人種

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人種(じんしゅ)とは、ヒト属を分類したもの。基本的には生物学的な用語である。

生物学的に人種と言う場合は、ヒト属を、ホモ・サピエンス(現生人類)、ホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)、ホモ・エレクトス・ペキネンシス(北京原人)、などに分類する場合に使用する。

言い換えると、ホモ・サピエンス種以外の人種が絶滅した現在の地球では、人類はホモ・サピエンス種の1種のみということになる。

ただし一般的には、現生人類(ホモ・サピエンス)を様々な理由から細分化し、人種として分類する場合が多い。

以下、一般的な人種の概念を説明する。


目次

[編集] 概説

もっとも一般的な概念では、ヒトの人種はおもに身体の表面的な特徴 (肌の色、顔つき、髪の色など) や遺伝的性質、および個人のアイデンティティなどをもとに決められるとされる。しかし人種の概念は地域および時代が変わるにつれて変化しており、科学的および政治的な理由からしばしば論争の的になってきた。

人類学者の中には科学的な「人種」という概念を否定し、人種は社会的に構築された概念であるという説を提唱する人もいる。実際のところ、人種間での混血は可能なため、生物学的なとしては、どの人種もすべて同一のヒトという種に含まれる。すなわち自然科学上はさほど有効な概念ではないということになる。

歴史的には19世紀ドイツのヨハン・フリードリッヒ・ブルーメンバッハによって分類がなされ、その後1950年代から、コーカソイドモンゴロイドネグロイドオーストラロイドといった分類がなされてきた。しかし伝統的な人種の分類では、肌の色や髪の色が分類に使われるものの、目の色や鼻の大きさ、身長などは分類に使われないことから、社会科学者の中にはこれらの分類方法が分類学における厳密性や正当性を欠いていると主張する人もいる。 最近では、これらの分類が人種差別思想に少なからず影響を及ぼしたこと、同じ人種が必ずしも同じ文化を所有していないことなどの問題があり、遺伝学が進歩したことも加わって、人種と言う分類法は否定され、かわりに集団遺伝学や連続的な遺伝的特徴をあらわすクラインといった概念が用いられるようになってきている。

また、人種間の本質的優劣(とくに身体能力、知的能力)について公に議論することは、人種差別につながる可能性が高いことからタブーとされている。


[編集] 世界の肌の色

アメリカ合衆国ではFBIが指名手配の犯人を、性別、身体的特徴、職業、国籍、人種にしたがって分類し、識別している。上図に示された人々の人種は、左から、白人、黒人、ヒスパニック、アジア人。上段は男性、下段は女性である。

カナダからアメリカ北部、西欧東欧西アジアロシアにかけては、白色から赤褐色が目立つ。東アジアから日本にかけては白色から赤褐色から黄色が目立つ。イスラム圏インド北部、アメリカ南部、メキシコには、黒色から黄色、オーストラリアには白色と黒色、アフリカは黒色、南アメリカ大陸は黄色から黒色、そのほか東南アジアには黄色から黒色が目立つ。

各国の先住民の皮膚色を分配したマップ。
※これまで、肌の色や風貌・骨格などの形質的な違いが人種を決定付けるものとみなされてきたが、最近のDNA分析から、肌の色や風貌と人種とは、関連性がないことが証明されている。
例えば、イラクイランなどの中東の人々や、インドパキスタンなどの南アジアの人々は、褐色の肌であるが、DNA分析によるとコーカソイド(白人)に分類される。



[編集] 人類集団の遺伝的系統-1

この図は多型マイクロサテライトにより求められた人類集団の系統樹である。

この系統樹が意味するところは、最初にアフリカ人とその他の人種が分岐したこと、次にヨーロッパ人とその他の人種が分岐したこと、その次に東・東南アジア人とオーストラリア人が分岐し、最後の大きな分岐として東・東南アジア人からアメリカ先住民が分岐したということである。

この系統樹で見られた主要な特徴は、従来のタンパク質多型や最近の核DNAの多型によって明らかにされた人類集団間の系統関係と大筋において一致する。(外部リンクを参照)

[編集] 人類集団の遺伝的系統-2

この図は世界の18人類集団の遺伝的近縁関係を23種類の遺伝子の情報をもとに近隣結合法によって作成された「人種」の遺伝的近縁図である。

尚、この人類集団の近縁関係は上記の遺伝的系統樹と現在の人類集団の地理的配置に一致する。

[編集] 「人種」が発生した理由と今後

現世人類は単一の種であるが、一般的に認識されている人種が発生した理由は、下記のとおり説明されている。

1.上述の「人類集団の遺伝的系統-1・2」を世界地図に重ね合わせると、ネグロイドはアフリカ大陸、コーカソイドはユーラシア大陸のヒマラヤ山脈から南・西側(DNA分析によればインド・アラブ・トルコ人もコーカソイド(白人)である)、モンゴロイドはヒマラヤ山脈の東および北側、オーストラロイドはフィリピン群島以南、そしてネイティブアメリカンは南北アメリカ大陸に分布する。

つまりアフリカで誕生した現生人類が、ユーラシア大陸やオーストラリア大陸、南北アメリカ大陸等に進出した後、地中海やヒマラヤ山脈、ベーリング海等の交通を遮断する自然環境によって、それぞれの人類集団の交流が途絶えた結果、身体的・言語的にそれぞれの地域集団間に差異が生じたものが現在の(一般的概念の)人種である。

2.しかし、アレキサンダー大王の東方遠征やモンゴル帝国の誕生以降、人種間交流は世界的規模で行われるようになってきた。さらに近年の交通手段の発達、及び科学的知識の向上により、遺伝的にも概念的にも、一般的な意味での人種はなくなる方向に進むと思われる(生物学的にはすでに存在しない)。


[編集] 人種に対する間違った認識

日本では「人種」と「民族」という言葉の意味が混同されていることが多く、間違った認識が多く存在する。以下が、典型的な例である。

ユダヤ人
ユダヤ人は人種の名称の一つであると誤解されていることがある。しかし、実際はユダヤ人は数多くの人種の混血であり、ユダヤ文化を共有する民族の総称にすぎない。
日本人
日本人という民族は存在するが、日本人という人種は存在しない。
日本人は、シベリア・朝鮮半島・中国大陸・東南アジアなどから移住してきた、様々なモンゴロイド系人種の混血であるという説が有力とされている。
アフリカ人
アフリカ大陸の住人は、周囲の自然環境の影響から肌が褐色であることが多いため、人種的にネグロイドであるという誤解を持たれている。しかし、ジブラルタル海峡をはさみヨーロッパと接する北西アフリカ(チュニジアモロッコアルジェリアなど)の住人は人種的にコーカソイド(白人)の特徴を強く受け継いでいる。
また、スエズ運河(古くは地続きといってもよい渓谷)をはさみ、アラブ人(人種的にはコーカソイド(白人))と交流が進んだ北東アフリカでは、エチオピアナイジェリアケニアなどかなり南の地域に至るまで両者の特徴を併せ持つタイプがみられる。
逆に、イベリア半島のポルトガル・スペインや南イタリアなどの南ヨーロッパ、及びアラビア半島をはじめとする中東地域(西アジア)の人々は、少なからずネグロイド的な特徴を持つ。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク


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