博士

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博士はくしはかせ

  1. 日本や中国の朝廷などで、学術研究などの分野で仕えた文官の職名。文章博士など。発音は「はかせ」。
  2. 学位の最高位(博士の学位参照)。ドクターのこと。俗に「はかせ」というが、正式には「はくし」という。博士課程に在籍して学位論文を合格、無事修了した者に授与される課程博士と、在学しないまま学位審査に及び合格した者に授与される論文博士がある。また、名誉学位としての名誉博士なども存在する。外交儀礼上、各国政府要人等が博士号取得者である場合、官名の後に博士閣下と敬称する事例が見受けられる。
  3. 法科大学院にて授与される専門職学位の名称。法務博士(専門職)という。法務博士号はいわゆる学術上の学位における博士とは異なる。
  4. 市民カレッジで授与する称号。市民博士。
  5. 博識の人物、または特定の分野に対する知識が常人以上である人物に対する愛称。「中村君は虫博士」。
  6. 日本のタレント水道橋博士
  7. 上記1~5のような設定で物語等に登場する架空の人物の通称。
    1. マンガ鉄腕アトムのキャラクター、御茶ノ水博士
    2. アニメ名探偵コナンに登場するキャラクター、阿笠博士
  8. 楽譜の一種。声明雅楽の記譜法。西洋のネウマ譜に相当する。


目次

[編集] 概要

博士( doctor)の学位は、国によって多少の差異はあるものの基本的に最上位の学位として位置づけられている。通常は、大学など高等教育機関や学位授与機関における学士又は修士及びそれと同等の学力があると認められた者が、大学院の博士課程を修了することで取得できる。その他にも、それと同等の高度な研究能力があると認定された者にも授与されることがある。どちらの場合にも、一般的には独自性のある研究論文を提出し、審査に合格することが要件となっていることが多い。

博士への敬称は、英語の場合Mr./Miss./Mrs.などに代わってDr.(ドクター)である。この「ドクター」の語は、日常的には医師を指すことが多いため、それと博士と区別をする場合には医師はMD、博士はPh.D.等の学位略称で標記し、博士号保持者の医師はMDとPh.D.を併記することがある。

[編集] 各種用語

博士課程
博士の学位の授与を受けるために在学する大学院課程のこと。
博士論文
「博士の学位」の授与を受けたときの学位論文のこと。
博士号
「博士の学位」のこと。

[編集] 博士号取得者のキャリア

最近は各国で、高等教育への関心が高まりつつある。そのため、社会人大学院や夜間大学院、通信制大学院といった形態で、働きながら研究して博士の学位を取得する人が増えている。またそうした社会経験の豊富な人口が大学の教員になることで、学問と社会の接点を拡大しているという面もある。

理系の博士は、企業からも一定の研究能力を持つ者として認知されることが多く、一部の産業では何人の博士を雇用しているかが信用の指標とされる場合がある。実際、日立製作所には博士号取得者から成る「へんじん会」が存在している。しかし、基礎研究を重視しがちな大学・研究機関においては、社会的応用が第一義とされていないことが少なくなく、企業の求める人材との溝が指摘されることがある。もちろん博士号の取得が何らかの能力を保障するものでは必ずしもないため、職域・活動に応じた知識や技能の向上は他の社会人と同様に重要である。

国際的な知識社会化、生涯教育の拡大、高度専門職の増加などが進行する中、社会において博士号取得者をいかに活かすことができるかが、日本を含む多くの国々で問われている。


[編集] 海外の博士

博士号の学位制度は、各国によって異なる。

[編集] アメリカの博士号

英語圏の国々では、学術による(専門博士でない)博士は、伝統的にDoctor of Philosophyの学位を授与される。このPhilosophyは一学問分野としての哲学ではなく、広く学術一般を意味し、Ph.D.と略される。中にはMITのようにDoctor of Scienceを選択できるところもある。主な博士の種類には、以下がある。日本語の訳は意訳であり、あくまで参考。

純粋な基礎研究ベース以外に、アプリケーションを含む学位には、Doctor of Philosophyを用いず、以下のようなものがある。

これらの学位名、略称、取得方法・条件は、大学や専攻によって違いが大きい。

専門職学位においても、PsyDは、アメリカでは、5年間のフルタイム就学が必須であるが、似たような学位や終了証が博士号に満たない能力で取得できるケースもある。日本の臨床心理士などは、修士号取得者が取得できるが、欧米では、専門職技術者は、博士号が必須であり、博士号がなければ、心理学者、または臨床心理士と自称することは、時として違法である。

[編集] イギリスの博士号

イギリスの博士号は、PhD又はDPhilと略記される。イギリスには、博士号のさらに上位に上級博士の学位がある。修学期間は多くの場合、標準で学士取得後3年間であり、このうちの1~2年は修士課程の扱いとなっている場合がある。

[編集] フランスの博士号

フランスの博士号( doctorat)は、国家、大学、その他の認められた高等教育機関によって発行される学位であり、その発行・取得に関する詳細は法令により定められている。取得のための修学期間は、標準で修士 master)取得後3年間である。博士論文( thèse de doctorat)を提出し、審査に合格することにより取得できる。

博士論文の審査は、報告者( rapporteur)による論文の審査と、その後の審査会( soutenance)からなる。報告者は、2名以上の博士論文指導資格( habilitation à diriger des recherches)を持つ学外の当該専門領域の研究者であることが義務付けられている。審査会は、原則的に一般公開であり、3名から8名の審査員( jury)も半数以上が学外の研究者でなければならない。学外の研究者を多く取り入れることにより博士号の質を保つとともに、研究成果をその分野の著名な研究者に周知できる工夫がなされている。

[編集] 日本の博士号

日本においては、1887年5月21日、勅令第13号学位令が公布せられ、同令第1条により、博士と大博士の二等の学位が定められ、第2条により法学博士、医学博士、工学博士、文学博士、理学博士の五種が定められた。さらに、第3条により、博士学位は大学院の定規試験を通過した者に、帝国大学評議会の許しを得て、授与された。後、1914年、勅令第200号として改正学位令が公布され、同令第1条により、学位は博士に統一され、学位の種類は文部大臣の定めるところとなった。同令では、学位授与の規定がより具体的に規定されるとともに、第10条により、学位の栄誉を汚辱した者にはこれを剥奪する、懲罰規定が盛り込まれるなどより詳細な規定が整備された。

今日の学位制度における博士の学位は1947年学校教育法の制定により整備されたものである。1953年、学位規則が制定され、新たな学位として修士の学位が加わり、学位は博士と修士の二等となった。1991年改正学校教育法により、学位は博士、修士に加え学士の三等とされ、それまで専攻分野を冠した学位名称だったものを、すべて博士、修士、学士に統一し、その代わりとして、博士 (医学)というように学位の後に専攻名を括弧付きで併記することとされた。同年には、今日の独立行政法人 大学評価・学位授与機構の前身となる学位授与機構が発足し、大学校などで大学院博士課程の修了に相当する、教育課程をへた者に対する博士の学位授与は当該大学校及び学位授与機構の審査を経た者に授与されることととなった。2000年、学位授与機構は、大学評価・学位授与機構に改組され、それまでの学位事業は同機構に承継された。これによって今日の学位制度が整えられた。

現在、博士の学位については、学校教育法第67条、第68条の2において大学院を修了した者に博士または修士の学位が授与されることとされ、第68条2の2に前項の規定により博士の学位を授与された者と同等以上の学力があると認めるの者に対し、博士の学位を授与することができるとされている。さらに、学位規則第4条において、大学院博士課程を修了した者に博士の学位を授与することが規定されており、同条の2では大学院の行う博士論文の審査に合格し、かつ、大学院の博士課程を修了した者と同等以上の学力を有することを確認された者に対し博士の学位の授与を行うことができると規定されている。また、学校教育法第68条の2第4項第2号及び学位規則第6条の2において大学院(博士課程)に相当する教育を修了し、大学評価・学位授与機構の審査を合格した者に博士の学位を授与することとされている。

ちなみに2003年以降、専門職大学院の1種である法科大学院において、法務博士 (専門職)の学位が新設された。これはアジアやアフリカなどでは通常の博士号とは区別された専門職学位であるとされるが、欧米においては「職業博士」として、(医学博士、法務博士等)同列に扱われている。

なお、わが国では、博士論文は国立国会図書館への寄贈が求められ(納本の対象ではなく義務ではない)、取得後一定期間内に公刊することが義務づけられている。国立国会図書館と国立情報学研究所が作成している「博士論文書誌データベース」で国内の大学で授与されている博士論文の検索ができる。

[編集] 日本における博士号の取得

博士号の取得を志した場合、博士論文提出までに学会での発表を行い、博士課程在籍中に2本から3本の査読付き投稿論文を執筆するといった業績が博士の学位審査を受ける要件となっている場合もある。こうした要件は、大学研究科専攻教室研究室などによって異なる。

博士課程で学位を取得した場合は「修了」として認定されるが、就職などのために学位を習得する前に中途退学するケースも多い。所定の在学期間(3年間)以上在学し、修了に必要な単位を全て取得してはいるものの、学位論文だけが完成しないまま就職することも多く、こうした場合「満期退学」又は「単位取得退学」と称する。在学年数を越えて大学院に留まる場合は研究生として在籍するケースもある。また、2005年の文部科学省中央教育審議会において文部科学大臣への答申の中で博士課程に社会人コースを設置し、社会経験にて実績のある人物の場合は1年間の在籍期間中に学位取得を志すことができるようにすべきだとされた。つまり、大学院の博士課程に社会人コースが設置された場合、1年間の修学期間で博士号を取得することが可能となる。

課程修了による博士号を「課程博士」、論文提出のみによる博士号を「論文博士」と呼び分ける。博士号は授与大学ごとに通し番号が付けられるが、課程博士には甲1234XX号のように「甲」が、論文博士には乙1234XX号のように「乙」が付けられる。

[編集] 日本における博士学位の意義と問題点

博士の学位は、明治・大正期において「末は博士か大臣(大将)か」と言われた程に信頼の高い称号であった。現在でも、日本の学術研究の指導的立場に立つ人材の育成、国際機関などにも人材供給していく上で大きな意義を持つ。近年は外国人留学生が日本の大学を敬遠する傾向が出たため、文部科学省も大学に対し博士号の授与を奨励している。

博士学位の周辺事情として、理系の研究領域において、博士号の授与例が多い一方、文系における博士号は、大学教員が生涯の研究の集大成として取得するものと考えられてきたため、授与例が少ないという傾向にある。そのため、大学教授であっても、そのすべてが保有しているわけではない。近年、博士号は研究者の目標ではなくスタートラインだとの考えが日本でも広まりつつあり、2001年学位規則改正後は若いうちから博士号を取る方向に大学院の指導も変化してきている。これは、逆に博士号を有しながらも職に就けない、いわゆる「余剰博士―オーバードクター」問題を発生させている。

博士号にはそれなりに高い信用があるものの、現実の社会では最大限に活かされているかという点で疑問の声もある。また、大学院教育が諸外国と比較して遅れている面が指摘される。さらに、博士の学位授与基準が厳格でその取得に時間とコストが多大であるという問題点もある。

かつては大学教授や研究者になるために、学位があるにこしたことはないと言われていたが、現在においては<ref>この数年間公募の条件において博士号の保持は必須の条件となっている。但しこの数年間博士号のインフレーションが起こっており、採用元も授与する個々の大学の授与水準を厳格に評価するようになっている。従って乱発に近い大学の学位の評価は低くなることになる。</ref>社会科学の領域においても博士号は必須に近い条件となっている。しかしながら、博士号を持っていればそれが専任教員になれると言う保証するものではないことから、「足の裏の米粒」「靴底にへばりついたガムの食べ滓」(取らないと気になるが、取っても食えない)と表現されることがある。

<references />

[編集] ディプロマミルによる学位偽造

また、博士の学位の問題のひとつに偽造学位の問題がある。主に外国の大学では、学位を審査・授与するに足らないディプロマミルという機関が大学を称して、形式的な審査と料金を支払うことで、あたかも正式な博士の学位であるかのように、学位を授与する組織が存在する。主にアメリカではディプロマミルを用いた経歴詐称が深刻であり、日本の大学においても一部詐称による事件が発覚している。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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