スラム
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スラムは、都市部で極貧層が居住する過密化した地区のことであり、都市の他の地区が受けられる公共サービスが受けられないなど荒廃状態にある状況を指す。一部の都市を除く世界中のほとんどの大都市にスラムがある。スラム街、貧民街などとも表現する。
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[編集] 概要
スラムの特徴として、高い失業率と貧困が上げられる。このため犯罪や麻薬、アルコール依存症や自殺などが多発する傾向にある。発展途上国の多くでは、非衛生的な環境のため伝染病が流行していることが多い。貧困状態にある少数民族の居住区を指して、ゲットーと呼ぶこともあるが、日本語でゲットーと呼ぶ場合は単にユダヤ人居住区を指す。
発展途上国の多くのスラムは、農村部などからの移住者などが首都などの大都市に、建設当初の想定人口を超えて流入しあふれ出すことによって、環境の悪い町外れなどの未開発の地域に無秩序に建設されるため、消防車や救急車といった非常用車両の通行ができないほど道が狭く込み入っている。これらは火事が広がって多くの犠牲者を出す、急病患者や怪我人が助からないなど生活環境を悪化させる要因になっている。
ゴミ収集車の立ち入りができないためにゴミの回収から地区全体が外されていることがあり、衛生状態を悪化させる要因になっている。いくつかのスラムは、ゴミ処理場の近くや中に作られており、ゴミのリサイクルで生活費を稼いでいる。
[編集] 対策と評価
スラムを解体したり、活性化させたりすることで問題を解決しようとする試みは古くから行われてきたが、必ずしも成功を収めていない。高層住宅を建設して住民を収容したり、郊外に新たな居住区を建設し、住民を移住させたりするなどが行われてきたが、雇用問題が未解決であったり、失業者対策が行われないなど、スラムの存在する根本的な理由を解決していないことが多いため、下記で説明するプルーイット・アイゴーのように、団地自体がスラム化する場合がある。また、賄賂や横領など対策を取る側に問題があることもある。
他方、スラムを民間部門の自由な社会経済活動の場と捉えて、住民を草の根民活として、肯定的に評価する立場もある。農村にあっても十分な収入を期待できない場合、都市に流入する貧困者が多いが、都市に転居しても、工場労働者や事務員のような正規の雇用機会は得られない。そこで、自らが、露天、靴磨き、廃品回収などの小規模で、元手があまりかからない仕事を自ら創出する。こうして、スラムの未熟練労働者が多数就業する都市インフォーマル部門が開発途上国の大都市で成長している。
こうした都市インフォーマル部門の就業者は、失業者とは異なり、小規模自営の労働集約的な生業についている。また、スラムも都市の地域コミュニティの一角を形成しており、非衛生でインフラが未整備な地区であるとはいえ、これをもって一概に犯罪の温床とするのは、偏見かもしれない。この意味で、スラムの住民は、貧困状態にはあっても、失業者や犯罪者とは区別されるべきであろう。
[編集] 参考文献
- 布野修司 『カンポンの世界 - ジャワの庶民住居誌』、PARCO出版、1991年(ISBN 4-89194-288-6)
- 中西徹 『スラムの経済学 フィリピンにおける都市インフォーマル部門』、東京大学出版会、1991年(ISBN 4-13-046042-0)
- 鳥飼行博 『地域コミュニティの環境経済学 - 開発途上国の草の根民活論と持続可能な開発』、多賀出版、2007年(ISBN 9784811571317)
[編集] 関連項目
- 都心の荒廃
- ドヤ街
- 乞食谷戸
- 横浜浮浪者襲撃殺人事件
- ごみ屋敷
- 海外の例
- 九龍城砦
- バンリュー
- ファヴェーラ
- プルーイット・アイゴー…ニューヨーク世界貿易センタービルの設計者として有名なアメリカの建築家ミノル・ヤマサキの初期の代表作。1951年、セントルイスのスラムを取り壊した跡に改良住宅として計画された高層団地であったが、居住環境への考慮が不足した設計であったため急速にスラム化し、犯罪の温床となった。その後、1972年に爆破解体。
- スモーキー・マウンテン
- ハーレム (ニューヨーク市)
- サウス・セントラル
- 権田保之助(大正時代の東京の貧民街の研究)
- 貧困の文化
- 草の根民活
[編集] 外部リンク
- 東京都福祉保健局山谷対策課(日本語版)
- 財団法人寿町勤労者福祉協会(日本語版)
- NPO法人釜ヶ崎支援機構(日本語版) - 大阪・あいりん地区
- Borgen Project(英語版)
- Slums of Victorian London(英語版)
- Pruitt-Igoe Housing Complex(英語版)

