コーヒー
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コーヒー(オランダ語:koffie、英語:coffee、ドイツ語:kaffee、フランス語:café、日本語:珈琲)は、コーヒー豆(コーヒーノキの種子)を焙煎して粉状にしたもの。あるいは、その粉を挽き、湯または水で成分を抽出した飲料。
目次 |
[編集] 語源
「コーヒー」はアラビア語でコーヒーを意味するカフワ (قهوة, Qahwah) が転訛したものである。その語源は、元々ワインを意味していたカフワの語がワインに似た覚醒作用のあるコーヒーにあてられたという説と、エチオピアにあったコーヒーの産地カファ (Kaffa) がアラビア語に取り入れられたという説がある。
[編集] 概要
コーヒーは世界で最も多くの国で飲用されている嗜好飲料の一つであり、家庭や飲食店、職場などで飲用されている。アルコールや茶と並んで、人類との関わりが最も深い嗜好飲料と言える。 また世界各国で、コーヒーを提供する場の喫茶店(コーヒー・ハウス、カフェ、カフェー)は、知識人や文学、美術などさまざまな分野の芸術家の集まる場として、文化的にも大きな役割を果たしてきた。 さらに、石油に次いで貿易規模が大きい一次産品であるため、経済上も重要視されている。大体北回帰線と南回帰線の間(コーヒーベルト)の約70箇国で生産され、アメリカ、ヨーロッパ、日本など全世界に輸出されている。カフェインに代表される薬理活性成分を含むことから医学・薬学の方面からも関心を集めている。
[編集] コーヒーノキの植物学的特徴と分布
| コーヒーノキ属 | ||||||||||||
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| 分類 | ||||||||||||
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| 種 | ||||||||||||
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コーヒーノキはアカネ科の常緑樹。原産地はエチオピアのアビシニア高原。熱帯地方でよく生育し、成木は約3 - 3.5mの高さになる。厳しい剪定に耐えることができるが、冬霜がつくと成長することができない。雨季と乾季があるところが理想で、高地で最も成長する。
コーヒーノキは樹齢3-5年後から約50-60の間花を咲かせ実をつける。白い花は色と匂いがジャスミンに似ている。果実はコーヒーチェリーと呼ばれ、通常赤または紫の核果であるが、品種によっては黄色の実をつけるものもある。果肉にも若干のカフェインが含まれており食用に供される場合がある。果実が成熟するまでには約9箇月かかる。
果実の中には2粒の種子が向かい合わせに入っており、一般にコーヒー豆と呼ばれるものは実そのものではなく種子の部分である。枝の先端に付く実には1粒だけ丸い種子を含むものがありピーベリーと呼ばれる。ピーベリーのみを特に集めたものには、稀少価値から高価で取引されるものもある。
[編集] 種と栽培品種
コーヒーノキ属の植物のうち、アラビカ種 (Coffea arabica) とロブスタ種 (カネフォーラ種、C. canephora) が産業的に栽培されている。世界で栽培されているコーヒーの75-80%はアラビカ種、約20%がロブスタ種である。以前はこの二種にリベリカ種 (C. liberica) を足してコーヒーの三原種と呼んでいたが、リベリカ種は病害に弱く品質面でも劣るため、全生産量の1%未満にすぎない。
栽培地ごとに移入された年代や経路が異なることと、栽培の過程で変異種の発見と品種改良が行われたことにより、栽培のための品種(栽培品種)が200種類以上存在している。品種改良は特にアラビカ種で進んでおり、ブラジルとコロンビアでさかんに行われている。
従来はティピカとブルボンがアラビカ種の二大品種と呼ばれ、それぞれコロンビアとブラジルで主力品種であった。しかし、品種改良によって、収量が多く病虫害に強い品種に置き換えられてきた。その結果、コロンビアではカトゥーラとバリエダ・コロンビアが、ブラジルではカトゥーラ、カトゥアイ、ムンド・ノーボが主力品種になっている。
一方、風味の点で言えばこれらの新しい品種よりも以前のティピカやブルボンの方が優れていたと主張する人も多い。このため、これらの生産量は少ない古い品種を高価値のコーヒーとして取引する動きが出てきている。この動きは、生産地の貧困問題を解決するためのフェアトレード運動とも連動している。
[編集] 代表的な栽培品種
- アラビカ種 (Coffea arabica) :レギュラーコーヒー用。
- ティピカ
- スマトラ
- モカ (品種) :コーヒー豆の銘柄としての「モカ」とは意味合いが異なる。
- ブルー・マウンテン (品種):コーヒー豆の銘柄としての「ブルーマウンテン」とは意味合いが異なる。
- コナ
- ブルボン
- カトゥーラ
- ムンド・ノーボ
- カトゥアイ
- マラゴジッペ
- アマレロ
- ロブスタ種 (Coffea canephora)
- 主にインスタント用、あるいは廉価なレギュラーコーヒーの増量用として用いられる。
- リベリカ種 (Coffea liberica)
- 高温多湿の気候に適応するが病害に弱い。品質もアラビカ種に劣るとされる。
- 交雑種
- アラビカ種とロブスタ種の交雑種
- ハイブリド・デ・ティモール
- アラブスタ
- カティモール
- バリエダ・コロンビア
種と栽培品種の詳細はコーヒーノキを参照。
[編集] コーヒーができるまで
- コーヒー豆の生産と加工の詳細はコーヒー豆を参照。
コーヒーは北回帰線と南回帰線の間(コーヒーベルト)の約70カ国で生産されており、そのコーヒー農園でコーヒーノキの栽培と果実の収穫が行われる。さらに引き続いて、生豆(なままめ、きまめ、生のコーヒー豆のこと)を取り出すコーヒー豆の精製と呼ばれる加工作業までが、コーヒー農園で行われることが多い。精製された生豆は生産国で集積され、選別・等級付けされてから消費国に輸出される。生豆は消費地においてコーヒー独特の香味を生み出すために焙煎され、場合によっては複数の焙煎豆を混ぜてブレンドされる。その後粉砕により細かい粉状にされてから、水や湯で抽出されて、飲用に供されるコーヒーが出来上がる。
[編集] コーヒー豆の生産
全世界では、150億のコーヒーノキが1000万ヘクタールの土地で生育していると概算されている。主な生産地はブラジルやコロンビアなどの中南米や、ベトナム、インドネシアなどの東南アジア、エチオピアやタンザニア、ケニアなどのアフリカ諸国など。また有名銘柄の産地としてハワイ、イエメン。インドや中国などでも生産されている。日本でも小笠原諸島や沖縄に移入されたことがあるが大規模生産には成功していない。ただし九州や沖縄で個人規模農園で栽培している人もいる。 近年になってこれまでロブスタ種の栽培が主流であったタンザニア周辺地域のアフリカ諸国、(ザンビアやマラウィ等)で輸出用に高品質のアラビカ種の栽培が盛んになっていて一部国連主導による「国連グルメコーヒー開発プロジェクト」に加盟している国もある(ブルンジ、ウガンダ)。これらのアフリカ諸国のコーヒーも日本で流通しはじめている。
コーヒー豆の種類は、主に生産地で分けられている。名前の付け方は、国名(コロンビア、ケニア)、山域(キリマンジャロ、ブルーマウンテン)、積出港(モカ)、栽培地名(コナ、マンデリン)などが多い。この他、種名や栽培品種の名を付加した名称(ジャワ・ロブスタ、ブルボン・サントス)や、選別時の等級を付加した名称(ブラジル No. 2、タンザニアAA)なども用いられている。また1990年代以降の動きとして、高品質であることを売り物に差別化を図るため、さらに特定の農園の名前を冠したコーヒー豆も増えつつあり、近年ではそのような特定の農園からの豆のみのものや通常よりも現地での選別を厳しくしたハイクラス品のことをスペシャリティー(スペシャルティー)コーヒーと称する差別化が普及しつつある、また生産国(特に中南米で盛んである)でおこなわれている品評会に入賞した農園の豆をオークションなどを使用して購入し、スペシャリティーコーヒー以上のプレミア品として更に差別化している販売業者も見受けられる。
[編集] 代表的なコーヒー豆
代表的なコーヒー豆の味や特徴を挙げる。<ref>説明として示した味に関する評価は、焙煎や抽出の状態や、生産地における栽培品種のトレンドの変化により大きく変わる。</ref>
- キリマンジャロ(タンザニア)
- 強い酸味とコクが特長。'野性味あふれる'と評されることが多い、深い焙煎では上品な苦味主体で浅~中煎りとは違った風味が楽しめる。
- コナ(ハワイ島)
- 非常に強い酸味を持つ全体的にクセの強い風味。ブレンドに用いると良質な酸味が与えられると言われる。
- ブルーマウンテン(ジャマイカ)
- 卓越した香気を持ち、調和の取れた味わい、軽い口当りと滑らかな咽越しも特徴。最高級の品質と呼ばれる。しかしその中でもさらにランク付けされていて、一般に栽培されている標高が高いほど良質だとされている。最もランクが高いのがNo.1である。<ref>コーヒー豆の銘柄としての「ブルーマウンテン」はコーヒーの品種としての「ブルーマウンテン」とは意味合いが異なる。</ref>
- モカ(イエメン、エチオピア)
- 独特の酸味を持ち、甘みとコクが加わる。また、香気に優れる。もっとも古い「ブランド」であり、熱狂的なファンが多く、ひどい人は、1日モカを飲まないとイライラして、発狂するとまで言われる。イエメン産の「マタリ」、エチオピア産の「ハラー」、「シダモ」等が有名。<ref>コーヒー豆の銘柄としての「モカ」はコーヒーの品種としての「モカ」とは意味合いが異なる。</ref>
- グアテマラ
- 酸味とコクに優れ、香気も良好で全体的に華やかさとキレのいい後味が特徴。
- ブラジル
- 酸味と苦みのバランスが良い落ち着いた風味、ブレンドのベースとしても多く使われる。
- コロンビア
- 酸味と甘味を中心とした味わいだが突出せずバランスが良いのでブレンドのベースに使われることが多い。
- マンデリン (インドネシア)
- スマトラ島産。苦味とコクを中心とした味わい、独特な後味がある。ブルーマウンテンが現われるまでは世界一と評されていた逸品。
- トラジャ(インドネシア)
- スラウェシ島産。苦み中心の味で、非常に濃厚なコクを持つ。酸味は無い。カロシ・トラジャもしくは単にカロシという名称が使われることもある。
- ジャワコーヒー(インドネシア)
- ジャワ島産。苦味中心の味。野生的な苦味と評される。ジャワ島はロブスタ種の主要な産地でもあるためアラビカ種を指す場合はジャワ・アラビカといわれる場合も多い。
- ケニア
- 全体的に強い風味でバランスが良い。ドイツなどヨーロッパで昔から飲まれていた。深めの焙煎が多い。
- サルバドル(エルサルバドル)
- 強く主張する味は無く、全体に柔らかな印象の味わい。
- コスタリカ
- どちらかというと酸味系で苦味控えめの味わい、軽めでクリアな飲み口。
- パプアニューギニア
- 浅い焙煎では軽くてクセの少ない風味、深い焙煎ではキレの良い強い苦味とコクのある風味。良質な香気も特徴。
- キューバ
- ブルーマウンテンに似た軽くてバランスが良い風味と良好な香気が特徴、ドミニカ共和国やハイチなどカリブ海地域の島国産のコーヒーは総じて似た傾向の風味を有する。
- インドなどアジア地域
- インドやネパール、中国など近年になって輸出向けにアラビカ種を導入した地域では、人気のある中南米地域の品種の苗木を導入しているが気候や土壌、生産技術の違いからか同じ品種でも独特の風味を持っている、総じてやや導入もとの中南米地域産に比べて重めの風味になり、酸味は控えめで香気もやや弱くなる傾向がある。
[編集] 精製
収穫されたコーヒーの果実からコーヒー豆を取り出す工程をコーヒーの精製と呼ぶ。コーヒーの精製には主に乾式(乾燥式・非水洗式)と湿式(水洗式)の二種類がある。単純作業のため、コーヒーの精製は生産地で行われる。精製をすませたコーヒー豆は生豆と呼ばれ、カビなどの発生を防ぐために水分含量が10-12%になるよう乾燥して保管され、消費地に輸出される。
- 乾式(乾燥式・非水洗式)
- 収穫した果実を乾燥場に平らに広げて天日で干し、完全に乾燥した果肉を機械的に除く。モカ及びマンデリンの産地とブラジルで行われることが多い。
- 湿式(水洗式)
- 外皮と果肉を機械的に取り除いた後で、水槽に1、2日つけて発酵させて種子(パーチメントコーヒー)を取り出す方法。コロンビアなど、ブラジル以外の産地で行われることが多い。
この他、乾式と湿式を組み合わせた半湿式(半水洗式)や、ジャコウネコなどの動物に食べさせて、その糞から取り出すもの(コピ・ルアク)などがある。
[編集] 焙煎
精製された生のコーヒー豆は次に焙煎されて、初めて実際に我々が口にするコーヒーの香りと味を生み出す。多くの場合、この工程は消費国でなされ、ロースターと呼ばれる大手のコーヒー豆卸業者が行うほか、コーヒー豆小売りを行う販売店や喫茶店などで自家焙煎される。一部の愛好家の中には自分で生の豆を購入して自家焙煎する人もいる。
焙煎は焙煎機と呼ばれる専用の機械で行われる。ただしフライパンや焙烙、ギンナン煎りに用いる金属製の手網や、電動ポップコーンマシンなどでも焙煎することが可能である。これらの装置は加熱原理と熱源の違いによって以下のように分類される。
- 直火焙煎
- 熱風焙煎
- 遠赤外線焙煎
- マイクロ波焙煎
- 炭火焙煎(日本独自)
- セラミック焙煎(日本独自)
- 過熱水蒸気焙煎(日本独自)
コーヒーが焙煎されるとき豆の温度は約200℃程度まで到達する。一般的な焙煎方法ではおよそ10-20分程度の加熱時間を必要とする。
焙煎の度合いのことを焙煎度といい、焙煎度の低いものを浅煎り、高いものを深煎りと呼ぶ。浅煎りされたコーヒー豆は薄い褐色で、深煎りへと進行するにつれて黒褐色へと変化し表面に油がにじみ出てくる。浅煎りと深煎りの中間にあたるものを中煎りと呼ぶこともあるが、これらは相対的な呼び名であって明確に定められているものではなく、販売店舗などによっても異なる。また、日本では以下の8段階(浅煎り→深煎りの順)の焙煎度を用いる場合もある。
- ライト (light)
- シナモン (cinnamon)
- ミディアム (medium)
- ハイ (high)
- シティ (city)
- フルシティ (Full city)
- フレンチ (French)
- イタリアン (Italian)
一般に、浅煎りは香りや酸味に優れ深煎りは苦味に優れると言われているが、嗜好の問題であるため、総合的に見てどちらかが優れているということは特にない。 日本で通常使われる焙煎度は、ミディアムからイタリアンである。
[編集] ブレンド
コーヒー豆はその消費目的に応じて数種類混合されることがある。これをブレンドと呼ぶ。ブレンドされたコーヒーはブレンドコーヒーと呼ばれ、これに対して一種類の焙煎豆のみからなるコーヒーをストレートコーヒーと呼ぶ。 ブレンドは通常、焙煎の後かつ粉砕の前で、焙煎された数種類の豆を混合することで行われることが多いが、場合によっては焙煎する前にブレンドしたり、粉砕した後の粉同士で行うこともある。
ブレンドは、複数の違った持ち味を持つコーヒーを混ぜることで、ストレートコーヒー単品だけではなし得ない味を、提供者側の意図にあわせて作り上げるための工程である。しかしながらその法則には定まったものがあるわけではなく、各ロースターが独自に考案したブレンドのレシピに従って行われる。インスタントコーヒーなど工業的生産の場では、香味等の品質を保つため8つ以上のタイプの豆が混合される。
[編集] 粉砕
焙煎されたコーヒー豆は、抽出される前に粉状に小さく挽かれる。この工程をコーヒーの粉砕という。粉砕にはコーヒーミルあるいはグラインダーと呼ばれる器具あるいは機械を用いるが、場合によっては乳鉢や石臼などが用いられることもある。コーヒーは焙煎された豆のままで販売される場合と工場で粉砕された後で販売される場合があるが、粉砕されると表面積の増加から空気酸化による品質低下が早まると言われているため、家庭用のコーヒーミルで抽出直前に挽いている人も多い。
粉砕されたコーヒーは粉の大きさに応じて、細挽き、中挽き、粗挽きと呼ばれる。大きさの目安としては、粗挽きでグラニュー糖大と言われる。ただしこの区分はあくまで相対的なもので、定まった規格があるわけではなく、店舗やコーヒーミルの違いによって実際の大きさは異なる。これらの挽き具合は、そのコーヒーがどのように抽出されるか、またどのような味にすることを望むかによって調整される。例えばエスプレッソではほとんど微粉に近い粉状になるよう極細挽きにして用いられる。
[編集] 飲み物としてのコーヒー
飲み物としてのコーヒーは、直前にコーヒー豆から抽出して飲むレギュラーコーヒーと、レギュラーコーヒーから工業的に作られるもの(インスタントコーヒーや缶コーヒーなど)に大別できる。コーヒーの淹れ方や飲み方は地域によってさまざまであり、また個人の嗜好によっても大きく異なる。
[編集] 淹れ方
焙煎されて粉砕されたコーヒーの粉は、湯または水に接触させることで中の成分を抽出し、我々が口にする飲み物としてのコーヒーが出来上がる。このときの抽出方法、すなわちコーヒーの淹れ方には様々な方法が存在する。コーヒー専用の抽出器具が多く考案されており、それぞれの淹れ方は用いる器具の名前で呼ばれることが多い。
コーヒーの風味は、焙煎の度合いや挽き加減(細かく、粗く等)、淹れ方や用いる器具などにより異なるが、それぞれの持ち味があるのに加えて本人の嗜好の問題であるため、万人が最善の方法だと言うものは存在しない。
- 濾過
- ドリップ
- ウォータードリップ (水出し)
- 専用の機材を用い水でコーヒーを抽出する方法。点滴のように少しずつ水を落として抽出するため、1杯辺り8時間程度を目安とする。抽出する器具もインテリアとして活用される。近年、安価な器具が登場し、一般の家庭でも楽しめるまでになっている。オランダ領時代のインドネシアで、ドリップ式では苦みが強く出てしまうロブスタ種のコーヒー豆を飲むために考案されたことからダッチコーヒーとも言う。現在ではアラビカ種の豆にも用いており、繊細な風味を活かすための方法である。
- ペーパードリップ
- 日本で最も普及していると思われる淹れ方。ドリッパ(一種の漏斗)にフィルタ(漉し紙)をセットし、粉を入れ適量の湯を注ぎ、30秒程度蒸らした後に抽出を開始する。ドリッパの湯が完全に切れる前に外すと雑味の無いコーヒーとなる。
- 前述の手順さえ守れば誰でも一定水準のコーヒーが淹れられるのがこの方式の最大の利点である。
- ペーパードリップの方法は、1908年にドイツ人女性メリタ・ベンツが考案した。
- 抽出穴が1つのメリタ式と3つのカリタ式が存在し、最適なメッシュ(挽き具合)が異なるとされている。一般的に、メリタの方が細挽きで抽出される。抽出法の違いは、メリタ式が杯数分の湯を全量フィルターに投入し滴下しきるのを待つのに対し、カリタ式は湯を投入し続け、フィルタの下のデカンタに杯数分滴下した段階でフィルタをはずし、フィルタ内の抽出中の湯(コーヒー)は廃棄する。従って、カリタの方が経験を要し、味のぶれる要素は大きいとも言える。
- サイフォン社のコーノ式やハリオ社の製品等で「円錐ドリップ」と呼ばれるものが普及しつつある、これはペーパーフィルターに折ったときにその形が円錐形になるものを用いそれを円錐形のドリッパーにセットして使用する、ペーパーをセットした際に円錐形のペーパーの先端がドリッパーの穴から少し飛び出すようになるのが特徴でこれにより抽出されたコーヒー液は直接ペーパーの先端部分から容器に落ちる、別名「一点抽出法」、よりネルドリップに近い抽出様式になるように考案されたもの、同じ粗さのコーヒー粉を用いた場合メリタ式やカリタ式よりも湯の透過速度が速い。
- その他、ペーパーフィルターを用いた抽出法として松屋式やコーヒーバネット等のらせん状の金属の枠にペーパーをセットして抽出する方法や、一旦必要量の湯とコーヒー粉を容器で混合し、浮いてくる灰汁をすくって取り除いた後に数分置き、それをペーパーで濾して飲むという浸漬式との組み合わせのような方法も存在する。
- ネルドリップ
- フィルタとして布(綿フランネル)を使用する抽出法。布と紙の材質の違いからペーパードリップよりもコーヒーに含まれる油分がより抽出されるのでペーパーでの抽出に比べてまろやかでボディ感のある味となる傾向がある、また、抽出者の技量に大きく左右される。基本的にはドリッパーを使用しないためにドリッパーが温められることによりある程度抽出液の温度が保たれるペーパー式に比べ抽出時に抽出液の温度が下がりやすい。
- 一定以上の味を出すにはネルを細心の注意をもって管理する必要がある。使用後のネルはコーヒーの油膜の酸化を避けるため、直ちに洗浄し、冷水に浸けて保存する。臭いが移るのを避けるため、洗浄の際は洗剤の類を使用してはならない。また、新品のネルは抽出済みのコーヒー粉を入れた湯で煮沸し、洗浄後に使用する。
- ウォータードリップ (水出し)
- エスプレッソマシン/マキネッタ
- ドリップ
- 煮沸後濾過
- 煮沸
- 浸漬(しんし)
- コーヒープレスフレンチ・プレス
- 粉と湯をプランジャーポットと呼ばれる器具(他にもボナポット、フレンチプレス、メリオールなど様々な呼称がある)に一緒に入れて抽出する。プランジャーと呼ばれる軸の先端には金属やナイロン製のフィルターが付いており、このプランジャーを押し下げて抽出済みのコーヒーかすを沈め、上澄み部分をカップに移す。
- コーヒーバッグ
- コーヒー粉を布製の袋に入れ、それを水や湯に付けて抽出する。
- スティーピング
- 単純な浸漬法。カップにコーヒーの粉と湯を加えてしばらく待ち、上澄みだけを飲む。(コーヒーのテイスティング時にこの方法が用いられる)
- コーヒープレス
[編集] さまざまな飲み方
コーヒーは熱湯で抽出されることが多く、抽出されたそのままを、あるいは温め直されたものがホット・コーヒーとして飲まれる。夏場などには、専用に濃く抽出したコーヒーを冷やしてアイス・コーヒーとして飲まれることも多い。
抽出されたコーヒーに何も加えずそのまま飲むものをブラック・コーヒーあるいは単にブラックと呼ぶ。多くの場合は、これに砂糖とクリームなどの乳製品を別に添えて出されることが多い。この場合、砂糖(グラニュー糖、又は白砂糖、変わり種で金平糖)やクリームは飲む人が自分の好みに応じて加える。「コーヒー通は専らブラックで飲む」という説を唱える人もいるが必ずしもそうとは言えず、むしろ本人の嗜好による。
また上記した以外にも、牛乳やアルコールなどを加えて飲まれることがある。これらはバリエーション・コーヒー(アレンジ・コーヒー)と呼ばれる。エスプレッソやダッチ・コーヒーなど特殊な淹れ方をするコーヒーも、最も普及しているドリップ式のコーヒーと区別する目的でバリエーション・コーヒーに含めて述べられることが多い。
バリエーション・コーヒー
- カフェ・オ・レ
- アイス・カフェ・オ・レ
- エスプレッソ
- カフェ・ラッテ
- カプチーノ
- ウィンナ・コーヒー
- アイリッシュ・コーヒー
- ダッチ・コーヒー
- カフェ・ロワイヤル
- アラビア・コーヒー
- 浅煎りの豆を小鍋で煮出し、砂糖なしで飲む。
- トルコ・コーヒー
- 細かく挽いた豆を(好みによって砂糖とともに)濃く煮出し、濾さずにカップに注いだものから上澄みだけを飲む。
- ベトナムコーヒー
- カップの底に練乳を入れた上にフレンチローストコーヒーを注いだもの。豆は深煎りしたロブスタ種を用いる。
- コロンビア式コーヒー
- ティントとも呼ばれる、黒砂糖を加えた沸騰した湯を用い、火を落してから粉を加え、数分静置して粉が沈んだところで上澄みだけ飲む。
- サルタナコーヒー
- コーヒー豆ではなく、コーヒーの実を乾燥させたものを少し焙ってから煮出したもの。イエメンではギシルと呼ばれる。
- コーヒーぜんざい
- 小豆の餡を加えたコーヒー。生クリームやアイスクリームを同時に添えることも多い。餡コーヒー、あずきコーヒーとも。
- 鴛鴦茶(コーヒー紅茶)
- レモンコーヒー
- インディアンコーヒー
- インド亜大陸南方で好まれるインド風カフェ・オ・レ。
- アメリカン・コーヒー
- 湯で薄めたコーヒーとの認識が一般的であるためにバリエーション・コーヒーと言い難いが、本来は浅煎り豆から薄めに抽出したコーヒーのこと。アメリカで一時期コーヒー豆の高騰により少ない量でもおいしく飲めるように浅煎りを用いていたことが起源。通常は砂糖、ミルクなどを入れずブラックで飲む。
[編集] インスタントコーヒーと缶コーヒー
抽出の手間を掛けずに手軽にコーヒーを飲むためのものとして、インスタントコーヒーと缶コーヒーが発明され、工業的に生産されている。
缶コーヒーなどの「コーヒー」表示は、「コーヒー飲料などの表示に関する公正競争規約」に基づく区分により、製品内容量100グラム中の生豆使用量によって、次の3種類に区分される。
- コーヒー:5グラム以上
- コーヒー飲料:2.5グラム以上5グラム未満
- コーヒー入り清涼飲料:1グラム以上2.5グラム未満
製品に乳固形分を3%以上を含むものは「乳および乳製品の成分規格に関する省令」に基づき「乳飲料」となる。(カフェ・オ・レなど)
- 詳細な説明はインスタントコーヒーおよび缶コーヒーの項目を参照のこと。
[編集] 代用コーヒー
代用コーヒーとはコーヒー豆以外の原料を使って造られたコーヒーを模した飲料である。
代用コーヒーのもっとも古い記録はフリードリッヒ二世統治下のプロイセンでのこと。ドイツではコーヒーが流行しビール産業が大打撃を受けた。またコーヒー豆の輸入による貿易不均衡などもあり、1777年のビール・コーヒー条例によって高い関税が掛けられることになった為、庶民は代用コーヒーを飲まざるを得なくなった。また、南北戦争中の米国や、第一次・第二次世界大戦の時にコーヒー豆の輸入が滞った地域(日本など)や、冷戦時の東欧諸国でも代用コーヒーが飲まれた。
代用コーヒーの原料としてはタンポポの根、ゴボウ、ジャガイモ、百合根、サクラの根、カボチャの種、ブドウの種、ピーナッツ、大豆、ドングリ、オオムギ、トウモロコシ、チコリ、玄米、パンの耳など。これらはたいてい煎ったものを粉末にし、お湯を注いで飲んだ。
代用コーヒーはあくまで代用品として考案されたものなので、コーヒーの安定供給が続いている地域・時代ではその消費量は少ない。しかし、代用コーヒーのほとんどはカフェインを含んでいないため、カフェインの摂取を避けている人がコーヒーの代わりに飲む場合がある。また大豆コーヒーなどは大豆の栄養価が評価され、健康食品として販売されている。
[編集] 飲料以外の用途
コーヒーには飲む以外に様々な用途がある。
[編集] 食品原料
コーヒー豆から抽出したエキスを香り付け、味付けのために用いる。
[編集] その他
- カレーの隠し味(インスタントコーヒーを使う)
- 染料
- 脱臭剤 - コーヒー豆の出し殻を使う。出し殻は応用範囲が広い。
- 民間療法のひとつとして、コーヒー抽出液による浣腸・洗腸が行われている。詳細はコーヒー浣腸を参照のこと。
- コーヒー風呂: 焙煎した豆を荒挽きにして酵素を用いて自然発熱させた砂風呂形式の風呂、または抽出した飲用コーヒーをそのまま用いる風呂。家庭用にコーヒー粉末をティーバッグ状にして浴槽に入れる製品がある。
- ネコよけ: コーヒーの出し殻を撒くというもの。ネコがコーヒーのにおいを嫌がるという言い伝えだが、効果はさほどない。
[編集] コーヒーの科学
[編集] 成分
コーヒーの生豆には多糖を中心とする糖類、アミノ酸やタンパク質、脂質の他、コーヒーに含まれるポリフェノールであるクロロゲン酸、アルカロイドであるカフェイン(豆重量の1%程度)やトリゴネリン、ジテルペンであるカフェストールやカーウェオールなど、特徴的な成分が含まれている。
これらの成分は焙煎されることによって化学変化を起こし、その結果数百種類にのぼる成分が焙煎豆に含まれる。焙煎の初期にまず生豆中の水分が蒸発し、その後一連の焙焦反応と呼ばれる反応が起きる。多糖やタンパク質はこの過程で分解され、それぞれ低分子の糖類やアミノ酸を生じる。クロロゲン酸がこれらの分子と共に加熱されることで褐色色素が生じ、コーヒーの色を生み出す。この他、糖類のみの加熱により生じるカラメルや、糖類とアミノ酸によるメイラード反応なども色素の生成に関与する。これらの色素はコーヒーメラノイジンと総称される。さらに、焙焦反応ではこれらの分子が加熱分解されることでさまざまな低分子が生じる。糖類の分解により生じるピラジン類はコーヒーの香ばしさを生む香り成分として特に重要である。これらの分子はすべて、苦味や酸味、甘味などのコーヒーの味を決定する上でも重要である。
最終的に飲み物であるコーヒーの抽出液には、これらのうち水溶性の比較的高い成分が溶出される。抽出されたコーヒーは0.04%程度のカフェインを含むが、それ以外の多くの成分についてはほとんど解明が進んでいないのが現状である。
これらの成分はコーヒーの複雑な味と香りを生み出すだけでなく、覚醒作用に代表されるようなコーヒーのさまざまな作用の原因にもなる。
[編集] コーヒーと健康
コーヒーは発見当初から眠気防止や疲労回復などの作用を持つことに注目されてきた薬用植物である。しかしその一方、コーヒーが過度の刺激剤や興奮剤として働く可能性を指摘し、敬遠する人も存在している。このことからコーヒーが人体に及ぼす作用は医学・薬学的な関心を集め、さまざまな知見が得られている。
医学的・薬学的研究の結果から、コーヒーの作用としてほぼ合意が得られている作用には以下のようなものが挙げられる。
- 習慣性
- コーヒーには軽度の習慣性があるとされる。これはカフェインによる作用だと言われている。カフェインには軽い精神依存性を引き起こす働きがある。また一日に300mg以上(コーヒー3杯に相当)のカフェインを常用する人には、カフェイン禁断頭痛と呼ばれる一種の禁断症状が現れることがある。これは最後のカフェイン摂取から24時間以上経過すると偏頭痛様の症状が現れるものである。このカフェイン禁断頭痛は症状が現れてから、カフェインを摂取することで30分以内に消失するが、カフェインを摂取しない場合は2日程度継続する。ただし、これらの症状は麻薬類やニコチン、アルコールと比較して、きわめて軽微なものだと考えられており、規制や年齢制限などは必要ないと考えられている。
- 急性作用
- コーヒーを摂取後、数分から数時間に出てくる代表的な作用として次のものが挙げられる。これらの急性作用は遅くとも一日以内には消失するものであり、健常時には特に健康上の問題を引き起こすことはないと考えられている。しかしながら過度に摂取した場合やそのときの体調によっては、一過性に問題を起こすことがある。また、特に消化器疾患、高血圧、パニック障害などの疾患がある場合など、特定の患者や病態によっては、これらの通常は無害な作用が有害に働くことがあるため、注意が必要である。
- 中枢神経興奮作用(精神の高揚・眠気防止/不安・不眠)
- 骨格筋運動亢進作用(筋肉の疲労を取る/ふるえ)
- 血圧上昇
- 利尿作用
- 胃液分泌促進(消化促進/胃炎を悪化させる)
- 血中コレステロール(LDL, TC)増加
- 大腸ぜん動運動の亢進(緩下作用/下痢)
- 慢性作用
- コーヒーを長期間に亘って飲用した場合についても、多くの疫学的研究が古くから数多く行われてきた。1980年までには「コーヒーが体に悪い」という視点からの報告が多かったが、それらの研究の多くは1990年代に、より精度を高めた追試によって否定されている。一方、1990年代からは「コーヒーが体に良い」という視点からの研究もなされている。
- 発症リスク低下(ほぼ確証):パーキンソン病・大腸がん・2型糖尿病
- リスク低下の報告あるが論争中 :アルツハイマー病・肝細胞がん・胆石
- リスク上昇の報告あったが後に否定された:高脂血症・膵臓がん・心不全・十二指腸潰瘍
- リスク上昇の報告あるが論争中:関節リウマチ・高血圧・死産リスク・骨粗鬆症・膀胱がん
- 発症リスク上昇(ほぼ確証):(今のところ特になし)
- その他の健康情報
- この他にも、研究途上の知見や単一の成分についてのみ見た研究結果、経験的に言われている効用、さらには風説の類いまで含め、非常に多くのコーヒーの作用が語られている。これらの中には、将来立証される可能性があるものも含まれているが、研究結果を誤解したもの、商用の宣伝目的と考えられるものなども多く含まれているため、他の健康ブームに乗った情報と同様、活用にあたっては注意が必要である。
- 麻薬中毒者やタバコをやめたい人などが、コーヒーを飲用することにより禁断症状がやや緩和されるという。
- 近年の研究では低血圧症、高血圧症の場合、血圧値を正常値に戻す働きがある事が指摘されている。また、善玉コレステロールを増やすなど心筋梗塞の予防にも役立つとの指摘もある。
- モーニングコーヒーに砂糖を若干入れて飲むと、血管の血流が良くなる事と、脳の栄養分が補給されるため、勉学、頭脳労働などにかなり効果が有るとも言われている。
- 「コーヒーはアルカリ性飲料」だと主張する人が散見されるが、これは日本のコーヒーの業界団体である全日本コーヒー協会が昭和63年頃から行っていたキャンペーンの影響だと思われる。当時はコーヒーは健康に悪いと考える風潮があり、それに対抗するために喫茶店経営者などに配布した「コーヒー&ヘルス」という小冊子にこの記述があった。しかし今日では酸性食品とアルカリ性食品という区分自体が栄養学上意味をなさないと言われており、この記述は削除されている。また「コーヒーはアルカリ性」だと主張する人も見られるが、これは上述の記載をさらに誤って解釈したことによると考えられる。実際にはコーヒーはアルカリ性ではなく酸性(pH 5~6)を示す。ただしこのことと健康への影響とは無関係である。
- 「酸化したコーヒーは体に悪い」という主張をする人がいる。コーヒー豆を保存するとき成分の酸化(特に脂質の酸敗)による品質低下が問題になること、抽出したコーヒーを保温しつづけると色素の酸化重合や過酸化水素などのフリー・ラジカルの生成がおきることが知られているが、健康との関係についての研究報告はまだ行われていない。なお、コーヒーの酸化と「コーヒーはアルカリ性飲料」とを結びつけて「新しいコーヒー=アルカリ性で体にいい」「古いコーヒー=酸化=『酸』化=体に悪い」という図式から健康との関係を説明しようとする人もいるが、酸化することと溶液が酸性化することとは必ずしも一致するものでない上、酸性・アルカリ性で健康への影響を説明することには医学的根拠がない点で、この説明は科学的な根拠があるものとは呼べない。 酸性だとしても、胃液はほとんどが強酸に入る塩酸なので健康との関係性は乏しいと考えられる。
[編集] コーヒーの経済
コーヒーはロンドン先物取引所やニューヨーク先物取引所などで、商品先物取引の主要銘柄として取引が行われ、その取引金額は一次産品としては石油に次いで大きいと言われている。日本でも東京穀物商品取引所でアラビカコーヒーとロブスタコーヒーが上場されている。
アラビカコーヒーとロブスタコーヒーは品種が違うため、価格もかなり違う。そのため、両商品の価格差の拡大または縮小を予測してストラドル取引(鞘取り)が行なわれる場合もある。
しかし、その一方でコーヒーは、消費国と生産国との経済格差を生む南北問題の一因となっていることも指摘されている。コーヒー生産地諸国では主にプランテーションによりコーヒー栽培が行われている。ブラジルなどではかつてコーヒー・プランテーションの労働力は主に黒人奴隷であった。奴隷制廃止後は主に移民労働者によって行われている。労働集約型の作業がほとんどであることにこれらの背景が加わって、労働環境の悪さが指摘されており、実際に生産者が受ける収益がきわめて少ないことは国際的にも問題視されている。
1970年代以降、この問題の解決を目指してフェアトレード運動が活発になりつつある。商品価値の高い高品質なコーヒー(スペシャルティ・コーヒー)を生産することで収益の安定させて生産者の経済的自立を促す、生産環境の改善に向けた取り組みがなされている。
- 世界の生産量
2002年の全世界での生産量は、7,365,000tにのぼる。主な生産地は、以下の通り(生産量・シェアのデータは2002年)。
- 世界各国の輸出量
2001年の世界各国の輸出量は、5,329,000tにのぼる。主な輸出国は、以下の通り(FAO:国際食料機関)
- 世界各国の輸入量
日本は、アメリカ、ドイツに次いで世界第3位の輸入国である。生豆と加工済み(レギュラー・インスタント)の形で輸入している。生豆での輸入量の上位は以下の通りである(2002年)。1位 ブラジル、2位 コロンビア、3位 インドネシア。
[編集] コーヒーの販売と格差
コーヒーの販売は世界の大手4社がほとんどを独占しているが、実際にコーヒーを生産している新興国のコーヒー農家が得る利益は、大手4社が得る利益の数十分の一である。
[編集] コーヒーと文化
[編集] コーヒーにまつわる名言
- 「よいコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、愛のように甘い。」
- (フランスの政治家、タレーラン=ペリゴール)
- 「私は自分の人生をコーヒースプーンで測りつくした。」
- (詩人、T・S・エリオットの『J.アルフレッド・プルーフロックの恋歌』より)
- 「コーヒーは地獄のように黒く、死のように濃く、恋のように甘くなければならない。」
[編集] コーヒーを題材にした楽曲
コーヒーは極めて身近な嗜好飲料であることから、歌曲の中で取り上げられることも多く、コーヒーそのものを題名に入れた曲も少なくない。
- コーヒー・カンタータ(作曲:ヨハン・セバスティアン・バッハ BWV211 「そっと黙って、おしゃべりめさるな」 1732年) バッハの世俗カンタータの一つで、コーヒー・マニアの娘と反コーヒー主義者の父親の争いを歌うコミカルな作品。バッハは自身コーヒー・マニアであった。
- 一杯のコーヒーから(歌:霧島昇・ミスコロムビア、作詞:藤浦洸、作曲:服部良一 1939年) 日本の懐メロの有名曲。戦前から日本に喫茶店文化が根付いていたことを物語る曲でもある。
- ブラック・コーヒー(Black coffee, 作詞:ポール・フランシス・ウェブスター 作曲:ソニー・バーク 1948年) コーヒーと煙草に浸る失恋の倦怠と絶望を歌ったブルージーなジャズ・スタンダード。1949年にサラ・ヴォーンが初録音してヒットした。日本では1954年デッカ録音のペギー・リー版が名唱として知られる。
- コーヒールンバ(Moliendo Café, 作詩・作曲:Jose Manzo Perroni 日本語詞作詞:中沢清二) ベネズエラのアルパ奏者ウーゴ・ブランコが録音し世界的にヒット、日本でもエキゾチックさが好まれて何度もリバイバルしている。曲のリズムは実際にはルンバではない。 歌:西田佐知子(1961年)、荻野目洋子(1992年)、井上陽水(2001年)
- コーヒーはいかが(ドイツ民謡、作詞:花岡恵) 教育芸術社の音楽の教科書に掲載された。
- その他
- 冷めたコーヒー(歌:ゆず、作詞:岩沢厚治、作曲:岩沢厚治)
- コーヒー・デート(歌:伊東ゆかり、訳詞:みなみかずみ、作曲:L.Whitcup)
- コーヒーショップで(歌:あべ静江、作詞:阿久悠、作曲:三木たかし)
- コーヒーをいれたから(歌:Ikuko、キーコーヒードリップオンのCMソング)
- コーヒーをもう一杯(歌:Bob Dylan)
- コーヒーの二つの役割(歌:SOPHIA)
- コーヒーもう一杯(歌:Mike & The Mechanics)
- ベンチとコーヒー(歌:BUMP OF CHICKEN)
- コーヒーショップ(歌:RED HOT CHILI PEPPERS)
- モーニングコーヒー(歌:モーニング娘。)
- 友とコーヒーと嘘と胃袋(歌:Mr.Children)
[編集] その他、コーヒーにまつわる事柄など
- エチオピアにはコーヒー・セレモニー(カリオモン)と呼ばれる風習がある。主催者が客に対してその場で焙煎・粉砕・抽出したコーヒーを振る舞い、みんなで回し飲みをするなど、日本の茶道と共通した部分も多い。
- トルコなどではコーヒーを飲んだ後の残滓がカップの底に作る模様から運勢を占うコーヒー占いを行うことがある。
- 会議などの合間にとる5分から15分程度の小休止をコーヒーブレイクと呼ぶ。会議の参加者らがコーヒーなどのソフトドリンクを飲みながら談笑することで気分転換を図る習慣から生まれた呼び名である。
- 「一緒に夜明けのコーヒー(あるいはモーニングコーヒー)を飲む」という言葉は、男女が深い関係になることの暗喩として用いられることがある。
- モルモン教ではコーヒーは禁止されている。
[編集] コーヒーの歴史
詳細はコーヒーの歴史を参照。
コーヒーはエチオピアで最初に発見された。しかしどのような経緯で、いつ頃から飲まれるようになったか、またいつ頃から栽培されるようになったかについては、正確には判っていない。ただ、その起源については、二つの伝説が広まっている。
- 6世紀頃、エチオピアのカルディという名前のヤギ飼いの少年が、山中でコーヒーを食べたヤギが興奮状態になることに気づいたことから発見したという説。
- 1258年、オマルという名前のイスラム神秘主義の修道者(デルウィーシュ)が、追放されて迷い込んだ山中で鳥に導かれて見つけたという説。
[編集] 飲用史
紀元前のエチオピアのアビシニア高原では、ガラ族が自生しているコーヒーの実を潰して動物性脂肪で団子状に丸めたものを携帯食として用いていたと言われている。6世紀から9世紀頃にアラビア半島に伝わり、イエメンのイスラム神秘主義修道者が、徹夜で行う瞑想や祈りのときの眠気覚ましとして用いた。この頃はまだ潰した実を丸めたものや、生の葉や豆を煮出した汁が用いられていたが、13世紀頃にコーヒー豆の焙煎が行われるようになった。当時はあくまで一部の修道者だけが用いる宗教的な秘薬であった。しかし1454年には、アデンのムフティー(法学者)、ジャマールッディーンが一般民衆にコーヒーの飲用を正式に認めるファトワー(法学的勧告)を発し、これ以降多くのイスラム法学者たちの間でイスラムの教義に合うかどうかについての論争を経ながらも一般民衆に飲用の習慣が広まった。その後、中東・イスラム世界の全域に伝播し、16世紀までにはエジプトまで飲用地域が拡大した。
1516年、オスマン帝国によるアラブ地域の併合によってトルコに伝播し、当時オスマン支配下にあったバルカン諸国にも16世紀後半に伝播した。トルコにおいては信仰や薬用よりも嗜好品として飲用された。ヨーロッパには、16世紀末頃にオスマン帝国から伝わった。1602年にはローマ、1615年にはヴェネツィアに伝播し、オランダ(1618年)、イギリス(1641年)、マルセイユ(1644年)、パリ(1657年)、ドイツ(1670年)、スウェーデン(1674年)など、ヨーロッパ全土に伝播した。北米には、1668年ヨーロッパからの移民によって伝わった。日本への伝播は諸説あるが、鎖国下にあった江戸時代、長崎の出島(1641年〜)にオランダの商人が自家用に持ち込んでいたものが最初だと考えられており、日本人では出島に出入りしていた一部の人が飲用したのみであった。本格的な輸入は開国以後(1858年の日米修好通商条約以降)である。
ヨーロッパに伝播した頃には、焙煎した豆を煮出して上澄みを飲むトルココーヒー式の淹れ方が一般的であったが、1711年、フランスで布で濾す方法が開発された。19世紀初めには、布ドリップの原型(ドゥ・ベロワのポット)、コーヒーサイフォンが開発され、それぞれフランスとイギリスで普及した。20世紀初めには、エスプレッソマシンがイタリアで開発されてヨーロッパ全土に広まり、さらにはアメリカ、日本など世界中に普及した。
[編集] 栽培史
発見当初、エチオピアやイエメンで自生しているコーヒーノキが用いられていたが、13世紀にはマッカ(メッカ)巡礼者が宗教儀礼に用いるために密かに自国に持ち帰り、イスラム圏全域で栽培が行われた。1600年にはインド西部にも苗木が伝えられた。
17世紀頃のヨーロッパでの流行によって、ヨーロッパ諸国が植民地でのコーヒー栽培にも取り組みはじめた。1658年にはオランダがセイロンでの少量栽培に初めて成功し、1700年にはジャワでの大量栽培に成功した。1723年、フランスの海兵隊士官のド・クリューがフランス領西インド諸島に苗木を持ち込み、少量の栽培に成功。これが南米のコーヒーノキの起源になった。ブラジルには1727年にフランス領ギアナで試験栽培されていた苗木が密かに持ち込まれて栽培されたのが最初とされる。
[編集] 文化・社会史
イスラム世界では、16世紀頃から一般民衆への普及によって民衆の社交場においてコーヒーが供される風習が生じ、17世紀初頭には、世界初の近代的なコーヒーハウスがオスマン帝国の首都イスタンブルで開業した。オスマン帝国におけるコーヒーハウスは中上流階級の社交場となり、同様なコーヒーハウスがヴェネツィアやローマでも開業してヨーロッパ中に広まった。
中でもイギリスでは1650年にオックスフォードに最初のコーヒーハウスが開業した後、17世紀にはロンドンを中心にコーヒーハウスが社交や議論、情報交換の場として隆盛を極めた。ロイド保険会社の前身もコーヒーハウスである。このイギリスのコーヒーハウスの隆盛は紅茶の普及により廃れる18世紀半ばまで続いた。フランスでは1669年には駐トルコ大使がルイ14世に献上したことがきっかけになって上流社会で流行し、さらに一般民衆にも広まって街角に多くのカフェが作られた。ウィーンでは、1683年、オスマン帝国による第二次ウィーン包囲が失敗した際に、オスマン軍が塹壕に残していったコーヒー豆をコルシツキーが戦利品として拝領し、ウィーン初のコーヒーハウスを開業したのが始まりといわれている。
日本では1888年、東京下谷に最初の喫茶店「可否茶館」が開店、明治時代末から大正時代にかけて(1911年~)カフェーと呼ばれる喫茶店が全国的に普及した。
[編集] 脚注
<references />
[編集] 関連項目
- コーヒーの歴史
- コーヒーノキ
- コーヒー豆
- コーヒーカップ
- 喫茶店
- コーヒー・ハウス
- カフェ
- インスタントコーヒー
- 缶コーヒー
- デカフェ
- トルココーヒー
- カフワ・アラビーヤ
- コーヒールンバ
- コーヒーゼリー
[編集] 外部リンク
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