対数

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対数(たいすう, logarithm)あるいは対数関数は、指数関数逆関数となる関数である。

目次

[編集] 概要

対数の概念は、16世紀末にヨスト・ビュルギ1588年)やジョン・ネイピア1594年)によって、便利な計算法として発見された。

a, x, y実数a ≠ 1 とする。a を底にとる指数関数

x = ap
y = aq

に対して指数法則

ap aq = ap+q

が成り立つことを利用すると、 多くの場合近似値による計算になるが、

  1. 対数表を用いて xp に、 yq に変換する。
  2. p + q を計算する。
  3. 逆対数表を用いて(あるいは対数表から逆に読み取って) p + q の結果を ap+q に変換する。

という手順によって、正の数 x, yp + q というに置き換えることができる。特に xy の桁数が大きい場合、積を和に変換できるということは計算機がなかった時代において非常に便利な計算方法となった。ネイピアは、20年かけてこの対数表を作成し1614年に発表した。

対数は煩雑な計算にかける労力を大幅に減らし、ケプラーによる天体の軌道計算をはじめとして、その後の科学の急激な発展を支えた。関数電卓パソコンなどが広く使われる現代においても、厳密な値を必要としない有効数字による計算をする際には非常に便利な方法である。

また、指数関数的に変化する量を対数で変換してみると線型性などの綺麗な性質が浮かび上がったり、双曲線の面積を求める時などに用いる積分x−1 dx に現れたりするなど対数は簡便な計算法以上の意味を持つことも多く、いろいろな場面で現れ、詳しく研究されてきた関数の一つでもある。

[編集] 定義

一般には複素数で定義されるが、その解説は自然対数の項目にゆずる。

[編集] 指数関数を用いた定義

正の実数 a ≠ 1 をとると、 任意の正の実数 xに対し

x = ap

を満たす 実数 p が唯一つ定まる。この p

p = loga x

と書き、p のことを a(てい, base)とする x対数という。このとき x のことを真数(しんすう,anti-logarithm)という。この対数の定義は、オイラーによる。(1728年

[編集] 演算法則からの定義

正の実数 a ≠ 1 をとる。正の実数 x変数にとる実数値連続関数 f(x) が

f(xy) = f(x) + f(y)
f(a) = 1

を満たすとき

f(x) = loga x

と書き、 f のことを aとする対数関数という。

[編集] 特殊な底

自然対数など

1 以外の正の実数であれば底に何を用いてもよいが、分野によって慣例的によく用いられる底があり、底が省略されることも多い。

log x

のように底が省略されている場合は、前後の文脈や扱われている分野によって底が何か判断される。

底を a = 10 とした対数は常用対数 (common logarithm) あるいはブリッグスの対数 (Briggsian logarithms) と呼ばれ、実験などの測定値に用いることが多い。他の対数と区別するために Log などのように大文字を用いることがある。ヘンリー・ブリッグスは、1617年に1000未満の整数について8桁、1624年には1~2万と9万~10万の整数についての14桁の常用対数表を出版した。

底を a = eネイピア数) とした対数を自然対数 (natural logarithm) あるいはネイピアの対数 (Napierian logarithm) という。名前に用いられているもののジョン・ネイピア自身とは関係ない。微積分などの計算が簡単になるため、数学などの理論分野で用いられることが多い。他の対数と区別するために "ln" という記号を用いることがある。

底を a = 2 とした対数 (binary logarithm) は、情報理論の分野で情報量などを表現するのに用いられることが多い。他の対数と区別するために "lg" という記号を用いることがある。

[編集] 古典的な定義

正の実数 x に対して

<math> x = 10^7 \left(1-{1 \over 10^7}\right)^p </math>

を満たす実数 p が唯一つ定まる。この p のことを ネイピアの対数 (Napierian logarithm) という。ネイピアは、1594年に対数の概念に到達し、この定義を用い 20年間計算を続け 7桁の数の対数表を作成し1614年に発表した。

正の実数 x に対して

<math> x = 10^8 \left(1+{1 \over 10^4}\right)^p </math>

を満たす実数 p が唯一つ定まる。この p のことをビュルギの対数という。ビュルギは、ネイピアよりも早い1588年に対数の概念を発見したが、1620年まで公表しなかったため、対数の発見者としてはネイピアが称えられることが多い。

[編集] 対数の性質

a, b は 1 ではない正の実数、x, y は正の実数、p は実数、ln x は自然対数を表すとする。

[編集] 基本的な演算

定義により

<math>a^{\log_a x} = x</math>

真数の積は、対数の和に変換される。逆に(底が同じ)対数の和は、真数の積に変換される。

loga (xy) = loga x + loga y

真数の指数は、対数の定数倍に変換される。

<math>\log_a x^p = p \ \log_a x</math>

真数の逆数は、対数の符号を反転させる。

<math>\log_a {1 \over x} = \log_a x^{-1} = -\log_a x</math>

真数の商は、対数の差になる。逆に(底が同じ)対数の差は、真数の商に変換される。

<math>\log_a {x \over y} = \log_a \left(x \cdot {1 \over y}\right) = \log_a x -\log_a y</math>

底を a から b へ取り替えたいときは

<math>\left(\log_a x\right) \left(\log_b a\right) = \log_b a^{\log_a x} = \log_b x </math>

より

<math>\log_a x = {\log_b x \over \log_b a}</math>

となる。これを底の変換という。正の実数 x が 1 でないならば、b = x とすることにより

<math>\log_a x = {1 \over \log_x a}</math>

底の逆数は、対数の符号を反転させる。

<math>\log_{1 \over a} x = {\log_a x \over \log_a {1 \over a}} = - \log_a x</math>

[編集] 対数の値の大きさに関する性質

底の値によらず、真数が 1 のとき対数は 0 である。

loga 1 = 0

a > 1 の時、対数は狭義単調増加

x < y ⇔ loga x < loga y
<math>\lim_{x\to+0}\log_a x= -\infty </math>
<math>\lim_{x\to+\infty}\log_a x= +\infty </math>

0 < a < 1 の時、対数は狭義単調減少

x < y ⇔ loga x > loga y
<math>\lim_{x\to+0}\log_a x= +\infty </math>
<math>\lim_{x\to+\infty}\log_a x= -\infty </math>

対数の発散はとても緩やかであり p > 0 に対して

<math>\lim_{x\to+\infty}{|\log_a x| \over x^p} = 0 </math>

[編集] 解析学における公式

微分に関する公式

<math>{d \over dx} \ln x = {1 \over x}</math>
<math>{d \over dx} \log_a x = {1 \over x \ln a} = {\log_a e \over x}</math>

マクローリン展開

<math>\ln(1-x) = -\sum^{\infin}_{n=1} {1 \over n} x^n , (|x| < 1)</math>

積分に関する公式(以下の不定積分においてCは積分定数とする)

<math>\int {1 \over p} dp = \ln |p| + C</math>
<math>\int \ln x dx = x \ln x -x + C</math>
<math>\int \log_a x dx = { x \ln x -x \over \ln a} +C = x \log_a x -x \log_a e + C = x \log_a \left({x \over e}\right) +C</math>

[編集] 関連項目

ことばこって?

「ことばこ」は、歴史の人物から最先端テクノロジーまで、なんでも調べられるオンライン百科事典です。ウィキペディア財団が運営を行なっているwikipedia.orgから引用をしています。

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