妊娠
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妊娠(にんしん)とは、哺乳類などの胎生の動物で、雌の胎内(子宮内)における、受精卵の着床から出産、もしくは流産するまでの経過、およびその状態を指す。
哺乳類一般では、妊娠の経過は、それぞれの種によって異なる。満期出産に至るまでの期間や出産時の成熟度もまちまちである。
一般に、草食獣は、生後まもなく走れるほどに成熟して生まれることが多いが、外敵の少ない肉食獣では、しばしば目も開かない状態で生まれてくる。また有袋類は、大変小さく未熟な状態で生まれ、母親の袋(育児のう)内で成長する。
出産する子の数では、ネズミのように多産のものから、ゾウやゴリラのように、ほぼ1頭のみ出産するものまである。これは、母体への負担と生後の生存率に関係していると考えられる。
人間の場合、受精後266日、腹の子(胎児)が約3,000g内外にまで育ったところで出産に至る。俗に「十月十日(とつきとおか)」というが、これは最終月経の初日から数え、一月を四週で数えるため、実際の日数とは異なる。したがって10月11日生まれの人間に「姫はじめでできたんだ」というのは当たらない。妊娠中の女性は「妊婦」、分娩直前の女性は「産婦」、分娩後は「褥婦」、女性の胎内にいる子どもは「胎児」、生後4週間までの子どもは「新生児」と呼ばれる。
これ以降は人間の場合について述べる。
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[編集] 受胎
[編集] 排卵
女性は胎児期からすでに卵巣の中に原始卵胞(げんしらんぽう)を持っている。平均して12~13歳で原始卵胞は1個ずつ成熟し排出されはじめる。これを「排卵が起こる」と言う。個人差はあるが、一般に28日前後を1周期として、排卵が起こる。(⇒卵胞形成)
[編集] 受精
排出された卵子に精子が到達して卵管膨大部で「受精」が起こる。受精した卵を「受精卵」と呼ぶ。卵子は一旦受精すると、それ以外の精子は受け付けない。
- 多胎妊娠
- 稀に、一卵性双胎、二卵性双胎が生まれる(⇒双生児)。現在では人工授精などの不妊治療により、三つ子(三胎)、四つ子(四胎)が生まれることもある(⇒多胎児)。Hellinの法則によるとn胎の発生する確率は80のn-1乗に1例である。多胎妊娠は妊娠経過中に多々の合併症を生じることも多く、出生予後も単胎に比べると良くない。そのため体外受精の時に子宮内に戻される受精卵の数は3個までと日本産科婦人科学会によって会告で通達されている。
排卵後に受精しなかった場合は月経が起こり、肥大した子宮内膜は、経血として体外に排出される。
[編集] 子宮
排卵後の卵胞は「黄体」となり、「黄体ホルモン(プロゲステロン)」を分泌する。「黄体ホルモン」は子宮を着床に向いた状態に整える。
[編集] 着床
受精卵はゆっくりと細胞分裂を繰り返しながら卵管を下り、およそ48時間かけて子宮にたどり着くと、子宮内膜に着床して胎盤を形成する。この着床を持って妊娠成立とみなす。
[編集] 子宮外妊娠
受精卵が何らかの理由で子宮以外の場所に着床した場合は子宮外妊娠と呼ばれ、放置すると危険な状態になる。産婦人科での緊急な処置が必要となる。
[編集] 妊娠判定
女性の尿が少量あれば、妊娠の有無は簡単に判定できる。判定薬は薬局で求めることができるが、より確実を期するために、医療機関を受診する。
[編集] 妊娠期間の数え方
受精後胎齢と月経後胎齢の二つの数え方がある。前者は発生学で用いられ、後者は臨床産科で用いられる。
- 受精後胎齢
- 受精初日を1日目として、満日数、満週数であらわす。
- 月経後胎齢
- 最終月経初日を1日目として、満日数または満週数で表す。
両者の関係は受精後胎齢 = 月経後胎齢 - 2 (週)であらわせる。
日本では一般に「3ヶ月」「4ヶ月」と数えでの月数で表現する(満でないことに注意。すなわち最終月経開始日はすでに妊娠1ヶ月であり、次の月経が来ないことに気づき検査を行った時点で妊娠2ヶ月である)。ただし、1ヶ月は4週とする。
なお、フランスでは臨床産科においても受精後胎齢が使われており、推定された受精日から何週、または何ヶ月たったかで妊娠期間を表している。
[編集] 妊娠の経過
受精卵は、妊娠7週6日までは「胎芽」、8週以降は「胎児」と呼ばれる。胎児の諸器官の原型は妊娠初期にほとんどが形成される。諸器官は妊娠中期に著しく成長し、22週頃には早産してもNICU(新生児集中治療室)の保育器内で生存できる場合がある。36週以前、または2,500g以下で生まれた場合は低出生体重児(未熟児とは言わない)、1,500g以下の場合は超未熟児、1,000g以下の場合は極小未熟児と呼ばれる。
[編集] 正常妊娠
検査として、胎児の心拍数を母体の陣痛の強さと共に記録する胎児心拍数陣痛図がある。胎児の自律神経が発達してくると心拍数が細かく振れる様になる。これを基線細変動と言う。
[編集] 妊娠初期
(~満12週ころ)母体の外観は妊娠前とほとんど変わらないが、妊娠に伴い、ホルモン分泌が変わるなどのため、様々な変調が起きる。
- 肉体的: つわり、嗜好の変化、眠気、頻尿、便秘
- 精神的に不安定になる。周りの者に当り散らす。落ち込む。
[編集] 悪影響をおよぼすもの
喫煙、飲酒、ストレス、特定の薬、風疹などのウイルス、X線などが、胎児の諸器官形成に悪影響を及ぼし、奇形または自然流産の原因となることがある。
[編集] 妊娠中期
(満13~27週ごろ)胎動が感じられるようになる。古来、日本では妊娠5ヶ月目の戌の日に「腹帯(ふくたい・はらおび)」をしめはじめた。
普通、つわりもほぼおさまり、安定期。ただし、胎児が子宮外に出てしまうと生存はほとんど困難で、流産となる。(22週以降は生存の可能性がでてくるので早産と呼ばれる)
[編集] 妊娠後期
(満28週ころ~)胎児がどんどん大きくなり、子宮も大きくなる、それに伴い、母体への負担が増えていく。貧血になる妊婦も少なくない。妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)が起こりやすいので、注意が必要である。高血圧、蛋白尿、むくみなど。子宮外に出ても生存する確率がだんだん高くなる。
[編集] 出産直前
子宮口が柔らかくなってくる。通常、陣痛が起こる前から開きはじめる。陣痛が起こると、胎児心拍数陣痛図では、陣痛に一致して胎児の心拍数が低下する。これを早発一過性徐脈と言う。
[編集] 異常妊娠
検査は、胎児心拍数陣痛図では基線細変動が見られなくなる。これを基線細変動消失と言う。陣痛に同期してやや遅れて胎児の心拍数が低下する。これを遅発性一過性徐脈と言う。基線細変動消失や遅発性一過性徐脈が見られた場合は胎児仮死と考える。胎児仮死の場合は急いで分娩を行う必要がある。急いで分娩を行うことを急速遂娩と言う。例え肺が出来上がっていない妊娠36週未満であっても急速遂娩を行う。急速遂娩には帝王切開も含まれる。
[編集] 出産
出産を参照。
[編集] 産後:産褥期
- 回復
- 子宮が元の大きさに戻るまでには4~6週間かかる。産後の出血(悪露)が消失するまで約4週間かかるが、特に合併症などがない限り、絶対安静の必要はなく、無理を強いない(重いものを持つ、長時間立つなど)程度に通常の生活を送ることができる。
- 労働基準法で、産後の休養期間を6週間(医師の許可と本人の希望があれば職場復帰可能)~8週間以上与えるよう要求しているのもこのためである。
- マタニティ・ブルー
- 妊娠初期同様、出産後はホルモン分泌の急激な変化が起こる。具体的には、体内の女性ホルモンが急に減少するので、精神的に不安定になりやすく、周囲の人間の配慮と援助が求められる。
[編集] 妊娠中の治療上の注意
多くの薬は妊娠中に使用禁止となる。以下に使用禁止な薬を列記する。
- ACE阻害薬
- ニューキノロン
- クロラムフェニコール
- アミノ配糖体
- ST合剤
- テトラサイクリン
こういったことがあるため妊娠高血圧症候群では、一般的な降圧薬は使用しない。以下に述べるような薬を用いる。
- メチルドーパ:降圧薬
- ヒドララジン:降圧薬
[編集] 関連項目
- 性科学、 性教育、 性行為
- 不妊
- 避妊
- 早産
- 産み分け、 出産
- 産婦人科学 - 助産師
- 子宮外妊娠
- 精子バンク
- 受精卵診断
- 妊娠中毒症
- 出産方法: 呼吸法、ラマーズ法、水中出産
- 帝王切開、 妊娠中絶、堕胎罪
- 高齢妊娠、 高齢出産
- 未熟児・極小未熟児
- 母乳栄養・授乳・乳
- 母子健康手帳、 母子保健センター
[編集] 外部リンク

