エアバッグ
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エアバッグ(SRSエアバッグシステム)は、自動車の安全装備の一つで、気体により瞬時に膨らむバッグによって、衝突時に乗員にかかる衝撃を緩和する装置である。
SRS=Supplemental Restraint System (乗員保護補助装置)の略。
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[編集] エアバッグの仕組み
通常使用時、袋体はコンパクトに折り畳まれてスマートに持ち運び出来、いざというときにはその中に気体を入れ、空間の許す限り対象物に相当した大きさに膨張させ、衝撃から対象物を守る。この一連の動作は、恐らく、人が日常接する[風船]のイメージにより、多くの人に良いイメージをもって歓迎される。
適した容積を持つ袋体に対象物が衝突する際、袋体内部の気体を外部に放出、若しくは内部で移動させることにより、衝突時の対象物に発生する衝撃を吸収(又は緩和)する衝撃吸収(緩和)装置のことである。
昨今エアバッグというと自家用車に代表される、高速移動体の乗員周辺に装備されるものが、まず想像されるが、例えば車椅子の様な低速移動体の転倒障害防止装置や、各種スタント行為の障害防止用クッション、さらには惑星間移動体の着陸衝撃の緩和装置にも利用される(下記)ほど、広範な利用価値を持つが、ここでは自動車用エアバッグを中心に、説明をすすめる。
[編集] 自動車用エアバッグ作動の流れ
- クルマが衝突するとセンサーが反応。その後センターユニットに信号が送られる。
- センサーユニットからエアバッグモジュールに信号が伝わる。
- インフレーター内でガスを発生させ、エアバッグが瞬時に膨らむ。この際、収納部(運転席にあってはハンドルのセンターパッド、助手席にあってはダッシュボード上部の該当部分)の一部がちぎられて開く。
- 完全に膨張したら、ただちにガスが抜けエアバッグが収縮する。
[編集] 歴史
エアバッグの発明は1963年に遡る。特許申請事務代行業のGIC(グッドアイデアセンター)を経営していた小堀保三郎が、飛行機事故などで、衝撃を緩和させ、生存率を改善させる装置として考案した。後に世紀の大発明となったエアバッグではあるが、当時としては余りに奇抜な発想だったため、発表の場では、日本人の関係者からは失笑を買い、相手にされることはなかった。また、エアバッグが、火薬の使用が当時の日本の消防法に抵触してしまうことから、日本でエアバッグが開発されることはなかった。一方、欧米の企業では、エアバッグの研究、開発が進められ、それにあわせて法規も整えられていった。開発が進むにつれ、その有用性が認められ、1970年頃からは日本でも本格的な開発が始まった。現在、エアバッグは、世界中の自動車で、ほぼ標準装備となっているが、小堀が特許を有していた間は、実用化されていなかったため、特許による収入がなく、研究費などで借金を抱えていた。なお小堀はエアバッグの世界的な普及を知る事なく、1975年8月30日、生活苦から夫婦でガス心中を遂げている。
エアバッグが最初に実用化されたのは、1970年代中盤のアメリカにおいてである。1971年、フォード社が顧客の車両にエアバッグを取り付け、モニター調査を行った。1973年にはゼネラル・モーターズ(GM)が、キャデラック、ビュイックなど数車種の量産車での装備を可能とした。(ただし、エアバッグの誤作動による事故が発生したため1977年に生産中止している。)
1980年にはメルセデスベンツが、高級乗用車Sクラスにオプションとして装備した。初期のエアバッグは、一部の限られた高級車にオプション装備として搭載されるのみであったが、次第に乗用車のほどんどでオプションとして搭載されたたり、上級モデルには標準装備されたりするようになった。一時期、エアバッグ発明前の古い車でも装備できるよう、後付エアバッグを製造・販売した会社もあったが、あまり売れず、現在は入手不可能となっている。
日本車初のエアバッグ搭載車は、1985年にホンダが発売したレジェンドである。日本車では1990年代中盤から急速に普及した。
2007年現在では一部の安価な車種を除き、日米欧の大手自動車メーカーのほぼ全ての車種に標準装備されている(運転席・助手席。それ以外は、現在もオプション装着のものが多い)。
また、運転席・助手席の座席サイド部分に内蔵されているサイドエアバッグ、ルーフライニングのサイド部分に内蔵されているカーテンエアバッグ、インパネ下部に内蔵されている下股部を保護するニーエアバッグも搭載されるようになった。その後、乗用車はもちろん、軽自動車、貨物自動車、バスにも搭載されている。
また、昨今に発表されている新型車のインパネには、助手席エアバッグの分割線がない車種が多い。その理由として、質感の向上やドライバーの視線の妨げにならないようにすることを目的としている。部品モジュール化やCAD技術の発達、ドイツ製レーザーカット機の導入によるところが大きい。
オートバイ用のエアバッグも開発されている。現在市販化されているのは、無限電光が製造しているヒットエアーのみである。このヒットエアーは車両本体に装着される自動車のエアバッグと異なり、着用するジャケットに装着される。多くのオートバイの事故の場合、乗員は車両から放り出されることから、乗員が車両から放り出された時にジャケットに内蔵されたエアバッグが作動するというもので、これを応用した乗馬用ジャケットも製造されている。車両本体側に装着するエアバッグは、2005年に本田技研工業が試作モデルを発表している。
乗員保護用のエアバッグ以外に、歩行者保護用のエアバッグの開発も行われている。日野自動車は同社が発売する小型トラックデュトロのフロントバンバー下にエアバッグを展開して歩行者の巻き込み事故を防ぐ装置を2004年に発表し、西濃運輸の集配用トラックに採用が予定されている。
[編集] 各エアバッグの役割
- 運転席エアバッグ
- 助手席エアバッグ
- サイドエアバッグ
- カーテンエアバッグ
- ニーエアバッグ
- ITSヘッド・エアバッグ
[編集] エアバッグの衝撃力
- エアバッグという語感から「柔らかい」イメージを受けるが、実態は乗員の車外逸脱を防止するために必要な爆発的な膨張性能の確保と摩擦力のある素材を使用しているため、乗員が膨張したエアバッグにより顔面に擦過傷を負う例もある。シートベルトを着用しないと死にいたるケースもある。この実験はシートベルト着用推奨CMで放送された。
- テレビなどでエアバッグの動作風景が放送される場合は、高速撮影とスローモーション再生の映像であるため、一見すると柔らかなクッションが上体を優しくキャッチしているように見える。しかし実際は、急速に膨らむバルーンに突っ込むわけであるから、空気を入れて膨らませるビーチボールか浮き輪でいきなり殴られたような衝撃がある。したがって、顔面の打撲や擦り傷などの軽症を負う場合はある。それでも勿論、ステアリングやダッシュボード、あるいはフロントガラスに頭から突っ込むよりは、怪我の程度はずっと少なくて済む。
- エアバッグは、火薬を使って急速に膨らませるため、作動時には車内の気圧が急激に上昇する。窓を閉め切っていた場合などは、この急激な気圧の変化により、鼻血が出たり鼓膜を傷めたりする。場合によっては鼓膜が破れることもある。しかし、前述したように、怪我の程度をより益しにするためなので、これはいたしかたない。なお、火薬を使うのは、エアバッグを高速で展開するためには、現時点では火薬の爆発的な膨張力を利用するしか手段がないからである。
- 初期のエアバッグでは、バッグが開いた時に顔面に当たる衝撃で死亡する事故が発生し、アメリカでは裁判にもなっている。
- 爆発(膨張)音の軽減やエアバッグの膨張~収縮の時間差が工夫されるなど改良が加えられているが、あくまでも乗員の生命保護を前提としていることもあり限界はある。
- お笑いタレント松本人志が「ダウンタウンのごっつええ感じ」のコントでエアバッグの爆発によって顔面に大怪我をおった。
[編集] エアバッグの注意点
- シートベルトを必ず着用する(エアバッグはシートベルトをしている状態を前提としているため。シートベルト未着用状態でエアバッグが作動し、運転手が死亡した事例がある。CMで放送された)。
- 助手席に子供を乗せるときはよく注意し、チャイルドシートはできるだけ後席に取り付ける。やむを得ず助手席にチャイルドシートを取り付けるときには、シートを一番後ろまで下げ、かつ前向きにつけること。
- インストルパネルの前に立ったりもたれかからない。またパネル上または近くに物を置いたり、ステッカーやテープを貼り付けないこと。
- 車両への衝撃の加わり方によっては、エアバッグが開かない場合もある。
- さらに詳しいことに関しては装備車の取扱説明書を読むこと
[編集] その他
1997年、火星探査機『マーズ・パスファインダー』はエアバッグで火星に着陸した。着陸直前に24個のエアバッグが開き、探査機全体を包み込む構造だった。
[編集] 関連する法律
エアバッグは火薬を使用する火工品であるが経済産業省告示第346号によって火薬類取締法施行規則(昭和25年通商産業省令第88号)第1条の4第7号の規定に基づき、火薬類取締法(昭和25年法律第149号)の適用を受けない火工品に指定されている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 日産自動車HP『エアバッグ』について
- 自動車リサイクル法における取引基準(作動前のエアバッグの画像が豊富)
- hit-air(オートバイ用エアバッグジャケット)
- Honda Fact Book/二輪車用エアバッグシステム
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