ダイヤモンド

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この項目では炭素の結晶について記述しています。その他の用例についてはダイヤモンド (曖昧さ回避)をご覧ください。
ダイアモンド <tr><td colspan="2" style="text-align: center; background: white">
</td></tr><tr><td>分類</td><td>元素鉱物</td></tr><tr><td>色</td><td>無色から黒まで様々</td></tr><tr><td>組成</td><td>C</td></tr><tr><td>硬度</td><td>10</td></tr><tr><td>比重</td><td>3.52</td></tr><tr><td>晶系</td><td>等軸晶系</td></tr><tr><td>光沢</td><td>金剛光沢</td></tr><tr><td>劈開</td><td>4方向に完全</td></tr><tr><td>蛍光</td><td>様々だがLWで青色を示すことが多い</td></tr>

ダイアモンドダイアモンド金剛石、diamond)は、結晶構造を持つ炭素同素体の一つであり、天然で最も硬い物質である。結晶構造は多くが8面体で、12面体や6面体もある。宝石研磨剤として利用されている。また、ダイアモンド分子は炭素原子が354kJ/molで結合したものである。結晶には、 不対電子が含まれないため、電気を通さない。

地球内部の非常に高温高圧な環境で生成されるダイアモンドは定まった形で産出されず、また、角ばっているわけではないが、そのカットされた宝飾品の形から、菱形トランプの絵柄(スート)、野球の内野、記号(◇)を指してダイアモンドとも言われている。

ダイアモンドという名前は、ギリシア語adamas (征服できない、懐かない)に由来する。イタリア語スペイン語ではdiamante(ディヤマンテ)、フランス語ではdiamant(ディヤマン)と言う。

4月の誕生石。石言葉は「永遠の絆・純潔」。

目次

[編集] ダイアモンドの性質

[編集] 屈折

ダイアモンドの屈折率は2.42と高い。この高い屈折率により、外部からダイアモンドに入った光は内部全反射し、輝きとなって外に出て行く。この輝きはシンチレーション(チカチカとした輝き、表面反射によるもの)、ブリリアンシー(白く強いきらめき、ダイアモンド内部に入った光が全反射して戻ったもの)、ディスパーション(虹色の輝き、ダイヤモンド内部に入った光が内部で反射を繰り返し、プリズム効果によって虹色となったもの)の、3種類の輝きが相乗効果となって美しく見える。

[編集] 硬度・靭性・安定性

ダイアモンドの飛びぬけた硬さは古くからよく知られ、工業的にも研磨や切削など多くのことに利用されている。

ダイアモンドは最高のモース硬度(摩擦やひっかき傷に対する強さ)10、ヌープ硬度でも飛び抜けて硬いことが知られている。理論的には、ダイアモンドの炭素原子が一部窒素原子に置換された立方晶窒化炭素はダイアモンド以上の硬度を持つ可能性があると予測されている<ref>、ダイアモンドの硬さを凌ぐか - 工業技術院物質工学工業技術研究所</ref>。

宝石の耐久性の表し方は他にも靭性という割れや欠けに対する抵抗力などがある。靭性は水晶と同じ7.5であり、ルビーサファイアの8よりも低い。よくダイアモンドは耐衝撃性に優れているような印象があるが、鉱物としては靭性は大きくないので瞬時に与えられる力に対しては弱く、かなづちで上から叩けば粉々に割れてしまう。

安定性は薬品光線などによる変化に対する強さ。ダイアモンドは硫酸塩酸などにも変化せず、日光に長年さらされても変化はおきない。

[編集] 硬い理由

この硬さは、炭素原子同士が作る共有結合に由来する。ダイアモンドでは1つの炭素が正四面体の中心にあるとすると、最近接の炭素原子はその四面体の頂点上に存在し、それそれが sp3 混成軌道によって結合しており、幾何的に理想的な角度であるため全く歪みが無い。その結合長は1.54Åである。この結晶構造を持つダイアを立方晶ダイアとよぶ。一方で、炭素の同素体であるグラファイト(石墨)は、層状の六方晶構造で、層内の炭素同士の結合は sp2 混成軌道を形成している。この層内では共有結合を有し結合力は比較的強いが、層間はファンデルワールス結合であるため弱い。六方晶の構造を持つダイヤも存在するが、不安定で地球上には隕石痕など非常に限られた場所でしかみつかっておらず、0.1 mm を超える大きさの単結晶は存在しない。よってその性質はまだ分かっていないことも多い。

[編集] 劈開性

ダイアモンドには一定の面に沿って割れやすい性質(へき開性)がある。(4方向に完全) ダイアモンドは、普通の物質や道具では傷つけられないと思われているが、決して無敵の鉱物ではない。「結晶方向に対する角度も考慮し、ごく小さな範囲に瞬間的に大きな力を加える」、「燃焼などの化学反応を人為的に促進する」などの方法で壊すことができる。

[編集] 熱伝導

ダイアモンドは熱伝導性が非常に高い。これは原子の熱振動が伝わりやすいことによる。 触ると冷たく感じるのはこのためである。 ダイアモンドテスターはこの性質を利用して考案され、ダイアモンドの類似石から識別できる道具だが、合成モアッサナイトだけは識別できない。

[編集] 伝導率

バンドギャップは5.5 eV の絶縁体であるが、不純物を添加することによる半導体化の試みがなされ、ホウ素添加によりp形、リン添加によりn形が得られている。その物性により、現在よりもはるかに高周波・高出力で動作する半導体素子や、バンドギャップを反映した深紫外線LEDが実現できるのではないかと期待されてきた。現在、自由励起子による波長235nmの発光がダイアモンドpn接合LEDにより、物質材料機構と産業技術総合研究所から報告されている。

[編集] 親油性

ダイアモンドは油にくっつきやすい性質があり、この性質を利用してダイアモンド原石とそうでないものを分ける作業もある。ジュエリーとして身に着けているうちに皮脂などの汚れがつくと、油の膜によって光がダイアモンド内部に入らなくなり輝きが鈍くなる。中性洗剤や洗顔料などで洗うと油が取れて輝きが戻る。

[編集] カラーダイアモンド

ダイアモンドは無色透明のものよりも、黄色みを帯びたものや褐色の場合が多い。結晶構造の歪みや、窒素(N)、ホウ素Bなどの元素によって着色する場合もある。無色透明のものほど価値が高く、黄色や茶色など色のついたものは価値が落ちるとされるが、ブルーやピンク、グリーンなどは稀少であり、無色のものよりも高価で取引される。また、低級とされるイエロー・ダイヤモンドでも、綺麗な黄色(カナリー・イエローと呼ばれる物など)であれば価値が高い。20世紀末頃から、内包するグラファイトなどにより黒色不透明となったブラック・ダイアモンド(ボルツ・ダイアモンドとも呼ばれる)がアクセサリーとして評価され、高級宝飾店ティファニーなどの宝飾品に使用されている。

放射線処理により青や黒い色をつけた処理石も多い。最近ではアップルグリーン色のダイヤもあるがこれも高温高圧によって着色された処理石である。

[編集] 宝飾としてのダイアモンド

[編集] 4C

ダイアモンドの品質を知るための指標としてGIA(アメリカ宝石学協会)が考案したもの。色(カラー)、透明度(クラリティ)、カラット(重さ)、カット(研磨)によって品質を評価する。ラウンドブリリアントカット(58面体)に対してカット評価がされるので、他のカットの場合、カットの種類しか鑑定書に記載されない。

[編集] メレダイアモンド

0.1カラット以下の小粒なダイアモンド。宝飾品においては中石を引き立てるために周囲に散りばめられるなどの利用をされる。

[編集] 有名なダイアモンド

カリナン」は1905年南アフリカで発見され、カット前の原石は3106カラットもあり、これをカットすることで合計1063カラットの105個の宝石が得られた。これらは当時のイギリス国王であるエドワード7世に献上されている。105個のなかでも「ザ・グレート・スター・オブ・アフリカ(偉大なアフリカの星)」は530.20カラットで、カットされたダイアモンドとしては長らく世界最大の大きさを誇っていた。「ザ・グレート・スター・オブ・アフリカ」はロンドン塔内に展示されており、見学することができる。

現在、世界最大の研磨済みダイヤモンドは、「ザ・ゴールデン・ジュビリー」である。この石は545.67カラットあり、プミポン国王の治世50周年を記念して1997年タイ王室に献上された。

[編集] 模造ダイアモンド

宝飾用のダイヤモンドの代用品(イミテーション)としては、ジルコニア(二酸化ジルコニウムの結晶)やガラスが用いられる。ダイアモンドと模造ダイアモンドの見分け方として、油性ペンで結晶の上に線を書くというものがある。ダイアモンドは親油性の物体であり、油脂を弾かない。一方、ジルコニアなどの模造ダイアモンドは油を弾く性質を持っている。したがって、油性フェルトペンの筆跡が残らなければ偽物だと見分けることができる。 その他の方法としてはラインテストがある。 黒い線の上にダイアモンドをテーブル面を下にして乗せると、下の黒い線は見えないが、キュービックジルコニアでは下の黒い線が透けて見える。

[編集] 人工ダイアモンド (合成ダイアモンド)

ダイアモンドを人工的に作ることは古くから試みられてきたが、実際に成功したのは20世紀になってからのことである。1955年3月に米国のゼネラルエレクトリック社現ダイヤモンド・イノベーションズ社)が高温高圧合成により人類初のダイアモンド合成に成功したことを発表した。上述の発表後に、スウェーデンのASEA社がゼネラル・エレクトリック社よりも数年前にダイアモンド合成に成功していたという発表がされた。ASEA社では宝飾用ダイアモンドの合成を狙っていたため、ダイアモンドの小さな粒子が合成されていたことに気づいていなかった。現在では、ダイアモンドを人工的に作成する方法は複数が存在する。従来通り炭素に 1,200–2,400 ℃、55,000–100,000 気圧をかける高温高圧法 (High Pressure High Temperature, HPHT。静的高温高圧法と動的高圧高温法とがある)や、それに対して大気圧近傍で合成が可能な化学気相成長法 (Chemical Vapor Deposition, CVD。exa法、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法、燃焼炎法などがある)によりプラズマ状にしたガス(例えば、メタン水素を混合させたもの、その他にメタン-酸素エチレン-酸素などがある)から結晶を基板上で成長させる方法などが知られている。

人工ダイアモンドは上述の静的高温高圧法においてはニッケルマンガンコバルトなどの金属(これらは触媒として合成時に用いられる)や窒素などの不純物の混入などで黄、緑、黒やこれらの混合した色等の結晶として生成されるのが一般的であり、また、大きな結晶を得ることが困難であるため、宝飾用途には利用されず、主に工業用ダイアモンドとして研磨や切削加工(ルータービットやヤスリ)に利用されている。

[編集] 工業用途

上述の高温高圧合成などによって合成された工業用ダイアモンドはもはや高価な材料ではない。工業用ダイアモンドにも多種あるが、の10分の1程度の価格で取引されているものが多い。ダイアモンドを工業用途として使用する最大の特徴はその硬さである。工業用ダイアモンドや宝飾用途に適さない色の天然の結晶を用いることで、電子材料、超硬合金、セラミック・アルミニウム系合金などの高硬度材料・難削材料の研削(ダイアモンドカッター)・研磨をはじめとして、切削用バイト、木材加工などオールラウンドな加工が可能である。

工業用ダイアモンドには用途により、数ナノメートルから数ミリメートルまでの粒径、形状、破砕性、表面状態などによる多くの品種がある。また、前述のバイトは超硬合金を基板にダイアモンドをコバルトなどと共に焼結することによって得られるダイアモンド焼結体を指すこともある。しかしながら、ダイアモンドは高温下で (Fe)、コバルト (Co)、ニッケル (Ni) と容易に化学反応を起こす、などの性質のために、など鉄基合金や耐熱合金の切削には適さない。ダイアモンドが使用できない分野では、代わりに立方晶窒化ホウ素 (cubic Boron Nitride, cBN) の焼結体(「ボラゾン™」)を用いる。

プラズマCVDなどの気相合成法によりダイアモンドのコーティングは可能であり、一部のドリルなどでは既に実用化されている。

[編集] ダイアモンドアンビルセル

ダイアモンドアンビルセル (diamond anvil cell, DAC) は、天然または人工合成のダイアモンドを使って超高圧を実現するための機械。小さなダイアモンドを2つ用意し、その間に試料を挟み込んで圧縮する。小型(手のひらサイズ)で透明(リアルタイムで光学的な観測が可能)であり、サブテラパスカル(数百万気圧、数百GPa)までの加圧が可能である。鉱物学や物性物理学などで用いられる。一方、ダイアモンドそのものが大型化できないので、試料は大変小さなものにしなければならない。ダイヤモンド以外に、サファイヤ、炭化ケイ素を使ったアンビルセルもあるが、加圧できる圧力はダイアモンドよりも劣る。なお、アンビルとは金床のことである。

[編集] 比喩

ダイヤモンドは、貴重なもの・高価なもの・お金になるものの比喩としてよく使われる。また、色を冠して特定の商品を表すこともある。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズに、ダイヤモンドに関連するカテゴリがあります。

[編集] 参考文献

[編集] 出典

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[編集] 外部リンク

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