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記号 F
次元 MLT -2
SI単位 ニュートン (N)
CGS単位 ダイン (dyn)
プランク単位 --

(ちから、英語 force)という概念を最も一般的に表すならば、二つ以上の対象の間で影響を及ぼしあうような作用があるときのその作用のことである。力学における、とは、物体に運動の変化であるところの加速度を生じせしめるものとして定義される。後で述べるように、このときの加速度と力の比例係数として質量慣性質量)という概念が導入される。

すなわち、力とは物体(あるいは)の間で行われる相互の運動量の交換を示すものであり、ベクトル量である。力の時間による積分力積)は物体の運動量の変化量に等しい。つまりは、運動が変化することと力が作用することとは等価である。

物理学の世界において、われわれが通常単にと呼んでいる、力学的な力について現代に通じるもっとも基本的な理解を体系化したのはニュートンであるといってよい。ガリレオケプラーなど先行する研究は存在するが力学的な力の本質を運動を変化させる働きにあるとし、運動が変化するとはどういうことか、裏返せば運動が変化しないということはどういうことかを現代的視点から体系的に記述した初めての人物である。

ニュートンはその著書『プリンキピア』において、物体の運動における運動量の時間変化の変化率(微分)が「力」に相当することを発見し、運動の法則として定式化した。具体的に力を F, 物体の質量、速度、加速度をそれぞれ m, v, a とすると、以下のような式に表される:

<math>\mathbf{F} = {dm\mathbf{v} \over dt} (= m\mathbf{a}).</math>

彼のこの定式化からは、力というものはあたかも「加速度が質量に対して及ぼす作用」であるかのような解釈を見出せるかもしれない。

自然界の全ての力は、次の 4 つに還元できるとされている(→第5の力)。

目次

[編集] 定義

F は、上記 4 つの相互作用のなすポテンシャル V(r) の勾配である。

<math> \mathbf{F} = - {\rm grad\ } V = - \nabla V </math>

ここで、 grad はベクトル解析でいうグラディエント(勾配)、∇ は微分演算子ナブラである。

(例)重力や電磁気力のポテンシャルは、V(r) = K / rK: 定数、r は位置ベクトル r の大きさ)という球対称型で、

<math> \mathbf{F} = - K {\mathbf{r} \over r^3 } = - \frac{K}{r^2} \left({\mathbf{r} \over r}\right)</math>

が力となる(ここで、r / rr 方向の単位ベクトルである)。重力や電磁気力の力は大きさとしては、K / r2となる。

[編集] 日常語としての力

力学的定義に近い意味合いで相撲取りは力があるとか、彼は重いものを持つ力があるとか「力」の用語が多くの頻度で使用される。また、経済力政治力指導力というように、自然科学上の定義以外の意味合いでの用語が使用されることも少なくない。この背景には物事を変化させる作用として力が意識されているということがある。

中等教育において物理学で定義された力というものに関して学ぶとき、こうした一般的な力という語に関するイメージと厳密に定義された力の概念との間で混乱を生ずる場合がある。

一例として砲丸投げにおいて砲丸を遠くへ飛ばすことを考えよう。一般的イメージからいえば、砲丸を遠くに飛ばすことのできた選手がのある砲丸投げの選手であるとするのが普通であろう。しかし、物理学における厳密な定義に従えば、砲丸のとんだ距離だけから選手が砲丸に及ぼした力学的な意味におけるの大きさを結論することはできないのである。この場合物理学の言葉を用いるならば、選手が砲丸に及ぼした力積の大きさないしは選手が砲丸に与えた仕事の大きさによって砲丸の飛距離が決まっている(ただし、厳密にいえば地球の重力が砲丸に及ぼしている作用を考慮しなければならない)のであり、選手が砲丸に及ぼした力の大きさは飛距離を決めるファクターの一つでしかない。この場合、一般的な力の大きさのイメージに対応するのは力積ないしは仕事の大きさということになる。

ところが、次のような例を知ることによってこの混乱はさらに複雑なものとなる。一般的なイメージからいえば重いものを一定の高さに支えておくのにも大きな力が必要である。ひとによっては、これに、支えている時間の長さも考慮に入れて力の強さを決定したいと思うかもしれない。この例を物理学的に考察するならば、仕事は0であり、重さのみに対応しているのが物理学的な定義における力であり、これに時間までも考慮に入れると力積の大きさが対応することになる。

以上のような経緯から、特に物理教育の専門家の中には物理学的な力ではなく力積が一般的なイメージにおける力の概念に相当するものであると強調すべきだと考えるものもいるが、それですべての問題が解決するわけでもないのが実情である。

[編集] forceとpower

日本語では、英語のforceもpowerも一般には「力」と訳される。しかし、物理学においてはforceとpowerは異なる次元の物理量であり、「力」はforceの訳語とされる。powerについては、これと一対一に対応する訳語は存在せず、力学の分野では仕事率(または工率)、電磁気学の分野では電力と訳される。

[編集] 力の釣り合い

ある物体に二つ以上の力が作用しているとする。にもかかわらず、その物体の速度が変化しないとき、力が釣り合っていると言う。例えば、自動車が時速 40km/h のまま直進しているとき、車体にかかる力は釣り合っている。この時、エンジン等によって動かされた車輪が加速しようとする力と車軸や空気の摩擦によって減速しようとする力が釣り合っている。

[編集] 力と微積分

速度の変化する物体の解析には数学微積分がよく用いられる。これは、数学の微積分が力と加速度の関係の考察によって生まれた概念だからである。

[編集] 力の合成と分解

力の合成 力dTと力dNを合成した力dFは平行四辺形の法則によって対角線の長さとして計算できる

ある点に働く複数の力を一つの同等な効果の力として表す、または、逆にある点に働く一つの力を複数の力による同等な効果の力にすることを言う。二つの力の合成や一つの力を分解するための手続きは平行四辺形の法則を用いる。なおこの法則は一般的にベクトル量に対して用いられるもので力に限ったものではない。

例えば、一定の加速度aを持つ列車内で進行方向に向かって進むと、まるで上り坂を登るような感覚を感じる。これは、後方に慣性力 ma、下方に重力 mgがかかり、この二つの力を合成した合力が後方斜め後ろを向いている為と解釈できる。

力の合成と分解を最初に扱ったのは1620年に没したベルギーの数学者、工学者シモン・ステヴィンである。その後、フランスの数学者、天文学者であるラ・イールによって数学的な形式が整えられ、力をベクトルとして表すようになった。ニュートンは「力の平行四辺形の法則」を1665年から1666年にかけて発見した。力学の基本法則でもある。

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