乾電池

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乾電池。左から、単2・単3・単4・単5・9V形

乾電池(かんでんち)は、電解液固体に染み込ませて担持させ、扱いやすくした一次電池

一次電池は、乾電池と、電解液を液状のまま使う湿電池に分けられるが、現在の一次電池はほぼ全て乾電池である。

文字どおりには、一次電池以外の化学電池である二次電池燃料電池も、湿電池と乾電池に分けることができるが、これらの用語は一次電池に限って使う。二次電池では、それぞれに当たるものを開放型・密閉型と言う。

乾電池は、1885年(明治18年)日本の屋井先蔵(やい さきぞう)によって、寒冷地でも使用可能な電池として発明された。その後、改良と規格化を経て現在の円筒形となった。

乾電池は充電ができず電池交換が必要なため、寸法・電圧などが国際電気標準会議IEC 60086(日本ではJIS C 8500)で規格化されている。ただし、日本で実際に「乾電池」として売られるものはそのうち、通称単1形~単5形・9V形などと呼ばれる一部である。それ以外は、小型のものは「ボタン型電池」、それ以外は「リチウム電池」のように電池系で呼ばれる。以下では、この狭義の「乾電池」について主に述べる。

金属製の外殻を持つことから、「缶電池」と誤表記されることがある。

目次

[編集] 規格

単1形
単2形
単3形
単4形
9V形

いくつかの形状・電圧などが規格化されていて、高い互換性がある。

[編集] 代表的な規格

 サイズ / mm通称IEC 80086 / JIS 8500
直径高さ日本アメリカマンガン乾電池アルカリ
乾電池
オキシライド
乾電池
リチウム
乾電池
 高容量高出力超高性能
青 ※
円筒型
単電池
32.2~34.259.5~61.5単1形DR20SR20CR20PR20PULR20
24.7~26.248.5~50.0単2形CR14SR14CR14PR14PULR14
13.5~14.549.0~50.5単3形 AAR6SR6CR6PR6PULR6ZR6FR6
9.5~10.542.5~44.5単4形AAA   R03LR03ZR03FR03
10.7~12.028.0~30.2単5形N   R1LR1
  単6形AAAA    
平形
6層電池
15.5~17.5 ×
24.5~26.5
46.5~48.59V形
006P型
9V   6F226LR61
6LF22
  • ※は、日本では2005年現在、製造されていない。
  • 単6型は規格外である。

円筒型には他に、ドアチャイムなどに使われる、単5形と同じ形状で12ボルトの「23A」がある。

平型には他に、マンガン電池を内部で並列に繋いだ「平3型」(1.5V)、直列に繋いだ「平5型」(3V)などの大容量大型乾電池が通信用などに用いられる。「0210」(315V)、「0160W」(210V)といった高電圧の小型積層電池が写真フラッシュ用に用いられる。ただしこれらの使用は稀になりつつある。

[編集] 規格名の意味

詳細はIEC 60086を参照

IEC 60086とJIS C 8500の規格名称の意味を述べる。

  • 積層電池(内部で複数の電池が直列につながれている電池)は、最初に内部の電池の数を表す(例 6F22)。単電池では何も付かない。
  • アルファベットの1文字目は、以下の電池系を表す。数字は公称電圧。
  • その次のアルファベットは、形状を表す。
    • R 円形(円筒形、ボタン形、コイン形)
    • F 角形、平形
  • その次の数字の列は、寸法を表す。「乾電池」の場合、直径順になっている(「単○形」の数字は容量準なので順序が一致しない)。R1(単5形)より細い電池は数字が足りなくなったため、R03などとなっている。
  • 単1形~単3形マンガン電池に限り、その次のアルファベットでグレードを表す。
    • S - 標準 (standard)
    • C - 高容量 (high capacity)
    • P - 高出力 (high power)
    • PU - 超高性能 ※JISのみ

[編集] 化学電池としての種類

内部構造には、次のような種類がある。

以下は、「乾電池」形でないもの。

[編集] 円筒型乾電池の主な用途

懐中電灯や乾電池で動作するおもちゃのような消費電流の大きいものには単1形が多く使われ、ラジオなどの小型の電子機器には単3形や単4形が広く使われる。

円筒型乾電池の場合、構造別では、次のような用途との組み合わせが適しているといわれている。

  • マンガン乾電池 - 使用により徐々に電圧が低下するが、電流を止めると一時的に起電力が回復する。そのため、時計(置時計、掛時計)のように小電流で連続動作させるもの、ドアチャイムなどのように間欠的な動作を行うものに適する。
  • アルカリ乾電池 - マンガン電池に比して長時間安定した電圧を維持するが、寿命を迎えると急激に起電力を失う。デジタルカメラストロボ、携帯テレビ、携帯オーディオ機器(ポータブルMD、MP3プレーヤ)、電動玩具(電池で動く車、電車、動物)、懐中電灯など大電流で連続動作させるものや電圧が降下すると機能に影響したり動かなくなったりする機器に適する。
  • オキシライド乾電池 - デジタルカメラ、携帯テレビ、携帯オーディオ機器など大電流で連続動作させるもの。初期電圧が1.7Vくらいあり、一般の乾電池よりも電圧が高いので、特に消費電流の大きいデジタルカメラに使用すると、アルカリ乾電池より使用時間が長くなるといわれている。一方で懐中電灯などに使用すると高電圧で機器を損傷する恐れがある。

一次電池のため、基本的には使い捨てであり(アルカリ電池用の充電器が売られているが、安全性は保障されていない。過充電は水素の発生により爆発を招く)、使用頻度の高い場合には充電して何度も使用できるニッケル・水素蓄電池ニッケル・カドミウム蓄電池などの、同サイズ・同電圧の二次電池を利用した方が経済的である。

アルカリ乾電池とマンガン乾電池の特徴の違いによる使い分けは浸透せず、また、メーカーの宣伝戦略もあって「アルカリ乾電池は、マンガン乾電池より価格が高いが強い(長持ちする)」という認識が広まった(それ自体は虚偽ではない)。その後アルカリ乾電池が安くなって、マンガン乾電池との価格差が少なくなり、小規模な売り場では、アルカリ乾電池のみでマンガン乾電池を置かないところも増えた。

一方で、100円ショップなどではアルカリ乾電池とマンガン乾電池に約2倍の価格差(100円あたりの本数差)があり、マンガン乾電池を見直す者もいる。

[編集] 使用上の注意

[編集] 液漏れ

液漏れは、主に過放電(機器の中に寿命の切れた乾電池を入れたままの状態)によって起こる。度重なる改良によって、正しい保管・使用ではほとんど発生しない。

日本では、異種電池の混用(マンガン乾電池とアルカリ乾電池を同一機器(回路)内に入れる)によって、先に寿命を迎えたマンガン電池が過放電ないし充電状態に置かれて引き起こされる事も多い。

マンガン電池が相応とされる機器(時計など)にアルカリ電池を入れることによって起きやすくなるともされるが、メーカーではマンガン電池とアルカリ電池は基本的に互換であるとしており、これ自体が原因で起こる液漏れはほとんどない。しかし、アルカリ電池は、その長寿命の為に時に忘れられ、過放電状態にされやすい。

何らかの理由で一旦液漏れが発生すると、アルカリ電池の場合は電解液が水酸化ナトリウム等の強アルカリのため、電極や機器内部を容易に腐食する。また目に入れると失明の可能性もあるので、特に子供用のおもちゃにおいて注意が必要である。

マンガン電池の場合は、電解液が液性が中性に近い塩化アンモニウム塩化亜鉛なので、アルカリ電池よりは安全である。ただし、液漏れ時のサビの発生は免れないかもしれない。

一時期、大手メーカー製乾電池では、製造後の一定期間内に通常の使用方法で液漏れを起こし、機器が使用不能になった場合に修理費などの補償をうたっていたことがあったが、現在は一般的でない。1970年代以降、マンガン乾電池の電解液が塩化アンモニウムから塩化亜鉛に切り替えられたことと関連があるように見える。現在、類似の制度は酸化銀電池に見られる。

[編集] 使用推奨期限

乾電池の多くには、使用推奨期限が刻印されている。製造時から数年程度。使用推奨期限は、使用開始をする推奨する期限を示した物であり、期限までに使い終わることを推奨しているのではない。

[編集] 使用済み乾電池の廃棄

現在日本で生産されている乾電池には水銀が含まれていないため、特に大都市部などでは不燃ごみとして回収しているところが多く、これらの地域のホームセンターや家電量販店などでは乾電池の正しい使用法を啓発するビデオやパンフレットの中でも、テープ等で電極を絶縁してから不燃ごみとして廃棄するように示されている。

マンガンなどの希少金属を再生・再資源化する為に拠点回収する等、蛍光灯等の有害ゴミと同様に回収する市町村・小売店も多い。

[編集] 水銀0使用

日本では、マンガン乾電池は1991年、アルカリ乾電池は1992年から、水銀は使用されていない。ボタン形酸化銀電池は、無水銀化した物を2005年にソニー株式会社が商品化させた。2005年1月から、10種を全世界で順次販売する。

[編集] 歴史

[編集] 乾電池以前

初期の小型一次電池はヨハン・リッター(Johann Ritter)によって、1802年発明された。

現在の乾電池に迫るスタイルのものは、フランスのジョルジュ・ルクランシェ (Georges Leclanch)によって、1866年に発明された「ルクランシェの湿電池」である。彼の設計では二酸化マンガンと炭素の混合物を多孔質の容器に包んで正極とし、亜鉛の棒を負極として、塩化アンモニウムの電解液の中に浸している。ルクランシェの元々の設計では劣化する傾向があったが、後の技術者によって改善された。

1881年、ティーボウ(J.A. Thiebaut)は亜鉛の容器に負極と多孔質の容器の両方の役割を持たせた最初の電池で特許を取った。

[編集] 乾電池の誕生

1885年、小型湿電池の性能に不満を抱いた日本の時計技師屋井先蔵が、より取り扱いが簡素で、また日本の寒冷地でも使用可能な時計用小型一次電池として、パラフィンにより電解液を固形化し、湿電池の要素を取り除いた「屋井式乾電池」を開発した。しかし、屋井は特許を出願しなかったため、屋井の業績は当初、認められなかった(日本においても、乾電池の特許第1号は高橋市三郎である)。

最初に商業的に成功した乾電池を生産する功績は、1888年ドイツのカール・ガスナー(Carl Gassner)に帰した(特許は1887年)。また、同時期にデンマークでもヘレンセン{stub}が乾電池の特許を取得している。

1889年、パリ万博に日本は電気羅針盤を出展していたが、これに使用した屋井式乾電池に目をつけたアメリカなどのメーカーにより、無断コピー品が製造されるようになった(当時の日本は、これらに抗議できるほどの力を持たなかった)。

1894年日清戦争が勃発し、満州で多数の屋井式乾電池が用いられ、陸戦での勝利に導いたとの新聞報道により、屋井の乾電池が取り上げられた。これにより、日本国内では屋井の名声は一挙に高まった。

後世の歴史研究により、1885年以前に乾電池が発明された形跡がないことから、屋井の乾電池が世界初であると認められた。しかし、現在も海外のみならず、日本国内においても、ガスナーまたはヘレンセンとする文献、識者は多い。

[編集] 乾電池の飛躍

1909年タングステンのフィラメントによって、乾電池で動く最初の懐中電灯ができた。

1910年、屋井は屋井乾電池を設立し、乾電池の本格量産にとりかかった。この時の量産乾電池は筒型の金属ケースを用いたもので、現在の乾電池のスタイルを確立した。海外のコピー品を押し返して国内市場を席巻し、屋井は「乾電池王」とまで呼ばれた。

[編集] 外部リンク

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