高揚力装置

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フラップ から転送)
トリプルスロッテッドフラップを展開して伊丹空港に着陸する全日本空輸ボーイング747

高揚力装置(こうようりょくそうち)は、飛行機主翼の一部形状を変えるなどして低速での揚力を大きくするための装置である。

揚力増大の方法としては,大きく分けて:

  1. キャンバを増やす
  2. 翼面積を大きくする
  3. 剥離を遅らせる
  4. ジェットエンジンの後流を利用する

の4つがある。これらを実現するための代表的な装置がフラップである。

目次

[編集] フラップ

翼の前縁か後縁の一部を変形させることで揚力(と抗力)を増加させる装置をフラップという。前縁についているものは前縁フラップ、後縁についているものは後縁フラップと呼ばれる。両方を備える機体の場合は組み合わせて使用することが多い。

[編集] 後縁フラップ

後縁フラップは、プロペラ推進の小型飛行機からジェット推進の大型旅客機戦闘機に至る多くの飛行機に装備されている。角度はふつう何段階かに設定できて、離陸時は中程度の、着陸時は最大の角度にすることが多い。

前縁のクリューガーフラップ(エンジンより胴体側)とバリアブルキャンバフラップ(エンジンの外側)、後縁のトリプルスロッテッドフラップを展開して着陸態勢にあるボーイング747

[編集] 種類

以下のような種類がある:

単純フラップ 
主翼後縁を単純に下げキャンバを増加させる。
スプリットフラップ 
主翼後縁の下面のみを下げる。
スロッテッドフラップ 
単純フラップのように下げるだけではなく隙間を空けてやることによりキャンバの増加をおこなうとともに翼上面に翼下面の気流を流し剥離を遅らせる。より効果を高めるよう隙間を2つに増やしたダブルスロッテッドフラップや3つに増やしたトリプルスロッテッドフラップもある。
ザップフラップ
スプリットフラップのように翼下面が動き、さらに可動部分が後ろに下がることにより、キャンバの増加・主翼面積の増大を狙ったもの。翼とフラップには隙間がない。
ファウラーフラップ 
スプリットフラップのように翼下面が動き、さらに可動部分がスロテッドフラップのように翼と隙間を空けて後ろに下がることにより、キャンバの増加・主翼面積の増大・剥離の抑制、のすべての効果を得る。

[編集] 自動空戦フラップ

戦闘機においては、戦闘時の旋回性能向上のためにもフラップを利用する。飛行状態に応じて最適なフラップ角を選択する必要があるが、初期にはパイロットが自分で調節していた。これを自動化したものが自動空戦フラップである。構造そのものはファウラーフラップと同じだが、速度を測るためのピトー管からくる風圧と、gを計るために水銀を入れた容器とを組み合わせることにより、旋回時に必要なフラップの自動稼働を可能とした。太平洋戦争時の日本海軍機の紫電改烈風に搭載された。

エアバス製の旅客機 A300のスラット (SLATS) とフラップ (FLAP) 。

[編集] 前縁フラップ

スラット 
主翼前縁の一部分を前方に稼動させることで主翼との間にすき間を作るもの。翼下面側の気流の一部を上面に流すことで、上面の層流境界層にエネルギーを供給し、剥離を遅らせるものである。これにより、より高い迎え角まで失速せずに揚力を増大させることができる。
クルーガーフラップ 
クリューガーフラップとも。主翼前縁からフラップが前下方へ突き出すことで主翼面積を増加させるもの。
バリアブルキャンバフラップ 
繊維強化プラスチックなどでできた外板をたわませることでフラップ自身のキャンバも増加させつつせり出すもの。

[編集] ジェットフラップ

ジェットエンジンの推力方向を下に傾けることにより上向きの力を発生させるもの。


[編集] 境界層制御

(Boundary Layer Control; 境界層制御)  進行方向に対して翼の角度が大きすぎるとき、翼の表面の空気の流れは空気の粘性の影響で運動エネルギーを失い翼に沿いきれずに剥がれてしまい(境界層剥離)、翼表面の圧力が下がらず揚力が発生できなくなってしまう。 これを境界層に運動エネルギーを人工的に与えることにより防ぐ方法が境界層制御である。前述のスロテッドフラップファウラーフラップも境界層制御をしている。

[編集] 種類

種類として以下のものがある。

層流制御(Laninar Flow Control)翼
主翼表面に設置された吸い込み穴(スロット)から、翼表面の運動エネルギーを失った層流を吸い込み、離れたところを流れる運動エネルギーを失っていない流れを翼表面に流す方法。NASAがX-21A型実験機により実現させたが経済的な理由から実用化はされていない。
インターナリィブロウンフラップ(Internally Blown Frap) 
エンジンで圧縮した空気を翼上面に吹き出して、吹き出した空気の速度で層流を作り出し境界層に運動エネルギーを与える方法。
エクスターナルブロウンフラップ(Extarnally Blown Frap) 
エンジンからの排気ガスを多重スロテッドフラップにあて、フラップの隙間から排気の一部を翼上面に流す方法。原理はスロテッドフラップに同じ。C-1 (輸送機)などに用いられている。
アッパーサーフェスブロウン (Upper Surface Blowing) 
エンジンの排気を翼上面に沿って吹き出し、伸ばしたフラップへ気流を付着させることにより揚力を得る方法。エンジンの排気は周囲の空気の速度に比べ速度が高いのでより大きな揚力を得られる。気体が曲面に沿って流れるコアンダ効果を利用したもの。C-1輸送機を改修して作られた実験機飛鳥により実験が行われていた。

[編集] 関連項目

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