すばらしい新世界
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『すばらしい新世界』( - しんせかい)は、オルダス・ハクスリーが1932年に発表したディストピア小説。原題:"Brave New World"『ブレイヴ・ニュー・ワールド』
目次 |
[編集] 概要
発表された時の書評は否定的な内容のものばかりだったが、未来を予見することの多いSF小説の中でも、その洞察の深さから昨今とりわけ高い評価を受けている作品である。バラ色の陶酔に包まれ、とどまるところを知らぬ機械文明の発達が行きついた人間が自らの尊厳を見失うその恐るべき逆ユートピアの姿を、諧謔と皮肉の文体でリアルに描いた文明論的SF小説であり、描写の極端さが(多くのSF小説にあるように)きわめて諧謔的であるため、悲観的なトーンにもかかわらず、皮肉めいたおかしみが漂っている。本作は、ジョージ・オーウェルの『1984年』とともにアンチ・ユートピア小説の傑作として挙げられることが多い。また、登場人物の名前に「マルクス」「レーニナ」「モンド」「モルガン」といった有名人の名を付けている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 世界観
西暦2004年に「九年戦争」と呼ばれる最終戦争が勃発し、終結後、全世界から暴力をなくすために安定至上主義の世界が形成された。その過程で文化人は絶滅し、西暦に代わって自動車王フォードに因んだ「フォード紀元」が採用されている。それ以前の歴史は抹殺され総統と呼ばれる10人の統治者によって支配されている。
人間は受精卵の段階から培養ビンの中で「製造」され「選別」され、階級ごとに体格も知能も決定される。壜から出た(生まれた)後も、睡眠時教育で自らの「階級」と「環境」に全く疑問を持たないように教え込まれ、人々は生活に完全に満足している。不快な気分になったときは「ソーマ」と呼ばれる薬で「楽しい気分」になる。人々は激情に駆られることなく常に安定した精神状態であるため、社会は完全に安定している。壜から出てくるので、家族はなく、結婚は否定されてフリーセックスが推奨され、つねに人々は一緒に過ごして孤独を感じることはない。隠し事もなく、嫉妬もなく、だれもが他のみんなのために働いている。一見したところではまさに楽園であり、「すばらしい世界」である。
T型フォードの大量生産で名を馳せた自動車王フォードが神様になっている(胸で十字を切るかわりにTの字を切る)。
[編集] あらすじ
時は、フォード紀元632年、中央ロンドン人工孵化・条件反射教育センターに務める最上層階級アルファに属するバーナードは、少し様子がおかしく、人の集まる場所を避け、恥ずかしさに顔を赤らめる、他の人々には理解できない行動をしていた。そんなバーナードの友人はヘルムホルツ。優秀すぎるがために孤立している男だった。
ある日、バーナードは恋人と蛮人保存地区へ旅行へ出かけ、そこで生まれ育ったジョンという青年と遭遇して文明社会に連れていく。当然、ジョンがいた蛮人保存地区と、バーナードたちの文明社会では常識がことごとく違うから、摩擦が起きっぱなしである。ジョンの目にはこの社会はどうしようもない「愚者の楽園」としか見えない。怒りに駆られ、町でソーマの配給を妨害し逮捕される。そして総統のもとに連れて行かれ、ようやくこの世界の全貌を説明された。
総統との問答の後、ジョンは都市を離れ田舎の廃屋で一人自給自足の生活を送ろうとするが…。
[編集] 登場人物
バーナード・マルクス
- α(アルファ)階級なのに手違いからγ(ガンマ)階級の姿で生まれてしまった。そのことから劣等感に苦しんでいる。
ヘルムホルツ・ワトキンス
- 完璧なα(アルファ)階級の美男でジャーナリスト。
ジョン・野蛮人(サヴェンジ)
- 蛮人保存地区で生まれ育つが、シェイクスピアの全作品を愛読している。文明社会に行き、好奇の目を向けられる。
所長
- ジョンの父親。バーナードの職場の上司であり、彼を左遷しようとした。
リンダ
- ジョンの母親。β(ベータ)だったが、若い時に所長と蛮人保存地区へ出かけ、一人はぐれてた挙句、彼の子供を身篭ってしまった。そのためそこから出られずに環境にも適応できず、年老いてすっかり醜くなった。
ムスタファ・モンド
- 総統。賢明で人間社会に対する洞察に満ち、冷笑的でどこかやさしい憂愁さえたたえた哲学的な指導者。
[編集] 用語
α(アルファ)、β(ベータ)
- 知識人、指導者階級。
γ(ガンマ)、δ(デルタ)、δ(イプシロン)
- 下層階級。階級が下の方になるほど、背が低かったり、鼻がつぶれてたりと容姿が悪くなる。さらに階級が下の赤ん坊は育てる段階でも、わざと酸素を送る量を減らしたり、血液にアルコールを少しだけ混入して、知能や身体機能を下げる。彼らは成長すると、工場で延々単純作業をやらされたりとかする。しかし、予防接種をすべて注入するから、大人になって病気をすることがなく、60歳ぐらいで亡くなるまで、ずっと老いずに若い。
ソーマ
- 副作用ない麻薬。ムスタファ・モンド曰く「涙を交えぬキリスト教」。
蛮人保存地区
[編集] 参考文献
- 『天変地異の黙示録』 小松左京(著)
[編集] 外部リンク
- Online edition of Brave New World
- 1957 video interview with Huxley as he reflects on his life work and especially Brave New World
- Aldous Huxley: Bioethics and Reproductive Issues
- A Defence of Paradise-Engineering. A critical review of Huxley's novel by David Pearce.

