地上デジタルテレビジョン放送

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地上デジタルテレビジョン放送(ちじょうデジタルテレビジョンほうそう)は、地上(陸上)のデジタル方式の無線局により行われるテレビジョン放送のこと。

地上波デジタルテレビ放送日本における名称で、地デジ(ちでじ、ぢでじ、じでじ)と略される事もある。

地上デジタルテレビ放送の画像イメージ(2004年11月 NHK大阪放送局施設見学会で)

目次

[編集] 概説(日本)

1953年に放送が開始されたアナログ方式のテレビジョン放送(VHF1~12ch・UHF13~62ch)を、UHFチャンネル(13~52ch 53~62chは2012年まで暫定使用)のみを使用したデジタル方式に置き換えるものである。

2003年12月1日11時より東京名古屋及び大阪の3大都市圏から放送が開始され、2006年12月1日には全ての県庁所在地を含む一部の地域で放送が開始された。放送体制の未整備などにより、受信が不可能な地域も多く存在していることから、2011年までに全ての地域で受信可能にすることを目標に各地の送信所・中継局の整備が進められ、また一部地域では衛星による送信や光IP放送といった代替手段を利用することも検討されている。

国の政策により、現在放送されている地上アナログテレビジョン放送は2011年7月24日までに全国で終了(停波)する。つまり、アナログ放送のみに対応している従来型テレビ受像機では、新たにチューナーを導入しなければ一切のテレビ放送が視聴できなくなる。ただし、地上デジタル放送受信機の普及状況及び送信所・中継局の整備状況により、終了時期が2011年7月24日より前倒しされる、もしくは延期される可能性もある(開始当初は2011年までに普及率が85%を超えなかった場合、終了する時期を延期するとしていた。当初予定より多少遅れているため、延期される可能性が高い)。

  • 停波日として予定されている「2011年7月24日」の根拠は、電波法が2001年7月25日に改正施行された際に(平成13年法律第48号。後述の#アナアナ変換の費用に電波利用料を充当する事が柱となった)、地上アナログ放送の周波数を使用できる期間を施行から10年を超えない期間と定めた事による。

これに伴い、空きとなるVHF4~12chとUHF53~62chの周波数帯は、地上デジタルラジオ放送や移動体通信用に転用する予定である。ただし、地上波デジタルラジオ放送については、放送統合運営会社(マルチプレックスジャパン)設立を民放側から「白紙にする」と示されたことから、本放送開始時期は2011年ごろまで確定していない。

[編集] 呼称

地上波によるテレビジョン放送について、デジタル放送の開始が決定した当初、市場では「地上波デジタル放送」と呼称していた。その後、総務省が「地上デジタル放送」を呼称とした事により、2002年12月頃より放送事業者側でも「地上デジタル放送」と呼称を変更している。その他メディアでは語感が良い、使い慣れているなどの判断から現在でも「地上波デジタル放送」と呼んでいるところもある(「デジタル放送の一覧」の項目も併せて参照の事)。

略称の「地デジ」は、公式な読み方は「ちデジ」(「ち」が濁らない)となっている。一時期には「ぢデジ(じデジ)」(「ち」が濁る)という読み方が用いられていた<ref>例えば、2006年上半期に放映されていた東芝の地上デジタルテレビのCMでは後者の読み方が用いられていた。</ref>。「じでじ」や「ぢでじ」は公式ではないものの間違いというわけではない。

[編集] 特徴など(日本国内)

従来の地上アナログテレビ(左)と地デジ(右)の比較
中京広域圏のデジタル放送を送信する
瀬戸デジタルタワー

地上デジタルテレビジョン放送と地上アナログテレビジョン放送の違いや、追加された機能は以下の通り。

高精細・高画質

MPEG-2 TS圧縮によるハイビジョン(1125i/1080i)放送が行われている。解像度は1440×1080i、17Mbpsの固定ビットレートでほぼリアルタイム圧縮されているため、BSデジタル放送(最大24Mbps、一部では1920×1080iでの放送もある)や次世代DVDフォーマット(最大1125p/1080p、最大30~40Mbps、しかもMPEG-2より高圧縮なコーデックも使用されている。ただしソフトによって異なる)に比べれば画質は劣る。なお、ハイビジョンで制作されていない番組はアップコンバートによりピラーボックス形式で放送されている。

高音質

デジタル放送のため理論上は電波・受信障害による音質劣化がない。またキー局などからのネット番組でも光ファイバーのデジタル中継回線を使用して送られているため音質劣化が少ない。音声はMPEG-2 AACで圧縮されている。アナログ放送ではモノラルでの二か国語放送かステレオの一方でしか放送が不可能だったが、ステレオによる二か国語放送や5.1chマルチチャンネルでの放送も可能になった。

番組表、番組情報

電子番組ガイド(EPG)により受信機で番組表や番組情報を利用できる。ただしアナログ放送でもGガイドADAMSによる番組表の受信が可能でありDVDレコーダーなどで利用されている。

データ放送

テレビ番組と同時にデータ放送の閲覧が可能である。BMLという規格を用いて制作されている。基本的にはニュースや天気予報が表示でき、受信機で設定した地域情報に合った情報が配信される。また一部では番組の解説や紹介された店舗などの情報を連動データ放送として番組放送中に提供している。Category:データ放送連動番組も参照。局によっては受信機にインターネット回線を接続する必要があるサービスもある。

データ放送のフォーマットは地上デジタル放送・ワンセグ共キー局が製作し、各地方局でローカル情報を追加するのが基本である。独立局では各局が個別にフォーマットから制作している(ただし日本テレビ系列での日本テレビと系列地方局の様に、同じ系列でもフォーマットが違う場合がある)。

また、データ放送を利用してテレビやDVDレコーダー等の機能を向上したり不具合を修正するファームウェアを配信することが可能である。電波が受信できる状態であれば特に意識することなくファームウェアが最新の状態に更新される。

双方向サービス

青・赤・緑・黄の4色ボタンを利用して視聴者参加型クイズやアンケート、投票を行う事ができる(ワンセグも含む)。ただし双方向と言っても受信機から局に向けて電波を飛ばすことはできないのでインターネットか電話回線を接続する必要がある。

しかし、多大なコストが掛かる事や、2011年7月24日までは地上波アナログ放送とサイマル放送をする都合上、通常編成で導入している番組はない。以前放送されていた番組では、テレビ朝日系の『奇跡の扉 TVのチカラ』が双方向機能を利用して捜査依頼や目撃情報を受け付けていた。現在でも特別番組で採用する事がある(NHKの『紅白歌合戦』『歴史の選択』、TBS系の『オールスター感謝祭』、テレビ朝日系の『テスト・ザ・ネイション』など)。

マルチ編成

SDTV(標準画質)×最大3番組の編成が可能。1チャンネル当たりの帯域幅には制限があるので、高精細度テレビジョン放送とマルチ編成はどちらか一方のみ。「ハイビジョン画質でマルチ編成」はできない。

現在レギュラー編成で導入しているのはNHKデジタル教育テレビ(全国)、TOKYO MXテレビ愛知放送大学のみ。特別番組や臨時編成では他の放送局(NHK総合・民放共)も行う場合がある。毎日放送は地デジ本放送開始当初、通販番組板東英二の欲バリ広場』で、NHK静岡放送局のデジタル総合テレビは2006年4月2日から2007年3月9日まで、『ゆうどきネットワーク』と『ゆうどきネットワーク東海・北陸』で、それぞれマルチ編成を行っていた。

移動体向け地上デジタルテレビジョン放送

ワンセグの項を参照。

ノイズ及びゴーストのない映像

アナログ波より電波妨害全般に強く、アナログ放送で電界強度が十分でありながら画質が劣化してしまう条件であっても、デジタル放送では障害物の影響を排除して鮮明な画像が受信できる。ある程度の受信レベルさえ確保できれば難視聴地域の減少も可能となり、中継局の合理化にもつながる。従来のアナログ放送の場合、電波が微弱であってでも不鮮明な映像や音声で限定的に受信する事ができたが、デジタル放送の場合は全く受信できないか、鮮明に受信できるかのどちらかになる場合が多い(電波が微弱な場合は激しいブロックノイズなどを伴う場合がある)。

同一周波数中継(SFN)

これにより電波の利用効率を大幅に高める事ができる。

B-CASカードによる限定受信

詳しくは下のB-CASによる限定受信で解説する。

リアルタイム放送が不可能

送受信の際、デジタル信号(映像・音声等)のエンコードデコード処理のため地上アナログ放送と比べて1-3秒のタイムラグ(時間のずれ、遅れ, time lag)が発生する(特にデコード処理は受信機の仕様に依存する)。このため時報が廃止され、時刻出しでは時刻表示の変化の仕方を変えるなどして、タイムラグによる影響を最小限に留めている。特にワンセグ放送はH.264の演算量が多いことに加え、携帯機器での使用が多くデコーダーの性能を確保しにくいことから、タイムラグがさらに長く発生する。地上波とBSの同時放送では地域にもよるが、BSデジタル放送よりもさらに若干タイムラグが発生する。

  • これらの特徴は、規格上はBSデジタル放送と同等である。しかし、BSデジタルよりも障害物の多い地上デジタルでは、安定して受信可能な実効ビットレートがより低く、従ってブロックノイズなどの品質低下がより多い、とする向きが一部にある。

[編集] サイマル放送

地上デジタルテレビジョン放送局の免許は「地上デジタルテレビジョン放送局の免許方針」に沿って割り当てられる。同方針に規定する免許の基本的要件として「自ら行う地上アナログテレビジョン放送の大部分の放送番組を含めて放送するものであること」である事が求められ、具体的には「自ら行うアナログテレビジョン放送(補完放送を除く)と同一の放送番組の放送(略)については、1日の放送時間中、3分の2以上の時間で放送が実施されるもの」でなければならないとしている。これをサイマル放送と言う。

[編集] リモコン番号

日本の地上デジタルテレビジョン放送では、SI情報を送信し、郵便番号などで地域設定をした受信機でそれを受信する事で、受信された周波数の放送を特定のリモコン番号に割り当てる事ができる。この番号はあらかじめ放送局毎にリモコンキーIDとして決められている。

[編集] アナアナ変換

[編集] 概要

地上デジタルテレビジョン放送は、現在地上アナログテレビジョン放送にも使われているUHF帯の一部を用いての放送となる。デジタル放送開始のために使用できる送信周波数帯(送信チャンネル)を確保するため、一部の地域ではデジタル放送と同一チャンネルとなる既存のUHFアナログ中継放送局の送信チャンネル(周波数)を変更する事となった。このための費用のうち、キー局などの送信設備の対策に係る費用を除く各家庭用の受信設備の対策に係るもの、及び地方局の送信設備の対策に係るものは国が電波利用料を財源に支出し、各戸毎に変更工事を行っている。この様なアナログ放送チャンネルの変更(移動)を、一般にアナアナ変換(アナログ-アナログ変換を短縮したもの、通称アナ変)と呼んでいる。

このアナアナ変換の実施は、地上デジタル放送開始時点には終了している事が望ましい。しかし、影響を受ける地域の視聴者を個々に回り各テレビの受信周波数の確認を行い、必要であれば変更作業を行う必要から、作業そのものに時間が掛かったり(最悪UHFアンテナごと交換する必要もある)、変更したチャンネルが別の地域に影響を及ぼすため、その地域のアナアナ変換を終了させてからでないと別の地域のアナアナ変換が開始されなかったりといった理由で、先行して放送開始した三大都市圏を中心に、放送開始時点までに対象の全戸の変更が完了していなかったり、完了できないところがある。従って、既存のUHFアナログ放送の視聴に混信妨害を与えないように放送アンテナの指向性・送信出力を制限しているため、局によってはアナアナ変換完了までデジタル放送の受信可能範囲が著しく制限される事となった。

[編集] 沿革

  • 2003年1月ごろ - 関東・関西・東海地方とその周辺の一部地域で実施を開始
  • 2005年1月ごろ - ほとんどの地方局の中継局で実施を開始
  • 2007年3月20日 - 愛媛県の長浜出海中継局(NHK松山総合のみ)を最後に、予定されていた全てのアナアナ変換が終了した。

[編集] B-CASによる限定受信

日本では2007年現在、地上デジタルテレビジョン放送の限定受信システム(CAS)としてB-CASが導入されている。放送開始当初はB-CASによる限定受信及びコピー制御は行われていなかったが、2004年4月5日に運用が開始された。地上デジタル放送ではB-CASのユーザー登録をしなくてもBSデジタル放送の様にNHK視聴中のテレビ画面左下には「ユーザー登録のお知らせ」は表示されない<ref>イメージ画像はNHK「受信確認メッセージ」を参照。</ref>。

地上デジタル放送対応の各種機器には、同梱されている“B-CASカード”というICカードを挿入する。限定受信により、地上デジタル放送では一部の番組を除き対応機器にB-CASカードを挿入する事が必須になり、挿入しないと視聴などが不可能になった。また、コピー制御により一部の番組を除きコピー制御信号(コピー禁止又はコピーワンス)が付加され、録画機器での放送・番組の録画に対して様々な制限が掛かる場合があるため、アナログ放送同様の利便性を求めるユーザーの不満の声が強い(DVDレコーダー#DVDレコーダーとコピー制御の関係の項などを参照)。

数年後のアナログ放送停波をにらみ、現在家電メーカーや放送局ではコピー制限は維持しつつ、抵抗感の根強いユーザー登録制度を不要にしたり、ICカード発行配布に関わるコスト等を低減する方向で検討している。一部報道<ref>[1]</ref>によると、2008年秋頃をメドに、現在B-CASが担っている限定受信機能はテレビ本体(のファームウェア)に組み込み、地デジを見るだけならB-CAS(及びユーザー登録)を不要にするという事になりそうである(あくまでもそういう方向で検討されているという事であり、最終確定ではない)。

[編集] 受信方法(日本)

[編集] 対応機器

地上デジタル放送対応のチューナー(録画機能などを含まないチューナー単体の市場実売価格:2~10万円程度)、あるいは同対応のテレビ受像機ないしHDDレコーダー(ネット通販で最安で5万円台で販売されている例もあり、チューナー単体を買うより割安と言える。ただし、起動に時間が掛かる機種が多いのが難点)が必要となる。テレビ受像機は、23/20型以上のものが大半で、それ以下の小型モデルのラインアップが2006年中盤までは少なかった事も普及の妨げになっている(2007年4月現在、ワンセグ端末を除いた業界最小のデジタルテレビはシャープのLC-13SX7。同モデルは4:3。16:9でハイビジョン視聴が可能なモデルは同じくシャープのLC-16E1)。

いわゆる激安薄型テレビの中には、BS・110度CSデジタルチューナーを搭載せず、地上デジタルチューナーのみを備えているものが多い。また、こういったモデルはデータ放送と双方向機能を持たない。

現在、単体のチューナーを生産しているのはソニー松下電器産業シャープDXアンテナマスプロ電工ユニデンアイ・オー・データ機器の7社のみで、OEM製品を含めても種類は少ない。なお、ユニデンのモデル(八木アンテナ・AVOXにOEMあり)は地上デジタル専用で、データ放送と双方向機能に加えてEPGも搭載していない(番組情報の表示は可能)。また、マスプロ電工のモデルはHDMI出力や光デジタル音声出力を搭載していないため、5.1サラウンドはできない。

ハイビジョン画質で視聴できるかどうかは受像機の性能による。また、既存のアナログ放送用の受像機にデジタルチューナーをつないで視聴する場合は、受像機がハイビジョン画質を再現できる能力を持つ事の他に、受像機とチューナーのHDMIケーブルやD端子ケーブル、コンポーネントケーブル接続など、ハイビジョン画質を伝えられる接続方法を採らないとハイビジョン画質にはならない。

[編集] アンテナ

地上デジタルテレビジョン放送はUHF帯で放送されるので、オールバンド(13~62ch)対応のUHFアンテナ(八木・宇田アンテナ)を設置する必要がある。送信チャンネルによってはローバンド(13~44ch メーカーによって異なる場合がある)、ハイバンド(25~62ch メーカーによって異なる場合がある)対応のアンテナでも可能な場合がある。また、ローバンド又はハイバンド対応アンテナでアナログ放送を受信していた場合は、それぞれハイバンド、ローバンド対応アンテナを追加設置する方法もある。新規に購入する場合は電子情報技術産業協会(JEITA)の「DHマーク」の付いたアンテナが勧められているが、実際はUHF帯が中心の地域であれば従来のUHFアンテナでも(帯域が合えば)問題なく受信できる確率が高い。最近では放送区域内(強・中電界地域(電界強度60dB以上))向けに八木・宇田アンテナより小型で特殊なUHFアンテナが各メーカーから発売されているが、見た目を重視した製品で、これらのアンテナを必ずしも用いなくてもよい。

これまでのアナログ放送とデジタル放送の送信所が大きく離れている場合は、アンテナの向きを変更する必要がある。例として、名古屋市ではアナログ放送は名古屋テレビ塔(VHF)・東山タワー(UHF)だったがデジタル放送は瀬戸デジタルタワーに、福岡市ではUHFで放送していた福岡放送TVQ九州放送鴻巣山からの送信だったが、デジタルは全局福岡タワーからの送信となり(これまで福岡タワーはVHFのみだった)、アンテナの向きを変える必要がある。

地域によってはこれまで開局毎にバラバラだったアナログ送信所が、これを機にNHKと民放すべてがまとまり、1ヶ所からの送信となるところが多く、UHFアンテナ1本で済む様になって来ている。例として、静岡県浜松市ではアナログ放送時NHKは牛山、静岡放送は富塚、その他の民放UHF局は入野の各所に分かれていたが、デジタルでは全局牛山送信所に集約された。

放送区域内(強・中電界地域、放送エリアのめやすのエリア内)の放送局を受信する場合は、地元局用の14~20素子程度のUHF八木・宇田アンテナ又は小型で特殊なUHFアンテナを地上10m程の高さに設置すれば受信できる。放送区域外(弱電界地域(電界強度60dB未満)、放送エリアの目安のエリア外)の放送局を受信する場合は、電界強度に応じて素子数の多い<ref>最大で30素子、場合によってはパラスタックアンテナ、素子数が増える程アンテナが大型となり、アンテナの設置・維持管理が困難となる欠点があったが、最近は小型で30素子並みの動作利得があるアンテナ(マスプロ電工の「LS14TMH(東・名・阪専用)」など)が発売されている。</ref>アンテナを地上10m超の高さに設置する必要がある。30素子のUHFアンテナを設置しても受信困難な場合は地上デジタル放送対応の受信ブースターを併用する。ただし、電界強度が極度に弱い地域は30素子のパラスタック型UHFアンテナとブースターを使っても、またいくら受信点を高くしても受信できない。強電界地域(電界強度80dB以上)は、八木・宇田アンテナの他に軒先アンテナ、室内アンテナ、簡易型アンテナなどを地上10m未満の高さに設置しても受信可能である。ただし、低い位置に設置されている室内アンテナは、風や移動障害物(歩行者・車など)の影響を受けやすい。移動体端末でワンセグを受信する場合、地上10m未満の高さでの受信になってしまうため放送区域内でも電界強度が弱い場合は受信できない。

アンテナの腐食やケーブルの腐食・断線などによっては交換が必要である。

平行フィーダー線は外部からの雑音に弱いため、同軸ケーブルへの交換が必要である。

共聴受信設備で受信する場合、強電界地域などを除いてアンテナ線・混合器・ブースター・分配器・壁面直列ユニット(アンテナコンセント)などはすべて地上デジタル対応の高性能タイプに交換しなければならない<ref>アンテナコネクターも受信機側は必ず外部妨害波に強いF型接栓を使用。従来のL型プラグは使えない。</ref>。さらに110度CSデジタル放送の受信には、「2150MHz」という従来より大幅に広い伝送帯域に対応した高性能設備が必要である。

ケーブルテレビ経由で視聴する場合はCATV局によって送信方式が異なり、「トランスモジュレーション方式」と「同一周波数(または周波数変換)パススルー方式」がある。トランスモジュレーション方式はSTBを経由させなければ受信不可能なため、CATV局との契約が必要となるが、パススルー方式は個別受信同様に地上デジタル対応機器のみで視聴が可能<ref>ただし、トランスモジュレーション方式はUHF以外の周波数帯に変換するため、局や地域によって受信障害が発生する場合がある。</ref>。

地上デジタル用のアンテナ線接続は、コピーガードなどによる画像の乱れを避ける観点からアナログチューナーのみ搭載のビデオデッキDVDレコーダーを経由せず、直接地上デジタルチューナー(内蔵テレビ)に接続するのが望ましい。もしアナログのビデオやDVDレコーダーへの分配が必要な場合、地上デジタル対応の高性能型分配器(全電流通過型)を用いる必要がある。これに対して地上デジタルチューナー内蔵のDVDレコーダーやビデオデッキにはアナログ・デジタル双方の分配器が内蔵されているので、録画機器からテレビへは従来のアナログ機器と同じ感覚で接続可能。

[編集] 従来のアナログ受信機になかった新項目

※地デジ受信機はいわゆるデジタル家電であるため、特に初期設定の項目は従来のアナログ受信機より増え、その方法も複雑である。

[編集] 郵便番号の設定

地上デジタル及びBSデジタルではデータ放送が実施され、自分の住む地域や行きたい地域の情報を家庭で受け取れる。チャンネルやデータ放送の初期表示など、地域別の情報は郵便番号により振り分けるため、初期設定時に自分が住む地域の郵便番号を正しく入力する必要がある(メーカーや機種によっては電話番号市外局番・都道府県入力も合わせて必要となる)。

[編集] 電話回線もしくはインターネットへの接続

双方向番組への参加や、(現時点で地上波では特番のみでレギュラー編成番組では導入されていないが)有料チャンネルの視聴料金やりとりのためには、電話回線への接続、もしくはインターネットに接続できるLAN回線接続が必要である(アクトビラを利用する場合はブロードバンド環境が必要である)。

地上デジタルテレビジョンチューナー(テレビ、HDDプレーヤー内蔵含む)には、電話回線の分配機が同梱されている場合が多いが、電話回線に通信機器(電話機など)が2台以上接続されている時は、ナンバーディスプレイが使えないことがある。メーカーに分配機使用時のナンバーディスプレイ使用可否を確認すると、切り換え機を使えと説明を受けるが、テレビと電話が別部門のため、実機でナンバーディスプレイ使用可否の動作は検証はされていない様である(2006年現在)。

[編集] 個人情報の適切な管理

受信機やチューナーは、内部に高度なソフトウェアを使用しており、受信できるチャンネルの設定やテレビショッピングに関わる様々な個人情報が不揮発性メモリに蓄積されている可能性があるので、受信機やチューナーを廃棄したり転売する時に適切な処理(画面上にメニューを呼び出して「個人情報の消去」といった項目を選ぶ)を行わないと、機器内の個人情報が漏洩し、悪用される可能性がある。

購入後に製品添付のハガキもしくは各メーカーサイトでユーザー登録をしておけば、製品に関する最新情報をメールもしくは郵便で受け取れる。

[編集] 電源プラグは抜かず、機器の主電源は常時「入」

地デジチューナー(内蔵テレビ及びDVDレコーダー)には、視聴待機状態時にも動作するソフトウェアが組み込まれており、この間に各種データが最新の状態に更新される。このため、視聴を終えて電源を切る際はリモコンで電源を切る事が大切である。機種によってはプラグを抜くなどして電力供給されない状態が1週間以上続くとこれらのデータが消え、再度郵便番号などの設定を行わなければならなくなる。また、設定は消えなくても番組表情報は1週間分しか保持されないので、電源を入れてから数秒~数分間は番組表を利用できなくなる(当該チャンネルに合わせる事により優先的に番組表情報を受信できる)。

[編集] 接続した録画機器の初期設定

従来のアナログ受信機とは録画方法も大きく異なる。特にデジタルチューナーには、Irシステムと呼ばれる録画機器側に於ける設定を一部簡素化する便利な機能がある。ただし、これを動作させるには録画機器とデジタルチューナーとを専用のIrシステムケーブルで結び、接続した録画機器の情報をデジタルチューナーに登録しなければならない。

[編集] 一部地域での受信方法

一部の中継局で、アナログ放送停波までに放送が間に合わない可能性があるため、そうした地域に限って、衛星や光IP放送による地上デジタル放送の再送信を行う予定である。スカパー!と通信衛星を保有するJSATが衛星での再送信を、送信所や中継局を多く抱える北海道に於いて実証実験を行った後、2007年に開始する。また、光ファイバーを利用したIP放送では2006年までに標準画質(SDTV)、2008年にはデジタル放送と同じ高精細な映像で再送信する予定である。北海道では山間部における受信対策として、2007年3月より、受信点から光ファイバーケーブルで伝送した信号を、「ギャップフィラー」と言う携帯電話基地局に似た小型の送信機で再送信する実験を開始した。これが実用化されれば、新規に中継局を設置することなく、安価に難視聴地域を解消することが出来るようになる。

[編集] デジタル化、及びアナログ波停波に関する問題

[編集] 視聴者のニーズ

2007年現在、2011年7月24日までに地上アナログ放送が停波になり、現在のテレビ(アナログのみ)では地上波が視聴できなくなる予定である事を未だ知らない人が多い。

そのため、民放でも幾度とアナログ放送の終了を告知するCMが放送されている。現に家電量販店などの店頭のアナログチューナーのみのテレビには「2011年アナログテレビ放送終了」のシールが貼付されている<ref>AV Watch『10月22日からアナログテレビに「2011年放送終了」シール』</ref><ref>AV Watch『「2011年アナログテレビ放送終了」シール貼付け開始』</ref><ref>MYCOMジャーナル「総務省とD-pa、2011年のアナログ放送停波告知を開始」</ref>。家庭用テレビ受信機の寿命は平均10年以上といわれているが、「4年で使えなくなる事が決まっている」アナログのみ対応の機器が多数ディスカウントストアなどの店頭に展示されていることや、さらに「何年経っても(自分の在住地で)受信できないなら、高いテレビを買い換えることに意義がない」ことから、まだまだ多数の国民が高価な地上デジタル放送対応機器に価値を見出していないともいえる<ref>ただし、ビデオ編集モニター防犯監視カメラシステムで使う画面など、放送の視聴以外の用途を目的としてアナログ放送のみ対応の受像機を購入する人もいる。</ref>。

高価なデジタルチューナー搭載の関連機器に買い換える経済的余裕がないワーキングプアと呼ばれる人々が増えている現状や、一般家庭では昔の様な「一家に一台」から「一人に一台」へとテレビに対する感覚が変わっていること、あまねく全域で受信できる日がすぐに来ないことなどから、2011年7月24日までに全国で全面的に買い替えが進むとは考えにくいとする意見もあり、物理的に不可能に近いとする意見も多い。また、離島や農村部など周辺に電器店や専門店がほとんどない地域へのフォローをどうするかという問題もある。

カーナビゲーション内蔵チューナーは価格面などの問題で普及が進まず、2005年までは多くが地上デジタル放送非対応であった。2007年現在も純正ナビはトヨタの高級車ブランドのレクサスですらデジタルチューナーは他メーカー製品の外付けオプション仕様である。輸入車に至ってはどんな超高級車でも後述の理由によりほぼ絶望的であるのが現状である。

家電メーカーや家電量販店を中心にして、地上デジタル放送を視聴するために、液晶テレビやプラズマテレビの購入を促すセールスや商品展開が行われている<ref>ハイビジョンブラウン管テレビの方が筐体は大きいものの、現在の多くの薄型テレビより総合的な画質で上回っているとされ、薄型テレビより安価であるが、国内メーカー各社はハイビジョン対応のものを含むブラウン管テレビの製造から撤退しており、薄型テレビしか選択肢が無い。</ref>。実際は地上デジタルチューナー搭載機器をアナログテレビに接続(昭和50年代半ばまで製造された、ビデオ入力端子が搭載されていないテレビでは、更にビデオ信号をRF信号に変換するコンバーターなどが必要)すれば、画質の差はあれど地上波デジタル放送を視聴する事は可能である<ref>これは家電リサイクル法も影響している。ブラウン管式テレビは家電リサイクル法の対象であるが、液晶及びプラズマテレビは、2007年現在、まだ家電リサイクル法の対象ではない。</ref>。(受信機器について充分に理解していない)国民に一層の誤解と混乱、不信を与える事となっている。

地上デジタル受信機の大半は日本国内にある特定の大手メーカーでのみ生産されており、コスト面の問題から海外や中小のメーカーには日本の規格に合った地デジ受信機を生産出来るメーカーは少数である。その結果、国内大手メーカーの寡占状態を招き、受信機は高値維持状態が続く可能性がある。

アナログ放送の終了と共に使えなくなるデジタル放送未対応の機器<ref>2000年2003年に製造された、BS・110度CSデジタルチューナーは搭載しているが地上デジタルに対応していない機器を含む。</ref>を使い続けるために、地上デジタルチューナーの購入が推奨されているが、家庭内に複数の受信機がある場合は各受信機ごとに地上デジタルチューナーを購入しなければならない。2007年現在、大手メーカーのチューナーで5~6万円と、廉価受信機の数倍の価格が付けられている。さらに、家庭用ビデオデッキDVDレコーダー含む)各家庭に相当数普及しているのだが、地デジ草創期までに発売された旧型の製品の場合、多くの製品にデジタルチューナーが搭載されていないため、それらの製品では、アナログ放送終了後、テレビ放送が全く受信できなくなる。それまでのライブラリーの再生及び手動録画のみに限定して使用を継続するか、あるいはデジタルチューナー搭載の製品に買い換える必要があるという問題が生じる。しかし、そうした機器であっても、外部機器で地上デジタルテレビを受信して、その外部機器からの映像と音声を入力すれば、録画は可能である。既に、対策の一環として、電機メーカー各社から視聴用と録画用の2つのチューナーを搭載したデジタルテレビが発売されており、消費者は、テレビ(録画機とデジタルテレビは異なるメーカーであっても基本的に問題ない場合が多いが、電機メーカー各社は録画機と同じメーカーのデジタルテレビを組み合わせる事を推奨している)の方を買い換えるだけで、今ある録画機でそのまま、裏番組の録画や留守中のタイマー録画などが行なえる可能性もある。

「双方向性」といわれているが、活用できるのはせいぜいクイズやアンケート番組に視聴者が参加できる事やテレビショッピング程度ではないかといわれる。なお、地上デジタル放送では課金に係わる機能が実装されていないため、BSデジタル放送と異なり、テレビ単体でテレビショッピングはできない。

そんな状況から、現在のアナログ放送に不満がない人、つまり所得の多少に関係なく「テレビがある程度の画質で見られればそれでいい」と言う価値観の人も多く、一連の移行に際しては「家電業界など関連業界が儲かるだけ」とする冷ややかな見方もある。

そもそも、地上デジタル放送自体がコンテンツ多様化による、インターネット等のPC系メディアに対抗するものであるが、以上のような問題は却って大衆のテレビ離れを招き、テレビ放送(連動する新聞雑誌等の報道メディアを含む)の影響力の低下を加速させる可能性がある(現状、すでに「テレビはなくてもネットは出来る」という状況が単身世帯を中心に出現している)。

[編集] 移行の際の混乱

デジタルへの移行は、相当年数の告知期間を設けているとは言えども、市場原理により徐々に駆逐されていく(例えばベータマックスの事実上の消滅)場合とは異なり、政策によりある日突然それまで視聴できたアナログ放送が全国一斉に停止となるため相当の混乱が予想され、一説には数千万人単位の人口が停波予定日以降テレビジョンを受信できなくなるとも言われている。これらの人々を総称して「地デジ難民」と呼ぶ。

現行アナログ放送の終了は年金生活高齢者、生活保護世帯、単身者、勤労学生などの経済的弱者にも新しい受信機への買い換えもしくは地上デジタルチューナーの新規購入を強いるものであり、これを負担できない人々は結局テレビの視聴を諦めなければならず、あまねく国民全員が享受して来た情報伝達や娯楽手段を一部の人々から奪う事になりかねないので、「弱者切り捨てではないのか」という不満の声があるのも事実である。

受信できる放送局がB-CASカードの登録住所の郵便番号により厳密に管理されるので、県境に近い所に住んでいるなど地形的な要因でこれまで他県のアナログ放送を受信できていた世帯は「余禄」を失う可能性がある。もっとも、テレビへの郵便番号登録は、受信可能なチャンネルを見つけ出す「スキャン」と呼ばれる機能を縛るものではないので、隣接県の放送を全く受けられなくなるという訳ではない。

デジタル放送は、その伝送誤りの処理能力内なら障害のない(又は少ない)受信が可能だが、誤り処理能力を超えた伝送誤りが発生すると全く受信できなくなる。アナログ放送ならば、災害などで地元の放送局に障害が生じても、他県の放送をゴーストが生じたり、色がつかなかったりする状態で何とか受信して災害情報を得られる可能性があるが、デジタル放送ではその可能性は低くなる。これは、デジタルラジオの普及後もアナログラジオ放送を継続する政策の理由の一つである。なお通常時においても、現在は辛うじて受信できていて、デジタル波になったら全く受信できなくなる地域も存在する。特に2007年現在、地方局などではまだまだ受信耐久率がアナログ放送以下のテレビ局が多く、そういった局はやや強い雨や雪が降っただけですぐに映らなくなる事が頻繁である。

デジタル放送の特徴のひとつは、横:縦 の比が 16:9 のアスペクト比を持ついわゆる「ワイド画面」(従来のアナログ放送は 4:3 )だが、この機能を使えるのは当然ワイド画面を持つ受像機に限られる。従来の4:3の画面の受像機に地デジチューナー(セットトップボックス、STB)などを追加してワイド画面の放送を受信するためには、映像の左右を画面に合わせ上下に映像のない黒い帯を付加する「レターボックス」、または映像の上下を画面に合わせて映像の左右を切り捨てる「パンスキャン」を選択しなければならない。前者では上下方向の解像度が従来の放送より低下し、後者では放送側では「見えているはず」として送り出している映像の一部が欠けることになり、結果的にワイド画面映像を従来の受像機で見る視聴者は失うものこそあれ得るものはない。さらに状況によっては「額縁映像」と呼ばれる、上下左右に黒い帯のついた、受像機の画面より二まわりほど小さな映像が見えることもある。「額縁映像」は、ほとんどの場合セットトップボックスの設定を変えるなどして防ぐことができるが、高齢者やいわゆる「デジタル弱者」にとっては、本来簡単な設定の変更でさえ敷居が高いことが多い。

以上の様な状況であり、既に各方面より異論が出ている。総務省の諮問機関「情報通信審議会」において、停波の時期を延長すべきとの意見も出されている。業界などでも2011年の停波は無理であるとの意見が多数あり、いくら先延ばしにしても絶対停波できないとの意見も少なくない。ただし、既にアナログ停波を宣言してしまっている以上、停波そのものの撤回は難しい。これは逆に買い替えをしてしまった人からの反発も予想されるからである。また停波時期の延長も電波法の再改正を必要とするため容易ではない。かといって停波を実行した場合、様々な事情で買い替えができない人からの反発も予想されるため、非常に難しい問題である<ref>米国では、2009年2月の停波に向け、デジタル対応テレビへの買い換えが困難な低所得者層に対し、デジタルTV変換コンバータ購入用としてUS$40のクーポンを配布する方針である。これに習い、日本でも低所得者世帯などにセットトップボックス(移行時点での予想価格5,000円程度)を無料配布する提案もなされている。しかしながら、地デジへの移行に受像機の変更だけでなく新たなアンテナ設備(工事費を含めて数万円)も必要であるが、このことは「デジタルへの移行」自体よりさらに少数の理解しか得られていない。実際、「デジタルへの移行」は何となく理解して、新しい受像機に買い換えるときに「地デジ対応」製品を購入したものの、アンテナその他までには理解が及ばず、実際には従来のアナログ放送を新しい受像機で受信しているだけなのにもかかわらず、デジタル放送を視聴していると信じ込んでいる例も報告されている。[2]</ref>。

ケーブルテレビは、電波を使用せず同軸ケーブルで信号を配信するので、現在のアナログテレビジョン放送用のVHF帯の電波の再割り当てが実施されても、何ら影響を被ることなく従来の信号を送信を継続することが可能なはずである。したがって、上記の「従来のテレビ放送の品質・機能で満足している」、「デジタルへ移行する費用をかけたくない(かけられない)」視聴者を救済する手段として、ケーブル局でデジタル信号をNTSCのアナログ信号に変換し、必要ならばパンスキャンの処理をして従来のVHF帯信号で再送すれば済むはずである。実際にはこのようなことは行われておらず、ケーブル局においても「アナログ放送は終了してデジタルに移行するから」と、各契約者に受像機の数だけセットトップボックスを売る(または貸す)、デジタル契約を結ぶことを進めている。アナログ契約では受像機一台分の契約しかしなくてもアンテナ分配器で実際の受像機の数を増やせたが、デジタル契約では「契約受像機数=セットトップボックス数=受像できる受像機数」となるので、複数の受像機を持っている場合、結果的に受像機数分の契約を強いられることになり、その分ケーブル局の増収となる。ケーブルテレビでのデジタル放送受信方式にはセットトップボックスを必要としないパススルー方式があるが、難視聴地域の解消という目的もあることから、パススルーによる送信は地上デジタル放送のみ実施している局が多い。

松下電器産業パナソニック)は「アナログチューナーのみの従来型テレビの生産を2006年で終了する」と発表している(しかし2007年に入っても一部機種は生産が続けられている)。他の電機メーカー各社もこれに追随すると思われ、東芝三菱電機ソニーは既に生産を終了した。

これらの問題については、新聞などの投書欄で読者からの意見として紹介される事や、討論番組などで討論の内容になる事はあるが、テレビのニュースなどで取り上げられる事は少ない。数々の問題はテレビ業界とそれに提携している新聞社(マスコミ利権を保持したい、自らに不利なことを喧伝したくない)や家電メーカー(高価なデジタル家電を売りたい)にとっては都合が悪く、メリットばかりを強調し、デメリットについては触れたがらない。これらのデメリットを詳しく知るためには、書店の専門的な雑誌を読む、ネットで調べるなど、疑問を持ち主体的に行動しなくてはならず、特にお年寄りなどには敷居の高いものとなっている。

なお、上記の告知CMには「(地上デジタル放送開始に伴うアナログ放送停止は)国の法令で定められている」というテロップが入っており、国を挙げて進めている事業である事を強調することで、一連の問題を抑え込もうとする狙いもうかがえる。

[編集] 放送エリアが狭い = あまねく全域で受信できない

地上デジタルテレビジョン放送の開始に当たり、東京都・大阪府などの都市部を優先して試験的に開始し、2006年末に43県の県庁所在地および近辺に位置する一部の市・町・村で受信できるようにはなったが、県庁所在地から大きく離れたおよび離島での受信が不可能な状態で開始されることとなった。

2007年時点においても、各県にある全ての中継局が整備されておらず、地上デジタル放送を受信できるようにするための整備が常に後手に回る事態となっており、特に人口の少ない地域ほど後回しで蔑ろにされている感が否めない。そのため、あまねく全域で、同時に受信できるようにしなかった体制に対しての批判も大きい。

地上系による放送の放送対象地域は県域又は広域が原則である(短波放送を除く)が、送信される電波は県域又は広域に留まらず県外又は圏外にも漏れる場合が多い(これをスピルオーバーと呼び、山梨県の一部でキー局の地上波を視聴できるのが代表的な例)。これは、圏外の視聴者には喜ばれる一方、地元の放送局やそのスポンサーにとっては、隣接する都道府県又は広域圏を放送対象地域とする放送局に視聴者を奪われる事、番組著作権・番組出演者の肖像権の侵害にもつながる重要な問題であった。

今回の地上デジタルテレビジョン放送への移行実施に当たり総務省は現在アナログ放送で見られるエリアのほとんどをデジタルで視聴可能にすると宣言しているが、法的な拘束力・強制力を有しないため、2012年以降に実現するかが疑問視されている。実際に、独立局を中心にアナログ放送と同等のスピルオーバーのエリアを確保している局も多くあるが、デジタル放送に新たに割り当てられたチャンネルで混信が起こり、視聴が不可能または困難な地域もある。また、現在中継局の整備が不完全であるためスピルオーバーのエリアは完全ではない。

前記は施策の遅れ・困難さに伴う副次的な影響であるが、さらに実際の施策を進めていく上でも、地上デジタルテレビジョン放送では、送信所から発信される電波の方角・強度を細かく設定できる事や、出力もアナログUHF局の10分の1に抑える事で、地上アナログテレビジョン放送に比べ本来の放送対象地域に沿った放送が実施可能となると見られる。また、社団法人日本民間放送連盟ケーブルテレビに対して区域外再送信を認めない(放送局個別の判断で方針は運用されており、一部例外あり)事から<ref>ITmedia「関西で火の手が上がったCATVの「区域外再送信」問題』</ref>、地元の放送局は視聴者を奪い返す絶好の機会、自局が属する系列以外の事業者への番組販売の増加による収益確保、新規系列局の開局にもつながる可能性が期待できる(ただし、難視聴地域の増加や広告出稿への影響などを考慮すれば、区域外再送信やスピルオーバーの可否もケースバイケースであろう。下記CATV局の事例も参照のこと)。

一方、区域外再送信を売りに加入者数を増やしてきたケーブルテレビ局は「区域外再送信を禁止されるとこれに伴う解約者が増えかねない」と異論を唱える局もあり、実質視聴可能な放送局数の減少や地域間格差の拡大<ref>関東広域圏は地上波民放が6局以上視聴できる場合があるのに対し、徳島県佐賀県は地上波民放が1局しか視聴できなくなる地域も出てくる。しかし、徳島県については在阪4局とテレビ大阪が、佐賀県については福岡県の民放5局全局が地上デジタル放送の区域外再送信に同意しており、一部ケーブルテレビ局では放送対象地域外の民放局の地上デジタル放送での区域外再送信が行われている。</ref>など、区域外視聴者からの反発も予想される。CATV局としては、加入者の減少対策として放送対象地域外の放送局の電波がCATV提供地域の全世帯までに届いていればその放送局の区域外再送信を行うCATV局も出始めている<ref>ITmedia「区域外再送信問題、いよいよ決着へ」</ref>。

なお、CATV局の中には加入世帯数の伸び悩みにより、老朽化した送信設備を地上デジタル対応に改修する費用を捻出できなくなる局もあり、地上アナログ放送終了と共に廃局となる局もある(盛岡市直営のテレビ都南は2011年をもって廃局決定)。

[編集] 既存の建造物などによる受信障害への対応

現在、建造物によって周辺にテレビ受信障害(電波障害)が発生した場合、建造物の設置者が費用を負担して、ケーブルテレビへの加入や共聴設備を設置することで対応することが多い。しかし、そうして設置された共聴設備の大半は地上デジタルを想定しておらず、視聴するには改修工事が必要となる。

ところが、地上デジタル放送の開始が建築前には告知されていなかった場合は、その分の改修費まで補償する法的義務は、建築者にはない。従って、電波障害によりデジタル放送が受信できない場合、そのテレビの所有者が実費で対処しなくてはならないという問題が起きる。

なお、地上デジタルを所管する総務省は、協議を推奨するのみで有効な指針は示していない<ref>総務省「都市受信障害共同受信施設で受信する場合」</ref>。

[編集] その他

大量にある、2011年~2012年時点でも多くが不自由なく機能し続けるであろう現行のテレビ受像機の扱いをどうするか、3Rリデュースリユースリサイクル)の観点も含め、社会全体の負担コストが大きく、環境にも良いとはいえない。

UHF帯に移行するための問題として、首都圏などで築年数の経っている家屋や古いマンションなどでは、共聴設備などがVHF<ref>特に首都圏では独立U局を視聴する習慣が根付いていない世帯が多い為、東京タワー向けVHFアンテナしか設置していない家屋や建物が未だに多い。関西圏中京圏でも後発のUHF波準キー局が開局した当時、これらの局がエリア内でのUHFアンテナの普及に苦労した逸話がある。</ref>。やUHFの一部チャンネル<ref>また、関東の独立UHF局で使われているチャンネルとデジタル放送で使われているチャンネルは周波数が大きく異なる。</ref>にしか対応していないケースがあり、設備改修費用の捻出が問題となっている。また一部の地域では親局送信所がアナログとデジタルとで異なる所もあり、その場合、デジタル受信用アンテナを追加する必要がある家屋や建物が多数出る事になる<REF>例:中京圏では、在名局のアナログUHF波送信所(東山タワー)とデジタル波送信所(瀬戸デジタルタワー)の位置が大きく異なる。</REF>。

「地上アナログテレビジョン放送終了 = テレビが見られなくなる」と曲解し、誤解させる詐欺事件も起こっている。

総務省は、UHF帯に移行した後、空いたVHF帯を移動体通信など新規サービスに開放するとしている。VHF帯は電波の波長が長いために直進性が低く、例えば携帯電話向けの1.5GHz帯を用いたサービスなどで大きな問題となるビル影・山影による不感問題が生じにくいといった利点はあるものの、一方で効率のよい送受信には長いアンテナが必要となる。具体的な利用例も示されていないため「電波の有効利用」との理由は説得力に欠ける。通常、周波数移行の場合は移行によって空きとなる周波数の用途はあらかじめ提示されるのが一般的である<ref>以前、テレビ放送の周波数帯をすべてUHFとする政策が示されたが、空いたVHF帯の用途が提示されず実施が見送られた。</ref>。

  • 地上デジタルテレビジョン放送による「遅延」は、日本で行われる(今後の)災害情報通知への問題を含んでいる。具体的には、「緊急地震速報」への通知手段として、現行のアナログ放送では、同時の通報が可能があるが、一方「遅延」が発生する地上デジタルテレビジョン放送では、問題となる。津波情報に対しても緊急性が要求されるので、同等の問題である。

[編集] 開始時期

[編集] 日本

日本国内の各放送局の親局は、以下の順に放送を開始している。

[編集] 2003年

  • 12月1日 午前11時より東京・大阪・名古屋の3大都市圏の一部地域で開始された。

[編集] 2004年

  • 10月1日 3大広域圏以外の地方都市としては初めて富山KNBNHK富山が、また、関東広域圏内で唯一県域の地上波テレビ放送局がなかった茨城NHK水戸がそれぞれ開始した。本放送初日の開始時刻はほとんどの局が午前11時である(一部の放送局(主に民放)や中継局からのデジタル放送の本放送開始時刻は、その日の早朝(午前4時~6時の間)の放送開始時間〈1日の起点開始時間〉から)。
  • 11月1日 岐阜NHK岐阜で開始
  • 12月1日 神奈川兵庫で開始

[編集] 2005年

[編集] 2006年

[編集] 2007年

全国各地の中継局は、親局設置以降、2010年に掛けて順次設置中である。このため、全ての都道府県庁所在地で地上デジタル放送が受信可能になった現在においても、中継局がまだ整備されていない市・町・村離島では受信が不可能である。

このように地上デジタルテレビ放送の実施は段階的に進められ、2011年7月24日には地上デジタルテレビ放送に完全移行し、現在の地上アナログテレビ放送の終了を予定している。そのため、開局を断念した放送局一覧の項でも触れた茨城・福井・徳島・佐賀・宮崎・沖縄の6県に割り当てられた新規アナログテレビ放送用の周波数割り当ても取り消されている他、既存の民放テレビ局(特に平成時代に開局した局)のアナログ放送中継局及び送信所の新規開設の凍結など、地上アナログ放送の新規の開局は事実上不可能となった。ただし、アナログ放送終了後にこれらの地域でも地上デジタルでのテレビ局の新規開局の可能性はある。

  • 広域圏内を除いた地方局は、富山(NHK・KNB)→静岡→東北→甲信越・福岡・沖縄→北海道・北陸→中・四国(岡山・香川を除く)→九州の大半・岡山・香川という順序で開始された。
    • これは中・四国(特に岡山や香川)や九州には他の地方に比べて中継局が多く、また瀬戸内海有明海を伝播してのスピルオーバーも多数見られる事から、アナアナ変換に時間が掛かる事が原因となっている。しかし、中継局が少なく、スピルオーバーの影響がない福岡と沖縄の両県は九州地方の目標開始月の2006年12月ではなく8ヶ月早い4月にNHKで先行放送が開始された(しかしすべての局で開始されるのは12月となる)。逆に、海を隔てて2つの県に跨って放送しており他県でも視聴者が多い岡山・香川地区(特にTXN系列のTSC)は中・四国の他の県の放送開始である10月より2ヶ月遅い12月に放送が開始された。

[編集] 海外