電子メール
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電子メール(でんしメール、electronic mail略してe-mail、Eメールとも)は電気的な符号を使ってメッセージを伝達する通信手段である。
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[編集] 概要
インターネットの初期からある通信手段であり、Unix to Unix Copy Protocol (UUCP) やSimple Mail Transfer Protocol (SMTP) などのプロトコルを介して、メールを相手サーバに届ける事ができる。
一方で、インターネットの普及以前にコンピュータ通信手段として広く行われていた、いわゆるパソコン通信でも、加入者同士で文書のやり取りを行うシステムが「電子メール」として提供されていた。ただし、パソコン通信では、一般的に、通信が1つのパソコン通信システム内にとどまっていたので、他のシステムとの間での電子メールの交換機能などの相互通信機能は、一部のケースを除きほとんどなかった。また、各パソコン通信システムごとに独自のシステムが構築されていた事が多かったため、ユーザインタフェース等についても互換がなかった。しかしその後、インターネットの普及に伴い、大手パソコン通信システムとインターネット間で相互に通信が可能にもなった。 メール友達(メル友)も、流行になった時期があった。
インターネットが普及し始めた頃(あるいは現在も)はBBSの書き込みやブログのコメントさえも含めて「メール」と呼称していたライトユーザが多かった。
また、携帯電話やPHS間でごく短い文字メッセージ(メール)をやりとりする、ショートメッセージサービス(SMS。iモードなどのサービス開始前より行われている)も、広義の電子メールに含まれる。
なお、日本では導入経緯から、e-mail、EメールはRFCに準拠した、UUCP/SMTPのプロトコルを使用した電子メールに限って用いられる。以下はそのような電子メールについてのみ記述する。それ以外の電子メールについては上記の各関連項目を参照のこと。
[編集] 電子メールを支える技術
[編集] 一般
個々の電子メールのアドレスは、xxxx@example.co.jp などのような形で表現される。実際に電子メールを使うためには独自ドメイン名(この例では "example.co.jp")を得て、ドメイン名を管理するDNSサーバやメールサーバに登録する必要がある。
一般的には、加入プロバイダや勤務先・通学先の企業・学校などのアドレス(アカウント)になっていることが多い。
容量については理論的には制限はないが、送受信可能な最大容量は、プロバイダの提供する容量で制約を受ける。一般的には、ダイヤルアップ接続時代の名残の数メガバイトから、近年のブロードバンド対応として大容量を謳ったものでは100メガバイト程度に設定されることが多い。これ以上の大容量のデータのやり取りにはFTPやP2Pなどが使われることが多い。
無料アドレスの場合はフリーメールサービスを利用し一般的な電子メールソフトではなく、Webブラウザを使いWebページ上で、送受信を行うWebメールがほとんどである。
[編集] プロトコル
現在、インターネットでは、メールサーバ間での通信およびクライアントからの送信には、一般にSMTPが使われる。古くは、また現在でも希に、UUCPが使われる。メールは、数々のサーバをリレーのように経由して目的のメールサーバに伝えられる。 なお、電子メールには、送信者の使用メールソフトや経由サーバなどのヘッダーと呼ばれる情報が付属されている。
メールサーバからメールを読み出す場合には、Post Office Protocol (POP) 、Internet Message Access Protocol (IMAP) などのプロトコルが用いられる。 メールの書式については、RFC 2822で規定がある。また、テキスト以外のデータをメールで送るためにMultipurpose Internet Mail Extensions (MIME) が規定されている。
[編集] 文字コード
日本語(2バイト文字)を扱う場合の文字コードは、ISO-2022-JPを使うことが原則である(JUNET利用の手引第一版より)。それ以外の文字コードを使う場合には、添付ファイルとしてMIMEエンコードする必要がある。
[編集] メール形式
元来は、メールはプレーンテキスト形式の物のみであったが、上記MIMEの規定および普及に伴い、メール本文をHTMLにより記述したHTML形式のメールも、RFCに規定され一般にも使われるようになった。HTML形式のメールを単にHTMLメールと呼ぶ事も多い。
HTML形式のメールは、メール本文をHTMLで記述できるため、メールにWebページと同様の表現力を持たせられる利点がある。携帯電話でも、cHTML形式のメールが一般向け仕様のサービスとして提供されているものもある。
その一方で、特に、Microsoft Windowsとその標準メーラーであるOutlook Express(メールの作成はHTML形式がデフォルト)の普及に伴い、HTML形式のメールが送受信されることも多くなった。しかしながら、メーラーにおいては、メール中のHTMLデータを展開し表示するためのレンダリングエンジン(特にInternet Explorerを用いる物)にしばしばセキュリティホールが発見されているため、メールを見る(プレビューする)だけで、コンピュータウイルスが侵入する被害を受けたり、迷惑メール・架空請求メール等で画像タグを埋め込んだメールを送りつけて表示させ、メールを表示させた情報を収集(スパムビーコンと言う)して悪用するなど、セキュリティ上の問題がある。このため、HTML形式のメールをフィルタリング機能などではねる(人によってはゴミ箱フォルダへ振り分ける)設定をしていることもある。また、全てのメーラーがHTMLメールの表示に対応している訳でもないため、一般的には、断り無くHTML形式のメールは送信しないようにすることが、いわゆるネチケットの一つとされる。
なお、あるファイルデータをメールに添付して送る場合、添付ファイルとしてMIMEやBASE64によってテキスト化(エンコード)をしてメール本文に埋め込んで送信し、受信側で元のデータファイルに復元(デコード)する方法が取られる。添付ファイルには、コンピュータウイルスも仕込む事が可能なため、受信時に添付ファイルを自動的に開く設定になっていると、やはりコンピュータウイルスが侵入する被害を受けるなどの危険もある。そのため、一部では「添付ファイルとはしないでメール本文に記載するように」、メール受信側から促している場合もある。
[編集] ヘッダ情報
一通一通それぞれのメールは、本文とは別に、ヘッダ情報と呼ばれる各種の特殊な情報を持つ。殆どのメーラーでは、何らかの方法(メーラー毎に異なる)によって、このヘッダ情報を参照可能である。ヘッダ情報は、脅迫メールやスパムなどのメールが届く場合などに、送信元の特定などに威力を発揮する。
[編集] 代表的なヘッダ情報
- Return-Path: 送信者が返信を希望するメールアドレス
- Received: from このメールが届くまでに経由したインターネット上のグローバルIPアドレスの経路
- Received: 受信した時刻
- Message-Id: メール一通一通に付加された固有の番号
- From: 送信元のメールアドレス(< >で囲まれる場合が多い)と名前(" "で囲まれる場合が多い)
- このヘッダの記載は送信者がメーラーの設定によって自由に変更できる。このような電子メールの仕様から、いわゆる「なりすまし」などの悪用を完全に防ぐことは困難とされる。
- To: 受取人のメールアドレス(と名前)
- Subject: 題名
- Date: 送信年月日と日時
- MIME-Version: 添付ファイル(バイナリファイル)を送るプロトコルであるMIMEのバージョン
- X-Priority: 送信者が指定した重要度
- X-Mailer: メーラーの種別
- X-IP: 送信者のグローバルIPアドレス
- X-FROM-DOMAIN: 送信者のドメイン
[編集] 機能
[編集] CcとBcc
電子メールを送信する際の機能として、Cc(カーボンコピー、Carbon Copy)とBcc(ブラインドカーボンコピー、Blind Carbon Copy)とがある。メールの本来の送信先は一般的にTo:に指定して送信するが、本来の送信先以外にも一応コピーを送っておきたい相手などがいる、という場合にこの機能を使用する。
メールを初めて利用する人はもちろん、それなりに使い慣れている人にしても、この機能の本来の使用方法を理解していない事も多い。この機能を使うに当たっては、よく理解して使えばとても便利であるが、私用・公用に限らず、Cc機能とBcc機能の違い・それぞれに指定されて送信された相手に見える自分以外の送信先をよく理解して使わないと、例としてメールアドレスの個人情報漏洩など、色々な意味で面倒な事になることもある。
- Cc(カーボンコピー、Carbon Copy)
- To:で指定した本来の送信先以外にも、一応コピーを送っておきたい相手などがいる場合に使用する機能である。
- To:で宛先を指定するのと同様に、Cc:にコピーを送りたい相手を指定して使用する。To:に指定された本来の相手には、To:とCc:に指定された宛先が全て見える。また、Cc:に指定された相手にも、To:とCc:に指定された宛先が全て見える。
- 要するに、送信者(From:)、To:の相手、Cc:の相手、の各3者相互で、各アドレスが各3者全員に知られることになる。
- Bcc(ブラインドカーボンコピー、Blind Carbon Copy)
- To:で指定した本来の送信先以外にも、一応コピーを送っておきたい相手がいる、しかしTo:とCc:に指定した相手にはこのBcc機能を使ってコピーを送った相手、もしくはその相手がいることを知られたくない、という場合などに使用する機能である。
- To:で宛先を指定するのと同様に、Bcc:にコピーを送りたい相手を指定して使用する。メールの送信時に、メールサーバ(MTA)においてBcc:ヘッダを削除して転送するため、To:/Cc:に指定された相手には、このBcc:に指定された宛先は全く見えない。が、Bcc:に指定された相手には、To:とCc:に指定された宛先が全て見える。また、Bcc:の宛先アドレスが複数ある場合には、Bcc:指定された各宛先相互間で、自分以外の他の宛先を知ることはできない。
- 複数のメーラから単一のメールアカウント・サーバにアクセスする場合には、Bccを活用したテクニックがある。Bcc:にFrom:(自分自身)と同じアドレスを指定する(メーラ (MUA) による常時設定も可能)事により、自分が送信したメールがそのままの内容で自分のメーラの受信箱にも配信される。POP3等のメールサーバでサーバからメーラへ受信したメールをサーバから除去しない(数日後に削除する)設定をメーラにすることにより、1つのメーラから送信したメールが他のメーラ全てにコピーとして配信される。これにより、通常は送信したメーラの送信済み箱を見ないと分からない所が、複数のメーラで送信メールを確認できる。
[編集] 歴史
[編集] 電子メールの起源
電子メールはインターネットに先行して開発された。既存の電子メールシステムはインターネットを作るに当たって重要な道具となった。
最初の電子メールは1965年、メインフレーム上のタイムシェアリングシステムの複数ユーザーが相互に通信する方法として使われ始めた。正確なところは不明だがその類の機能を持つ最初のシステムとして、SDC(ランド研究所からのスピンオフでSAGEのソフトウェア開発を行った会社)のQ32システムとMITのCTSSがある。
電子メールは間もなくユーザーが異なるコンピュータ間でメッセージをやり取りするための「ネットワーク電子メール」に拡張された。1966年には異なるコンピュータ間で電子メールを転送していた(SAGEでの詳細は明らかではないが、もっと早い時期に実現していたかもしれない)。
ARPANETは電子メールの発展に多大な影響を与えた。その誕生直後の1969年にシステム間電子メール転送の実験を行ったというリポートがある[1]。BBN社のレイ・トムリンソンは1971年にARPANET上の電子メールシステムを開発し、初めて@を使ってユーザー名とマシンを指定できるようにした[2]。ARPANET上では電子メール利用者が急激に増大し、1975年には1000人以上が利用するようになっていた。
[編集] 一般への浸透
ARPANETでの電子メールの利便性と利点が一般に知られるようになると、電子メールの人気が高まり、ARPANETへのアクセスができない人々からもそれを要求する声が出てきた。タイムシェアリングシステムを代替ネットワークで接続した電子メールシステムがいくつも開発された。例えばUUCPやIBMのVNETなどがある。
全てのコンピュータやコンピュータ・ネットワークが直接相互に接続されるわけではないので、電子メールのアドレスにはメッセージの伝達「経路」、つまり送信側コンピュータから受信側コンピュータまでのパスを示す必要があった。電子メールはこの経路指定方法でいくつものネットワーク間(ARPANET、BITNET、NSFNET)でやり取りすることができた。UUCPで接続されたホストとも電子メールをやり取りすることが可能であった。
経路は「バングパス」と呼ばれる方法で指定された。あるホストから直接到達可能なホストのアドレスを書き、そこから次に到達可能なホストのアドレスをバング(感嘆符=!)で接続して書いていくアドレス指定方式である。
CCITTは、種々の電子メールシステムの相互運用を可能とするために 1980年代にX.400標準規格を開発した。同じ頃、IETFがもっと単純なプロトコルSimple Mail Transfer Protocol(SMTP)を開発し、これがインターネット上の電子メール転送のデファクトスタンダードとなった。インターネットに各家庭から接続するようになった現代では、SMTPベースの電子メールシステムの相互運用性は逆にセキュリティ上の問題を生じさせている。
1982年、ホワイトハウスは国家安全保障会議(NSC)スタッフのために IBM の電子メールシステム Professional Office System (PROFシステム)を採用した。1985年4月、このシステムがNSCスタッフ向けに完全動作するようになった。1986年11月、ホワイトハウスの残りの部分もオンライン化された。1980年代末ごろまではPROFシステムだけだったが、その後は様々なシステムが導入されている(VAX A-1(オールインワン)や、cc:Mailなど)。
[編集] 問題
[編集] 不着や遅延
電子メールの不着及び遅延の主な原因となっているのはスパムメールである。2006年現在、全世界で流れている電子メールのうち、約8割以上がスパムメールであると推測する報告もある。[3]
大量に送信されるこれらのスパムメールはメールサーバーに過大な負荷を与え、メール配送遅延の大きな原因となっている。
また、スパムメール対策としてサーバー上、クライアント上でのフィルタリングが普及してきたが、誤検知により通常のメールがスパムであると判断されてしまい、不着となるトラブルが増えている。
2004年7月下旬から8月上旬にかけて、大手インターネットプロバイダ@niftyで、海外から大量に送信されたスパムメールによりメールサーバーに断続的な負担が掛かり、メールの受信に支障が生じる状態が続いた。[4]
また近年、トロイの木馬などのマルウェアに感染しゾンビ化したコンピュータ群によって引き起こされるDDoS型のスパム送信の割合が急激に増加しており、ますますメールサーバーに多大な負荷を及ぼすものとされている(→ボットネットを参照)。
スパム以外に配送遅延の大きな原因となるのが、いわゆる「年賀メール」である。新年を迎えると同時に大量のメール送信が発生し、サーバーに負荷がかかり遅延が発生することがある。ここ数年はメールサーバーの処理能力向上により、かつてに比べると問題となることは減ったものの、特に携帯電話・PHSのメール機能は「即時にコミュニケーションを取りあう手段」としてチャット的に利用される傾向があるために年賀メールの発信も多く、遅延や輻輳の可能性も高い。このため毎年年末には、各キャリアが年越時間帯のメール、コールの自粛を呼びかけている。
かつてパソコン通信が全盛だった時代には、処理の集中を防ぐため、あらかじめ年賀メールをサーバーに予約送信しておき元旦に順次配送するといったサービスも提供されていた。
[編集] コミュニケーション上の問題
パソコン通信やインターネット等における文字だけのコミュニケーションに見られる問題(Flaming)は電子メールにおいても見られる。メールの真意、感情が相手に伝わらず、度々トラブルに発展するケースが挙げられている。英語圏では、メールの真意を読み取り間違え、感情に任せて送るメールの呼称・(スラング)にFlame Mailというものがある。
[編集] 関連項目
- メールアドレス
- フリーメールサービス
- メーラー(電子メールソフト、メールクライアント、MUA)
- メールニュース
- メーリングリスト
- メールサーバ - Domain Name System(DNS)
- X-Face
- スパム (メール)(迷惑メール)
- M-mail
- 迷惑メールフィルタ
- ウェブビーコン(ウェブバグ)
- フィッシング (詐欺)
[編集] 外部リンク

