清次であり、21世紀初頭までにメインベルトで数十の「familly」が発見されている。外縁天体については、2007年に2003 EL61を含む「familly」が存在する可能性が報告された。
族 軌道長半径
(AU)離心率 軌道傾斜角
(°)代表的な
小惑星フローラ族 2.15~2.35 0.03~0.23 1.5~8.0 (8) フローラ ベスタ族 2.26~2.48 0.03~0.16 5.0~8.3 (4) ベスタ マッサリア族 2.37~2.45 0.12~0.21 0.4~2.4 (20) マッサリア ニサ族 2.41~2.5 0.12~0.21 1.5~4.3 (44) ニサ マリア族 2.5~2.706 0.057~0.16 12~17 (170) マリア エウノミア族 2.53~2.72 0.08~0.22 11.1~15.8 (15) エウノミア パラス族 2.71~2.79 0.25~0.31 32~34 (2) パラス ケレス族 2.74~2.82 0.08~0.18 7.4~10.5 (1) ケレス コロニス族 2.83~2.91 0~0.11 0~3.5 (158) コロニス エオス族 2.99~3.03 0.01~0.13 8~12 (221) エオス ヒギエア族 3.06~3.24 0.09~0.19 3.5~6.8 (10) ヒギエア テミス族 3.08~3.24 0.09~0.22 0~3 (24) テミス
メインベルト以外の小惑星は特異小惑星と呼ばれる。
群など 軌道
長半径
(AU)公転
周期
(年)惑星 公転
周期
(年)共鳴比 備考 地球の準衛星 1.00 1.00 地球 1.00 1:1 常に地球の近くに位置する。 火星トロヤ群 1.52 1.88 火星 1.88 1:1 太陽-火星のL-4、L-5点。 ハンガリア群 1.85 2.52 火星 1.88 4:3 アリンダ族 2.50 3.95 木星 11.86 1:3 地球近傍小惑星でもある。 ヒルダ群 3.97 7.91 木星 11.86 2:3 木星と衝のころ近日点通過
(木星に近づかない)。テューレ群 4.28 8.90 木星 11.86 3:4 2つのみ発見。 トロヤ群 5.20 11.86 木星 11.86 1:1 太陽-木星のL-4、L-5点。 海王星トロヤ群 30.11 164 海王星 164 1:1 太陽-海王星のL-4、L-5点。
| 小惑星 | |
| 地球近傍小惑星 | |
| 地球の準衛星 | |
| 小惑星帯 | |
| 木星のトロヤ群 | |
| ダモクレス族(逆行小惑星) | |
| ケンタウルス族 | |
| 太陽系外縁天体 | |
| 関連項目 | 小惑星の衛星 |
| 彗星・小惑星遷移天体 | |
| 太陽系小天体(彗星) | |
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- 地球近傍小惑星 (NEA)
- 地球軌道の近くを通るもの。いくつかのグループに分けられるが、特に上から3つを指すことが多い。
- ~横断小惑星
- 近日点と遠日点が、それぞれ対象となる惑星の公転軌道より内側と外側にある小惑星。地球近傍小惑星の多くは地球横断小惑星ということもできる。
- ケンタウルス族 (Centaur)
- 軌道長半径が30 AU以下。近日点は木星軌道から天王星軌道の間に、遠日点は土星軌道から海王星軌道の間にあるものが多い。木星などの摂動を受けやすく、軌道は不安定。彗星起源と考えられており、太陽系外縁天体に分類されることもある。
- 逆行小惑星
- 軌道傾斜角が90度を越えるもの。ダモクレス族と重複するものも多い。
| 太陽系外縁天体 | |
| エッジワース ・カイパー ベルト (海王星との 軌道共鳴) | (3:4) |
| 冥王星族 (2:3) | |
| (3:5) | |
| キュビワノ族 ( - ) | |
| (1:2) | |
| 散乱円盤天体 | |
| オールトの雲 | |
| 類似天体 | ケンタウルス族 |
| 海王星のトロヤ群 | |
| 彗星(遷移天体) | |
| 関連項目 | 準惑星(冥王星型天体) |
| 太陽系小天体 | |
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太陽系外縁天体も、いくつかのグループに分かれている。
- エッジワース・カイパーベルト天体 (EKBO)
他にも多くの族・群がある (Asteroid groups and families) 。
[編集] スペクトルによる分類
小惑星は色、アルベド(反射能)、スペクトルによって大きく3種類に分類される。
上記3つ以外にマイナーな型が存在する。
- A型小惑星
- B型小惑星
- D型小惑星
- E型小惑星
- F型小惑星
- G型小惑星
- P型小惑星
- Q型小惑星
- R型小惑星
- T型小惑星
- V型小惑星
[編集] その他の分類
[編集] 探査の歴史
望遠鏡でも点状にしか見えないため、1990年代に入るまで小惑星の研究は軌道の確定や光度の測定に留まり、その姿については想像の域を出なかった。しかし、恒星食による形状の推定、ハッブル宇宙望遠鏡などの高性能の望遠鏡による観察やレーダー測定により、大きさや形状など、その姿が徐々に明らかになってきた。
そして、1989年に打ち上げられたガリレオにより、1991年に (951) ガスプラ (Gaspra)、1993年に (243) イダ (Ida) の映像が撮影され、人類は初めて小惑星の鮮明な映像を目にした。その後、1996年に打ち上げられたNEARシューメーカーにより1997年に (253) マティルド (Mathilde)、2000年に (433) エロス (Eros) の映像が撮影され、探査機はエロスの周回軌道に乗った後に軟着陸を果たした。その後も、彗星探査機などにより接近こそしないものの小惑星の映像がいくつか撮影されており、現在も先述した方法により調査が続いている。
なお、ガリレオはイダに初めて衛星を発見し、ダクティル((243.1) Dactyl:衛星としての番号)と名づけられた。その後も、主に地上での観測により100個以上(2006年現在)の小惑星に衛星の存在が確認されている(小惑星の衛星参照)。
2003年に打ち上げられた工学実験探査機はやぶさは、2004年5月に地球スイングバイを行い、2005年9月に (25143) イトカワ (Itokawa) に到達、至近距離からの観測を行った。11月には2回の着陸と離陸を行い、サンプル採取も試みた(成否は不明)。はやぶさは2010年6月ごろ地球へ帰還する予定であり、サンプル採取が成功していれば世界初の小惑星からのサンプルリターンとなる。
- 小惑星に接近し、画像を撮影した(またはする予定の)探査機
[編集] 関連項目
- 太陽系小天体
- 小惑星の一覧
- 小惑星で日本神話に関する名を持つもの
- 宇宙空間
- 太陽系
- 準惑星
- ケレス
- パラス
- ベスタ
- ジュノー
- たこ焼き (小惑星)
- 太陽系外縁天体
- エッジワース・カイパーベルト
- オールトの雲
- 平山清次
- 平山信
[編集] 外部リンク
| 太陽系 |
|---|
| 太陽 |
| 惑星 : 水星 | 金星 | 地球 | 火星 | 木星 | 土星 | 天王星 | 海王星 |
| 準惑星 : メインベルトの準惑星( ケレス ) | 冥王星型天体( 冥王星 | エリス ) |
| 太陽系小天体 : 流星物質 | 小惑星 | 太陽系外縁天体 | 彗星( オールトの雲 ) |
| 惑星の衛星と環 : 地球(月) | 火星 | 木星 | 土星 | 天王星 | 海王星 |
| 準惑星の衛星 : 冥王星 | エリス : 小惑星の衛星 |
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