キムチ

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キムチ
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各種表記
ハングル김치
漢字沈菜死語
平仮名
(日本語読み仮名)
片仮名
(現地語読み仮名)
キムチ
ラテン文字転写: Kimchi
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キムチ김치)は白菜などの野菜を薬念(ヤンニョム)と呼ばれる薬味で漬けた、朝鮮を代表する漬物朝鮮漬

一般的なキムチは唐辛子をふんだんに使い、真っ赤な色をした大変辛い漬物である。辛いだけでなく薬念と乳酸発酵による旨味と酸味が混じり合った複雑な味を持ち、非常に人気が高い。一方で、その辛さや薬念に使うニンニクの臭いから敬遠する人もいる。ただし、本来キムチとは朝鮮語で「野菜を漬けたもの」という意味であり、唐辛子の有無は関係がない。唐辛子やニンニクを使わないキムチも存在する。

朝鮮半島を発祥とし、韓国朝鮮民主主義人民共和国中国の朝鮮族の多く暮らす地域では、毎日の食卓に欠かせない惣菜である。また朝鮮・韓国料理の食材でもある(ただし、半島北部ではキムチが一般的ではない地域もある)。ソビエト連邦時代に沿海州から朝鮮系住民(高麗人)が強制移住させられたウズベキスタンでは、市場やレストランでキムチ(シムシャとも呼ばれる)がよく見られるほどに普及している。

日本でも馴染みが深く、単独であるいは付け合せとして食べられるほか、豚肉と一緒に炒めた「豚キムチ」などの材料やチゲの具(キムチチゲ)としても用いられる。

目次

[編集] 語源

朝鮮語で「野菜を漬けたもの」の意である沈菜침채、チムチェ)が語源であるとされる。ただし、沈漬(チムチ)、鹹菜(ハムチェ)等、その他の説もある。

[編集] 歴史

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文献上キムチがはじめて登場したのは13世紀初頭、李奎報の詩においてだが、少なくともそれ以前から存在していたと考えられている。

16世紀、朝鮮半島に唐辛子が伝来し、現在のように赤く辛いものが作られるようになった。なお、唐辛子は豊臣秀吉朝鮮出兵によって日本から渡来したと言われているが詳細は不明であり、その後の交易などで渡来した可能性もある。唐辛子の普及以前においてはもっぱら山椒が使用されていた。なぜ唐辛子を山椒の代わりに使用し始めたかについては明らかにされていない。

持ち込まれた当初、朝鮮では唐辛子のことを倭芥子、若しくは倭椒と呼び、毒があるとして忌避していたが、後にキムチをはじめとした料理に用いるようになった。 韓国人は子供の頃からキムチを食べてその辛さに慣れていく。しかし、韓国人も皆辛さに強いわけではないため、キムチは近年子供が嫌いな食べ物のワースト一、二を常に争っている。近代化にしたがい、若者がキムチを食べるよう強いられる機会も減り、キムチの消費量は減少傾向にある。

2005年10月、韓国で中国産の輸入キムチから寄生虫の卵が検出され問題となった。韓国政府が調査した結果、同国産のキムチにも寄生虫卵が発見された。

[編集] 種類

ペチュギムチ(배추김치
白菜のキムチ。単に「キムチ」と称した際はこの白菜キムチを指すことが多い。
オイギムチ(오이김치
胡瓜のキムチ。
カクトゥギ(깍두기
大根のキムチ。カクテキとも。
チョンガーキムチ(총각김치
チョンガー大根(小型の大根)のキムチ。
ポサムキムチ(보쌈김치
開城地方の名物。生のイカや牡蠣などを白菜の葉で包んで漬ける。保存がきかないため二、三日で食べきらなくてはいけない。
ヤンベチュキムチ(양배추김치
キャベツのキムチ。白菜の手に入りにくいヨーロッパなどへ移住した朝鮮系住民によってよく作られていた。
ムルギムチ(물김치、水キムチ)
唐辛子、ニンニクを使わない、汁気の多い白いキムチ。汁ごと食べる。ムルギムチの汁は冷麺の汁には欠かせない。

これら以外に、様々な具材を使ったキムチが多数存在し、その数は200種類を越すと言われている。

[編集] 製造法

キムチ壺(ハンアリ)。屋外に置くことが多いため、雨露が入らないような蓋がついている(2006年5月13日撮影)

一般的な白菜キムチは以下のように漬ける。

白菜を一日ほど塩に漬ける。

これを水で洗って塩抜きし、葉に薬念をまぶして壺に本漬けする。薬念としては、唐辛子、アミ、イカイシモチイワシなどの塩辛の他、牛肉煮干し昆布などの出汁を合わせたものが用いられる。リンゴなど果物を加えて味をまろやかにすることもある。

本漬けで四、五日ほど発酵させると出来上がりである。

[編集] 健康

キムチは発酵食品であり、乳酸菌による健康への効果が期待できる。また、ビタミンも豊富であり、唐辛子のカプサイシンによるダイエット効果も期待できる。他の塩漬け食品にくらべても低塩分であり、非常にヘルシーな食品であると言える。[1] 一方、低塩分とはいっても漬物ではあるので、大量に食べるとやはり塩分過多になる。韓国保健産業振興院の調査により、キムチを平均の3倍程度食べる高齢女性は肥満、高血圧、高脂血症にかかりやすいということがわかった[2]

[編集] 日本

昭和後期に入る頃までは、その辛さが日本人の味覚に合わなかったことから、存在は知られていてもあまりなじみのないものであり、キムチという名称も一般的ではなかった(昭和40年代前半に描かれた著名な漫画の中に「チョウセン漬け」と呼ばれる行がある)。しかし現在では日本でもキムチの人気は高く、一般のスーパーマーケットで手に入るほか、コリアタウンで本場のキムチを買い求める客も多い。一般のスーパーでは当初、日本国産のキムチが売られていたが、1990年代から急速に消費量が増え、韓国から輸入されたキムチも流通しはじめた。

なお、漬物の業界団体より発表された統計資料において、日本国内でもっとも多く消費される漬物はキムチとされていたことがあったが、算出方法のミスで実売量の2.5倍が計上されていたことが2005年3月に明らかにされ、それまで日本の漬物消費でキムチが1位になったことは無いと判明した。実際の消費量トップの漬物は浅漬けで、キムチの消費量は多いとはいえ2位に留まるものであった(2004年時点)[要出典]。これが白菜キムチだけなのかそれ以外のキムチも含んでいるかは定かではない。2005年に寄生虫卵が発見された影響もあり、日本でのキムチ生産量は下降傾向にある。

[編集] 日本式キムチ

浅漬けも参照

日本では浅漬けの製法(白菜の塩漬けに調味料を加える方法)でもキムチが作られており、浅漬けキムチ、和風キムチなどと呼ばれ、伝統的な製法のものとは区別される。

伝統製法のキムチと、日本式キムチの違いは、主に乳酸発酵の有無にある。韓国式伝統製法では乳酸発酵が行われる。時間の経過で乳酸発酵が進み、酸味が強くなるので、食べ頃には好みが生ずる。一方、日本式のキムチは浅漬けに唐辛子のキムチ風辛み味付けをした物で、日本人の好みに合わせあっさりした味付けの物が多い。どちらの品も日本では受け入れられている。

[編集] 英語表記の問題

キムチの英語表記について、Kimuchi(日本語・カナから転写)と表記し発売・輸出したものが日本で定着し世界に広がりつつあったが、韓国側は正しくはKimchi(朝鮮語音から転写)であると主張し、論戦となった。そのため、1996年3月に国際食品規格委員会(CODEX)のアジア部会にて韓国側のメンバーから国際的な「キムチ」の定義を行おうと提案があり、韓国側の主張が認められた。

[編集] その他

  • 伝統的な製法のキムチは発酵食品であるためガスが発生する。そのため、完全な密閉容器にキムチを詰めて室温で保管していると、数日で破裂する恐れがある。
  • 韓国では写真を撮るときの合図に「チーズ」ではなく「キムチ」と言うことがある。
  • 韓国では、日本でいう味噌汁以上に家庭の味を象徴する料理であり、「良いキムチを作れる女性は良い妻となれる」という言葉まであるが、最近はスーパーなどで既製品のキムチを買う主婦も多い。
  • 韓国ではポピュラーな家電製品として、発酵や保存に適切な温度を保つことが出来るキムチ専用の冷蔵庫が存在する。LG電子では日本でも「食品貯蔵庫」として発売している。
  • 朝鮮半島では毎年秋に越冬用として大量のキムチを漬ける。これを「キムジャン」という。気象台ではキムジャンに適した時期を地域ごとに表す桜前線ならぬ「キムチ前線」を発表する。
  • 韓国には「キムチ債」と称する債券がある。これは日本でいう「サムライ債」に該当するもので、外国企業が外貨建てで韓国において募集する外貨建外債を指す。
  • 味付けによく用いられる唐辛子は、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に日本から伝来したとされている。また、江戸時代朝鮮通信使が日本から持ち帰ったという説もある。唐辛子の原産地は中南米ペルー説が有力)であり、当時、スペインポルトガルとの直接の交易路を有していなかった朝鮮半島には、朝鮮出兵時は極端としても、同時期に日本経由で伝来したものと考えられる。
  • 韓国は自国産のキムチを日本などに輸出する一方、安価な中国産キムチを輸入しており、輸入量が輸出量を上回るほどである。安価な中国産キムチの用途は、主として飲食店で出される「突き出し」である。日本の喫茶店で出される水や寿司屋のガリが基本的に無料であるのと同様に、韓国の飲食店ではキムチを含む副菜は無料で、無くなるつど補充される(韓国料理の特徴を参照)。

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズに、キムチに関連するカテゴリがあります。

[編集] 参考文献

  • 家永泰光、盧宇炯(共著)『キムチ文化と風土』 古今書院、1987年12月、ISBN 4772211012
  • 李連順『キムチ物語』 光村推古書院、2002年12月、ISBN 4838199163
  • 李御寧、李圭泰、金晩助(共著、金淳鎬訳)『キムチの国』 千早書房、2000年12月、ISBN 488492259X
  • 李信徳『韓国料理 伝統の味・四季の味』 柴田書店、2001年12月、ISBN 4388058955
  • 講談社編『極辛版キムチ大探検』(講談社文庫) 講談社、1988年8月、ISBN 4061842285
  • ジョン・キョンファ『キムチの味』 晶文社、1993年12月、ISBN 4794961510
  • 田村研平『在日キムチにおける誤解 食と難民をつなぐ関係』 情報センター出版局、1988年4月、ISBN 4795807426
  • 谷川彰英(監修)『国際理解にやくだつNHK地球たべもの大百科 9 韓国』 ポプラ社、2001年4月、ISBN 4591067149
  • 崔弘植(盧宇炯訳)『キムチ力』 YB出版、2001年6月、ISBN 4901337130
  • 鄭大聲『焼肉・キムチと日本人』(PHP新書) PHP研究所、2004年2月、ISBN 4569634001
  • 豊田有恒、豊田久子(共著)『豊田さんちのキムチ大作戦 キムチの漬け方、食べ方、健康法』 有楽出版社、1999年3月、ISBN 4408591246
  • 韓福麗(守屋亜記子訳)『キムチ百科 韓国伝統のキムチ100』 平凡社、2005年9月、ISBN 4582127215
  • Visson, Lynn. The Art of Uzbek Cooking. Hippocrene, New York, 1999. ISBN 0781806690

[編集] 外部リンク

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