二重惑星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
二重惑星(にじゅうわくせい)とは、(明確な定義はないが、おおむね)大きさが近い二つの惑星サイズの天体がお互いの周りを公転しているような系のことである。
[編集] 二重惑星の定義
二重惑星系と惑星 - 衛星系を区別する基準についてはいくつかの議論がある。
二重惑星を構成する二つの天体は、大きさが似通っている。ただし、「大きさが似通っている」と判断するための閾値に関しては明確に決まっていない。通常、衛星はその母惑星に比べ十分に小さい。しかし例外として地球の衛星である月、冥王星の衛星であるカロンが存在し、後述するようにこれらを二重惑星とするか否かについて議論されている。
二つの天体が二重惑星を形成しているかどうかを判断する指針としてよく利用されるのは、二つの天体の共通重心が、どちらかの天体の表面より外側、すなわち宇宙空間にあるかどうかによって判断する方法である。重心が天体内部にある場合、その系は惑星と衛星であり、重心が宇宙空間にあれば二重惑星ということになる。これは、二つの惑星がお互いの周りを廻るというイメージとよく一致する判断基準である。
生化学者であり作家でもあるアイザック・アジモフは、二つの天体それぞれについて太陽を回る軌道が凸状軌道であれば二重惑星であるという定義を提唱したが、一般的ではない。
[編集] 太陽系の二重惑星
現在、太陽系に二重惑星と呼べる系は発見されていない。
太陽系に属する天体で二重惑星の候補となりうるのは、地球と月のペア、及び冥王星とその衛星カロンのペアである。
地球と月からなる系の場合、月の直径は地球の1/4、質量は1/80である。これは衛星のサイズとしては異常に大きいが、質量を見た場合、「地球と似通った大きさ」と呼ぶには小さすぎる。また地球と月の共通重心は地球の表面よりも内側にあるため、地球と月は二重惑星ではないという見方が一般的である。
冥王星とカロンの場合、質量比が7:1であり、また共通重心が宇宙空間にあるため、二重惑星と見ることができる。しかし、そもそも冥王星自体を惑星に含めてよいかどうかについてはかねてから疑問の声があった。2006年8月に開催された国際天文学連合総会では、当初太陽系の惑星として、既知の9個にケレス、2003 UB313(エリス)とともにカロンを加えることが提案され、これが採用されれば冥王星とカロンは正式に二重惑星と認定される可能性があったが、結果的にカロンは衛星のまま、冥王星を惑星から準惑星に分類しなおす形となった。もし今後カロンも準惑星とされることがあれば「二重準惑星」になるわけである。
小惑星では、アンティオペー (90 Antiope) をはじめ、二重小惑星(連星小惑星:Binary asteroid)が複数発見されており、このような小惑星はありふれた存在であると考えられている(小惑星の衛星を参照されたい)。
[編集] フィクションにおける二重惑星
二重惑星という特殊な環境は、しばしばSF作品の中で好まれて用いられる。
- アニメ『宇宙戦艦ヤマト』では、地球を侵略しようとする宇宙人の故郷である惑星ガミラスと、地球に友好的な宇宙人の住む惑星イスカンダルが二重惑星を形成している。
- 萩尾望都の漫画『続・11人いる! 東の地平・西の永遠』は、前作の登場人物のうち二人の故郷である二重惑星が主な舞台となる。
- 冨樫義博の漫画『レベルE』では、惑星と衛星にそれぞれ国家があり、衛星の革命軍が両者を「両惑星」と表現し、衛星にある国家を惑星の国家と平等視するという表現が出てくる。
- 藤子・F・不二雄の漫画『のび太とアニマル惑星』では、アニマル惑星と月(ニムゲの星)は二重惑星。
- ロバート・L・フォワードの小説『ロシュワールド』では、バーナード星にある、地表と地表の間がわずか80kmしか離れていない二重惑星が舞台となる。
(架空の惑星一覧も参照)

