いのち (NHK大河ドラマ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

この項目ではNHK大河ドラマの「いのち」について記述しています。その他の「いのち」については命_(曖昧さ回避)をご覧ください。

いのちは、1986年1月5日12月14日NHKで放送された大河ドラマ第24作である。原作は橋田壽賀子、主演は三田佳子

山河燃ゆ』『春の波涛』に続き、大河ドラマ「近現代三部作」3作目に当たる。

NHK大河ドラマ
通番 題名 放映期間
第23作 春の波涛 1985年1月6日
~1985年12月15日
第24作 いのち 1986年1月5日
~1986年12月14日
第25作 独眼竜政宗 1987年1月4日
~1987年12月13日

目次

[編集] 概要

近代路線に転換してから視聴率的に苦戦していた大河ドラマの桿入れのため、『おんな太閤記』『おしん』で人気の実力派・橋田壽賀子を起用した。当初、NHKは司馬遼太郎原作の明治物の脚色を依頼していたが、オリジナルに拘る橋田が難色を示し、自らの戦後史に擬えての同世代史となった。

主人公が医者になったのは、橋田が元々医者志望だったが数学が苦手だったので、学部志望を変えた事に由来する。配役的には映画『Wの悲劇』などで、当時注目されていたベテラン・三田佳子を橋田の希望で主演に迎え、その他の配役も、庶民派大河を意識した地味なキャスティングとなった。

歴史上の人物が登場しない唯一の大河であり、ナレーションでも歴史人物の名前が出るのは池田勇人首相ただ一人、それも一回だけという意外なタイトルになっているが、高度経済成長化の農村、集団就職、石油ショックなど戦後の主要事件は、ほぼ描かれており、歴史と全く無関係のドラマとは言い切れない部分もある。制作費の面では出演者も例年にくらべて少なく、過去の局資産も流用できるため、思い切って本建築の高原家セットを組むなど、バランスのとれた予算配分をした。

2006年12月からCS放送「ホームドラマチャンネル」で再放送されている。

[編集] あらすじ


注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。


1945年8月18日、終戦3日目の弘前へ向かう汽車に、東京の自宅を焼け出され、故郷へ向かう高原未希・佐智姉妹がいた。佐智は空襲で足が不自由になっており、この旅で、弘前へ男を訪ねる妊娠中の村中ハル、学生の中川邦之と知り合う。

故郷へ帰り、母の千恵、使用人の工藤清吉・イネ夫妻と再会したのも束の間、男に裏切られ、海に身を投げようとして、海軍予備学生から復員した浜村直彦に助けられたハルが連れて来られ、千恵、イネらの奮闘に関わらず流産する。一時は自殺すら考えたハルだったが、清吉らの説得により「男に頼らず一人で生きる」と実業家への道を志す。間もなく千恵が吐血して倒れ、医師・坂口一成の診察により癌を宣告される。シベリアへ抑留された父正道と結婚式を挙げた神社へ未希とハルの助けで参拝した間もなく亡くなり、このことがきっかけで未希は医者を志し女子医専に進学。

しかし、高原家は農地改革の嵐に見舞われ、小作人で幼馴染の岩田剛造の努力も虚しく、父のシベリア抑留を理由に不在地主に認定された高原家は、全ての土地を失ってしまう。東京で共に農村医療を志す直彦と未希は惹かれあい、医専を卒業した未希は故郷へ帰り、念願の医者となる。シベリアから父・正道が帰って来るが、長い抑留生活のため、余命いくばくもない事がわかり、その後医師となった中川邦之は正道が元気な内に佐智と結婚したいと申し出、その結婚式の夜、妻・千恵の墓前で、正道は息を引き取った。

その後も開業医としては順調な日々を送る未希だったが、妊娠中の剛造の妻初子の体調不良の訴えを妊娠中毒症と誤診、腎臓病で初子を胎児ともども亡くす結果となり、医者としての自信を失った未希はアメリカシアトルへ留学し、そこで直彦と再会する。留学も終わりに近付いた頃、一旦は直彦のプロポーズを受けた未希だったが、帰国後地域医療を捨て大学に戻る途を選んだ直彦と決裂。帰国後、周囲の反対を押し切って剛造と結婚した未希は、姑のテルと激しい確執を演じるが、剛造と初子の娘・典子と、典子の病気を治療した事をきっかけに和解する。

公立の診療所ができて、しだいに経営が苦しくなった未希は、東京でダンスホールの経営者として成功していたハルの勧めで、東京郊外の新興住宅地に1年間だけの予定で移り開業するが、自らが必要とされている地域があることを知り、テルや清吉、佐智らに反対されながらも、剛造の後ろ楯で本格的に移転を決める。しかしその過程で典子との確執を生むのだった。

ハルは、弘前から集団就職で出てきた征子を引き取り、大学まで出し医者にさせるほど愛情を注ぎ、征子は、剛造と初子の息子・竜男と結婚。その新婚旅行の最中、石油危機が起こり、これに対応して乗り切った竜男は、やがて病院の実務を切り回していくことになる。姑のテルが痴呆症にかかり、未希は彼女を引き取り介護する。しかし、典子との確執は収まらず、結婚式の日、典子は未希が用意した婚礼衣装に袖を通さず、初子の形見の着物を身につけて式に臨むのだった。テルが未希に看取られて死去。親友のハルの末期が発覚。ハルは弘前での最期を望み、親しい人たちに囲まれて高原家で息を引き取る。

剛造が長年のリンゴの品種改良の努力が実って、農業賞を受賞。喜びも束の間、剛造もまた病に冒される。意識不明になった剛造の自発呼吸がついに停止し、気管切開をしようとする医師とそれを望んだ家族に対し「もういい。お父さん頑張ったんだから」と未希は延命治療を拒み、安らかに旅立たせるのだった。愛する人々を病で失った未希の前に、竜男による医療保険不正請求事件が発覚。自責の念にかられた未希は、全てを投げ出そうと家を出、とある山奥の温泉宿に逗留する。そこで働いていた女性の難産を助け、自分にも役目があることを思い出し、離島の診療所へ赴く。そして「いのち」を守るため、今日も診療を続けるのであった。

[編集] スタッフ

  • 原作・脚本:橋田壽賀子
  • 音楽:坂田晃一
  • 制作:澁谷康生
  • 演出:伊豫田静弘、阿部康彦、富沢正幸、布施実、金沢宏次、枡田豊、小見山佳弘
  • 語り:奈良岡朋子

[編集] 出演

[編集] 放送

[編集] 総集編

[編集] その他

  • この番組の放送を記念して弘前市にあるお菓子メーカー・ラグノオささきが、「いのち」というスポンジケーキを発売した(現在でも発売している)。それを食べ、「これは津軽風"萩の月"だ」と感想を述べる宮城県民もいる。
  • 21世紀に入り、大学の医学部の生徒の男女割合が、女性が多くなったのは、このドラマを見た(当時の)幼少女が医学を志したのでは?と思われる。
  • これでもか、これでもかと主人公にふりかかる不運の連続に相当の批判の投書がNHKに寄せられた。但し本作の脚本家である橋田壽賀子のいわゆる「橋田節」に対する支持も同等以上あったことは視聴率が証明している。
ことばこって?

「ことばこ」は、歴史の人物から最先端テクノロジーまで、なんでも調べられるオンライン百科事典です。ウィキペディア財団が運営を行なっているwikipedia.orgから引用をしています。

おススメサイト
トラブログ
アレどう?
アフィリエイトB