サブプライムローン
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サブプライムローン アメリカの住宅ローンで優良顧客向け(プライム層)向けでないものをサブプライムローンという。英訳subprime loan。
- このローンは近年拡大した。ところでこのローンに限らず、アメリカの住宅ローンについて返済方式が、当初数年間の金利を抑えるものとか、当初数年間金利だけ払うといった当初負担を軽減したものが近年普及し、そのため返済する側が自分の返済能力を無視した借入を行う傾向があった。しかし返済の破綻はこれまでは必ずしも表面化しなかった。それは所得の上昇がなく生活費が上昇して返済に行き詰まる状況になっても、住宅価格が上がりさえすれば、借入れる側は担保評価を超える値上がり分を担保に新たな借入を受けるホームエクイティローンを受けることができ、破綻を先延ばしするだけでなく消費を拡大することもできたからである。また住宅価格が大きく上昇すれば、住宅を転売してローンを返済しかつ売買差益もえることも可能だったからである。当初負担の軽い返済方式の普及によって所得からすれば本来、住宅ローンを組めない人にまでローンを組む人が増えて、住宅ブームが拡大する間は破たんが表面化せず、むしろ住宅ブームを加速し続けたのである。
- ただこうした当初の支払額を軽減した返済方式は、当初期間経過後、支払額が急増するというリスクがある。住宅価格の上昇を前提にしない場合でも、この返済方式によるローンは、所得の確実な急増を見込める家庭には合理的だといえる。しかし所得が伸びない低所得階層には全く不向きである。ところが、住宅ブームのなかでこうした低所得階層にまで、サブプライムローンが拡大していった。サブプライムローンの行き過ぎは1990年台後半頃から問題になっていた。
- このような行き過ぎの中で、低所得階層に過重な手数料を求めたり、あるいは返済できないために低所得階層が住宅を失ったりといった問題を生み出された。この問題は略奪的貸付predatory lendingとして知られる。かつてアメリカでは貧しい黒人居住地域を金融機関が融資上差別したことがレッドライニングと呼ばれる社会問題を生み出したが、住宅ブームの中で、むしろ貸し過ぎが問題にされるようになったのである。なおこの略奪的貸付については、低所得階層が貸し込み先になっているという意味で日本における消費者金融の多重債務問題と性格が似ているという指摘がある。
- もともとアメリカの住宅ローンでは融資する側では金融機関による融資とローン債権の流動化がローンの拡大を支えていたが、流動化がこのような信用力の劣るサブプライムローンにまで及んできたことは、サブプライムローンの拡大を下支えした。
- しかし住宅価格上昇率が2006年に入って以降急速に鈍化すると、予測されたことだが、サブプライムローンの延滞率が目だって上昇を始めた。このためこのような融資を行う専門会社に対する融資に金融機関が慎重になり、専門会社の中には資金繰りが悪化して経営破たんするものが出始めた。2007年春にはその影響が融資債権の不良化という形で大手の金融機関に及ぶことや、サブプライムローンを組んでいるかなり大量の人たちが住宅を失うことが懸念されるまで事態は深刻になり、アメリカの金融制度を議論する上での焦点の一つになった。
[編集] 文献
- 高月昭年「略奪的貸出と利用者保護(上)」『国際金融』1126, June 1, 2004.
- 高月昭年「略奪的貸出と利用者保護(下)」『国際金融』1128, July 1, 2004.
- 森利博「米国住宅ローンの近況」『住宅金融月報』651, Apr.2006.
- 福光寛「アメリカの住宅金融をめぐる新たな視点:証券化の進展の中でのサブプライム層に対する略奪的貸付」『成城大学経済研究』170, Sept.2006,57-88.
- 森川央「サブプライムローン―住宅市場に潜むリスク」『金融財政』9815, Mar.8, 2007.
- 奥智之「サブプライム住宅ローンと米国経済」『三菱東京UFJ銀行ワシントン情報』2007-No.12, Mar.9, 2007.
- 小野亮「S&L危機は再来するか 米サブプライムローン問題の現状」『みずほマーケットインサイト』Mar.14, 2007.
- 奥智之「サブプライム貸出規制の改革論議」『三菱東京UFJ銀行ワシントン情報』2007-No.16, Mar.26, 2007.
- 新形敦「サブプライム融資と米住宅市場の動向」『世界週報』88(12), Mar.27, 2007.
- 木村俊文「懸念拡大となるか、米国サブプライム住宅ローン」『金融市場』(農林中金総合研究所)Apr.2007.
- 新央誠一「米国サブプライムローンのあきれた実態と影響 危うい融資が急拡大する仕組み」『金融ビジネス』Spring 2007.

