ロードレース (自転車競技)

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自転車競技におけるロードレースとは、主に舗装された一般道をコースとしてロードレーサーで走り、ゴールの順序や所要時間を競う競技である。日本では馴染みが浅いが、ヨーロッパを中心にその人気は絶大なものがあり、特にヨーロッパではサッカーに次ぐ程の人気スポーツである。基本的にどのレースも個人競技だが、実業団やプロのレベルではチーム単位で役割分担してチームの目標達成を目指す(必ずしも勝利することが目標とは限らない)団体競技の様相を呈する。世界最高峰のレースの一つである世界選手権でも国ごとに団結してチームプレイを見せることがある。

目次

[編集] 概要

ロードレースには多様な開催形態が存在している。すなわち「勝利を争う主体は集団か個人か」「レースは1日で終了するか否か」「争われるのは着順か走破タイムかポイントか」という要素の組み合わせによって、様々なレースが構築されるのである。例えば最も有名な「ツール・ド・フランス」では、「勝利を争う主体は個人及び集団(チーム)」、「レースは3週間」、「争われるのはステージごとの着順、レースを通しての走破タイム、レースを通しての獲得ポイント」という極めて複雑なものとなる。

よって、「ツール・ド・フランス」においては

  • 個人総合優勝(レース全体を通しての走破タイムで争われる)
  • ステージ優勝(ステージごとの着順で争われる)
  • チーム総合優勝(レース全体を通してのチームの走破タイムで争われる)
  • ポイント賞(レース全体を通してのスプリントポイント獲得数で争われる)
  • 山岳賞(レース全体を通しての山岳ポイントの獲得数で争われる)
  • 新人賞(開催年に25歳以下の誕生日を迎える選手限定でレース全体を通しての走破タイムで争われる)

という6つの賞金争いが展開されると言える。さらにこういった大レースでは、いかに印象深い走りを見せるかによってチームのスポンサー獲得や選手個人の次シーズンの契約状況も異なってくるので、上記6つのタイトルに絡まない選手やチームであっても、時にタイトル争いをしている選手やチーム以上に本気の走りを見せることがある。

かくして、大きなレースでは全ての選手が優勝目指して疾走するのではなく、それぞれが個人やチーム単位でいくつかの戦略目標を設定し、それに向かって最善を尽くすという状態が発生する。こうした参加主体による戦略目標の相違は、局面局面での「呉越同舟」状態を作り出す。例えばステージ優勝を狙って逃げ集団を形成した選手たちは、所属チームは異なってもゴール直前までは協力しあうのが基本である。しかしその一方で、こうした逃げ集団の中に総合優勝に絡みそうな選手が入った場合、その選手と総合優勝を争う選手を抱えるチームの選手が逃げ集団に加わっても先頭交代には参加しない(協力体制には加わらない)。

このように、複雑な利害関係が生み出すダイナミックな戦況の変化が、「ツール・ド・フランス」のような大レースの醍醐味なのである。一方、アマチュアのレースや小規模なレースでは単純な個人総合優勝争いしか発生しない。

ロードレースの競技規則は国際自転車競技連合(UCI)によって決められているが、レースの距離・ステージレースにおけるステージの構成やポイントの配分などは、レースの主催者が決定している。

[編集] 先頭交代

ロードレースでは走行中の空気抵抗による体力の消耗が非常に大きいため、単独で走りきって勝利するのは困難である。そのため、必然的に集団を形成するようになり、他の選手を風よけにして体力の消耗を減らすなど、選手間で協力することも多い。その際、数人から十数人の選手が順番に先頭を走って他の選手の風避けとなり、他の選手の体力回復(心拍数や乳酸値の低下)を助けるという戦術が採られる。

先頭交代は必ずしも同じチーム内で行われるとは限らない。例えば、大集団から抜け出した異なるチームの数人がトップ集団を形成して逃げ切るために協力し合ったり、そのトップ集団を追いかけるために大集団に残ってしまったチーム同士が協力して先頭交代をし、大集団の速度を上げて追い上げることもある。

ポイントの獲得からシリーズ優勝まで、様々な思惑や戦略が絡むのが先頭交代である。

[編集] エースとアシスト

チームにはエースアシストという役割分担が明確に存在している。エースは最終的にレースの勝利者となることがチーム内の役割であり、アシストはエースを勝利に導くための他チームの牽制、風よけ、補給食や飲み物の運搬などを行う。エースが獲得した賞金はアシストも含めて均等に分配されることが多いとされる(今中大介2005年)。

ゴール前では、アシストが数名で順に風よけをしてエースを引っ張って、ゴール前数百メートルでエースが最終的に飛び出すというシーンも頻繁に見られる。このシーンでは数名の選手が縦に並んで走ることから、トレインなどと呼ばれる。

エースはレースごとに設定される。通常、チームはシーズン中の全てのレースを勝ちに行くことは無く、チームの本拠地や所属選手によって重視するレースを決めている(自国の大レースは当然重視する他、所属選手の脚質によっても狙うレースは異なってくる)。チームが重視するレースではチーム内の最有力選手をエースとして起用するが、小さなレースやあまり重視しないレースでは、普段アシストに回っている選手がエース役を務めることもある。またレース中にエースにアクシデントがあった際には、アシストの中の最有力選手がエース役を引き継ぐ場合もある。

[編集] 暗黙の了解

ロードレースには選手間に暗黙の了解事項が多数存在している。

先頭交代への参加
集団内の好位置(前から十数番手までは集団落車に巻き込まれるリスクが少なく、またアタックをかけたりアタックに反応したりということも可能)に居る選手は先頭交代に加わるのがマナーである。自分だけ先頭交代に加わらないで体力を温存するという作戦(ツキイチと呼ばれる)は、ルール上禁止されてはいないものの、仮にそれで好結果を出したとしても実力とは認められない。ロードレースの最高レベルであるUCIプロツアーにおいては、選手としてのキャリア中一度も表彰台に上れない方が普通であり、大半の選手は勝ち負けに直接絡まなくとも実力があると認められてアシストとして雇われる形になるので、ツキイチは選手にもメリットが無いのである。
総合優勝狙いの選手はステージ優勝を譲る
ステージレースにおいては、総合優勝争いに絡んでいる選手はゴールスプリント(ゴール直前での全力走行勝負)に加わらないのも基本である。これは最も落車の危険が大きいゴールスプリントを回避するという積極的な理由もある他、総合優勝を狙うような選手がガツガツとステージ優勝まで拾おうとするのはマナーに反するという暗黙の了解も関わっている。また、総合優勝争いをしている選手が少人数の逃げに乗り、そのままゴールまで行けてしまったような状況では、同じ逃げ集団に総合優勝争いの直接のライバルが居ない限り、トップとタイム差無しでステージを終えられれば総合優勝争いで前進することが出来るので、ステージ優勝は逃げ集団の他の選手に譲るのが普通である。また逃げ集団の他の選手としても、総合優勝争いに手を貸す代わりにステージ優勝争いからは降りて貰うという暗黙の了解を前提として走っていることが多い。ただし山頂ゴールなどで総合優勝争いの選手が他の選手を全て千切ってしまった場合には、この限りとならない。
チーム戦略によってツキイチをした選手はステージ優勝争いから降りる
さらに難しいのは、総合優勝争いをしている選手のアシスト選手が、自分のチームのエースの直接のライバルの逃げを潰しに行くケースである。この場合、潰しに行ったアシスト選手はツキイチで相手エースに圧力をかけ続けることになるが、ゴールまでに相手エースが逃げ潰れて後退してしまい、しかも他チームのステージ優勝狙いの選手が逃げ集団に残っていたならば、潰しに行ったアシスト選手は(逃げ集団の先頭交代に加わらなかった代わりに)ステージ優勝争いからは降りるのがマナーである。
リーダージャージを抱えるチームが集団の先頭を積極的に引く
ステージレースではリーダージャージ(総合優勝争いで首位にいることを示すジャージ)を着た選手を抱えるチームが集団の先頭を引くことも暗黙の了解となっている。この為、敢えて総合優勝争いで首位に出ずにレースを進めることもある。
アクシデントにつけ込まない
ゴール直前の数キロを除き、有力な選手がパンクで一旦停止したり他選手の落車に巻き込まれている隙をついてアタックをかける(一気にペースを上げる)こともマナー違反とされている。
グラン・ツールの最終ステージは周回コースに入るまでのんびり走る
グラン・ツールの最終ステージはジロ・デ・イタリアならミラノ、ツール・ド・フランスならパリと決まっており、選手たちはパリやミラノまで数十キロを走ってから最後に都心部の周回コースに突入することになる。そして各賞の優勝争いが僅差になっていない限りは、この周回コースに入るまでゆったりと流して行くことが普通である。これは、グラン・ツール最終ステージが世界最高峰のステージレースをここまで走り抜いた選手たちの凱旋走行と位置づけられている為である。ツール・ド・フランスでは、沿道の観客からシャンパンを振る舞われつつゆったりと走ってゆく選手たちの姿が見られる。

[編集] 種類

ワンデーレース
1日で終わるレース。ステージレースが登場するまで、本来ロードレースは1日で終わるものだった為、“クラシック”とも呼ばれる。
ステージレース
複数日にわたってレースを行い、総合成績を競う。

[編集] 競技方法

マスドスタート

通常行われる方法で、全選手が一斉に走り、ゴールの順序、所要時間を競う。個人と団体がある。

チームタイムトライアル(チームTT)
一定時間毎にチームの全員が出走し、チームのタイムを競う。一般に中間―4人目のゴールインタイムが記録になる。
個人タイムトライアル(個人TT)
一定時間毎に選手が個別に出走し、チームとは関係なく個人のタイムを競う。

[編集] 日本のレース

日本で開催されるステージレースとしてはツアー・オブ・ジャパンツール・ド・北海道が代表的であり、ワンデーレースとしては日本最高峰のジャパンカップツール・ド・おきなわが有名である。

国民体育大会においてもワンデーの個人ロードレースが行われる。

[編集] 海外のレース

三大ツール(グランツール)や世界選手権が有名であるが、それらのメジャーなレースを統合して年間の総合成績を競うUCIプロツアーが、2005年より開始された。2004年までは有名なワンデーレースの成績を年間で競うワールドカップがあったが、これはUCIプロツアーの開始とともに廃止された。しかし、三大ツールの主催者とUCIとの間で運営方法に関する考え方のギャップが表面化し、三大ツールがUCIプロツアーから離脱する可能性も出てきている。

このほか、夏季オリンピックアジア競技大会などにおいても、ワンデーの個人及び団体のロードレースが行われる。

[編集] 三大ツール

[編集] 競技者の特徴

クライマー
登坂に強い選手。小柄な選手に多い。ステージレースでは山岳賞争いに加わる他、総合優勝を争う選手がいるチームでは、山岳ステージでエースを引く仕事もこなす。強力なクライマーをアシストに使えるチームはグラン・ツールでは極めて有利である(例:2006年ブエルタ・ア・エスパーニャのアスタナ・チームにおけるアンドレイ・カシェキン)。
スプリンター
瞬発力に優れた選手。平地ステージにおいてゴール前数百メートルで、集団から脱け出しての優勝争いに絡む。ステージレースではスプリントポイント賞争いに参戦するが、山岳ステージが無いステージレースでは総合優勝争いにも加わることが出来る。
ルーラー
スピードマンともいう。登坂能力やゴール前での瞬発力には劣るが、淡々とハイペースで平地を長時間走り続けることが得意な選手を指す。有力チームのルーラーはエースに有利な展開を構築する為に集団の前で先頭交替に参加し、レースのペースを創り出す。一流のプロチームのルーラーは先頭交替をしながら時速40キロ以上で何時間も集団を引き続けることが出来る。集団(空気抵抗を減らすため集団で走行している状態)から終盤に抜け出して逃げ切り優勝を狙うことも出来る。
タイムトライアルスペシャリスト(TTスペシャリスト)
クロノマンともいう。名前の通りタイムトライアルのスペシャリスト。ルーラーを強力にしたようなタイプの選手で、小集団でエースをゴール近くまで引っ張っていくような展開でも力を発揮する。
オールラウンダー
山岳、平地、タイムトライアルを高いレベルでこなす選手で、特にレベルの高い選手はステージレースでの総合優勝を狙うことが出来る。その戦い方の基本は、タイムトライアルと山岳ステージで他選手に差を付け、平地レースではステージ優勝争いをするスプリンターと同じ集団でゴールする(順位差はつくがタイム差はつかない)というものである。グラン・ツールの優勝争いをするような選手はクライマーと同等以上のヒルクライム能力、TTスペシャリストと同等以上の平地でのスピードを持っている(スプリント能力は要求されない)。

[編集] 有名な選手

[編集] 男子

[編集] 女子

[編集] ロードレースに力を入れている企業

[編集] 外部リンク

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