位置エネルギー

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位置エネルギーいちエネルギー、potential energy)とは、物体が「ある位置」にあることで物体にたくわえられるエネルギーのこと。ポテンシャル・エネルギーともいう。位置エネルギーが高い状態ほど、不安定で、動き出そうとする性質を秘めているといえる。との関係や数学的な詳細についてはポテンシャルにまわし、この記事では具体的な例を挙げて説明する。


目次

[編集] 定義

 位置 <math>\vec{p}</math> における力 <math>\vec{f}(\vec{p})</math> と座標変移 <math>d\vec{p}</math> を掛けて積分したもの

<math>U(\vec{p})=\int_\vec{p}^\vec{p_0}\vec{f}(\vec{p})\cdot d\vec{p}</math> または <math>U(\vec{p})=-\int_\vec{p_0}^\vec{p}\vec{f}(\vec{p})\cdot d\vec{p}</math>

を、<math>\vec{p_0}</math> を基準とする位置エネルギーと定義する。

 この積分での <math>\vec{f}(\vec{p})</math> の原始関数を <math>F(\vec{p})</math> とした場合、<math>U(\vec{p})=-F(\vec{p})+F(\vec{p_0})</math> となるが、 慣例として基準位置 <math>\vec{p_0}</math> を <math>F(\vec{p_0})=0</math> となるように決めるので、基準位置 <math>\vec{p_0}</math> は状況により <math>\infty</math> にしたり <math>\bold{}0</math> にしたりバラバラになる。


 ここで位置エネルギーを不定積分で定義して基準位置の項を積分定数にする事を考えてみると、

<math>U(\vec{p})=-\int \vec{f}(\vec{p})\cdot d\vec{p}=-F(\vec{p})\lbrace +C \rbrace

</math> となり、力学的エネルギー保存則は <math>\bold{}K_1+U_1\lbrace-C\rbrace=K_2+U_2\lbrace -C\rbrace</math> の形になるが(<math>\bold{}K</math>:運動エネルギー、<math>\bold{}U</math>:位置エネルギー)、両辺の <math>\bold{}\lbrace-C\rbrace</math> が消えて結局 <math>\bold{}K_1+U_1=K_2+U_2</math> の形になるので、実は基準位置という考えそのものが本質的に意味がないことが分かる。つまり、力学的エネルギー保存則の文脈の中で積分定数はどうせ消えるので実はどこが基準でもよく、 <math>-F(\vec{p})</math> の形だけ守ればよい事になるが、<math>F(\vec{p_0})=0</math> と決めておけば一番すっきりして分かり易く間違いがない。  

[編集] 位置エネルギーの例

たとえば高さについての位置エネルギーを考える。あなたはボールをある高さまで持ち上げる。ここでボールを持つ手を静かに離すとボールは下に落ちる。これは地球とボールの間に重力がはたらくからだ。

このことをエネルギーの見方で見てみよう。ボールをある高さに持ち上げると、物体はそれだけで位置エネルギーを持つことになる。そしてボールを支える手が離れた瞬間、位置エネルギーは運動エネルギーに変化し始める。運動エネルギーとは物体が動いているときに持つエネルギーである。ボールが落ちていくにつれて位置エネルギーは減少し、かわりに運動エネルギーが増えていく。位置エネルギー+運動エネルギー、つまり物体が持つエネルギーのすべてのことを力学的エネルギーという。

右の図は落下する物体のエネルギーの移り変わりを表している。h は物体のある高さ、t時間Epot は位置エネルギー、Ekin は運動エネルギー、Etot は力学的エネルギーである。物体の落下にともなって、位置エネルギー(黄色い部分)は減少し、運動エネルギー(青い部分)は増加する。

ここで重要なのはボールが落下している間、力学的エネルギーはつねに一定で変わらないということだ。物体が動くときには、エネルギーの種類は変わるがその全体量は増えたり減ったりしない。この法則を(力学的)エネルギー保存の法則と呼ぶ。


[編集] 高さによる位置エネルギー

質量m の物体が基準面から h だけ高い位置にあるとき、重力加速度g とおくと、その物体が持つエネルギーは、

<math>\left\lbrace f(h)=-m g\right\rbrace \longrightarrow E =-\int_0^h (-mg)dh= mgh</math>

で表わされる。(万有引力による位置エネルギーを地表付近に限定したときの地表を基準とした近似式)

万有引力の位置エネルギーは地球の質量を M万有引力定数G、地球の中心からの距離を R とすると

<math>\left\lbrace f(r)=-G\frac{Mm}{r^2}\right\rbrace \longrightarrow U = -\int_{\infty}^{R}\left(-G\frac{Mm}{r^2} \right) dr = -G\frac{Mm}{R}</math>

で表される。ただし、無限遠を位置エネルギー0の基準点としている逆2乗関数を積分するのでマイナスの値となっている。

今、地表から だけ高い位置の物体 m の位置エネルギーを考える。地球の中心から地表までの距離を R とすると、地球の中心から物体までの距離は R+h となる。前式に代入すると、

<math>U = -G\frac{Mm}{R+h}</math>

となる。地表を基準にするために、地表での位置エネルギーを引くと、

<math>E = -G\frac{Mm}{R+h} - (-G\frac{Mm}{R})</math>

第1項をテイラー展開し、2次以降の式は小さいので0とみなして省略すると

<math>E = -G\frac{Mm}{R} + G\frac{Mm}{R^2}h - (-G\frac{Mm}{R})</math>

となり、第2項の 

<math>G\frac{M}{R^2} = G\frac{Mm}{R^2}\frac{1}{m} = \frac{F}{m} = \frac{mg}{m}</math>  (Fは地表の物体にかかる力)

は地表付近の重力加速度 g だから置き換えると、

<math>\bold{}E = mgh</math>

となる。

[編集] 弾性力による位置エネルギー

ばねにつながれているある物体が、基準となる位置(普通は自然長)から x だけずれた位置にあるとき、ばね定数k として、物体が持つ位置エネルギー(弾性エネルギー)は

<math>\left\lbrace f(x)=-k x\right\rbrace \longrightarrow E = -\int_{0}^{x}\left(-kx\right)dx =\frac{1}{2}kx^2</math>

で表わされる。ここで物体を自由にすると物体は単振動を始める。実際にはばねの伸びと力の大きさは正確に比例しているわけではない(→フックの法則)のでこれはあくまで x が比較的小さい場合の近似式である。

[編集] 電気的な位置エネルギー

原点電荷 q' をおくと、その周りには静電ポテンシャル V が発生する。

<math>V=-\int_{\infty}^{r}\frac{q'}{4\pi\epsilon_0r^2}dr=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{q'}{r}</math>

原点から距離 r だけ離れた点に電荷 q を置くと、その電荷は次のような位置エネルギーを持つ。

<math>U=qV=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{qq'}{r}</math>

ここで<math>\epsilon_0</math>は真空の誘電率である。

 この場合、基になった力がクーロン力と考えれば、試験電荷 <math>\bold{}q</math> を用いて

<math>\left\lbrace f(r)=\frac{q q'}{4\pi\epsilon_0r^2}\right\rbrace \longrightarrow U=-\int_{\infty}^{r}\frac{q q'}{4\pi\epsilon_0r^2}dr=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{q q'}{r}</math>

とし、更に <math>V=\frac{U}{q}</math> から静電ポテンシャルが導出される。

しかし、電荷の存在そのものが周囲を電気的に歪めて電場を形成し、電荷の変化による電場の変化が光速度で伝わる事が分かっており、本来はクーロン力がこの電場から生じていると解釈するのが一般的であり、これを近接相互作用という。ここからより本源的なポテンシャルの考え方が生まれる。


 重力の場合も場を形成していると言えるが、バネの復元力については場を形成しているとは言い難く一貫性がない。

[編集] 関連項目

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